構造化データとは、あらかじめ決められた形式やフォーマットに沿って整理された情報のことです。ビジネスで活用するデータは、「構造化データ」と「非構造化データ」に分けることが可能で、データを詳しく分析・解析し、事業経営に役立てるには、構造化データの存在が欠かせません。

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本記事では、構造化データの定義や重要性、具体的な活用事例、注意点などをわかりやすく解説します。構造化データを取り扱う際の注意点も紹介しますので、ぜひご覧ください。
構造化データとは
構造化データの「構造化」とは、あらかじめ決められた形式・ルールに従ってデータを整理することを指します。その構造に従って整理されたデータを「構造化データ」と呼びます。
エクセルで作成された顧客リストや商品一覧表のように、「列」と「行」を持つデータが、構造化データのわかりやすい例です。
データの検索や集計、置換などがしやすいように可視化されているため、データ解析や分析に適しています。
構造化データの具体例
構造化データの具体例としては、次のようなものがあげられます。
- 顧客情報:氏名、住所、年齢、メールアドレス
- 商品一覧表:商品名、商品ID、販売日、単価、数量、合計金額
- 金融情報:取引記録、口座番号、口座名義人名
- Webアクセスのログ:IPアドレス、アクセス日時、アクセスされたファイル、アクセス元URL
非構造化データ・半構造化データとの違い
構造化されていないデータのことを、「非構造化データ」や「半構造化データ」と呼ぶことがあります。
非構造化データとは、明確な形式や構造を持たないデータ群のことで、テキスト文書や画像、動画、PDF、SNS投稿などが該当します。一方で、一部が構造化されながらも、形式が固定されていないJSONファイルやXMLなどのデータも存在し、そのようなデータのことを「半構造化データ」と呼びます。
非構造化データと半構造化データは線引きが曖昧で、目的によって分け方が変わることがあります。わかりやすく整理・視覚化されているのが「構造化データ」、固定された形式になっていないのが「非構造化データ・半構造化データ」と考えると理解しやすいでしょう
構造化データの重要性
非構造化データは、そのままの状態では分析・解析が困難ですが、企業に存在するデータのうち、実に9割ほどが非構造化データだといわれています。
非構造化データには、膨大な量の顧客のフィードバックや行動データ、さらには重要な内部文書などが含まれています。非構造化データを構造化し、経営の意思決定や事業運営に活用することは、変化が早いビジネス環境に対応するうえで欠かせません。
近年では、生成AIをはじめとするAI技術の発展により、非構造化データを自動的に分類・整理することが可能となり、構造化データとして扱えるようになってきました。その結果、経営の意思決定や顧客管理、人事、マーケティング施策など、さまざまな領域で非構造化データの活用が進んでいます。
さらに、非構造化データをもとにしたパーソナライズ施策やカスタマーエクスペリエンスの向上などが実現することで、顧客への価値提供の幅も広がります。
今後は、非構造化データを「活用できる資産」としてどう扱うかが、施策の成果や企業の成長を左右する重要なポイントになるでしょう。
構造化データを活用するメリット
構造化データを活用する主なメリットは、次の通りです。
- 検索や集計がしやすい
- 活用できる業務範囲が広い
- 外部システムと連携できる
構造化データは、あらかじめ定められた形式に基づいて整理されているため、検索や集計、分析を効率的に行えます。営業・マーケティング・カスタマーサポートといった部門運営のほか、経営の意思決定に活用できる点も特徴です。
さらに、リスト化された構造化データは、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールやCRM(顧客関係管理)ツールなどの外部システムに連携できるため、データのさらなる有効活用が可能です。
構造化データの活用例
構造化データは、次のようなビジネスシーンで活用可能です。
- 経営判断や施策の立案
- 顧客管理
- 人事・給与・人材分析
- 販売・在庫・サプライチェーン管理
- Web(SEO・MEO)
経営判断や施策の立案
構造化データは、的確なビジネス上の意思決定を行うための土台となります。
ECサイトを中心としたビジネスを例にあげると、顧客属性や購買履歴、季節ごとの売れ行きを分析し、需要を予測することが可能です。得られたデータをもとにキャンペーン施策を展開することで、施策の成果が高まります。
顧客管理
顧客管理に活用されるCRMツールにおいても、構造化データが重要な役割を担っています。
CRMツール上では、まず年齢・性別・職業などの顧客属性、行動履歴、取引履歴などを構造化データとして取り扱います。構造化された顧客情報をベースに、パーソナライズされたマーケティング施策の実施や商品・サービスの提案などを行う流れです。
人事・給与・人材分析
人事情報や給与データ、教育・研修受講データなどを構造化データとして管理すると、組織の課題を正確に把握できます。それらのデータが、人材戦略や人事計画の効果的な策定につながります。
また、自由記述形式のアンケートや人事評価のコメントといった非構造化データの分析によって、従業員の意見をより多面的に捉えることができ、実態に沿った人事施策や評価の改善も可能です。
販売・在庫・サプライチェーン管理
販売・在庫・サプライチェーン管理の場面においても、構造化データが重要な役割を担います。
製品の生産に関するデータや進捗状況、検査結果、在庫状況、サプライチェーンなどの各種データを活用することで、現場の効率化やリードタイムの最適化が実現します。
Web(SEO・MEO)
SEO(検索エンジン最適化)やMEO(地図エンジン最適化)などのWeb施策の効果を高めるためにも、構造化データの活用が欠かせません。
SEOの観点では、構造化データを使用してページの詳細情報をまとめることが重要です(構造化マークアップ)。それによって、検索エンジンがより正確にそのページを理解できるようになります。結果的に検索エンジンからの評価が高まり、検索順位にも良い影響を与えるでしょう。
MEOの観点においても、NAP情報(店舗名・住所・電話番号)などを構造化することで、ローカル検索を最適化できます。
構造化データを活用する際のポイント
構造化データを活用する際は、次のようなポイントを意識しましょう。
- 再利用しやすい形式に整える
- データの質を高める
- 既存システムと連携できる形式にする
それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。
再利用しやすい形式に整える
構造化データを、特定の用途のみに合わせて整理・整形してしまうと、ほかの用途での再利用が難しくなります。
異なるデータ形式を結合することになると、既存のデータ構造の大幅な変更が必要となり、時間とコストがかかるため注意が必要です。
構造化データを活用する際は、データの再利用を踏まえたうえで、変換や統合がしやすい形式を検討しましょう。また、データにタグや属性情報などの「メタデータ」を付与すると、検索性が向上します。
データの質を高める
構造化データは、整った形式で保存されることが前提ですが、実際には誤入力や欠損、データ型の不一致などが発生することがあります。
特に、新しいデータの追加によって、想定外の形式のデータが混入すると整合性が取れなくなり、検索や分析、集計などに活用しづらくなるので注意しましょう。また、扱うデータ量が増えると、重複データや無関係なデータが混在しやすくなり、データ全体の質が低下しやすくなります。
定期的に「データクレンジング」を行い、データの整合性を保つことが大切です。
既存システムと連携できる形式にする
構造化データを活用する際は、データ統合やリアルタイム更新を行いやすくするために、既存のシステムと連携させることも重要です。
システム間のデータ連携方式には、次のようなものがあります。
- データベース連携:システム間でデータベースを介してデータを統合・連携する
- API連携:API(Webサービス同士をつなぐインターフェース)を介してシステム間でやり取りする
- ファイル連携:CSVファイルなどを介してデータを送受信する
- クラウドストレージ連携:クラウド上のファイルを外部システムと連携する
- 業務アプリ連携:業務アプリ間でデータをやり取りする
目的に応じて適切な連携方法を検討しましょう。
構造化データを顧客理解の深化や経営判断に役立てよう
構造化データは、検索や集計、置換などがしやすく、データ解析や分析にも適した構造をしているのが特徴です。
そのままでは検索や分析が難しい「非構造化データ」を構造化データに変換することで、ビジネスに活用しやすくなります。特に、顧客情報は、営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、活用範囲が広いため、構造化された状態を保つことが重要です。
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