部下育成における目標設定の例文|職種別に設定のポイントも解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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部下を育成するためには、目標を適切に設定することが重要です。それにより、部下のモチベーションが高まり、部下個人の成長だけでなくチーム全体の成果向上にもつながります。しかし、目標設定の具体的な例や注意点が分からないという方もいるでしょう。

部下育成における目標設定の例文|職種別に設定のポイントも解説

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    そこで本記事では、部下育成の目標設定の例文を職種別に紹介します。職種に合った目標を設定することで、効果的に目標達成へ近づくことが可能です。部下育成の目標設定のポイントや活用したいフレームワークもあわせて見ていきましょう。

    部下育成で目標設定が重要な理由

    部下育成における目標設定は、部下の成長だけでなく、チーム全体の士気の向上や企業の成長にも影響する大切な要素です。ここでは、部下育成で目標設定が重要な理由を詳しく見ていきましょう。
     

    成長・スキルアップにつながる

    目標の設定は、部下の成長やスキルアップに不可欠です。また、技術的なスキルが習得できるだけでなく、目標達成までの過程において、判断力や決断力といった「ソフトスキル」も磨かれていきます。目標達成という成功体験が、自信にもつながるでしょう。

    目標を成長やスキルアップにつなげるうえで重要なのは、上司に設定された目標に対して受動的に取り組むのではなく、部下自身で目標を設定して達成を目指すことです。それにより、目標達成に向かって部下が自ら努力するようになるため、早い成長が見込めます。
     

    とるべきアクションが可視化される

    目標を具体的に設定することにより、焦点をあてるべき業務や磨くべきスキルを部下自身が理解でき、とるべきアクションが明確になります。

    高い目標を設定した場合でも、正しいステップを踏んでいくことで達成しやすくなるでしょう。
     

    モチベーションの向上

    明確な目標は、部下の達成意欲を引き出します。また、目標を達成した際には、部下が自分自身の成長を感じるでしょう。目標を設定することは、目標設定から達成までの期間だけでなく、その後のモチベーションの維持・向上にも役立ちます。

    また、各メンバーが高いモチベーションを保つことでチームの士気が上がり、帰属意識の向上にもつながるでしょう。
     

    部下育成における目標の設定方法

    最終的な目標は部下が自ら立てるのが理想的ですが、適切な目標設定には上司のサポートが欠かせません。

    ここでは、目標設定の基礎的なフレームワークとして知られる「ベーシック法」に沿って、目標を設定する方法を紹介します。目標項目・達成基準・期限設定・達成計画の4ステップを詳しく見ていきましょう。
     

    1. 目標項目の設定

    まずは、何を達成するのか目標項目を設定します。

    ベーシック法での目標項目は、大きく次の4つです。

    • 向上・強化:現状からよりレベルアップさせたい項目(例:昨年度達成した新規契約数を超える)
    • 改善・解消:現状抱えている課題や問題を改善、解消するための項目(例:既存顧客のフォローが足りておらず解約率が高い)
    • 維持・継続:現状を維持、継続させていきたい項目(例:年間クレーム件数0件を継続する)
    • 創出・開発:新しく創出、開発したい項目(例:新しく〇〇のスキルを身につけて専門的知識を増やす)

    上司は部下の現状を正しく把握し、組織や自社が目指す方向性に沿った目的を設定できるようサポートしましょう。
     

    2. 達成基準の具体化

    目標を設定したら、達成基準を数値に落とし込んで具体化します。

    例えば、次のようなイメージです。

    • 良い例:新規契約数を20%UPするために、アポ数を毎月〇〇件増やす
    • 悪い例:アポ数を増やして新規顧客創出数を上げる

    これらの数値は、達成可能な範囲のものを設定しましょう。すべての目標を数値化することは難しいかもしれませんが、なるべく具体化することが大切です。
     

    3. 達成期限の設定

    目標を設定したら、いつまでに達成するのか具体的な期限を設けます。期限を設定することで、時間管理を意識して計画的に業務を進められるようになるためです。

    達成期限は、目的と同様に、具体的で実現可能であることを確認しましょう。部下が目標に向かって着実に進むことができるように配慮が必要です。
     

    4. 達成計画を立てる

    最後は、目標達成のための具体的なアクションプランを作成します。行動する日時や頻度、使用ツールなど、さまざまな方面から具体化しましょう。

    例えば、「既存顧客に対して毎月末日に不具合や不明点などがないかどうかフォローアップのメールを送信する」などです。
     

    部下育成の目標設定例文

    ここでは、ベーシック法を活用した目標設定の例を業種別に紹介します。ぜひ参考にしてください。
     

    営業職

    営業職は目標を数値化しやすい業種です。例えば、次のように目標を設定できるでしょう。

    • 目標項目:新規契約数アップ
    • 達成基準:昨年月3件だったところを月5件に増やす
    • 達成期限:第1四半期終了まで
    • 達成計画:毎週月曜は見込み客リストに対してメールや電話での営業数を〇〇件行い、マネージャーとのロープレを毎週木曜に実施しフィードバックをもらう
       

    マーケティング職

    マーケティング職も営業同様に目標を数値化しやすい職種です。定量データを使用して現状から目標を設定していきましょう。

    目標設定の例は次の通りです。

    • 目標項目:ソーシャルメディアからの問い合わせ数を上げる
    • 達成基準:ソーシャルメディアを通じた製品の露出を50%増やし、リード創出を30%増加させる
    • 達成期限:上半期終了まで
    • 達成計画:キャンペーン案を毎週3つ出し、毎月新規キャンペーンを実施。ツールを活用して業務効率化を行い、毎日1件以上の投稿を行う
       

    技術職

    技術職は数値化が難しい職種ですが、例えば、次のような形で目標を設定できます。

    • 目標項目:新しい技術を取り入れた開発を行う
    • 達成基準:〇〇のプログラミング言語を習得して次の案件で実装できるようにする
    • 達成期限:〇月末まで
    • 達成計画:隔週で技術セミナーやワークショップへ参加し、インプットした内容をチーム内に共有・アウトプットする

    その他にも、製造系であれば製造プロセスを見直し業務を効率化するなど、業務内容に合わせて目標を設定してください。
     

    事務職

    事務職も目標の数値化が難しく、かつ業務内容の変化が少ない職種ですが、資料作成やデータ入力などにおいて、次のように目標を設定できるでしょう。

    • 目標項目:報告書の作成と提出プロセスにかかる時間を削減
    • 達成基準:資料作成スペシャリストの資格を獲得し、資料作成の時間を〇〇%カットする
    • 達成期限:上半期終了まで
    • 達成計画:資格獲得のために〇〇のオンライン講座を受ける。作業プロセス効率化のためにテンプレートの活用やデータ入力の自動化を取り入れる
       

    部下育成において目標を設定・管理するためのポイント

    ここでは、適切な目標を設定するためのポイントや注意点を紹介します。実際に目標を設定する前に確認しておきましょう。
     

    フレームワークの活用

    目標設定のフレームワークには、「ベーシック法」以外にも、さまざまなものがあります。代表的なフレームワークをいくつか見ていきましょう。
     

    SMARTの法則

    SMARTの法則は、「具体的(Specific)」、「測定可能(Measurable)」、「達成可能 (Achievable)」、「関連性 (Relevant)」、「時間的に定められた (Time-bound)」を意味します

    目標は具体的で明確であり、進捗を測定できるものでなければなりません。また、達成可能で現実的であること、目標が自身や組織の大きな目的と関連していること、そして明確な期限が設定されていることが重要です。

    SMARTの法則を活用することで、実現可能で効果的な目標が設定できます。
     

    三点セット法

    三点セット法は、ベーシック法をさらに掘り下げ、テーマ・達成レベル・達成手段の三点を設定する方法です。

    テーマは達成する目標そのものを指し、達成レベルはテーマに対する具体的な指標となります。例えば、「自社ECの売り上げアップ」というように目標の大枠を設定し、「新規ユーザー数150%達成」など、具体的な指標を設定していきます。

    達成手段では、目標を達成するための具体的なプロセスを計画します。
     

    OKR

    OKRとは、「Objectives(目標) and Key Results(主要な結果)」の略称で、達成目標と主要な成果を設定して管理する方法です。1つのObjectiveに対して複数のKey Resultsを設定し、比較的高い頻度で設定・追跡・評価を行うのが特徴です。

    OKRは通常、四半期ごとに設定され、組織全体・チーム・個人の3つのレベルで連携して進めます。
     

    GROWモデル

    GROWモデルは、「Goal(目標)」、「Reality(現状)」、「Options(選択肢)」、「Will(行動計画)」の4つの要素で目標を設定する方法です。

    まずは明確な目標を設定し、次に現状を把握します。その後、目標達成のためのさまざまな選択肢を検討し、最後に具体的な行動計画を立てて実行に移します。
     

    3つのWを意識する

    3つのWとは、「What(何を)」、「When(いつまでに)」、「Why(なぜ)」のことで、この3つの要素を明確にすることが大切です。

    「What(何を)」と「When(いつまでに)」を部下に伝えると、やるべきことが明確になって行動の後押しになります。

    また、「Why(なぜその目標にするのか)」も共有することで、部下が目標設定の背景や重要性を理解できるようになるため、モチベーションの向上が期待できます。
     

    目標管理シートの活用

    目標管理シートを活用することで、部下が目標を達成するまでの進捗を把握しやすくなります。それにより、部下が必要とするタイミングで上司がサポートすることも可能になるでしょう。

    目標管理シートにルールはありませんが、「目標設定欄」と「評価欄」を設けておく方法がおすすめです。目標設定欄には、フレームワークを活用して設定した目標指標や期間、計画などを記載し、評価欄には本人や上司からの評価や結果を記載できるようにしておきます。
     

    定期的に確認の場を設ける

    目標管理シートの活用だけでなく、1on1や定例ミーティングなどで定期的に進捗を共有することも大切です。

    部下の育成は長期に及ぶことが多いため、週次もしくは月次で適宜フォローやサポートが必要かどうかを確認しておくと、部下の目標達成を後押しできるでしょう。
     

    PDCAサイクルを回す

    PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことで、目標達成に向けたプロセスを継続的に改善することが可能です。サイクルごとに目標達成の精度が高まることもメリットといえるでしょう。

    誰もが最初から順調に目標を達成できるわけではありません。未達成になった場合には、原因の振り返りと改善案の策定を支援したうえで、次のサイクルを回すことが大切です。
     

    適切な目標設定で部下の育成を促進しよう

    部下を育成するためには、適切な目標設定が欠かせません。個々の成長を促し、チームの成果を最大化するために、明確で具体的な目標を定めることが重要です。

    本記事で紹介した目標設定の方法やポイント、例文を参考にして部下の育成を効果的に進めましょう。

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