採用フォーム(エントリーフォーム)は、求職者が企業の求人募集にエントリーする際に必要な情報を入力する画面のことです。自社サイトの求人ページに設置する方法が一般的で、紙の履歴書を郵送する方法よりも求職者がスムーズに応募できます。
ただし、単に自社サイトへ採用フォームを設置しても、応募者が増えるわけではありません。見やすいレイアウトに仕上げ、入力の手間を極力減らすなど、求職者の視点で最適化することではじめて応募者数の増加が期待できるようになるでしょう。
本記事では、採用フォームを作成する際に押さえておきたい基礎知識から作成方法、作成のポイントを詳しく解説します。テンプレート付きのフォーム作成ツールも紹介していますので、ぜひお役立てください。
採用業務効率を改善させるatsテンプレート
採用フォームとは
採用フォーム(エントリーフォーム)とは、求職者が企業の求人募集にエントリーする際に必要な情報を入力する画面のことです。通常、自社サイトの求人ページや、求人専用の自社メディアに設置します。
自社サイトに求人ページを設ける際には、応募者向けの採用フォームをあわせて設置する必要があります。
採用フォームが重要とされる理由
自社サイトに、顧客や取引先向けの問い合わせフォームを設置している企業は多いでしょう。しかし、採用フォームは設置していない場合が多いのではないでしょうか。
自社サイトには、さまざまな目的を持ったユーザーが訪れます。求職者向けに採用の専用フォームを設置することで求人を行っていることが訪問者にしっかりと伝わり、エントリーしやすくなります。
また、採用フォームの形式やデザインも重要です。入力する項目が明確で使いやすいフォームは応募者の意欲を高め、応募者数の増加につながるでしょう。適切に設計された採用フォームは、企業のブランドイメージを向上させる役割も果たします。
採用フォームではプライバシーに関わる情報を取り扱うため、個人情報保護に関する自社のポリシーと信頼性を伝えることで、応募者が安心してエントリーできます。
採用フォームを設置するメリット
ここでは、採用フォームを設置するメリットを紹介します。採用フォームをうまく活用することで、採用活動の大幅な業務効率化が可能になります。
業務効率化や採用コスト削減につながる
応募者の情報をフォームに記載してもらうことで、条件の事前確認がスムーズになります。面接前にメールや電話でやりとりした場合と比べて、時間的コストを大幅に削減できるでしょう。受付確認や次のステップの案内といった内容をメールで自動返信することにより、人事担当者の手間が軽減できるだけでなく、より迅速な対応が可能になります。
さらに、自社サイトから採用活動を行うと直接応募が可能になり、求人広告費用の削減にもつながります。企業に関心が強い人材と出会う機会も増えるでしょう。
応募者が集まりやすい
採用フォームの設置は、応募数の増加につながりやすくなります。通常のお問い合わせフォームしか設置されていない企業サイトでは、応募者はどこから求人に応募すれば良いのかわからないかもしれません。応募を断念する可能性もあり、企業にとって機会損失となるでしょう。
採用フォームを設置することでユーザビリティが向上し、自社に興味を持った求職者が迷わず応募できるようになります。
データ分析にも役立つ
採用フォームに入力された情報は、データ分析にも活用可能です。
応募者の属性や興味関心、応募動機などのデータを分析すると、求人広告の効果や応募者の選考通過率などの指標を把握できます。これにより、応募者にアピールしやすい求人情報のまとめ方や、採用プロセスの改善点が明確になります。
また、データ分析を通じて採用戦略の最適化にもつながるでしょう。例えば、特定の応募ルートが優れた成果を上げている場合は、そのルートに重点を置くことで効率的に採用活動ができます。
最適な採用フォームを作成するときのポイント
最適な採用フォームを作るためには、応募者に疑問や不安を抱かせないように工夫し、離脱を防ぐことが大切です。ここで紹介する3つのポイントに注意しながら採用フォームを作りましょう。
入力の手間を減らす
入力に手間がかかる採用フォームは、途中で応募者に離脱される可能性が高まります。
入力の手間が少ないフォームを作るには、次の2点を意識することが大切です。
- 項目数を多くしない
- 適切な入力形式で設定する
項目数を多くしない・必要最低限に絞る
入力の手間を減らすためには、項目数を増やし過ぎず、必要最低限に絞ることが重要です。項目が多過ぎると、応募者は入力が面倒だと感じてしまいます。特に、卒業学校名や卒業年月といった、履歴書や職務経歴書でカバーできる情報は、採用フォームから除外しましょう。
理想的な項目数は5~10個程度で、必要な情報を的確に収集することが求められます。項目数を絞ることで、応募者に負担をかけないスムーズな応募プロセスが実現でき、優秀な人材の獲得につながるでしょう。
適切な入力形式で設定する
質問内容に応じて、テキスト入力・ラジオボタン・プルダウンなどの入力形式を使い分けましょう。テキスト入力する項目を減らし、選択形式を増やすことで、応募者が入力する手間が減るだけでなく、入力ミスも防げます。
また、住所情報の入力には、郵便番号を入力すると自動で住所が入力される機能の設定がおすすめです。
入力してほしい内容をわかりやすくする
入力方法がわかりにくいフォームは応募者にとってストレスとなり、離脱を引き起こすでしょう。
入力方法をわかりやすくするポイントは次の3つです。
- 記入例やサンプルを表示する
- 必須項目はわかりやすく表示する
- 関連する項目を近くに設定する
記入例・サンプルを表示する
入力時に迷いそうな項目は、具体的な記入例やサンプルを表示すると良いでしょう。例えば、電話番号にはハイフンが必要かどうか、名前のふりがなは平仮名・カタカナのどちらなのか、数字は半角なのかなどのガイダンスを提供します。
これにより、応募者は正確な情報を簡単に入力でき、入力に対する不安や迷いが軽減されます。
必須項目をわかりやすくする
必須項目はわかりやすく示しましょう。項目がわかりにくいと入力漏れが起き、送信前に「入力されていない必須項目があります」といった表示が現れます。応募者は、入力済みの項目を見直すことになるため、負担がかかって離脱の原因になることがあります。
入力漏れを防ぐためには、必須項目が欠けている箇所がすぐにわかるようなエラーメッセージを表示すると良いでしょう。該当箇所が示されていることで応募者は迷うことなく応募手続きを進められます。
また、任意項目をなるべく減らし、必要な項目に絞ると、理想的な項目数である5~10項目程度に収まりやすくなります。
関連する項目・設問を近くに設定する
個人情報に関する質問と、その他の採用に必要な情報に関する質問が混在していると入力内容が複雑になります。氏名や連絡先などの個人情報は近くに配置し、一連の流れを意識して配置すると応募者が入力しやすくなります。
便利機能の活用
ファイルの添付などの便利な機能がフォームに備わっていると、応募者の入力の手間やストレスを軽減できるだけでなく、企業側の手間を省くこともできます。
ファイル添付機能を設置する
採用フォームにはファイルの添付機能を設定しましょう。ユーザーが履歴書や職務経歴書をワンクリックで添付できると、利便性が向上します。
フォーム作成ツールを使用する場合、添付ファイル機能が組み込まれていることが一般的ですが、ファイルの形式や容量には制限があることがあります。ツールを導入する際には、事前にこれらの制約を確認しておきましょう。
入力内容の自動保存
ページ遷移やブラウザの「戻る」で入力内容が消えてしまうと、応募者の入力意欲を損なうことがあります。
入力内容の自動保存機能を実装することで、入力の途中で何らかのアクションがあっても情報が失われる心配がありません。
応募者が離脱する可能性がある場合は、離脱前に「このページを離れる(とどまる)」といったポップアップを表示すると、誤操作を防げるでしょう。
入力内容の確認画面・サンクスページを設置する
応募者が入力内容にミスがないことを確認できるよう、入力内容の確認画面は必ず用意しましょう。
また、送信後に表示されるサンクスページを設定しておくと、応募者は入力した内容が正常に送信されたことを確認でき、複数回の送信を防ぐことにもつながります。
自動返信メールの設定
自動返信メールの導入は、人事担当者の負担軽減につながると同時に、応募者への迅速な対応にも貢献します。今後の対応を伝えるために、「~日以内に担当者が返信します」といった内容を記載しておくと、応募者も安心するでしょう。
採用フォームに必ず入れておきたい6項目
本章では、採用フォームを作成する上で必ず入れておきたい項目を紹介します。各項目を作る際のポイントも解説していますので、事前に確認しておきましょう。
1. 名前
名前の入力には、漢字の読み間違いがないよう、漢字とふりがなの2種類を用意します。その際に、姓と名を別々の入力欄にすると入力ミスを減らせます。
ふりがなの入力には、平仮名とカタカナで迷わないように入力例を表示しておくと良いでしょう。
2. 連絡先
連絡先の入力には電話番号とメールアドレスの2つを用意しましょう。どちらかに入力ミスがあっても、応募者に連絡を取ることができます。
電話番号は、ハイフンの有無で迷うことがあるため、入力例を表示しておくと良いでしょう。
3. 希望職種
募集ポジションが2つ以上ある場合には、希望職種の項目を設けましょう。希望職選択にはラジオボタン形式を採用すると、応募者の手間が減り、入力ミスを防ぐことができます。
4. 志望動機・自己PR
志望動機や自己PRをフリーフォームに設定すると、応募者が志望動機や特技、経験を自由に記載できるため、企業は選考に有益な情報を得られます。応募の動機や自己PRは長文になることが多いため、フレームを大きく設定しましょう。
フォームに入力可能な文字数をあらかじめ表示しておき、入力中に残りの文字数が自動表示されるようにしておくと親切です。
5. 履歴書や職務経歴書の添付
ファイルの添付は応募者が職歴などを入力する手間を省き、企業側も印刷して面接や選考に活用できるため、双方にメリットがあります。
履歴書や職務経歴書の添付を促す際には、添付可能なファイルの形式・サイズを表示しておきましょう。
ファイルの添付が困難な場合には、職務経歴や最終職歴の項目をフォーム内に設けます。
6. 個人情報の取り扱いに関する説明
個人情報の取り扱いについては、次の3つの項目を記載します。
- 個人情報の利用目的
- 個人情報の第三者提供
- 個人情報の開示請求
個人情報の取り扱い説明は、別ページに掲載するか、フォーム内に設置して最後までスクロールしなければボタンを押せないようにする方法があります。いずれの場合も、「同意して送信する」のようなボタンを設置し、個人情報の取り扱いについて同意を得るプロセスが必要です。
採用フォームを簡単に作成できるツール5選
採用フォームは、自社でイチから設計する方法や、プラグインを使用するなどの方法がありますが、おすすめなのはフォーム作成ツールの活用です。簡単にフォームを構築できるだけでなく、フォーム作成に役立つ機能も充実しています。
本章では、採用フォーム専用のテンプレートがあるツールを5つ紹介します。どのツールも無料プランではファイルの添付機能が付いていないため、ファイル添付機能が欲しい場合には有料版をご検討ください。
1. Select Type
「Select Type(セレクトタイプ)」は無料で予約システムを構築できるフォーム作成ツールです。豊富な質問形式や締切設定が可能で、同一人物からの重複応募を防止する「重複禁止設定」も利用できます。無料プランでは最大3つまでのフォームを作成できます。採用テンプレートも用意されており、簡単かつ効果的なフォームを作成できます。
採用テンプレートはこちらです。
2. Qubo Request
「Qubo Request(キューボ リクエスト)」は、住所の自動入力機能やエラー表示など、ユーザーにストレスを与えないさまざまな工夫が施されているフォーム作成ツールです。
多言語にも対応しており、ドラッグ&ドロップだけで簡単に操作が可能です。無料プランではフォームを1つだけ作成できます。
採用テンプレートも提供されており、効率的かつ使いやすいフォームを手軽に作成することが可能です。
採用テンプレートはこちらです。
3. SECURE FORM
「SECURE FORM(セキュアフォーム)」は、登録者数4万人を超える人気のフォーム作成ツールです。無料プランでも自動返信メール機能が備わっており、有料プランも990円からと、比較的低コストで利用できます。
無料プランでは最大3つのフォームを作成できます。
採用テンプレートはこちらです。
4. Form Mailer
「Form Mailer(フォームメーラー)」は、ランディングページと連携して使えるフォーム作成ツールです。写真や見出し、説明文、地図、動画の設置が可能で、デザイン性に優れています。
無料プランでも最大5個までのフォームを作成でき、使いやすく美しいフォームを簡単に作成できるツールです。
採用テンプレートはこちらです。
5. Tayori
「Tayori(タヨリ)」は、ステータス管理機能が付いているフォーム作成ツールです。デザインはカスタマイズができ、WordPressにも埋め込み可能です。直感的な管理画面が特長で、初心者でも扱いやすいでしょう。無料プランはありませんが、有料プランを14日間無料で体験できます。
採用テンプレートも提供されており、使いやすく効果的なフォームを手軽に作成できます。
採用テンプレートはこちらです。
また、企業によってはGoogleフォームを採用フォームとして利用しているケースもあります。無料で使えるため、簡易的に設置したい場合にはまずGoogleフォームを利用するのも良いでしょう。
採用フォームの作成で採用活動を活性化させよう
最適化された採用フォームの設置は、応募者数の増加だけでなく、採用コストの削減にもつながります。
求職者が採用フォームからスムーズに応募するためには、入力に極力ストレスがかからないよう配慮することが大切です。
本記事で紹介しているツールを活用すると、採用フォームに必要な情報を簡単に網羅できます。デザイン性に優れたフォームの作成にもつながり、応募者の利便性向上も可能です。どれも無料で簡単に始められるものばかりなので、まずは利用してみましょう。
応募者の管理などが可能な採用管理ツールはこちらの記事で紹介しています。採用フォームとあわせてご参考ください。