LINEミニアプリは、LINE内で使えるWebアプリのことで、LINE株式会社の提供サービスのひとつです。LINEミニアプリを上手く使うと、LINEユーザーを自社の新規顧客として創出できるだけでなく、既存顧客のリピート率向上も期待できるため、飲食・美容・医療などの幅広い企業や店舗が導入を進めています。
しかし、「LINEミニアプリの機能がよく分からない」「開発・導入するのは難しそう」とお困りの方もいるのではないでしょうか。
今回は、LINEミニアプリの代表的な機能やメリット・デメリット、開発・導入にかかる費用や流れについて事例を交えて解説します。
LINE for Businessの基礎ガイド
LINE for Businessの基礎から活用事例までを詳しく解説!
- LINE for Businessの基礎知識
- LINE公式アカウントの主な機能
- LINE広告の活用方法
- LINE for Businessの活用事例
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LINEミニアプリとは?
LINEミニアプリとは、LINEアプリ上で実行できるWebアプリで、LINE株式会社が提供するサービスです。LINEアプリをメッセージのやり取り以外に活用するためのアプリが、用途別に存在すると考えるとわかりやすいでしょう。飲食店や医療機関など、業界の用途に特化した、さまざまなアプリが提供されています。
例えば、飲食店なら、卓上のQRコードを読み込んで顧客が自分のスマートフォンからオーダーできるアプリなどが活用できます。美容室なら、予約からキャッシュレス支払い、ポイント付与、顧客管理までを一元管理できるアプリが便利です。
アプリによって初期費用と月額費用が異なり、無料で使用できるものもあります。
また、LINEミニアプリはLINE公式アカウントとも併用できるので、ユーザーがLINEミニアプリを利用するときに、自動で友だち追加する設定をしておくことも可能です。ユーザーの利便性が高まるだけでなく、店舗や企業がLINEミニアプリを導入することで、LINEの友だち数を増やす効果も期待できます。
LINEミニアプリの特徴を、ネイティブアプリやLINE公式アカウントと比較しながら、さらに詳しく見ていきましょう。
既存のネイティブアプリとの違い
ネイティブアプリとは、企業や店舗が独自で開発したアプリで、ポイント加算やクーポン配信、最新情報などを提供します。LINEミニアプリとネイティブアプリとの違いは、Google PlayやApp Storeなどのアプリストアからアプリをダウンロードしなくて良い点です。ユーザーにとって、アプリをダウンロードする手間がかからないため、利用しやすいメリットがあります。
また、ネイティブアプリの開発には数百万円という費用がかかりますが、LINEミニアプリは既存のLINEプラットフォームを活用するため、開発費用を抑えることができます。
LINE公式アカウントとの関係性
LINEミニアプリとLINE公式アカウントとの大きな違いは、LINEを通じてユーザーに自社サービスを提供できる点です。また、サービスメッセージ機能を使えば、ユーザーの操作に対する確認や応答のメッセージをLINEミニアプリから通知できます。
一方で、LINE公式アカウントは、友だち登録によってメッセージ配信やチャットボットを利用できるようになるため、販促に有効です。
ところで、LINEミニアプリの開発はLINEが提供しているLIFF(LINE Front-end Framework)と呼ばれるアプリ開発用のプラットフォームで行われます。LINEミニアプリの開発過程で公式アカウントを連携させれば、双方のメリットを引き出すことができ、新規顧客やリピーターの創出により一層つながるでしょう。
LINEミニアプリを導入する企業が増えている理由
企業は、サービス提供のためのネイティブアプリを開発、公開していますが、ユーザーにとってダウンロードの手間がかかり、スマートフォンの容量も圧迫されることから、利用が進んでいませんでした。しかし、LINEミニアプリであれば、ユーザーはダウンロードの手間が省け、LINE上で企業のサービスを利用できるため、ネイティブアプリに比べて利用が見込めます。
LINEのように、ミニアプリをはじめとするさまざまな機能を提供するアプリを「スーパーアプリ」と呼びます。スーパーアプリに包含される機能を使えば、企業側、ユーザー側ともに利便性が向上するため、導入する企業が増え続けているのが現状です。
LINEミニアプリでできること
では、LINEミニアプリでは何ができるのでしょうか、一般的な機能をご紹介します。
LINEミニアプリでできることの多くは店舗運営やサービス提供に関連しています。
予約機能を使えば会員登録もスキップできる
代表的な機能が「予約機能」です。LINEミニアプリを起動し、予約フォームに必要情報を入力すれば、簡単に予約が行えます。ネイティブアプリで必要となる新規登録や店舗登録をする必要がなくなります。
お知らせ機能で順番待ちもスムーズに
次に、予約内容の確認連絡が届く「お知らせ機能」も有用です。ユーザーに予約を思い出してもらうことで店舗はキャンセル数を減らせます。
予約確認だけでなく「順番待ちの連絡」も可能です。店舗外で順番待ちをしてもらえるため、ユーザーのストレス緩和や店舗の混雑解消が期待できます。
お支払い機能でオンライン決済ができる
LINEミニアプリには「支払い機能」も備わっています。LINE Payはもちろん、クレジットカード決済やQRコード決済も実装可能です。
再来店促進に便利なクーポン機能
販促促進として利用できる「クーポン機能」もLINEミニアプリの特長のひとつです。LINEミニアプリを通じてクーポンを配信できるため、小売店などでは、広告代わりにクーポン機能を利用しているケースもみられます。
ユーザー側にとってもお得なクーポンを検索するためにLINEミニアプリを立ち上げる可能性が高まります。
会員機能で会員証やポイントカード利用ができる
店舗運営に役立つ「会員機能」もLINEミニアプリに備わっています。デジタル会員証として発行でき、ポイントカードとして利用することも可能です。
LINEミニアプリのメリット・デメリット
ここからは、LINEミニアプリのメリット・デメリットについて解説します。
導入企業のメリット
導入企業側の一番のメリットは、LINEという「圧倒的なユーザー数」を誇るSNSを利用できる点です。LINE公式アカウントとの連携による相乗効果も期待でき、機能拡張が可能でありながら開発コストも抑えることもできます。
また、アプリ上での決済は手数料がかかりますが、LINEミニアプリであれば決済手数料がかからない点もメリットです。公式アカウントは、メッセージ配信は通数により課金となりますが、ミニアプリではユーザーアクションに対するメッセージ(サービスメッセージ)は無料で通知できる点もメリットとしてあげられます。
機能面だけでなく、マーケティング面でのメリットもあり、LINEミニアプリ内でのユーザーの行動をデータ化し、サービス改善に役立てることも可能です。
利用ユーザーのメリット
ユーザー側のメリットは、簡単に利用できることです。ユーザーは、既に利用しているLINEを起動するだけで簡単にミニアプリを立ち上げられます。また、ネイティブアプリをダウンロードする必要がないため、ホーム画面にアプリアイコンが増えることはなく、スマートフォンの容量が圧迫されることもありません。
導入企業のデメリット
次に導入企業側のデメリットを見ていきましょう。企業側にとって最大のデメリットは、LINEを使っていないユーザーにはサービスを提供できない点です。また、LINEの操作に慣れていないユーザーにアプリを見つけてもらいにくい点もあげられます。
このような問題について、店舗での利用であれば、LINEがインストールされているタブレットなどの端末を顧客へ貸し出すことで対処できるでしょう。
一方で、機能面でのデメリットもあります。LINEミニアプリはLINEのプラットフォーム上で開発しなければならず、ネイティブアプリに比べて制限があります。他社アプリとの差異化が難しく、独自性が出しづらい点に注意が必要です。また、LINEミニアプリでは、公式アカウントのようなメッセージ配信ができません。メッセージによるコミュニケーションでユーザーとの関係性を醸成するには、公式アカウントと連携させる必要があります。
利用ユーザーのデメリット
利用ユーザー側のデメリットは企業側のデメリットと同様に、LINEユーザーでなければLINEミニアプリを利用できない点です。また、LINEの操作に慣れていない人は、目的に合うLINEミニアプリを探し出すのが難しい点もあげられます。
アプリ開発の費用と導入までの流れ
LINEミニアプリはどのように開発されるのか、費用はどれくらいかかるのかについて、導入までのフローとあわせて解説していきます。
LINEミニアプリの開発にかかる費用
LINEミニアプリの開発は誰でも可能ですが、LINEのパートナー企業による開発もしくは提供が一般的です。
通常、ネイティブアプリはiOSとAndroidそれぞれのアプリ開発をしなければならず、開発費用も多額にのぼります。一方、LINEミニアプリはLINEのプラットフォーム上で開発できるので、ネイティブアプリに比べて費用を抑えることが可能です。費用は開発会社によって異なりますが、シンプルな内容であれば300~500万円程、複雑なもの場合は500万~1,500万円が相場です。
開発費用が抑えられたとはいえ、LINEミニアプリの開発に数百万円かかるのであれば、導入が難しい企業もあるかもしれません。そこで、登場したのが定額制のLINEミニアプリ構築、運用サービスです。例えば、2022年3月には、LINEの認定講師である LINE Frontliner監修のもと、MINI APPLI MAKERというサービスが誕生しました。機能は限られますが、LINEミニアプリの構築と運用を月額5,000円から利用できます。このようなサービスを活用すれば、費用面で課題があった企業も、LINEミニアプリを導入しやすくなるでしょう。
LINEミニアプリのサービス提供フロー
次はLINEミニアプリの一般的な開発の流れです。
まずは、登録エントリーから行い、企画書による事前審査に通過すれば、許諾されたサービスの開発を行います。最後に、LINEによるアプリ審査を経てLINEミニアプリがリリースされます。
LINEミニアプリの導入事例を4つ紹介
ここからは、ミニアプリの導入事例を交えて利用方法をご紹介します。
基本事例は、飲食系・美容系・EC系、その他に分類ができます。飲食系は、店舗型・テイクアウト型・クーポンやポイント利用型など、用途によって内容が異なることも重要なポイントです。
①飲食店の導入事例:株式会社あきんどスシロー
「スシロー」は、大手外食チェーンで最初にLINEミニアプリを導入しました。導入の目的は、予約機能の実装による「待ち時間の短縮」です。実際に、自社ミニアプリの普及にともない、混雑が緩和されるようになりました。
ユーザーは会員登録不要で、「まいどポイント」を貯めることができ、ポイント数に応じてさまざまな特典を取得できます。お気に入り登録や、お気に入り登録からのリピーターが増加するなど、LINEミニアプリの機能を自社が提供するサービスにあわせて活用できている代表事例です。
②美容院の導入事例:株式会社ジャパンプロデュース
美容院の導入事例として、奈良県内に16店舗を展開する「株式会社ジャパンプロデュース」があげられます。美容院で重視すべきポイントは「予約機能」と顧客へのアプローチによる「リピート創出」です。
株式会社ジャパンプロデュースのLINEミニアプリでは、LINE公式アカウントと連携させて顧客との接点を作り、アプローチすることで関係性を構築し、リピート率を高めています。その結果、LINE公式アカウントの友だち数は1万2,000人に達し、その90%以上はLINEミニアプリユーザーとなりました。
POSシステムとも連携し、予約客へのリマインド通知や利用料金に応じたポイント付与も行っています。また、POSシステムから抽出したリストに応じて適切なプロモーションを行うことで、次回予約客数・リピート率・紹介客数の増加数など、マーケティングに成功しています。
③EC事業の導入事例:PAL CLOSET
「PAL CLOSET」は業界では最も早く、2019年にLINEミニアプリを導入しました。ネイティブアプリで取りこぼしていた顧客層とのオンライン上での接点創出を目的に導入が進められた結果、サービス利用者数が2倍、公式アカウントのともだち数も1か月で10万人増加、ブロック率も減少に転じました。
LINEミニアプリや公式アプリからのアプローチを増やすことで、再来店やECショップの利用を促せるため、LINE経由のEC利用に至っては前年比売上5倍増となりました。
④小売業の導入事例:株式会社マルイ
「株式会社マルイ」はデジタルマーケティングの強化のためにLINEミニアプリを導入しました。
小売業の定番であった折込チラシ中心の広告展開から、常にユーザーを飽きさせない「仕掛ける広告」への転換をLINEミニアプリとLINE公式アカウント、自社の会員カードと連携することにより展開しています。
具体的には、チラシ広告、イベント情報、お得なクーポンの配信など、ユーザーが日常的にチェックする内容をLINEミニアプリ上で展開しています。さらに、過去の購買履歴や属性をもとに、顧客それぞれに最適なコンテンツを配信するなど、顧客との関係性強化にも活用できています。
小売業では、一度LINEミニアプリを利用したユーザーは、気軽にリピートできる点がメリットです。また、折込チラシの製作費用をアプリ開発に回すことで、将来的な広告費用の削減が期待できます。
LINEミニアプリの今後のビジネス展開
LINEミニアプリは、国内で圧倒的なユーザー数を誇るLINE内のミニアプリであり、ネイティブアプリと違ってダウンロード不要で利用できるため、新たな顧客との接点として注目されています。
飲食店や美容系店舗での有効性が高いのはもちろんですが、それ以外のEC系や小売業などでの導入も広がりを見せ、さまざまな業種で利用が進んできました。
LINEミニアプリは開発コストが高額なため、未だ開発できる企業は限られています。一方で、構築や運用に特化した低価格の定額サービスも登場し始めました。このようなサービスを通じて、LINEアプリを導入する企業の増加が期待できます。
今後、LINEの機能が充実し使い勝手が良くなる「スーパーアプリ化の流れ」のなかで、LINEの重要性はますます増大し、LINEミニアプリの活用も広がっていくことでしょう。ぜひ、本記事をきっかけにLINEミニアプリの導入をご検討ください。