マーケティングオートメーションは、マーケティングにまつわる業務を自動化し、サポートしてくれる技術です。近年、マーケティングオートメーションを導入する企業が増えており、検討している担当者も多いのではないでしょうか。
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本記事では、マーケティングオートメーション導入で解決できることや手順を解説します。成功させるポイントも解説していますので、マーケティングオートメーション導入時の参考にお役立てください。
マーケティングオートメーション(MA)の導入で解決できること
マーケティングオートメーションを導入すれば、マーケティングに関する業務を自動化できます。一般的に、MAには次の4つの役割があります。
- 見込み客の創出(リードジェネレーション)
- 見込み客の購買意欲醸成(リードナーチャリング)
- 見込み客の分類(リードクオリフィケーション)
- 見込み客のリストを管理(リードマネジメント)
【見込み客の創出(リードジェネレーション)】
リードジェネレーションは、見込み客を創出するプロセスです。MAツールを導入すれば、顧客情報や購買履歴などから顧客のニーズや興味を把握できるので、最適なコンテンツを適切なタイミングで見込み客に提供して良い関係性を築くことが可能です。
【見込み客の購買意欲醸成(リードナーチャリング)】
リードナーチャリングは、見込み客に対してさまざまな価値提供を行い購買意欲を高めるプロセスです。メール配信やコンテンツの提供のパーソナライズ化を自動化でき、興味・関心を引きつけて購買意欲をかきたてます。
【見込み客の分類(リードクオリフィケーション)】
リードクオリフィケーションは、見込み客の状態を判断して、適切なセグメントに分類するプロセスです。MAツールでは見込み客のパターンを割り出し、情報収集段階なのか、購入を検討しているのかなど、見込み客の状態を分類します。
【見込み客のリストを管理(リードマネジメント)】
リードマネジメントは、見込み客の情報を整理し、リスト化して管理するプロセスです。MAツールを導入することで、見込み客や顧客の情報管理を効率的に行えます。
マーケティングオートメーションはこれらの役割を担い、効率的なマーケティング活動を実現します。リードジェネレーションからリードマネジメントまでのプロセスを自動化し、見込み客との関係構築を強化することで、企業の成長や売上向上が期待できます。
マーケティングオートメーションの概要については、次の記事でご紹介しています。
マーケティングオートメーション導入の流れ7ステップ
マーケティングオートメーションの導入フローは、課題の認識から運用フローの整備までの7つのステップで進みます。
- 課題の認識
- 目標設定
- 見込み客の把握
- MAツールの選定
- シナリオ設計
- コンテンツ作成
- 運用フローの整備
1. 課題の認識
マーケティングオートメーションの導入を検討する際は、自社のどのような課題を解決したいのかを明確にする必要があります。営業担当者にヒアリングし、どのあたりに課題を感じているのか直接尋ねましょう。
例えば、顧客データが担当者ごとに管理されていて、営業タイミングが把握しづらいなどの具体的な悩みを聞きだします。課題が明確になれば、MAツールのリスト管理機能で改善できるなどの具体的な対処法を立案できます。このように、他部門に影響する課題がある場合は、共通の認識を持つためにも各部門への十分なヒアリングを行いましょう。
認識のすり合わせをする際は、アンケートだけではなく、直接的なヒアリングを行ってください。詳細な意見を聞くことができ、課題の優先度や課題設定の最適化が可能となります。自社の課題を改善できるMAツールの選定にも影響が出るので、課題を事前に把握しておくことは非常に重要です。
2. 目標設定
マーケティングオートメーションの導入前に、具体的な目標を設定しておくことも重要です。例えば、見込み客の創出数や関与度の向上、コンバージョン率の改善などの具体的な目標を次のように設定します。
- 資料請求を月平均20件から40件に増やす
- メルマガの登録者数を月5名から10名に増やす
- マーケティング活動で創出した見込み客の商談化率を現状の120%に増やす
数字まで具体的に設定できれば、目標達成までにすべき行動や必要なコスト、時間の捻出が可能になります。また、目標達成のために必要な機能がわかるため、MAツールの選定にも役立ちます。
3. 見込み客の把握
MAツールを効果的に活用するには、見込み客の把握が不可欠です。見込み客のリストが散在している場合は、これらの情報を整理することからはじめましょう。BtoBの場合は企業規模や業種などもデータ化します。整理されたリストに基づいて、効率的なターゲティングやパーソナライズ化されたアプローチを実現しましょう。
4. MAツールの選定
課題や目標、予算に基づいて、最適なMAツールを選定します。次の5つは、代表的なMAツールの機能です。
- メーリングリスト管理機能
- リードスコアリング機能
- コンテンツシナリオ作成機能
- メール作成・配信最適化機能
- SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)などとのシステム連携機能
ツールによって機能やオプションは異なります。機能はもちろん、使いやすさや導入・運用コストなどを総合的に比較・検討し、自社のニーズに最も適したツールを選択しましょう。
5. シナリオ設計
シナリオ設計は、会員登録や商品購入など特定の行動に応じて自動的に適切なコンテンツやアクションを提供し、関与度を高めてコンバージョンにつなげることを目的に行います。
シナリオ設計で設定するのは、フローとアクションです。例えば、特定のトリガーによってメールを送信し、さらに一定期間が経過した後にフォローアップメールを送信するなどのフローを作成します。
また、個々の見込み客の属性や行動データを基に、最適なメッセージやアクションを設定します。セグメントごとに異なるフローを作成し、見込み客の興味やニーズに合わせたターゲティングを行うのが重要です。
シナリオ設計の具体的なポイントや作成方法は次の記事でご紹介しています。
6. コンテンツの作成
コンテンツの作成は、MAツールの導入による目標達成に欠かせません。魅力的なコンテンツは見込み客の興味を引きつけ、関与度を高めることにつながります。
メールマガジン、ランディングページ、フォームなど、さまざまな形式のコンテンツのなかから、自社に適したものを作成しましょう。MAツールを使ったコンテンツマーケティングでは、見込み客の属性や行動に基づいてよりパーソナライズ化されたメッセージを伝えられます。
7. 運用フローの整備
マーケティングオートメーションを最適化するには、スコアリングやシナリオの機能を定期的に振り返ることが重要です。導入目的に応じて、定量面と定性面の両方を確認しましょう。
例えば、反応率の高いシナリオパターンのA/Bテストや、営業担当者との商談の質に関するヒアリングを行います。ただし、計測する数値が多すぎるとレポーティングに時間がかかることもあるので注意が必要です。
「どの数値から最適化するか」などを定めて運用フローを明確にし、常にPDCAサイクルが円滑に回るようにしましょう。
マーケティングオートメーション導入を成功させるポイント
マーケティングオートメーションの導入を成功させるには、次の4つのポイントに留意しましょう。
- 自社のスキルを把握しておく
- MAツール運用のためのリソースを確保する
- 他ツールと連携ができるか確認しておく
- 他部署との連携力を高める
自社のスキルを把握しておく
MAツールは、マーケティング業務の効率化、最適化のために開発されたツールです。ただし、多くのツールは高機能かつ多機能なため、使いこなすには運用に精通した人材が必要です。
MAツールの運用スキルを持つ人材がいない場合は、ベンダーによるサポート体制が整ったMAツールを選ぶか、初心者でも操作できるように最低限の機能が備わったシンプルで使いやすいツールを選ぶことも検討しましょう。
MAツール運用のためのリソースを確保する
MAツールを適切に運用するためには、専任の担当者を確保する必要があります。米国のMAツールのベンダーであるMarketo(マルケト)社によると、MAツールを効果的に運用するには6~7人必要とされています。
マーケティングの知識を有し、MAツールを効果的に運用できる人材を配置しましょう。
他ツールと連携ができるか確認しておく
CRMやSFAなどのツールをすでに導入している場合は、導入予定のMAツールがこれらと連携できるかどうかを確認しておきましょう。
連携させれば顧客情報の一元管理が可能となり、効率的な運用が期待できます。一方、連携できない場合は、管理の手間が増えて使いづらくなる可能性もあります。
顧客情報の一元管理は、顧客との関係をより深めるために大切です。作業効率が向上するだけでなく、部署を超えた情報共有により効果的なマーケティング・営業活動が可能となるでしょう。
他部署との連携力を高める
他部署との連携力を高めることも大切なポイントです。例えば、次のような業務においては、部署をまたいで対応する必要があります。
- シナリオ設計
- 顧客対応
- 部門間での顧客理解やレギュレーションの確認
- コンテンツ制作
- 部門を超えて作成した業務フロー構築
- A/Bテストの実施と分析
異なる部門間で定期的にコミュニケーションをとり情報共有を行うことで、改善フローの停滞を防いで顧客体験の向上を図ることができます。
例えば、マーケティングオートメーションにおけるコンテンツでは、課題に対するソリューションとしてAを推薦しているのに、実際の商談ではBを勧めているケースが考えられます。このように、マーケティングと営業のアプローチが異なる場合、見込み客からの信頼が揺らぎ、顧客体験が悪化する可能性があるでしょう。
マーケティングオートメーションは複数の部署をまたぐ施策です。導入前に関連部署を交えた話し合いを行い、目標や運用フローに対する認識を一致させておきましょう。
マーケティングオートメーションの導入事例は、次の記事で詳しくご紹介していますので、参考にご活用ください。
マーケティングオートメーション導入で成果を上げよう
マーケティングオートメーションの導入は、業務効率の向上や目標達成、企業の競争力強化に大きく寄与します。MAツール導入前に、解決したい課題や目標を明確化して全体設計を行いましょう。
HubSpotが提供するマーケティングツール「Marketing Hub」は、全世界で10万社以上が導入し、MAツールで大きなシェアを誇っています。特に、潜在見込み客の創出と、見込み客の関与度向上に強みがあり、CRMやSFAのツールも備えているため、顧客情報をはじめとするデータの一元化が実現します。
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