kintoneは、サイボウズ社が提供するクラウドサービスで、開発の経験がなくても自社の業務に合わせたアプリを直感的に構築できるプラットフォームです。
日報、案件管理、顧客管理、在庫管理、勤怠管理など、多岐にわたる業務アプリを、直感的な操作で作成できます。専門的な知識も不要で、利用しながら用途に合わせて柔軟にカスタマイズできるなど、さまざまなメリットがあります。
本記事では、初心者向けにkintoneのアプリ作成における基本的な3つの方法や手順、注意点などをわかりやすく解説します。これからkintoneを使う人でもわかるよう、図を使って一つひとつ詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
kintoneのアプリ作成方法は3パターン
kintoneのアプリの作り方には、基本的に3つの方法があります。
- kintone上で一から作る方法: kintoneの作成画面上でパーツを組み合わせてオリジナルアプリを作成します。これにより、柔軟で高度なカスタマイズが可能です
- Excel・CSVから作成する方法:ExcelやCSVファイルを読み込んでアプリを作成でき、大量のデータを効率的に移行できます
- サンプルアプリを使って作る方法: 事前に用意されたアプリテンプレートを利用して、新しいアプリを簡単に作成できます
まずは、3つの方法について簡単に特徴を紹介します。なお、具体的なアプリの作り方は次の章で解説します。
kintone上で一から作る方法の特徴
この方法は、パーツを組み合わせてオリジナルアプリを作成できるため、業務に合ったカスタムアプリを高い自由度で構築したい場合にとくに適しています。
直感的なドラッグ&ドロップで行えるのが特徴で、「フィールド」と呼ばれる入力項目を配置して「フォーム」を構築できます。
一から作る際のポイントは、利用するユーザーが迷わずスムーズに入力できるよう、適切なフィールドを選択することです。例えば、単価を入れる場合は「数値」を指定、備考欄の場合は「文字列(複数行)」を指定するなど、入力する項目にあわせて適切なフォームを配置します。
Excel・CSVから作る方法の特徴
Excel・CSVからアプリを作成する方法では、ExcelやCSV形式のファイルを読み込んでアプリを作成し、同時にデータをアプリにインポートすることが可能です。
Excelファイルが多く、それを効果的にkintoneアプリに移行したい場合や、既存のExcel・CSVデータを簡単かつ迅速にアプリに変換したい場合に適しています。
サンプルアプリを使って作る方法の特徴
kintoneでは、ひな形を活用してアプリを作成できる方法があります。アプリストアには部署・業種別に100種以上のサンプルアプリが提供されており、これらのアプリはすべて無料で利用できます。
この方法は、アプリを一から作成するのが難しい場合や、手軽にアプリを導入したい場合におすすめです。サンプルアプリをベースにして必要なカスタマイズを加えることで、迅速に自社の業務に合ったアプリを構築できます。
kintoneのアプリの作成手順
kintoneでアプリの3つの作成方法について、手順を画像とともに解説します。それぞれの作成方法を参考に、最適なアプリを効率的に構築しましょう。
- kintone上で一から作る方法
- Excel・CSVから作る方法
- サンプルアプリを使って作る方法
kintone上で一から作る方法
kintone上で一から作る方法から解説します。手順は以下のとおりです。
- 「はじめから作成」で作成画面を開く
- アプリ名の入力
- 配置したいフィールドを決める
- フィールドの追加
- 配置したフィールド名の変更
- アプリ公開
手順1. 「はじめから作成」で作成画面を開く
kintoneのポータルで、「アプリ」エリアの「+」をクリックすると、kintoneアプリストアが開きます。
「はじめから作成」をクリックし、新たなアプリのフォーム設定画面を表示させましょう。
手順2. アプリ名の入力
左上にある「新しいアプリ」をクリックし、アプリ名を入力(例:「日報」)します。
アプリ名やアプリアイコンは後から変更可能です。
手順3. 配置したいフィールドを決める
左のフィールド一覧から、配置するフィールドを右にドラッグ&ドロップしましょう。例えば、日付・作成者・文字列(複数行)などがあります。
配置したフィールドは、横幅や縦幅を必要に応じて調整できます。
手順4. フィールドの追加
試しに、「文字列(複数行)」を配置する場合の例です。
まず、「文字列(複数行)」フィールドを選び、ドラッグ&ドロップで右側に移動させてください。右上の歯車マークをクリックすると、「設定」「複製」「削除」の項目が出てきます。同じフィールドを作りたい場合は、「複製」をクリックしてください。これにより、同じタイプのフィールドを2つ追加できます。
手順5. 配置したフィールド名の変更
配置したフィールド名を変更しましょう。
「文字列(複数行)」の右上の歯車から、「設定」を選択します。「フィールド名」を変更(例: 「業務内容」)し、「保存」をクリックしてください。
同様の手順で他のフィールド名も変更します。
手順7. アプリ公開
画面左上の「フォームを保存」を押して、フォームを保存しましょう。右上の「アプリを公開」を押すと、アプリが利用環境に公開されます。
Excelから作る方法
Excelからアプリを作る方法について解説します。手順は以下のとおりです。
- Excelファイルを整形
- 「Excelを読み込んで作成」で「作成を開始する」を選択
- 「アップロードへ進む」をクリック
- ファイルを選択
- データの範囲指定
- プレビューの確認
- フィールドタイプを確認
- アプリを確認
手順1. Excelファイルを整形
まずは、Excelファイルをkintoneに読み込むために、以下のルールに基づいてファイルを整形をします。
表の1行目に項目名・2行目以降にデータが入っているか、ファイルは1MB以下かなどを確認しましょう。
手順2. 「Excelを読み込んで作成」で「作成を開始する」を選択
kintoneのポータルで「アプリ」エリアを選択します。「+」のアイコンをクリックしましょう。
「Excelを読み込んで作成」を選択し、「作成を開始する」をクリックします。
手順3. 「アップロードへ進む」をクリック
チェック項目を確認し、全ての項目にチェックを入れたら、「アップロードへ進む」をクリックしましょう。
手順4. ファイルを選択
「①Excelファイルをアップロードする」の「参照」をクリックし、読み込む予定のファイルを選びましょう。
※今回のExcelファイルは、kintoneのサンプルを使用しています。
手順5. データの範囲指定
「②プレビューを確認する」の「データ範囲を変更する」を選びましょう。ダイアログの「データ範囲(Excel内)の指定」が表示されたら、読み込む予定のデータ範囲を指定しましょう。
手順6. プレビューの確認
プレビュー表示の先頭の行に、項目名(フィールド名)が出ていることを確認しましょう。読み込み範囲の1行目に結合セルや空白のセルがある場合、フィールド名が変わる可能性があるため注意が必要です。
データを変更する際は、参照からファイルを選択し直し、データ範囲も正しい内容に修正しましょう。
手順7. フィールドタイプを確認
「③アプリの作成を開始する」より、自動選択されたフィールドタイプを確認してください。フィールドタイプは、Excelの先頭100行のデータをもとに自動で設定されます。通常は、変更する必要はありません。
Excelの項目が読み込まれないとき、フィールドタイプの「(この列を無視する)」を選ぶと良いでしょう。
ここまで設定が完了したら、画面右下の「作成」をクリックします。
手順8. アプリを確認
読み込みが完了したら、作成されたアプリを確認してください。ポータルに表示されたアプリ名をクリックすると、レコード一覧画面が表示されます。
アプリ名・アイコン・フィールドなどの配置は変更できます。
CSVから作る方法
次に、CSVから作る方法をみていきましょう。全体の流れはExcelと同じです。
- CSVファイルを整形
- 「CSVを読み込んで作成」で「作成を開始する」を選択
- 「アップロードへ進む」をクリック
- ファイルを選択
- ファイル内容の確認
- フィールドタイプを確認
- アプリを確認
手順1. CSVファイルを整形
CSVファイルをkintoneで読み込むために、以下のルールに沿ってデータを整形します。
CSVファイルの場合、Excelと違って1行名に項目名を入れていなければなりません。
なお、読み込めるデータの件数はCSVの方が圧倒的に多くなっています。
【Excel】
- データ数:1,000件以内
- ファイルサイズ:1MB以内
【CSV】
- データ数:10万件以内
- ファイルサイズ:100MB以内
手順2. 「CSVを読み込んで作成」で「作成を開始する」を選択
kintoneのポータルで「アプリ」エリアから「+」をクリックし、「CSVを読み込んで作成」を選択しましょう。
「作成を開始する」をクリックします。
手順3. 「アップロードへ進む」をクリック
チェック項目を確認してチェックを入れたあと、「アップロードへ進む」をクリックします。
手順4. ファイルを選択
「①CSVファイルをアップロードする」の「参照」をクリックし、読み込む予定のファイルを選びましょう。
手順5. ファイル内容の確認
読み込んだファイルの内容を確認します。CSVの場合、自動的に範囲が指定されるため、Excelのようにデータ範囲を手動で指定する必要はありません。
文字化けがあれば、「文字コード」を変更します。列が正確に区切られていない場合は、「区切り文字」を変えましょう。
手順6. フィールドタイプを確認
自動選択されたフィールドタイプを確認します。フィールドタイプはCSVファイルの内容に基づいておすすめされます。
通常は変更は不要ですが、アプリに読み込みたくないCSVファイルの項目は「(この列を無視する)」を選びましょう。
設定が完了したら画面右下の「作成」をクリックします。
手順7. アプリを確認
読み込みを終えたら、作成済みのアプリを確認しましょう。アプリ名・アイコン・フィールド配置については、必要に応じて変更が可能です。
サンプルアプリを使って作る方法【アプリ追加編】
アプリストアからサンプルアプリを追加していく方法を解説します。
- アプリストアを開く
- アプリの選択
- アプリの追加
手順1. アプリストアを開く
他の手順と同様に、まずはアプリストアを開きます。
手順2. アプリの選択
アプリストアの左パネル、または「おすすめのアプリ」欄からアプリを選択します。
アプリ名をクリックして内容を確認しましょう。内容を確認せずにアプリを追加する場合、「このアプリを追加」もしくは「このアプリパックを追加」をクリックします。
手順3. アプリの追加
アプリの詳細画面で「このアプリを追加」もしくは「このアプリパックを追加」を選びましょう。
サンプルデータがある場合、「サンプルデータを含める」チェックボックスが表示されます。サンプルデータが不要な場合は、チェックを外しましょう。
アプリを開くと、下図のように作成されます。項目は自由に変更可能なため、サンプルアプリで作ったベースから自社用にカスタマイズすることで、効率的にアプリを作成できるでしょう。
kintoneのアプリ作成で心がけるポイント
kintoneでアプリを作成する際は、組織全体で使用することを踏まえ、心掛けておきたいポイントがあります。
アプリ名やアイコンの統一ルールを用意する
kintoneのアプリ作成では、まずアプリ名やアイコンに一貫性のある統一ルールを設定することが重要です。
例えば、アプリ名の左側に【営業部用】【経理用】のような利用部署名を付けるなどです。一目で利用者や用途がわかる名称に設定することで、アプリの管理や利用がスムーズになります。
作成途中のアプリに【作成中】と記載するなど、ステータスを追加してわかりやすく表示するのもおすすめです。
また、アイコンを工夫するのも一つです。直感的にわかりやすいアイコンにすることで、視認性が上がります。無料で使用できるアイコンも数多く用意されているので、ぜひ使ってみましょう。あるいは、「日報」「顧客管理」のように、文字自体をアイコンにする方法もあります。
アプリを整理し、使っていないものを削除する
運用を続けていると、一度作成はしたものの、使用しなくなるアプリも出てきます。使用していないアプリは、削除してスッキリとした状態を保ちましょう。
ただし、アプリを削除すると、アプリ内に登録したすべてのデータが利用できなくなるため、他のアプリと連携したデータなどが入っていないか注意が必要です。
kintoneのアプリ作成における注意点
kintoneのアプリを作成するうえで、留意しておくべき点もいくつかあります。アプリを作成する際は、以下の点も覚えておきましょう。
アプリ管理が複雑になる可能性もある
増えすぎたアプリは管理が煩雑になりがちです。
解決策として、事前に必要なアプリをリストアップし、導入前に検討しておくことが大切です。どのアプリが本当に必要で、役立つかを明確にして、無駄なアプリを作成しないようにしましょう。
アプリ設計や外部システムとの連携に注意が必要
kintoneと他のシステムを連携させる際は、アプリ設計や連携の過程で注意が必要です。
例えば、会計システムや勤怠システムとの連携では、データの整合性やセキュリティの確保が重要です。不適切な設計や連携の失敗は、システム全体の動作に影響を与える可能性があります。
外部連携を検討する場合は、関係者やシステム専門家との綿密な協議が欠かせません。十分な検討と専門家の協力により、スムーズな連携を実現しましょう。
kintoneのアプリ作成で業務プロセスを効率化しよう
今回は、初心者向けにkintoneアプリの作成方法や手順、注意点などを詳しく解説しました。
主な作成方法には、kintone上で一からアプリを構築する方法、Excel・CSVからデータを読み込む方法、サンプルアプリを利用する方法があります。
もともとExcelでデータを管理していた場合はExcel・CSVからデータを読み込む方法を、サンプルに該当するアプリがある場合はサンプルアプリから作る方法を、特殊なパターンでサンプルアプリから作るより新規で構築したほうが早そうな場合は一から構築する方法を選ぶなど、ケースに応じて最適な方法を選択しましょう。
アプリを作成する際には、アプリ名やアイコンの統一ルールの設定、使わなくなったアプリの削除、アプリ設計や外部システムとの連携などに注意が必要です。
これらのポイントを押さえながらkintoneを効果的に利用し、自社の業務プロセスを効率化しましょう。