Forbesの記事によると、消費者の80~90%は、商品を買う前にネットで評判をチェックするそうです。
これから事業を立ち上げる人も、既に会社を持っている人も、インターネット上で自社のブランドをきちんと確立することは極めて重要です。
ROIやブランド認知度を把握する手段を求めているスモールビジネス経営者には、デジタルマーケティングが欠かせません。自社の製品やサービスをプロモーションするうえで必須というのみならず、ビジネス全体の成功を大いに後押しするという面でも、ネット上のアセットを最適化することは重要です。
Trellisによると、ネット検索をする人の90%以上は、Googleの検索結果で最初のページしか見ないそうです。検索結果で自社のサイトを競合他社より上に表示させるためには、検索エンジン最適化(SEO)やキーワード調査にきちんと取り組むことが重要です。また、地域密着型の企業であれば、潜在顧客が求める最新情報を随時発信していくことも同じく重要です。
オンラインマーケティングの経験がほとんどないスモールビジネス経営者の方からすると、ここまでの話でも、知らない単語が既にたくさん出てきたかもしれませんが、心配ご無用です。それぞれの意味や重要性について、これから順を追って説明していきます。
この記事を参考にして、インバウンドマーケティングの考え方に基づくマーケティング戦略を構築し、改良を加えていけば、新規顧客が集まるようになり、ビジネスを拡大できます。新規顧客を獲得するには、オーガニックトラフィック(自らネット検索で見つけてやって来るユーザー)を生かすのが、最もコストパフォーマンスに優れた方法です。
この記事では、以下の疑問をひもとき、スモールビジネスのマーケティングに役立つヒントを提示していきます。
- ウェブサイトはどうやって作るのか。開発者がいなくても大丈夫か。
- 当社のウェブサイトはなぜGoogleの検索結果に出てこないのか。
- なぜ競合他社の方がGoogleの検索ランクが上なのか。
- ブログとは何か。
- ブログはそんなに大切なのか。
- ソーシャルメディアアカウントがなぜ必要なのか。
- ウェブサイトのトラフィックを増やすにはどうすればよいか。
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スモールビジネスのマーケティングの基本要素
まだ会社を立ち上げていない方は、こちらのガイド(英語)をぜひ参考にしてください。法律上や税務上の手続きも含めて、起業に必要な情報を網羅し、詳しく説明しています。
既に会社を立ち上げている方が、インバウンドマーケティングに着手し、オーガニック検索でやって来た人を新規顧客として獲得していくうえでは、以下の各要素が何より重要です。
- ウェブサイト
- ブログ
- ブランド
- Eメールツール
- コンバージョンツール
- ソーシャルメディアのアカウント
ウェブサイト
スモールビジネスが制作するアセットの中でも特に重要なのが、素人っぽさを感じさせないウェブサイトです。どのような会社で、何を手がけていて、所在地はどこで、潜在顧客がどのような手段で接触できるかを、サイトを通じてきちんと伝えましょう。
ウェブサイトを作るのがまったく初めてで、ウェブの技術的要素についてあまり知らない場合でも、各種の無料ツールやサービスを使って、第一歩を踏み出すことができます。また、ウェブサイトが完成したら、GoogleアナリティクスやHubSpot Marketing Free(どちらも無料)を必ず導入しましょう。サイトを閲覧しているユーザーの動向を簡単に追跡できます。
ウェブサイトを自作するためのツール
ITに詳しい方なら、ウェブサイトを自分で作りたいと思うかもしれません。その場合は、コンテンツ マネジメント システム(CMS)を使ってみてください。
ほとんどのCMSでは、サイトの構築に使える無料や有料のテンプレートが用意されています。テンプレートを手に入れて、自社のブランドに合わせてカスタマイズしてから使いましょう(ブランディングについては後で説明します)。料金が非常に安いCMSや、無料のCMSもいくつかあり、初心者から上級者まで、さまざまなレベルに対応しています。
また、作成したコンテンツを検索向けに最適化するためのプラグインも、大半のCMSにあります(「SEO プラグイン」で検索してみてください)。Googleの検索ランクを上げるのに役立つはずです。検索ランクについては、後で詳しく説明します。
フリーランサーやエージェンシー
ITにあまり詳しくはないが、自社サイトを開設したいという方は、ウェブデザインを専門とするフリーランサーやマーケティングエージェンシーに委託する手もあります。また、既にウェブサイトをお持ちの方が、検索エンジン最適化(SEO)でGoogleの検索ランクを上げられるようにサイトを刷新したいときにも、外部のフリーランサーやエージェンシーが役立ちます。
フリーランサーやマーケティングコンサルタントを探せるサービスには、UpworkやFreelancerなどあります。また、マーケティングエージェンシーを探すには、HubSpotのパートナーディレクトリをお試しください。HubSpotのパートナーはSEOのエキスパート揃いですから、検索ランクを上げて露出を増やすための助けとなるはずです。
さて、ここまでの話で、SEOや検索ランクという言葉が何度か出てきました。次にその意味を説明していきましょう。
Googleの検索ランクとSEO
既に起業している方にお聞きします。自分の社名や店鋪名、製品、サービスなどをネット検索したことはありますか。そのとき、「なぜうちのサイトはGoogleに出ていないのか」「Googleの検索結果に載るにはどうすればいいのか」「どうすればGoogleの検索ランクがもっと上がるのか」と思いませんでしたか。
Googleなどの検索エンジンで、どのようなサイトやページが上位に表示されるかは、さまざまな要素で決まります。Backlinkoの情報によると、Googleが重視している要素には、関連するキーワードの有無(とサイト内での場所)、コンテンツの長さ、質が高いコンテンツの有無、ページの読み込みの速さ、コンテンツを投稿する頻度などがあります。
要するにGoogleは、検索ユーザーに提示するのに最もふさわしいコンテンツを見つけようとしているのです。たとえば、東京の日本橋にあるヘアサロンを探しているときに、既に閉店したヘアサロンのウェブページが見つかって、しかも大阪の日本橋のヘアサロンだったとしたら、その検索結果は無意味です。一方、近隣のヘアサロンで、口コミサイトの評価が高く、ウェブサイトも使いやすく、連絡先情報もすぐにわかるような検索結果なら有益です。Googleは、最も的を射た質の高いコンテンツを常に提示しようとしてくれています。
Googleの検索ランクを上げるには、検索エンジン最適化(SEO)のパワーを生かしましょう。この強力なマーケティング戦術についてトータルで学びたい方は、『The Introductory Guide to SEO in 2017』をぜひご覧ください。
SEOとは何でしょうか。まず言っておきたいのは、実はさほど複雑な話ではないということです。HubSpotの別の記事では次のように説明しています。「SEOとは、オーガニック検索の結果でウェブサイトの検索ランクを上げるための技法です。Google、Bing、Yahooなどの検索エンジンで、あなたの会社のようなブランド、製品、サービスを誰かが探しているときに、あなたのウェブサイトが目に留まりやすくなります」。別の言葉で言うと、検索エンジンで真っ先に表示されるのに値する存在となるように、ウェブサイトやブログ記事を構成するための基本的な考え方がSEOです。
一般にSEO戦略は、いくつかの要素から成ります。たとえば、バイヤーペルソナ調査、キーワード調査、オンページSEO調査です。この3つの分野を調査すると、ターゲットの市場でどのようなネット検索が行われているかを把握しやすくなり、自社のビジネスを適切な人々に見つけてもらいやすくなります。
1つ目に挙げたバイヤーペルソナ調査では、ターゲットの顧客への理解を深めます。ターゲットの顧客がどのような対象を検索しそうかを的確に把握し、それに関する言葉をウェブサイトに取り入れられるようにします。
2つ目に挙げたキーワード調査は、バイヤーペルソナ調査の延長線上にあります。作成したペルソナを使って、自社のブランドに最適なキーワードを探ったうえで、KWFinderのようなツールを使って、ターゲットオーディエンスに合った関連キーワードを見つけます。
最後に挙げたオンページSEO調査と最適化では、見つけたキーワードをウェブサイト内の適切な場所に配置します。たとえば、メタディスクリプション、ページのタイトル、H1タグなどです。
ブログ
上のSEOのセクションで説明した内容を踏まえると、コンテンツやブログは検索ランクを大きく左右するということがわかります。出来がよくて役に立つコンテンツの中に、お目当てのキーワードが頻繁に登場するほど、検索結果に表示されやすくなります。自社のビジネスに関連する話題、製品、サービスについて、信頼できる情報源という地位を確立する優れた方法の1つがブログです。HubSpotの場合、トラフィックの多くは、ブログやコンテンツ マーケティング キャンペーンからやって来ます。
ブログは、ウェブサイトのツールや機能を使って、低料金または無料で始めることができます。その際、テンプレートも活用しましょう。ブログ記事の投稿がたとえ週1回でも、ウェブサイトの閲覧増につながるはずですし、あなたの会社が信頼に足るということを、潜在顧客に知ってもらうことができます。
ブログ記事を自分で書くのであれば、マーケターに役立つ文章執筆の入門ガイド(英語)がありますので、ぜひご覧ください。外部に執筆を委託したいのであれば、Upworkなどのサービスを使ってフリーランスのブロガーを探すか、前述のようにマーケティングエージェンシーを利用するとよいでしょう。記事を作るうえで肝心なのは、SEOを念頭に置くことです。HubSpotの日本語ブログ記事、SEO対策をブログ記事に対して行う方法とは?や、YoastなどのWordPress用プラグインを利用してください。
ブログ記事を作成する段になったら、その中にCTA(Call-To-Action)を配置して、訪問者がブログを購読したりEメールで通知を受け取ったりできるようにするとよいでしょう。リードを集めたり、まだ購入の段階にない潜在顧客に情報収集の手段を提供したりできる優れた方法です。
ブランド
ビジネスのプロモーションにあたって、一貫したブランドを確立すると、プロフェッショナルな印象が高まり、新規顧客を獲得しやすくなります。Facebookの調査によると、77%の人はブランドに対する忠実性があります。
Amazonの創業者であるJeff Bezos氏は、企業のブランディングについて、「あなたがいない場所で皆があなたについて言うこと」がブランドだと述べています。言い換えると、あなたの会社の名前を聞いたときに人々が抱く感覚や感情がブランドです。名前、ロゴ、美学、アセット一式のデザインなど、すべての組み合わせがブランドとなります。
まずは、想像力を呼び覚ますために、Adobe KulerやCoolorsを使って、自社のカラースキームを考えたり、カラーパレットを眺めたりしてみましょう。既製のパレットやカスタマイズしたパレットを見ることができ、独自の配色も作れます。
ロゴを制作するには、UpworkやFreelancerのようなサービスでフリーランサーを探すか、マーケティングエージェンシーに委託することをお勧めします。独自のロゴを無料や低料金でデザインできるオンラインサービスもあるのですが、外部のフリーランサーやエージェンシーに頼む方が、高品質なロゴが完成します。それに、今後事業を拡大していく中で、ブランドアセットに修正や刷新を加えるときにも、同じデザイナーに委託できます。
Eメールツール
Eメールマーケティングはマーケターに欠かせない武器の1つです。MarketingSherpaが実施した調査によると、企業からの接触の方法としてEメールを好む人は72%だそうです。Eメールマーケティングは、簡単に利用できて自由度が高いうえ、規模も自在です。新規顧客と既存顧客のどちらにも対応できます。
Eメールマーケティングのツールには、低料金で利用できるものが数多くあり、無料のものまであります。ツールを導入したら、新たに投稿したとっておきのブログ記事を告知するニュースレターや、そのほかのプロモーションのEメールを、データベースの登録者に向けて試しに送ってみましょう。また、スモールビジネスの経営者の方は、デジタルマーケティングに専念できる時間はあまりないでしょうから、マーケティングオートメーションを使って、さらなる省力化を図ることをお勧めします。
Eメールマーケティング戦略の第一歩を踏み出すうえでは、HubSpotが提供するこちらのガイドのテンプレート(英語)をぜひ参考にしてください。
コンバージョンツール
ここまで、ビジネスを拡大するために必要なアセットについていろいろ話してきましたが、それが売上増にどう結びつくかの説明がまだでした。ウェブサイトからリードや顧客を獲得するシンプルな方法の1つが、コンバージョンツールの導入です。
無料で手軽に導入できるツールとしては、HubSpot Marketing Freeがあります。ウェブサイトにポップアップウィジェットを表示して、潜在顧客のEメールアドレスを収集し、その人たちに向けたプロモーションやオファーを通じて、顧客に転換できます。そのほか、こちらの記事(英語)で紹介している24種類のコンバージョンツールも役立ちます。
ソーシャルメディアのアカウント
ソーシャルメディアと聞くと、コミュニケーションや交流を楽しむためのプラットフォームにすぎないのでは、と思うかもしれませんが、実はビジネスにも大いに役立ちます。トラフィックを増やしたり、検索ランクを上げたり、潜在顧客と接触したりできる効果的な手段です。
地域密着型ビジネスに合ったソーシャルメディア
特定の地域でビジネスを展開している企業や店鋪であれば、ソーシャルメディアのうちでも特に重要なのが、Facebook、Yelp、Googleのビジネス用ページです。Yelpの口コミで評価が高いと、ネット上での存在に箔が付き、検索ランクも上がります。Yelpのビジネスページは無料で登録できます。プロフィールをカスタマイズしたり、写真を載せたりしたうえで、ユーザーにレビューを投稿してもらいましょう。
Googleのビジネスページも同様です。Googleマイビジネスに無料で登録して、写真を追加できます。(Googleマップで自分の店を検索したのに、載っていなくてがっかりしたことはありませんか。その原因は、ご自身で登録していなかったからなのです)。
Facebookの場合は、Facebookページを通じて、所在地や営業時間などを告知できます。
最新情報を投稿するソーシャルメディアアカウントを開設しておくと、自社の存在を知ってもらったり、プロスペクト(潜在見込み客)と接触したりするうえでプラスになります。ビジネス用のTwitterアカウントやFacebookページを作成する以外にも、Instagramをビジネスで活用する方法を学んでみたり、必要に応じてPinterestページを作ってみたりして、新規顧客の開拓に生かしてください。また、基礎を身に付けた方は、Snapchatのビジネス活用にチャレンジするのもよいでしょう。
スモールビジネスを知ってもらう鍵はネットの効果的な活用
ネット上で存在感を高めるための取り組みは、きっと長い道のりになりますが、その一歩一歩がビジネスに大きなインパクトをもたらすはずです。ブログのように、効果を発揮してトラフィックを生み出すまでに数カ月単位の時間がかかる策もありますが、ソーシャルメディアのページ開設や投稿は、すぐに効果を生む場合もあります。
今回の記事で実際に成果が上がりましたら、どこがどのようにお役に立ったか、ぜひコメント欄でお聞かせください。
編集メモ:この記事は、2017年3月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Katherine Boyarskyによる元の記事はこちらからご覧いただけます。