今、多くの企業がリモートワークを導入し始めています。リモートワークのメリットを享受する一方、コミュニケーションの不足や勤怠管理など、不安を感じる管理者、経営者は少なくないはずです。
本記事では、リモートワークの基礎知識やメリット・デメリット、リモートワーク環境に欠かせないツールや、導入する上での注意点をご紹介します。
「自社にリモートワークを導入したいと考えている人」「リモートワークを希望する人」「新しくリモートワーカーとなった人」はぜひ参考にしてください。
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リモートワークとは?
リモートワークとは遠隔地(remote)と働く(work)を組み合わせた言葉で、会社から離れて働くワークスタイルを指します。
会社以外の場所で働くことを指す「テレワーク」との違いを押さえながら、リモートワークの定義を整理しておきましょう。
リモートワークとテレワークの違い
リモートワークとよく似た言葉に「テレワーク」という言葉があります。リモートワークもテレワークも、どちらもオフィスに縛られない柔軟な働き方を指しており、意味の上では大きな違いはありません。
その上で、テレワークとリモートワークの違いは、以下の2点にまとめられます。
リモートワークがしやすい業務
医療従事者や美容師、スーパーマーケットの販売員など対人での業務を主とする業種でリモートワークの環境を整えることは難しいと言えます。
一方、業務の仕組みを工夫し必要な環境を整えれば、多くの業種においてリモートワークを取り入れることが可能です。
例えば、以下の条件に当てはまる業種だと導入しやすいでしょう。
- 特定の場所でなくても業務ができる
オフィスワーク中心など、場所に縛られない業種は、リモートワークを取り入れやすいと言えます。
PC作業が中心であれば自宅でも同じ作業ができる他、スマートフォンを使って業務を進めることも可能です。
- 対面でのコミュニケーションが必須ではない
対面でのコミュニケーションを電話やメール、ビデオ会議などに置き換えることができる業種や業務も、リモートワークを導入しやすいでしょう。
医療など基本的には対面が求められる業種でも、例えば地方に住んでいる方の問診をリモートで行うなどの取り組みもあります。
「実は、必ずしも対面する必要がないのでは」と自分の業務の前提を疑ってみましょう。
リモートワーク導入のメリット
リモートワークには以下の6点のメリットがあります。
- コスト削減
- 通勤時間削減
- 従業員のワークライフバランス改善
- 採用の幅が広がる
- 非常時にも業務を完全停止せずに済む可能性が高い
- 従業員のワークライフバランスの改善
この6点について、現状の問題点を踏まえつつ、リモートワークを導入することで得られるものは何かを見ていきましょう。
1. コスト削減
リモートワークを導入するメリットとして真っ先に挙げられるのが諸経費の削減でしょう。削減可能なコストには次のようなものがあります。
- オフィススペースのコスト
- エネルギーコスト
- 通勤コスト
- ペーパーコスト
それぞれ詳しく見ていきましょう。
・オフィススペースのコスト
企業の経費のなかでも大きな割合を占めるのがオフィスコストです。リモートワークの導入で、出社しない従業員の分のオフィススペースが削減可能です。
従業員の10%をリモートワークに切り替えたある企業は、オフィススペースを削減により、年間1,500万円程度のコスト削減を達成しました。
また別の企業は、都内にある営業所を完全なバーチャルオフィス化して、従業員全員をリモートワークに切り替えました。その結果、年間固定費が30%削減できました。
・エネルギーコスト
オフィスを維持管理するための水光熱費用として、最も多くを占めるのが電気料金です。リモートワークでは、電気料金も削減できます。
2011年5月、東日本大震災後に電力供給量の不足が予測された時期に、総務省は在宅勤務に切り替えた場合に、どれだけ電力消費量が削減されるかの試算を行いました。
試算の結果、従業員が在宅勤務に切り替えると、1人1日当たり14%の電力量が削減できるという推測値が算出されました。
・通勤コスト
2015年厚生労働省から出された「就労条件総合調査」によると、企業は平均して従業員1人当たり、毎月11,462円の通勤手当を負担しています。
リモートワークに切り替えると、この通勤コストがかかりません。
・ペーパーコスト
業務形態にもよりますが、オフィスのペーパーレス化を進めると、業務効率が上がり、コスト削減にもつながります。
4,300人の行員を擁する北陸銀行では、徹底したペーパーレス化を推し進めた結果、1億円のコスト削減を達成しました。
2. 通勤時間削減
長い通勤時間は、通勤コストだけでなく、生産性や健康面での問題があります。
2016年に出された総務省の「社会生活基本調査」によると、平均通勤時間が52分となっています。しかし、首都圏に限ると半数以上が1時間を超えているという統計もあります。
在宅勤務であれば通勤時間がゼロになるため、週にオフィスへの通勤回数を減らすだけでも、平均通勤時間が大きく削減できます。
3. 従業員のワークライフバランス改善
子育てや介護に従事する人や、障害や病気のある人にとって、柔軟な働き方ができる在宅勤務には大きなメリットがあります。
企業側としても、在宅勤務を導入することで、経験のある従業員の離職防止にも繋げられる可能性があります。
4. 採用の幅が広がる
仕組みとしてリモートワークを導入できれば、採用の幅が広がるというメリットもあります。
例えば、家庭の事情などにより働き方が不規則になってしまう人材でも、リモートワークであれば臨機応変に働いてもらえる環境をつくりやすいでしょう。また、通勤の必要がないため、採用対象者の居住地に縛られることなく全国、もしくは他国からも採用候補者を探せます。
5. 非常時にも業務を完全停止せずに済む可能性が高い
災害時に業務が停止してしまうリスクを考慮すると、リモートワークを取り入れることでリスクマネジメントができるというメリットがあります。
リモートワークにより災害リスクが分散されていれば、交通網麻痺による影響も受けにくく、業務をある程度継続することが可能になります。業務を完全停止せずにある程度継続できれば、非常時からの復旧も素早く行える可能性が高くなります。
6. 経験者の9割が継続を望んでいる
日経HRが在宅勤務経験者700人を対象に行ったアンケート調査によると、今後も在宅勤務を希望する人の割合が88%にのぼることがわかりました。
在宅勤務の経験者、9割が継続希望 通勤ストレス軽く|出世ナビ|NIKKEI STYLE
その理由としては、通勤時間の負担を挙げる人が多く、「在宅勤務でも問題なく仕事ができることがわかった」という声も出ています。
実際に在宅勤務を経験したことで、「仕事=オフィスに出社して行うもの」ではない、という意識が生まれたようです。
リモートワークのデメリット
メリットの多いリモートワークですが、一方でデメリットもあります。デメリットを理解し、抑える工夫を行いメリットだけを取り入れる必要があります。
リモートワークの主なデメリットは以下の3点にあります。
- 勤怠管理・プロジェクト管理コストの増加
- セキュリティリスク
- ツール導入・教育コスト
この3点について詳しく見ていきましょう。
1. 勤怠管理・プロジェクト管理コストの増加
勤怠管理やプロジェクト管理の体制が構築されていなければ、リモートワークを十分に活用できません。
2020年、ザイマックス総研は緊急事態宣言中に在宅勤務を導入した企業を対象にアンケートを行いました。その中で「在宅勤務に関して困ったことや課題」を尋ねたところ、41.7%の企業が「マネジメント(業務、勤怠、評価)が難しい」と答えています。
リモートワーク導入をためらう経営陣のなかにも、従業員の働いている姿が見えないために、勤怠管理の難しさを感じている方が多数います。
ただ、勤怠管理ツールやプロジェクト管理ツールを利用することで、従業員の成果や働き方は可視化できます。
2. セキュリティリスク
リモートワークで業務を遂行するためには、データを社内から持ち出さなくてはなりません。その際、セキュリティリスクにさらされる場面を把握しておく必要があります。
- 公衆Wi-Fiを利用する場合
- ファイルを端末に保存する場合
- ファイル共有ソフトを利用する場合
上記3点以外にも、モバイル端末やPCを忘れたり、席を離れた際に盗み見られたりなどのリスクもあります。
ツール導入・教育コスト
リモートワークを適切に行うためには、会議ツールやチャットツールなどのコミュニケーションツールが必須です。
また、導入するだけでなく、ツールを適切に使いこなすために、従業員だけでなく、マネジメント部門も使い方を理解しておく必要があります。
さらに、新人や経験の浅い従業員への教育の機会が減少することになります。リモートワークの場合、通常の研修課程よりも行き届いたプログラムが必要となるでしょう。
リモートワーク導入すると通勤費やオフィスコストが削減できる一方、リモートワーク導入のために必要になるコストもあります。
リモートワークで成果を得るためには、適切なコスト管理を行うこととあわせて、回収期間のめどを立てておくことが必要です。
リモートワークに必要なマインドセットは?
リモートワークを実施するにあたっては、リモートワークに取り組む個々人に以下のようなスキルが求められます。
テキストで要件を簡潔に伝えるようにする
リモートワーク中は、メールやチャットなどテキストでのコミュニケーションが増加します。
相手の状況が見えないなかで相談や仕事の依頼をしなければいけないことも多いため、相手の時間を奪わないよう簡潔に、わかりやすくテキストにまとめるよう配慮しましょう。
自己管理を徹底する
オフィスと違って、誰の目もない自宅やカフェでつい気が抜けてしまう、逆に仕事に没頭しすぎて休憩を取らず疲弊してしまう、というのは誰にでもあることです。
仕事時間とプライベートを区別する、作業専用スペースを設けるなど、自分自身で切り替えできる環境を構築しましょう。
セキュリティ意識を強く持つ
リモートワークでは会社を離れ、個々人でPCや業務用端末を管理することになります。
一般的なセキュリティの知識をつけることはもちろん、社内の機密情報に社外からアクセスするリスクを知り、セキュリティ意識を持つことが大切です。
例えば、リモートワークではカフェで仕事をするという人も多いですが、機密性の高い情報を扱うときは避けるほうがいいでしょう。
リモートワーク導入に役立つ便利なツールまとめ
リモートワークの利点を十分に活かすためには、リモートワーク体制の構築が必要です。リモートワーク体制構築に必要なツールを、以下の6点から紹介します。
- プロジェクト管理
- ファイル共有
- コミュニケーション
- 勤怠管理
- 人事評価
- 顧客管理
1. プロジェクト管理ツール
個人が担当しているタスクをチーム全体で管理できるのが、プロジェクト管理ツールです。
・Asana
プロジェクト管理ツールは数多くありますが、Asanaは直感的に操作でき、初めての人でも周りの人の使い方を見ながら書き込んだり、タスクを書き込んだり管理したりできます。Slackなど他ツールとの連携もできます。
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トヨタのカンバン方式を参考にしており、ボードに付箋を貼るような感覚で、タスク管理ができるツールです。Google DriveやSlackとも連携可能です。
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2. ファイル共有ツール
リアルタイムでファイルの共有ができ、ステータスごとに閲覧や編集など機能を分けることが可能になります。
・Google Workspace
Google ドライブやG-mail、デジタルホワイトボードのJamboardなど、Google関連のツールがすべてまとまっています。管理者は、メンバーに対してGoogleドライブやフォルダの共有方法を設定できます。
《料金プラン》
3. ビジネスチャットツール
コミュニケーションをしながら、他ツールと連携させながらプロジェクト管理ができたり、ファイル共有ができたりするツールです。
・Slack
Slackはビジネス用チャットツールです。「チャンネル」という機能を使えば、プロジェクトごとにチャットやファイル共有などが行えます。
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4. 勤怠管理ツール
離れたところにいる従業員の勤怠管理が可能になるツールです。
・Time Doctor
メンバーが何時間働いたかなどが管理できるだけでなく、メンバー1人ひとりの定期的なスクリーンショットを取得したり、使用しているアプリなどを追跡できるツールです。また、時間給ベースの給与計算も可能になっています。
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5. 人事評価ツール
リモートワークでは、人事評価の面でも従来の評価基準が使えなかったり、担当者によってばらつきが出たりする場合があります。
そのような際に、あらかじめリモートワーク用の基準を設定し、ツールによる管理を採用して、ばらつきや不公平感を減らしましょう。
・Profile Manager
人事情報をデータベース化するツールです。従業員の情報を視覚化し、さまざまな観点から従業員を評価できる仕様になっています。
《料金プラン》
要問い合わせ
6. 顧客管理ツール
顧客や見込み客などの情報を記録し、ステータスに合わせたアプローチを行うために使用されるのが顧客管理ツールです。
顧客管理ツールの有用性は顧客の情報を管理し、適切なアプローチによりビジネスチャンスを成果へつなげていくところにありますが、1つのツールで一元管理することにより全ての担当者がどこからでも情報にアクセスできるという利点もあります。
・HubSpot
HubSpotは、当社が提供している統合型のCRM Platform(顧客管理ツール)です。
マーケティング、セールス、カスタマーサポートなど複数の部門をまたいで顧客情報を一元管理できるため、部門間のスムーズな連携を実現します。
顧客に関する情報がすべてCRMに集約されるため、マーケティング担当者は、営業担当者に聞かずとも案件ごとの進捗を確認できる、営業担当者はカスタマーサポートに聞かずとも誰がどのような問い合わせをしてきたのかが確認できる状態にあります。
そのため、社員がバラバラの場所にいても影響がなく、リモートワーク環境でも問題なく業務を推進できます。
実際、私たちHubSpot自身も、HubSpot CRMを利用し、社員ほぼ全員がフルリモート環境で仕事していますが、特に支障は出ていません。
さらに、さまざまなツールと連携してよりリモートワークを効率的に進められます。
例えば「Slack」と連携可能で、Webサイトの料金ページに見込み客が訪れるとすぐにSlackへ通知が来るよう設定できます。Slackがコミュニケーションの主体になっている企業であれば重宝するでしょう。(もちろん私達も活用しています)
《料金プラン》
HubSpotのCRM機能は無料で使用できます。Slackとの連携も無料プランで利用可能です。詳しくは以下のページをご覧ください。
無料ツール | HubSpot
リモートワーク導入のポイント
リモートワークの導入には準備が必要です。
2020年4月、新型コロナウイルス禍での緊急事態宣言を受けて、急きょ在宅勤務を導入した企業のなかには、「在宅勤務では支障がある」と感じた点が少なくありませんでした。
緊急事態宣言が解除されたばかりの2020年6月初旬に、ザイマックス総研は全国の企業を対象に、「コロナ危機下での働き方」の調査を行いました。多くの企業が在宅勤務を始めとした対策を取り、実際にその結果を評価しています。
しかし、約半数の企業には、なんらかの「支障がある」と感じています。
理由として、「在宅勤務ではできない業務がある」との回答が7割を超え、次いで「ペーパーレス対応が不十分(45%)」、「決裁等の電子化対応が不十分(ハンコ文化)(44.8%)」が続きます。
販売や現場業務など、在宅勤務では置き換えられない業務は今後も残っていくでしょう。
しかし、ペーパーレス化やコミュニケーションの問題、勤怠管理など、リモートワークをうまく進めていくための事前準備を導入するだけで、改善する部分がかなりあることがわかります。
それをふまえ、導入に向けた準備として最低限やっておくべきなのは、以下の4つに集約できます。
- ペーパーレス化を進める
- リモートワーク用の研修プログラムの実施する
- 定期的なリモート会議を活用する
- チャットで相談できる場を仕組み化する
1. ペーパーレス化を進める
社内のペーパーレス化はリモートワークの前提です。
文書を電子化してサーバー上にアップロードしておくことで、権限を持った人がどこからでもリモートアクセスが可能になります。そのためペーパーレスにするだけで、業務効率の改善が期待できます。
しかし、ペーパーレス化が進んでいない企業の場合は、作業量や労力が膨大なものになる可能性もあります。
電子文書化システムを導入し、利用頻度の高いところから、計画的に行う必要があります。
2. リモートワーク初心者のための研修プログラムを実施する
リモートワークの経験がない従業員は、リモートワークを始めた段階で、孤独を感じやすいという傾向があります。
仕事の質、リモートワークなかの生活の質を上げるためにも、適切なテレワーク用の研修プログラムが必要です。
同時に、マネジメント担当者も、リモートワークでの管理についてのマネジメントを学ぶ必要があります。企業によっては、ITツールなどに苦手感を感じやすい管理者向けの研修を用意する必要があるかもしれません。
3. 定期的なリモート会議を活用する
従業員がバラバラで働くリモートワークでは、会議の役割が通常業務よりもいっそう重要なものになります。そのため能率的な会議運営ノウハウを全員が理解しておく必要があります。
リモート会議を効率的に運営するためには、事前に以下の準備をします。
- 会議のルールを決めておき、全員がそのルールに従う(例:会議は20分以内に終了する 等)
- 主催者は毎回会議の目的を設定し、会議後は達成されたかどうかの評価を行う
- 会議進行のためにファシリテーターを用意する
- 会議の議題を全員で共有する
- 担当者はデータや資料を事前に参加メンバーに渡しておく
4. チャットで相談できる場を仕組み化する
わからないことや仕事上の不安、進捗状況の相談など、チャットで気軽に相談できる「コーヒーチャット」の時間を設け、チームメンバーと意識的にコミュニケーションを図るようにします。
リモートワークの注意点
リモートワークのメリットの項目でも説明したように、リモートワークは適切に導入すると、大きな成果が上げられます。
成果を出すためには経験の蓄積が必要
リクルートマネジメントソリューションズは2020年5月、「テレワーク緊急実態調査」を行い、テレワーク環境下でのワークライフバランスの調査を行いました。
その結果、「ワークの質」「ライフの質」が高く、「業務ストレス」が減少した、最も望ましい結果が得られたのは、テレワーク歴が長く、実施頻度も高い企業でした。
逆に、テレワーク歴が浅く、実施頻度も低い企業では、「ワークの質」「ライフの質」が共に下がり、「業務ストレス」が増加するという結果になってしまいました。
ここからわかるのは、リモートワークで成果を出すためには、ある程度の期間と回数を重ねることが重要だという点です。
短期的な成果を望むのではなく、長期的な成果につなげるために、計測と改善を繰り返す必要があります。
悪いサイクルに陥らないために
リモートワークで悪いサイクルに陥る場合があります。
例えば、管理職がリモートワーカーの姿が見えないことに不安を抱き、頻繁に連絡を入れるなどして社員の管理を強めようとした場合を仮定してください。その結果、不要な連絡が来ることや、疑われていることを察知した社員のモチベーションが下がり、パフォーマンスが下がるかもしれません。
このような事態に陥らないためには、業務を見える化するための仕組みの整備が鍵となります。
定例オンラインミーティングの実施し業務状況を定期的に伝える、業務進捗を可視化するツールの導入など、互いの状況がわかる環境を整えれば、部下に対する不信感をもつ必要はなくなるでしょう。
成果で評価する仕組みを
そもそも、管理者は「サボっているのではないか」を気にするよりも、チームの達成に向けて皆が邁進できているのかを気にするべきです。一方、チームメンバーは、真面目に働いてるアピールをするのではなく、自身の目標達成に向けて稼働することに集中するべきです。
現代の日本では、従業員がどれだけ「頑張っているか」というプロセスで評価するシステムが中心になっています。しかし、「頑張っている姿」が視認できないリモートワークでは、評価が難しくなってしまいます。
会社の評価システムを全面的に変えるには時間がかかりますが、リモートワークを通じて部分的に導入していくことは可能です。
例えばタスク管理を行い、仕事の見える化を図るようにすると、個人の成果や貢献度を明確化できます。
孤独を感じないように適度なコミュニケーションを取ることが大事
リモートワークでは同僚と顔を合わせる機会が著しく減り、人によってはひとり暮らしで1日中誰とも会話を交わさないということもあります。このことから、リモートワークでは孤独感を感じやすくなってしまうことに注意が必要です。
リモートワークでもできるかぎり雑談の機会を設けるようにしましょう。
例えば、チャットツールにて雑談専用の部屋を作り、息抜きに他愛のない会話ができるようにするなどの方法があります。
HubSpotでも、チームメンバーとの1on1を定期開催し、特に用件がなくても話せる機会を設けています。
《結論》働き方の選択肢を増やしていこう
リモートワークを取り入れた企業の多くは満員電車での通勤や、無駄な会議、ハンコ文化など、長年放置されていた数々の無駄に気づいたはずです。
ただ、試験導入はできても、継続的にリモートワークを導入するのは、環境整備や社内のルールの変更が必要となるためそう簡単ではないでしょう。
一部の社員だけでリモートワークを続けたり、週に1~2日はリモートワークを許可するなど、部分的に導入し、徐々にリモートワークを定着させようとしている企業も増加しつつあります。
コミュニケーションの問題や人事評価の問題、勤怠管理の問題は、リモートワークを本格的に導入していくためには取り組まなければならない課題です。
オンラインでもお互いに伝えたいことをしっかり伝えられる環境や努力、従業員が孤独感を感じないようなコミュニケーションの機会など、オフラインと同等とまでは言わずとも密なコミュニケーションが取れる環境を作ることも必要になっていきます。
さまざまなツールの助けを借りながら、多様で柔軟な働き方と、より高い生産性を目指して、自社に適した形でのリモートワークのあり方を検討していきましょう。
リモートワークについて導入事例を知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
テレワークの導入事例|課題別・業種別の成功例16選