ブランディングの話となると、営利企業以外は関係がないように聞こえるかもしれません。ですが、非営利だからと言って独自のブランド構築が不要というわけではありません。
ブランディングは組織を運営する上で非常に現実的かつ重要な仕事の1つであり、最初の時点ですでに構築されていること、あるいは組織のミッションやビジョンに合わせて再構築されることが必要です。
また、NPOが資金調達のためにキャンペーンやイベント、プロジェクト、プログラムなどを開始する際にもブランディングは欠かせません。この記事では、有名なブランドを持つNPO、GiveCorpsを素晴らしい例としてご紹介したいと思います。GiveCorpsはBmoreGivesMoreと呼ばれる大規模なGiving Tuesdayキャンペーンを成功させましたが、それを大きく後押ししたのがGiveCorpsのブランド力です。
一貫したブランディングが、GiveCorpsの発信するメッセージに偉大な力を与え、類似する他のブランドと戦略的なパートナーシップを結ぶのにも効果をもたらしました。その結果、GiveCorpsは驚くべきことに、わずか1日で570万ドルもの寄付を集めたのです。
次では、GiveCorpsがどのような組織なのか、また、どのようにしてそれほどの成功を収めたのかを、彼らのブランディングテクニックを中心に説明していきます。
BmoreGivesMoreの開始
GiveCorpsはアメリカのバルチモアを拠点とするオンライン資金調達プラットフォームです。GiveCorpsには従来型の資金調達ツールに加えて、Giving Jarと呼ばれる、個人がお金を貯めて自分の選んだ団体に寄付するためのツールが含まれています。
GiveCorpsがGiving Tuesdayに参加したのは、Giving Tuesdayが開始された2012年のことです(Giving Tuesdayは米国の感謝祭明けの火曜日を指し、国際的な「寄付の日」を設けようという社会的ムーブメントを言います)。
この年の12月、GiveCorpsはバルチモア市全体を巻き込んで、Giving Tuesdayの認知度を高めるだけでなく、バルチモア市やその周辺のコミュニティに貢献するための大がかりな活動を開始しました。
そして2013年の初夏に、GiveCorpsはGiving TuesdayおよびBmoreGivesMoreのキャンペーンへの参加に興味を示したパートナーや慈善家たちと話し合いを始めました。
それには地元のNPO組織である、United Way of Central Maryland、Baltimore Community Foundation、The Business Volunteers of Marylandだけでなく、タウソン大学、メリーランド大学ボルチモア校、メリーランド大学などの地方大学、さらに市長執務室までもが含まれました。
GiveCorpsとパートナー組織が協力し、BmoreGivesMoreと呼ばれる2013年のGiving Tuesdayキャンペーンが作成されました。また、バルチモア市に「culture of contribution(寄付の文化)」を創り出すという計画もアナウンスされました。
BmoreGivesMoreから学ぶ5つのブランディングテクニック
24時間で行われたBmoreGivesMoreキャンペーンのブランディング戦略は、マーケティングの観点から見てかなり傑出しており、学ぶべきところが多くあると思います。
そこで、ここからはNPOの皆さんが次回のキャンペーンで注目したり、実践したりできるよう、GiveCorpsによる5つのブランディングテクニックについて解説したいと思います。
1)すべてのマーケティングチャネルで同じロゴや色彩を使用する
ブランディングでは、ロゴやブランドカラーをすべてのマーケティング資料やチャネルで一貫して使用することが成功の鍵を握ります。
BmoreGivesMoreキャンペーンでは、ブランドイメージやロゴがウェブサイト、(TwitterやFacebookなどの)ソーシャルメディア、Tシャツ、インフォグラフィックスなどで、すべて一貫して使用されました。また、GiveCorpsはキャンペーンの期間中に資金調達の進捗をFacebookで報告する際にも、BmoreGivesMoreのブランドカラーを使用しました。
ニュースレターやカタログ、パンフレット、Eメールなどの販促資料、そしてもちろんオンラインのマーケティングコンテンツを作成する際にも、ブランドのカラーやロゴを一貫して使用することが非常に重要です。
2)ミッションやメッセージに一貫性を持たせる
同様に、キャンペーンでは一貫して同じメッセージを発信する必要があります。キャンペーンのミッションや目的について、同じことを何度も言い過ぎではないかと心配する必要はありません。
BmoreGivesMoreキャンペーンでは、「寄付の文化を創り出す」というミッションが、ウェブサイト、ソーシャルメディア、メディアへのアウトリーチなどで、何度も繰り返し伝えられました。
言葉を尽くしたメッセージをオーディエンスに一貫して伝えることも、あたりまえのようですが非常に重要です。
3)組織の全員にブランドとビジョンを理解させる
キャンペーンに関与するすべての人が、メッセージおよびミッションを完全に理解し、多くの人と話したりシェアしたりできるようにしてください。
キャンペーンのブランドやボイスについて説明したガイドをイベント前に作成し、スタッフや新しく参加するメンバー、ボランティアに配布することにより、組織内でメッセージを徹底させることが可能になります。
4)キャンペーンにハッシュタグを取り入れ、プロモーションする
ハッシュタグを利用すると、ブランドについてソーシャルメディアで会話のやり取りを起こすことができます。BmoreGivesMoreの場合は、#BmoreGivesMore、#MostGenerousCityInTheUSA、#GivingTuesdayという3つのハッシュタグがGiving Tuesdayで使用され、イベント当日にはアメリカ国内でトレンドとして紹介されました。
これにより、GiveCorpsは自身に関する会話をバルチモア市で起こすと同時に、より大規模なGiving Tuesdayの会話にも参加することができました。
資金調達のキャンペーンにハッシュタグを付けると、ソーシャルメディアでシェアやエンゲージメントを拡大したい場合にも効果が期待できます。
短くて覚えやすいハッシュタグを作成し、すべてのマーケティングコンテンツに表示しましょう。下の画像にあるように、BmoreGivesMoreのロゴには#GivingTuesdayのハッシュタグが入っています。
5)他の組織と連携する
寄付の日を開催するにあたり、類似したブランドやビジョンを持つ企業および他のNPOと連携することには、非常に重要な意味がありました。
たとえば、BmoreGivesMoreは300のNPO、200の企業、そしてバルチモアの多くの大学と連携しましたが、いずれの組織もGiving Tuesdayで貢献することを共通して望んでいました。
このように、共通するビジョンを持つ組織と上手く連携できれば、キャンペーンのインパクトを一気に増大することが可能になります。BmoreGivesMoreのスタッフは、パートナーシップを利用して地方の小さな組織をサポートし、パートナーのネットワークを通じてGiving Tuesdayで素晴らしい貢献をすることに成功しました。
次回のキャンペーンで、非営利団体をどのようにブランディングするか、アイデアやテクニックをお持ちの方は、下のコメント欄でぜひお聞かせください。
編集メモ:この記事は、2014年1月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Taylor Corradoによる元の記事はこちらからご覧いただけます。