ダッシュボードとは、さまざまなデータを一つの場所に集約して表示するツールです。予算実績の管理、日次の売上管理、案件の追跡などに使用でき、多岐にわたるデータを視覚化することで、業務の迅速な遂行を支援します。
【無料】kintoneの活用ガイド
アプリの作成方法やスペース、ポータル、拡張機能についてもわかりやすく説明しています。導入を検討している方、導入事例を知りたい方は、ぜひ本ガイドをご覧ください。
kintoneの基本機能だけでもダッシュボードの作成が可能ですが、追加プラグインを使用することで、高度なグラフ作成なども行えるようになり、データの視覚化や分析の質が向上します。
本記事では、kintoneのダッシュボードの作り方を「標準機能」と「プラグインの追加」に分け、それぞれの作成方法を解説します。ダッシュボードの活用事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
kintone基本 & 活用ガイド
kintoneの主なメリットや導入事例をわかりやすく解説
- kintoneの概要
- アプリの機能を紹介
- スペースと拡張機能の解説
- kintoneの主な用途と導入事例
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全てのフィールドが必須です。
kintoneのダッシュボードとは
ダッシュボードは、複数の情報を一か所にまとめて表示するツールのことを指します。手作業で集計せずにリアルタイムの分析結果を確認できるため、迅速な意思決定に有効です。
kintoneでダッシュボードを作る際、標準機能を使うこともできますが、表示できる内容や機能性が限られてしまいます。より使いやすいダッシュボードを作るために、プラグインを追加して作成するのがおすすめです。
kintoneの使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
標準機能によるkintoneのダッシュボードの作り方
まずは、kintoneの標準機能でダッシュボードを作成する方法を解説します。
kintoneダッシュボードを標準機能で作成する
kintoneには「お知らせ掲示板」という機能があります。お知らせ掲示板とは、メンバーが共有したい情報を一覧表示できるエリアです。グラフやリンクのコンテンツなどを投稿することで、ダッシュボードとして活用でき、社内の情報共有を効率化できます。
お知らせ掲示板は、 kintoneシステム管理者またはcybozu.com共通管理者のみが編集できます。編集権限を持っていない場合、作成前に権限を付与しておきましょう。
kintoneのポータル画面から作成を開始します。アプリの右横にある「+」をクリックしてください。
「はじめから作成」を選択すると、新規のフォーム作成画面が表示されます。
左上に任意のアプリ名を記入し、左のフィールドから追加したい項目を右側にドラッグアンドドロップします。フィールドの横幅も自由に変更できるので、体裁を整えましょう。
フィールド名を変更するには、右上の歯車のマークにマウスを乗せて、表示されるリストから「設定」を選択します。名前を記入したら「保存」をクリックしてください。
フィールド名の変更がすべて完了したら、左上の「フォームを保存」ボタンをクリックして保存しましょう。その後、右上の「アプリを公開」をクリックすれば、アプリの利用が可能となります。
プラグインを使ったkintoneのダッシュボードの作り方
次に、プラグインを使ったkintoneのダッシュボードの作り方を3種類紹介します。
- Power BI Desktop
- krewDashboard
- kViewer
Power BI Desktop
Power BI Desktopは、マイクロソフトが提供するビジネス インテリジェンス (BI) ツールです。kintoneと連携すると、 kintoneに保存されたデータをグラフやチャートといった視覚的な方法で分析できるようになります。
Power BI Desktopは簡単にダッシュボードを作成できるのがメリットです。データ分析の専門知識がなくても、kintoneに蓄積されたデータのトレンドやパターンを素早く理解できます。
kintoneのデータをエクスポートする
kintoneのデータをエクスポートする方法を解説します。
画面の右上の「・・・」にアイコンを乗せるとメニューが表示されます。「ファイルに書き出す」を選択してください。
書き出し設定画面が表示されるので、「文字コード」のメニューをクリックして「Unicode(UTF-8)」を選択します。画面上部にある「書き出す」ボタンをクリックしましょう。
書き出し設定画面が表示されるので、「文字コード」のメニューをクリックして「Unicode(UTF-8)」を選択します。画面上部にある「書き出す」ボタンをクリックしましょう。
Power BI Desktopでダッシュボードを作成する
Power BI Desktopを使用すると、 kintoneのデータを取り込んだレポートを作れますが、ダッシュボードの作成には対応していません。ダッシュボードの作成には、Power BIサービスの有料版ライセンスが必要となります。
今回は、Power BIサービスとCSVファイルを連携する方法を解説します。
Power BIサービスにログインします。ホーム画面の左上の「+新しいレポート」をクリックします。
「データを追加してレポートの作成を開始する」の画面で、「データを貼り付けるか手動で入力する」をクリックしてください。
上記の画面が表示されたらCSVのデータ全体をコピーし、赤枠内に貼り付けます。
図のようにデータが挿入されたことを確認できたら、「レポートを自動作成する」ボタンをクリックしましょう。
レポートが自動で作成され、取り込み作業は完了です。
kintoneにダッシュボードを埋め込む
kintoneで作成されたダッシュボードを表示するには、最初に Power BIでレポートを公開する必要があります。ダッシュボードの埋め込みを行う準備として、右上の「発行」ボタンをクリックし、任意のレポートを公開しておきましょう。
次に、Microsoftの Power BIのサイトにアクセス後、ログインしてください。
ログイン後の画面で、PowerBIデスクトップで発行したレポートを選んでクリックします。
右上のメニューの「ファイル」から、「レポートの埋め込み」>「Webサイトまたはポータル」の順番で選択します。
「Webサイトまたはポータルに安全にレポートを埋め込みます」と表示されるので、図の赤枠部分の貼り付け可能なHTMLをコピーしてください。
次に、kintoneのアプリの設定画面から「一覧」をクリックします。「レコード一覧の表示形式」では「カスタマイズ」を選択し、「HTML」の欄に、前ステップでコピーしたHTMLを貼り付けましょう。作業が完了したら保存します。
ダッシュボードを表示するには、再度ログインが必要です。ログイン後、Power BIのダッシュボードがkintoneに埋め込まれて表示されます。
krewDashboard
krewDashboardは、kintone向けのプレミアムプラグイン「krew」シリーズの一部です。kintoneアプリケーションから収集したデータを用いてグラフやピボットテーブルを作成し、これらを一つのダッシュボードに表示する機能を備えています。
krewDashboardを使用することで、一画面上で必要な情報を瞬時に確認可能です。さまざまなグラフオプションが利用できるため、あらゆる要件に適したグラフの作成が行えます。
krewDashboardをインストールする
krewDashboardを利用するには、インストールが必要です。インストールをしていない場合は、こちらの手順で行ってください。
システム管理画面を開き、「その他」から「プラグイン」をクリックします。
「読み込む」をクリックし次に進みましょう。
「参照」ボタンをクリックし、krewDashboardのzipファイル(krewdashboard.zip)を選び「読み込む」をクリックします。ファイルは解凍せず、そのまま読み込んで問題ありません。
kintoneと連携する
kintoneとアプリを連携するには、アプリの管理者がアプリごとに行う必要があります。今回は、krewDashboardでアプリの一覧にダッシュボード表示する方法を解説します。
アプリの管理画面を開き「設定」タブから「プラグイン」をクリックします。
「プラグインの追加」を押してください。
krewDashboardのチェックボックスをクリックし、「追加」ボタンを押します。
「一覧」タブを選択し、右側にある「+」をクリックします。
「一覧名」を入力後「レコード一覧の表示形式」で「カスタマイズ」を選択します。
「保存」ボタンをクリックして完了です。
kViewer
kViewerは、 kintoneのアカウントを持たない外部ユーザーに対しても、kintone上の情報を共有できる便利なツールです。kViewerを利用すれば、kintoneでは作成できない2軸グラフや散布図なども制作できます。
kViewerでは、ライト・スタンダード・プレミアム・プロフェッショナルの4つのコースが用意されており、プロフェッショナルコースでは、ダッシュボード機能や高度なグラフ作成機能を利用できます。
kintoneでグラフを作成する
今回は、kintoneのアプリに登録されたデータから棒グラフを作成する方法を紹介します。
アプリの「レコード一覧」の右側のグラフマーク(集計する)をクリックします。
「グラフの種類を選んで作成」でグラフの種類を選びます。今回は「縦棒グラフ」を選択しましょう。
表示方法は「グラフの種類」で設定します。今回は「集合」を選択します。
次に「分類する項目」を設定します。この項目では次の3レベルまで指定可能です。
- 大項目
- 中項目
- 小項目
中項目と小項目は、分類する項目セクションの下にあるプラスマークの「追加」アイコンをクリックすることで追加設定ができます。
今回の例では商品別受注額の月別データを集計するため、このように設定しましょう。
- 大項目:「受注日」「月単位」
- 中項目:「商品名」
縦棒グラフに大項目と中項目を設定する際、大項目が横軸に配置され、中項目はグラフの系列として反映されてプレビューが表示されます。項目の値が空欄だった場合は集計対象外となるので注意してください。
次に「集計方法」を設定します。リストから次の項目のいずれかを選択します。
- レコード数
- 合計
- 平均
- 最大値
- 最小値
今回は、受注額の合計を集計するため、次のように設定してください。
- 集計方法:合計
- 集計対象のフィールド:金額
集計条件は「条件」にて設定します。例えば、期間を特定したい場合など、集計するレコードを絞り込むための条件設定が可能です。追加済みのすべての条件を一括で削除したい場合は、「すべてクリア」をクリックしましょう。
フィールドを使ってレコードを絞り込む場合は、テーブルの任意の行でフィールドの値が設定した絞り込み条件に合致すれば、該当レコードが集計の対象として選ばれます。
今回は今年の売上分を集計するため、「売上日=(等しい)今年」と設定しましょう。
集計結果の並び順は「ソート」で設定します。ソートのキーとなる項目は、集計値または項目が選択可能です。並び順は「昇順」「降順」のいずれかを指定します。
「大項目:昇順」「集計値:昇順」で設定しましょう。
ここまで設定したら「保存」または「設定」をクリックします。他のユーザーも使用する場合は「保存」、自分でその場だけ確認するときは「設定」を選びましょう。「設定」ではアプリの管理権限は不要ですが、「保存」するには権限が必要です。
集計結果を表示するグラフが完成しました。
kViewerのグラフビューを作成する
kintoneのグラフを外部に公開したい場合は、kViewerでグラフビューを作成しましょう。グラフビューを作成する際は、 kViewerに、kintoneにログインできる認証情報が登録されている必要があります。
前段階として、アプリでグラフを作成して保存しておきましょう。
kintoneで作成したグラフを選択し、画面のURLをコピーします。
kViewerにログインし、「ビューの作成」の隣のプラスボタンをクリックします。グラフビューの作成には、 kViewerでkintoneにログイン可能な認証情報を登録する必要があります。ビューの作成にグラフビューがない場合は、認証情報を確認してください。
グラフビューで「作成」ボタンをクリックします。
「ビューの管理名」を入力し、「kintoneのグラフのURL」に先ほどコピーしたURLを貼り付けます。完了したら「作成」ボタンをクリックします。
設定画面が開くので、左側のメニューから「コンテンツ配置」をクリックし、コンテンツのレイアウトを選択します。「サイドコンテンツ」「ヘッダーコンテンツ」などを設定する必要があれば、あわせて設定しましょう。
プレビューでグラフを確認します。
すべての設定が完了したら「保存」ボタンをクリックしましょう。
左上の「公開する」ボタンをクリックし、ビューを公開して作業は完了です。
kintoneのダッシュボードの活用事例
ここでは、企業のkintoneのダッシュボードの活用方法を紹介します。
大見工業株式会社
総合切削工具を手掛けるメーカーの大見工業株式会社では、営業の効率化と標準化を目指してSFA・CRMシステムを利用しました。しかし、受注生産が多いため業務を標準化できない課題がありました。
そこで、以前サイボウズOfficeを利用していた経緯から採用したのがkintoneです。さらに、過去に利用したSFA・CRMと似ているダッシュボード画面を作成するために、krewDashboardプラグインも利用しています。
その結果、ダッシュボードによる情報の可視化とデータ集計の手間の大幅な削減に成功しました。
エン・ジャパン株式会社
エン・ジャパン株式会社は、人材紹介サービスを提供する会社です。同社は、kintoneをデータベースとして使用し、kViewerを活用して外部ユーザー向けの情報公開を効率化しています。
エン・ジャパン株式会社では、kViewerを用いて148個のサイトを作成しており(2023年10月時点)、1サイトにつき最大240レコードが登録されています。 kViewerはGoogle アナリティクスと連携できるため、閲覧数や閲覧者の情報を分析し、サイトの運用改善に役立てています。
以前はkintoneがメインでkViewerが補助的な役割でしたが、最近ではkViewerをメインにサイト作成し、結果的にkintoneを管理用に使うスタイルが普及しています。
kintoneのダッシュボードを活用して効率よくデータ分析を行おう
kintoneでは、基本的な機能だけでも膨大なデータから必要な項目を取り出してグラフ化などが可能です。プラグインの活用や外部ツールとの連携により、さらに高度なダッシュボードを作成できます。
プラグインにはkintoneの標準機能にはない機能があり、今回紹介したプラグインを使えばわかりやすいダッシュボードを作成可能です。複数のアプリのデータをより本格的に分析できるようになるので、本記事を参考にぜひプラグインを活用してみてください。