Clayソフトウェアを使い始めたThibault Garcia氏は、クレジットベースのAIツールを評価する全ての人にとって教訓となる高くつく失敗を経験しました。膨大な見込み客リストのうち10件を対象に新しいプロンプトを試すつもりが、予想に反して表内の28,000社全てに実行されてしまいました。
「そのせいでかなりの費用がかかりました」と同氏は言います。「幸い莫大というほどではありませんでしたが、それでも大金でした」
Clayは結局、顧客がAIクレジットを誤って大量消費してしまうのを防ぐ機能を導入しましたが、Garcia氏の話は、新しいソフトウェアを評価する際に何を確認すべきかを知ることが重要である理由を浮き彫りにしています。
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このガイドでは、利用量ベースの価格設定のメリットを享受する(そしてリスクを回避する)ための5つの重要な質問を紹介します。Garcia氏をはじめ、利用量ベースのAIツールの評価と使用について実体験を持つリーダーたちから専門的なヒントを得て、契約交渉により自信を持って臨めるようになるでしょう。
この記事は、クレジットベースのAI価格設定に関する連載記事の第3弾です。クレジットベースのAI価格設定とは何か、そしてなぜベンダーが利用量ベースのモデルへ移行しているのかについての記事もぜひご覧ください。
AIベンダーに確認すべき5つの質問
1. 各アクションで実際に何クレジット消費するのか。また、それを実行前にどのように確認できるのか
これを前もって確認しておくことは非常に重要です。市場展開支援企業Reachly(英語)の創業者であるThibault Garcia氏(英語)にとって、クレジットの価格がどのように設定されているかを知らなかったことが問題なのではなく、プロンプトが28,000行全てで実行されることを知らなかったことが問題でした。
良い回答の例
- アクション別コスト表。ベンダーは、クレジットを特定のタスクに対応付けるアクションごとのクレジット消費表を公表すべきです。ひとつのツールであっても、コストは千差万別です。電子メール検索ソフトウェアでは、電子メールを見つけると1クレジット、検証すると半分、電話番号を見つけると10クレジットかかる場合があるとGarcia氏は指摘します。
動画エージェントAPIベンダーのRunwayは、私が見た中で最も複雑なアクション別コスト表(英語)を公開しています。ユーザーはモデルとタスクを選択し、必要なクレジット数について詳細を確認できます。例えば、音声付きのGoogle Veo 3.1は動画1秒あたり40クレジット、Nano Banana Proの4K画像生成は1画像あたり16クレジットです。

- ソフトウェア内でのプレビューやラベル表示。製品は、一括または大量のアクションを引き起こす前にコストのプレビューを表示し、コストの高いアクションについては、確認画面を表示するのが理想的です。また、アクションがAIクレジットを使用することを示すラベルが表示されると便利です。
注意すべきサイン
- 不明瞭な価格設定。「複雑さにもよりますが、このアクションによって1~10クレジットかかる可能性があると示しているツールもあります」とGarcia氏は警告しています。「しかし、それが実際のコストにどのように反映されるのか、明確な表がないのであれば、それは間違いなく、注意すべき大きなサインです。」
- 失敗したアクションでもクレジットが消費される。「多くのツールは、探している情報が見つからなかった場合は、そのクレジットを支払う必要はありません」とGarcia氏は言っています。しかし、全てのツールがそうであるとは限らないので、確認することが重要です。
2. チーム、ユーザー、ユースケースを追加した場合、コストはどのように増加するのか?
この質問は、契約の背後にある実際の価格体系を明らかにします。シートベースの価格設定モデルでは、コストは人数に応じて増減します。クレジットベースの価格設定では、AIが実際に行う処理(プロンプト、生成、自動化、タスク量など)に応じてコストが増減します。そのため、最も低価格のプランだけを見ても、本格導入時に実際にいくらかかるのかはほとんど分かりません。
良い回答の例
- 明示された価格プラン。ベンダーは、最小の確約プランだけでなく、複数の確約プランにおけるクレジット単価を提示するべきです。もし確認できるのが最初の契約プランの料金だけなら、2年目のコストを現実的に予測することはできないでしょう。
- 再現できる料金試算。予想される使用量に、そのベンダーの公表料金を適用すれば、そのベンダーの担当者が提示するのと同じ試算結果が得られるはずです。そうならない場合、その価格設定は透明性に欠けていると言えるでしょう。
注意すべきサイン
- コストがどのように増加するかについて曖昧な回答。企業向けソフトウェアの価格設定を確認するには、営業担当者に問い合わせるか、デモに申し込む必要があるのが普通です。しかし、普通でないのは、通話中に担当者が想定される使用量をクレジット数や費用に換算して説明してくれない場合です。状況が本当に複雑で、正確に見積もるためにはさらに多くの情報が必要な場合もあります。その場合は、必要な情報を確認し、追加で提供しましょう。しかし、必要な情報を提供した後も明確な回答が得られない場合、それは注意すべきサインです。
- 利用量が増えるほどクレジット単価が高くなるプラン。Garcia氏は、これはまれなことだが、見たことはあると言っています。「これは理にかなっていませんし、一般的でもありません」「本来であれば、利用量が増えるほど単価は下がるべきです。」と同氏は付け加えています。
3. 現実的な利用シナリオでは総コストはいくらになるのか?
初めてAIを導入する企業には予測の基礎となる利用実績がなく、クレジットプランを過大に確約してしまうリスクがあり、その代償は決して小さくありません。Garcia氏は、AIツールの利点として、契約前にその有用性を確認できる場合が多いことを挙げています。「私たちにとってはとても助かります。多額の費用をかけずにツールを試せるからです。」重要なのは、ベンダーがそれを体系的に評価できる仕組みを提供しているかどうかです。
良い回答の例
- 実際のデータを取得できるトライアル環境。パイロット、サンドボックス、または無料クレジットにより、契約前に利用量の基準データを収集することができます。例えば、HubSpotでは顧客対応エージェントと案件創出エージェントの28日間無料トライアルを提供しています。
- シナリオ別に試算できるフレームワーク。Garcia氏は、ツールが置き換える業務を基準に需要を予測し、その利用量に対して悲観的・標準的・楽観的なシナリオを試算することを推奨しています。「クレジット数も重要ですが、1クレジット当たりのコストはいくらになるか?その利用量で、月次・四半期・年次ではどのくらいのコストになるのか?」
- 前提条件が明示された、ベンダーが提供するROI計算ツール。計算根拠を確認できる計算ツールなら、入力値を変えながら試算結果を検証できます。例えば、HubSpotの顧客対応エージェントROI計算ツールでは、サポート担当者の数、担当者1人当たりの平均コスト、担当者1人ごとの1日当たりのコミュニケーション数、チケット解決時間などの入力を調整できます。これは、想定されるコスト削減額と時間削減効果を試算します。また、各測定指標の算出方法や年間労働日数260日などの仮定を含む算出方法も公表しているため、その数値がどのように算出されたかを知ることができます。
注意すべきサイン
- トライアル環境が用意されていない。もしベンダーが契約前にパイロット版、妥当な量の無料クレジット、またはテスト用のサンドボックスを提供しない場合、そのツールが自社で実際に価値を発揮するかどうか分からないまま導入するリスクを負うことになります。
- 算出根拠を確認できないROI計算ツール。削減効果の試算に用いられている前提条件を確認できない、あるいは編集できない場合、その数字は分析結果ではなく、単なる宣伝文句に過ぎません。
4. 価格設定は実際に得られる価値と合っているか?
クレジットベースの価格設定には構造的な特徴があり、ベンダーは成果ではなく、使用量に対して支払いを受けます。AIが実際に価値を提供しているかどうかにかかわらず、クレジットを消費する可能性があるため、単にAIモデルへアクセスできること以外に、何に対して料金を支払っているのかを確認する価値があります。
ソフトウェア開発会社Acropolium(英語)のCEO兼創設者であるOleksii Glib氏(英語)は、今日の多くのAIツールは単に既存のAIモデルを組み込んだだけのものに過ぎないと警告しています。「多くのベンダーはAIトークンを利用し、それを自社ツールのインターフェースに組み込んで、より高い値段で販売しているのです」と同氏は言います。「これはベンダーが提供している価値とは言えません。」
良い回答の例
- モデルそのもの以外に、明確に説明できる3つの価値。ベンダーは、独自データ、ワークフロー設計、連携、顧客固有のコンテキスト、ネットワーク効果など、基盤モデルへのアクセスの上に追加するものを挙げることができるはずです。Glibの例:ClayやHubSpotのようなプラットフォームは、顧客行動データとAIを組み合わせることで、OpenAIやAnthropic APIを直接使っても簡単に構築できないものを提供できます。「AIだけでは持っていない追加データによって価値が高まるのです」と同氏は説明します。
AIツールにおける実際の付加価値の例として、Breeze案件創出エージェントはHubSpot CRM上で動作します。つまり、コンタクトレコード、取引コンテキスト、購買シグナルにアクセスして、購入意欲の高い見込み客を推奨し、アプローチをパーソナライズします。もし、企業がChatGPTに案件創出Eメールの作成を依頼するだけの場合、それぞれのビジネスや取引に固有の背景情報を十分に反映できません。
- 可能な場合は、成果ベースまたは成功ベースの価格設定。一部のベンダーは、AIが定義された成果(チケットの解決、商談の設定、成約など)を達成した場合にのみ課金します。それが可能であれば、クレジット単位の課金よりも、価値と価格設定の整合性を示す強いシグナルになります。例えば、HubSpotのBreeze顧客対応エージェントと案件創出エージェントは成果ベースの価格設定を採用しており、顧客はエージェントが割り当てられたタスクを完了した場合にのみ料金を支払います。
注意すべきサイン
- AIモデルそのものばかりを強調している。ベンダーの最大の売りが「GPT-5を使っています」や「Claude上で動作します」である場合、実質的には他社のAIモデルへのアクセスに対して料金を支払っている可能性があります(その場合、モデル提供元を直接利用した方が費用を抑えられるかもしれません)。ベンダーの価格と基盤モデルを直接利用した場合のコストを比較し、モデルへのアクセス以外にどのような付加価値をその製品が提供しているのかを確認しましょう。
- 失敗したアクションでもクレジットが消費される。詳しくは質問1を参照してください。AIを使用してタスクを実行しようとして失敗したにもかかわらず、それでもクレジットが消費されるのであれば、その価格設定は提供される価値と結び付いていない可能性があります。
5. 継続的な支出をどのように管理・可視化できるか?
予算管理者にとって最も避けたいのは、実際の支出が予測を大幅に上回ることです。この質問は、そうした不安を軽減するためのものです。信頼できるベンダーは、支出管理を支援するための仕組みを備えています。契約前にそれを確認することが重要です。
良い回答の例
- リアルタイムの利用状況ダッシュボード。予算が何に使われたのかを確認するために、月末の請求を待たなくても、クレジットの消費状況をリアルタイムで確認できるはずです。
- 任意のしきい値で設定できるアラート。50%、75%、90%でアラートが表示されるので、必要に応じて利用状況を調整できます。
- 利用上限の設定とAI機能の一時停止機能。上限に達したら、プラットフォームはクレジットの消費を停止すべきであり、課金が発生し続けて後から請求されるようなことがあってはなりません。
- 役割ごとの予算管理。管理者は、チームやユーザーごとにクレジット予算を割り当てることができるようにする必要があります。そうすれば、特定のユーザーがクレジットを使い切ってしまうことを防げます。例えば、Anthropicでは、Claude Codeのビジネス管理者がユーザー単位で利用上限を設定(英語)できます。
注意すべきサイン
- 利用データを確認できるのが月次請求書だけ。問題に気付く頃には、クレジットを使い切ってしまっている可能性があります。
- 利用率100%で初めて通知されるアラート。これでは利用上限に達する前に対応する時間がありません。
- 支出上限や役割ごと制限を設定できない。どのユーザーでも無制限にクレジットを消費できるのであれば、ベンダーはリスク管理をあなたに委ねていることになります。
先ほども触れたように、Garcia氏の予期せぬ高額請求につながった出来事をきっかけに、Clayはサンドボックスモードを導入しました。これは、ベンダーに確認すべき管理機能の良い例です。

適切な質問で想定外の請求を防ぎましょう
AIツールのクレジットベースの価格設定を必要以上に恐れる必要はありません。Garcia氏の体験から学ぶべきことは、ソフトウェアや価格体系そのものではありません。同氏が言うように、問題は「アクションやツールが実際にどのような結果をもたらすのかを理解していないこと」から始まります。この5つの質問は、各ベンダーのクレジットベースの価格設定の仕組みや、そのベンダーがワークスペースにどのような価値をもたらしているのかを正確に認識することで、想定外の請求を避けるために役立ちます。
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