入札におけるRFPの意義と選定方式をわかりやすく解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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システムの調達を入札方式で進めるにあたって、入札企業各社に提案依頼書(RFP)を公開するケースが多く見られます。RFPを作成する際には、入札におけるRFPの意義や選定方式をきちんと理解しておかなくてはなりません。

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    今回は、入札におけるRFPの位置づけとあわせて、調達方式ごとの選定方法についてわかりやすく解説します。

    入札におけるRFPの意義

    はじめに、そもそもRFPとはどのような文書であるのかを解説します。入札におけるRFPの位置づけとともに押さえておくことが大切です。
     

    RFP(Request for Proposal:提案依頼書)とは

    RFPとは、入札を検討しているシステム開発会社に対して、発注企業が求めている要件をまとめた文書のことです。とくに大規模システムを調達するにあたって、発注側の企業・機関の要望をRFPにまとめた上で公開し、入札する企業に提案書の作成を求めるケースが少なくありません。

    RFPを公開する主な目的として、発注企業が求める要件を事前に伝え、要望に沿った提案を受けやすくすることが挙げられます。発注側が想定しているプロジェクトの目的や目標、入札プロセスや契約条件をどの開発会社にも等しく公開し、より公正な競争を促すことがRFPの果たすべき役割です。
     

    入札におけるRFPの位置づけ

    公募案件に入札する事業者は、RFPを基盤としてシステムの提案書を作成します。RFPは提案の土台となる重要な文書であり、RFPに記載のない事項について提案を受けられないとすれば発注側の責任といわざるを得ません。したがって、RFPには発注側の要望事項を漏れなく記載しておく必要があります。

    また、調達方式によってRFPの位置づけは異なります。場合によっては事前にRFI(情報提供依頼書)を公開したり、入札への参加申請書などの提出を求めたりする場合もあるからです。発注側は、調達方式とRFP選定方式の関係について正確に理解しておく必要があります。

     

    調達方式とRFP選定方式の関係

    公募案件における調達方式には、主に下記の3パターンがあります。

    • 一般競争入札
    • 指名競争入札
    • 随意契約

    それぞれの調達方式とRFP選定方式の関係は下記のとおりです。
     

    一般競争入札の場合

    一般競争入札は、大規模システムの調達において採用されるケースが多い入札方式です。発注先の選定は、総合評価落札方式または最低価格落札方式のいずれかによって行われます。

    総合評価落札方式の場合、加算方式と除算方式の2パターンが想定されます。低入札価格に拍車がかかるのを防ぐには、加算方式を採用するのが得策でしょう。よって、基本的には価格評価点と技術評価点の合計によって事業者を選定し、落札事業者を決定することになります。

    ただし、一般競争入札では対象となる入札者の範囲が広いことから、事前に一次選考を実施することもめずらしくありません。RFPに先立ってRFI(情報提供依頼書)を公開し、各社の基本情報を確認した上で、自社が求めるシステムとの親和性が高いと思われる開発会社を絞り込んでおくのも1つの方法です。
     

    指名競争入札の場合

    指名競争入札とは、あらかじめ指名した事業者のみを対象に競争入札を実施する方式のことです。一定以上の技術力や実績を備えている事業者が明確になっている場合は、指名競争入札方式を採用することがあります。

    公正な競争を促すには一般競争入札方式のほうが適していますが、小規模案件や対象となる開発会社が限られているようなケースでは、あえて指名競争入札とするほうが合理的なケースも少なくないのが実情です。指名競争入札の場合、総合評価落札方式または最低価格落札方式によって落札企業が決定されます。

    指名入札においては、RFPは一般公開するのではなく、あらかじめ設定した入札基準を満たす事業者のみに送付されます。RFPの送付に先立ち、指名競争入札への参加申請書などの関係書類一式の提出を求めることもめずらしくありません。
     

    随意契約の場合

    随意契約とは、主に公共機関がシステムを発注する際、受注企業を任意に選ぶ契約形態のことです。あくまでも発注側の判断にもとづいて受注企業を選定できるため、契約締結までの手続きを簡素化できるというメリットがあります。一方で、発注側の恣意的な判断によって受注企業が選定されることのないよう、選定プロセスの透明性や信頼性を確保することが重要です。

    具体的には、指名型の随意契約であれば見積もり合わせを実施する、公募型であれば調達内容や数量をあらかじめWebサイトなどを通じて提示した上で、見積概算書の提出を求めるオープンカウンター方式を取り入れる、といった方法が想定されます。

    あるいは、企画競争を経て発注先を決定する際には、プロポーザル方式またはコンペ方式による選定が適しているでしょう。企画競争を取り入れるのであれば、競争の公正性を保つためにも、RFPの発出と提案書の受領という一連のプロセスを経ておくことが重要です。
     

    入札におけるRFPの位置づけを十分に理解しておこう

    入札におけるRFPの位置づけを十分に理解しておこう

    入札におけるRFPの位置づけを発注側が理解しておくことは、公正な競争を促す上で重要なポイントです。一般競争入札・指名競争入札・随意契約の方式ごとに、RFPを発出する意義や発注先の適切な選定方法を押さえておきましょう。今回紹介した調達方式とRFP選定方式の関係を参考に、開発するシステムの規模や目的に合った調達方式を選択してください。

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