今日のネット社会の進展と社会の変化を背景にして、採用業務には大きな変化が起きています。そして、実際の採用現場では、 応募者に対して、短い時間で企業の価値をどのように伝えるか、どのようにして入社意欲を一層高めてもらうかが採用業務の重要な前提となっています。
そこで、採用業務を円滑に進めるためには基本的なフローについて整理した上で効率化を図り、SNSの活用などオンラインの進展に伴った業務内容の変化と課題を精査することが必要です。
また、働き方が大きく変わった現在、採用業務では従来の日本では少なかったリモート面談など「会わない採用」が普及するなど急速な変化が起こっています。応募者側の心構えが求められる一方で、これまでであれば集団面談で対応できていた採用活動を個別のリモート面談で行うためには共通項をもって評価できるようチェックリストを作る必要が出てくるなど、その対応に人事担当者も戸惑いを感じています。
本記事では、採用の効率化に役立つ主な採用管理ツールとその特徴について紹介します。 新しい生活様式への対応、いわゆる「ニューノーマル」の視点で、採用業務のあり方と採用管理を効率化することによって、企業側・応募者の双方にメリットを生むための手法を活用しましょう。
採用業務効率を改善させるATSテンプレート
ツールを使って採用コストと手間の軽減を実現させましょう
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採用業務とは?
そもそも採用業務とは、具体的にどのような業務であり、どのような業務から成り立っているのでしょうか。 また個別の業務をどう捉えるべきなのでしょうか。
採用業務の重要性を理解しよう
採用業務は人材を採用するための採用計画立案から、入社までの一連の業務を指します。企業の経営・事業計画にとって非常に大きな位置を占める業務であると同時に、雇用される従業員一人ひとりの人生にも関わる重要な役割を果たしています。
近年はCPO(Chief People Officer)やCHRO(Chief Human Resource Officer)と呼ばれるポジションが設置される例が多くなっています。 当社HubSpotでCPOのポジションを設置しており、社員が長く、幸せに働けるようなカルチャー・職場環境の構築に努めています。
当社のCPOであるKatie Burkeが、組織文化の構築について語っている記事があるので、よければ参考にしてみてください。
働きたい会社No.1に輝いたHubSpot CPO Katie Burkeに聞く、ハイパフォーマンスでハッピーな組織文化の作り方
採用は、企業から応募者へ価値を届けるところから始まる
当社HubSpotの採用に対する考え方をお伝えします。HubSpotは、創業当初から「インバウンド」の思想を提唱してきました。インバウンドの核となるのは「相手から価値をもらう前に、こちらから先に相手に価値を届ける」という考え方です。
マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、カスタマーサポートなどあらゆる職種に適用できる考え方であり、もちろん採用業務も例外ではありません。
HubSpotは、インバウンドの思想に基づいた採用手法を「インバウンドリクルーティング」と呼んでいます。
インバウンドリクルーティングとはどのようなものか、採用の入り口から内定後までの流れを簡単に説明します。
まずはどのような人を採用したいのか、理想の人物像(ペルソナ)を明確にしましょう。その人物の興味を引くコンテンツは何か、どの流通経路を使って発信すればアプローチできるのか仮説を立てて施策を実施してみましょう。ここでは、短期的な施策だけでなく、コンテンツマーケティング的な中長期的なアプローチを前提にした施策も実施できると良いでしょう。
実際に応募者にリーチし、向こうから問い合わせがきたら、しっかり時間をとってコミュニケーションします。選考においては、企業と応募者は平等な立場にあり、お互いがマッチング度を確かめることが目的となります。企業としても「選ばれる立場」にあることを理解し、応募者に選んでもらえる確率を上げるため、選考時もいかに価値提供できるかを念頭におきながら進めましょう。
内定が決まった後も、より自社へのエンゲージメントを高められるよう定期的なコミュニケーションや社員との交流イベントなどのアフターフォローを忘れないようにしましょう。もちろん、落選した応募者に対するケアも忘れてはいけません。
つまりインバウンドリクルーティングとは、やみくもに求人サイトに求人票を掲載したり、応募者との面談を機械的にさばいて行ったり、内定が出たら終わり(落選や内定辞退されたら終わり)と捉えたりするような採用とは真逆だと言えます。人に寄り添い、全てのフェーズでしっかりコミュニケーションを取って、お互いの魅力を理解した上で採用するための手法なのです。
しかし、多くの採用担当者からすると、「理想的ではあるものの、実施する時間がない・・・」と感じるかもしれません。
採用業務をスムーズに進めつつ、応募者理解を深めるために
採用業務には、求人サイトへ掲載するコンテンツの作成、応募者管理、面談設定、選考の進捗管理など様々なタスクが含まれます。企業によっては数十人、数百人の応募者を並行して選考する場合もあるので、管理業務だけでも膨大になるでしょう。
しかし、採用業務の本筋は、管理ではなく応募者とのコミュニケーションにあります。先述したように、応募者一人ひとりとしっかり向き合い、互いに理解を深めることに時間を費やせるのが理想でしょう。
ここでは採用業務の非効率はどこで生じるのか、その原因と実態について紹介し、それをどのように効率化していくべきかを具体的に説明します。
採用業務を効率化するとどのようなメリットがある?
採用業務の効率化により会社業務の生産性がアップするだけではなく、採用担当者と応募者双方に次のようなメリットが生まれるため、結果として内定辞退率が下げられます。
内定辞退率を下げられる
「 就職白書2017 -採用活動・就職活動編」(就職みらい研究所) の調査によると、 新卒採用で学生が内定を取得した企業の数は平均2.2社。しかし、内定を辞退した人の実に20人に1人が「内定が出るのが遅かった」ことを理由に内定を辞退しています。
応募者一人ひとりと向き合う時間が増える
面談や連絡などにおいて、応募者一人ひとりと向き合う時間に余裕が生まれます。採用側では応募者の資質や志向、能力を細部まで確認できる機会が生まれると共に、企業文化を伝える機会を設けられます。応募者としても疑問や不安なポイントについて担当者の話をじっくりと聞くことができます。
選考時のコミュニケーションがスムーズになる
最低限の業務的な疑問だけではなく、応募者側と採用側がじっくり時間に余裕を持った対話が交わせることから、双方のコミュニケーションがスムーズになります。
採用業務をより効率化する手法
次に、採用業務をより効率化できる手法を説明します。
・採用管理システムを導入する
ATS(採用管理システム:Applicant Tracking System)などのツールを導入することで、採用業務関連の情報を一元管理し、採用活動の効率化を図ります。詳しくは後述の「採用業務を効率化する「ATS」とは?」にて解説します。
・アウトソーシングする
採用事務の一部を外部に委託することで業務を効率化させるのと共に、採用担当者の労力を選定やコミュニケーションなどコアとなる業務に集中させます。
企業文化の明確化採用においては応募者と企業との関係を密にすべく、企業文化を明確にした上で、社外の方でも閲覧できるよう公開しておきましょう。社内文化を公開することで、選考前から自社への理解を深めてもらえる確率が高くなります。早い段階で文化を理解してもらえれば思想や価値観のミスマッチを防ぎやすくなり、内定辞退や入社後すぐの離職も低くなる可能性が高くなります。
例えば、弊社HubSpotでは、独自のカルチャーコードを作成し企業文化を明確化しています。カルチャーコードとは、社員や経営陣が持っている価値観や信条、習慣を言葉で表現し共有したものです。魅力的で愛着を持てる企業文化を社員全員で創っていくというHubSpotの姿勢を目に見える形にしています。
これによって単なる採用事務の枠を超えて、企業として「こうありたい」と願う企業文化の理想像を言語化し、日々の行動指針としています。
HubSpotでは、「魅力的な企業文化が優れた人材を惹きつけ、社員の潜在能力を最大限に開花させる」という考えを重視して、このカルチャーコードをHubSpotの礎と位置づけています。
弊社HubSpotのカルチャーコードについての詳細は、別ページ「 HubSpotのカルチャーコード 社員に愛される会社の創造 」で詳しくご紹介しています。
採用業務を効率化する「ATS」とは?
ATSとは採用業務に関する情報を一元管理できるツールです。採用活動の効率化が目的のシステムで、応募者情報の管理や面接の日時調整などが可能になります。
ATS導入のメリットとデメリットを押さえておきましょう。
ATS導入のメリット
ATSを導入するメリットは主に以下の4つです。
- 採用候補者の一元管理が可能
- 採用のスピードアップ
- 詳細なデータ分析が可能
- 採用担当者間の連携と情報共有
それぞれのメリットの詳細を確認してみます。
・採用候補者の一元管理が可能
採用活動中は応募者ごとに進捗状況が異なるため、手作業による管理では見落としや対応漏れが生じるリスクがあります。ATSの導入により、応募者の進捗状況を一元管理し情報共有もできるため、対応ミスの防止に役立ちます。
・採用のスピードアップ
選考状況や進捗管理を共有することにより、応募者への早期のフィードバックが可能となります。選考のスピードアップにより、応募者も予定を立てやすくなるなどメリットが生まれます。
・詳細なデータ分析が可能
ATSの導入により、求人媒体ごとの応募率や採用率など細かなデータ分析が行えます。効果の高い求人媒体のスクリーニングが明確になり、求人広告のコスト配分が効率化できます。採用データの蓄積と分析能力を高めることにより、優秀な人材の採用戦略にも力を発揮します。
・採用担当者間の連携と情報共有
各選考それぞれの採用担当者間での連携ミスを防ぎ、優秀な個性ある応募者を見落とすリスクを回避できます。採用過程におけるフィードバックが共有できるため、次ステップ担当者は応募者とのコミュニケーションをとりやすくなります。
ATS導入のデメリット
ATSは優れたツールですが、導入や運用にコストがかかることが留意点になります。自社の求人・採用規模など対費用効果を十分考慮する必要があるでしょう。
主なATSツール
ATSツールには様々な種類があります。その一部について紹介します。
人財活用プラットフォームです。様々なデータを連携させて従業員個人のストーリーを可視化し客観的な判断に基づく「採用→評価→育成→配置」が実現できます。
全ての社員が採用プロジェクトに携わることにより(スクラム採用)、自主的な採用施策の立案から実行までを行う採用体制が構築できる採用管理プラットフォームです。SlackやChatworkのような他のツールと連携した直感的な操作によって、スムーズかつ短時間で書類選考や面接スケジュールを管理することができます。これによって採用に関わるメンバーの負担を最小限にできます。
HubSpot CRM(無料)をはじめ、当社HubSpotが提供するサービスも、ATSではないものの採用活動に活用いただけます。
無料の範囲内でも十分な機能を備えており、例えば以下のシーンで利用できます。
- CRMで応募者情報・選考フローを一元管理
- LP作成機能で求人ページ、応募フォームの作成
- ミーティングリンク機能で日程調整の工数削減
なおATSについて、別ページの「 採用管理システム(ATS)とは?選び方のコツ&おすすめツール9選 」でより詳しくご紹介しています。
採用効率アップ&応募者体験の向上を目指して、積極的に採用ツールを導入しよう
採用業務のフローを明確化し、それぞれの業務が内在している非効率を洗い出すことで、採用業務の効率が向上します。特にネットの活用とオンライン採用の推進は、現代の重要テーマであり、採用効率に寄与する度合いは大きいので積極的に取り組む価値があります。
採用業務の効率化は、企業にとってだけではなく応募者にとっても重要であり、双方にメリットが生まれます。採用担当者が余裕を持って応募者一人ひとりに向き合えるため、コミュニケーション全般がスムーズになり、辞退率を下げることにも繋がります。
特に 優れた採用ツールの導入は、採用業務を効率化させると共に、中長期的に応募者と採用側のコミュニケーションをしっかりとしたものにさせる効果があるので積極的に導入していきましょう。