月間アクティブユーザー数が世界で10億人を超える動画共有サービス「TikTok(ティックトック)」。最大180秒までの動画を簡単に作成・投稿できるプラットフォームです。若者を中心に人気を集めるTikTokですが、なかにはマーケティング手法の一環として取り入れ、成功している企業もあります。
この記事では、TikTokが人気を集める背景や、企業が活用する方法を解説します。人気TikToker(ティックトッカー)も紹介しますので、運用の参考にしてみてください。
TikTokのビジネス活用基礎ガイド
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TikTok(ティックトック)とは?
TikTokは、世界で20億ダウンロードを突破する最大規模の動画共有サービスです。 参考:TikTok For Buisiness MEDIA GUIDE 2021 Q2
2021年7月に投稿動画の長さが180秒へと拡大されましたが、もともとは15秒以内の動画しか投稿できないショートムービー用プラットフォームでした。そのためTikTokでは、ダンスやリップシンク(口パク)といった一発芸のような動画が人気を集めています。
TikTokには「レコメンド(おすすめ)」という独自のフィードが用意されています。レコメンド機能はアプリを起動した最初の画面に表示され、画面をスワイプする度に次々と新しいおすすめ動画が現れる仕組みです。
お気に入りの動画に対する「いいね」や共有、アカウントへのフォローなどエンゲージメント機能も充実しており、SNSのような側面を併せ持ちます。
TikTokユーザーの年齢層
TikTokは10代のユーザーが多い印象があるかもしれませんが、近年は利用者層が多様化しています。これは10代以外のユーザーとの接点が広がることを意味し、ビジネスチャンスの拡大につながるということです。
博報堂DYメディアパートナーズと博報堂の共同プロジェクトであるコンテンツビジネスラボは、「コンテンツファン消費行動調査」でTikTokのユーザー層を明らかにしました。調査によると、TikTokユーザーの平均年齢は34歳となっています。
コンテンツファン消費行動調査を基に作成
2019年以降、TikTokユーザーの平均年齢は上昇傾向にあり、若年層を中心として幅広い年代にアプローチできるメディアに変化しています。
TikTokで人気のある動画ジャンル
TikTokで人気を集めている動画のジャンルは、ダンスやお笑い系、ゲーム系などです。企業のコンテンツマーケティングを支援するサムライト株式会社が実施した、「Z世代のショート動画利用状況に関する調査」が参考になります。
Z世代のショート動画利用状況に関する調査を基に作成
ショートムービーを主軸とするTikTokでは、ユーザー同士で盛り上がれる動画が好まれます。そのため、企業は商品やサービスを積極的にアピールするよりも、「視聴者がいかに楽しめるか」という視点でコンテンツを作成する必要があります。
TikTokを企業で導入するメリット
企業がTikTokを活用するメリットは以下の通りです。
- ライバルが少なく差異化がしやすい
- 動画作成・編集が簡単にできる
- 始めたばかりでもユーザーに動画を見てもらいやすい
- ユーザー参加型の配信でコミュニケーションが図れる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
ライバルが少なく差異化がしやすい
YouTubeに比べて、TikTokに参入している企業はまだ少ないのが現状です。それだけライバルが少ないということなので、早めに参入できれば差異化がしやすくなります。
TikTokにはもともと、ユーザー同士でダンスや歌の動画を共有して楽しみ合うという独特の文化がありました。また、投稿できる動画の長さには、最長60秒という制限がありました。このような理由から企業のプロモーションはやや馴染みづらく、参入障壁を高めていたのでしょう。
しかし単に商品やサービスを宣伝するのではなく、ユーザーが楽しめるコンテンツに焦点をあてることで、企業として成功する事例も増えています。さらに2021年7月から投稿動画の長さが60秒から180秒へと拡張され、表現できるコンテンツの幅が広がったため、今後はTikTokをマーケティングに活用する企業が増加する可能性があります。
動画作成・編集が簡単にできる
TikTokには、アプリ内のツールとして動画撮影・編集機能が用意されています。手元のスマートフォンだけで手軽に動画を撮影し、簡単な操作で編集が可能です。動画制作のハードルが下がったことで、ノウハウがなくとも動画をアップロードできます。
TikTokには、動画の撮影や編集に役立つ以下のような機能があります。
- 速度調整:0.3~3倍速まで速度を設定できる
- カウントダウン:カウントダウン終了後に撮影できる
- フラッシュ:背面カメラの使用時にフラッシュを有効にできる
- ズーム:ズームアウト・ズームインに対応
- カット挿入:1つの動画内に複数のカットを含められる
- 楽曲選択:動画に含めるBGMやサウンドをアプリ内から選択できる
- フィルター・メイク:画面全体または顔のパーツ単位で色味を調整
- エフェクト:着ぐるみや分身など画面内に追加効果を与える
- フォトモーション:人物や動物の画像に動きを加えられる
※カメラ機能で作成できる動画の長さは60秒まで
始めたばかりでもユーザーに動画を見てもらいやすい
YouTubeの場合、再生回数を伸ばすためには、ある程度の数の動画をアップする必要がありますが、TikTokではアカウント開設当初でも再生回数を伸ばしやすくなっています。TikTokには「レコメンドシステム」が搭載されているからです。
レコメンドシステムとは、レコメンドフィードに動画を表示させるシステムのことで、投稿動画した動画が1必ず一定数のユーザーに表示される仕組みになっています。「いいね」数やコメント数などが多い動画は、さらにたくさんのユーザーのレコメンドに表示され、コンテンツが拡散できる仕組みです。
コンテンツを蓄積させることで成果が出やすいYouTubeは「ストック型」、コンテンツのクオリティ次第で動画を拡散できるTikTokは「フロー型」のプラットフォームだと言えるでしょう。両者をうまく活用すればマーケティングの質を高められます。
ユーザー参加型の配信でコミュニケーションが図れる
TikTokの「ハッシュタグチャレンジ」を使うと、ユーザーとのコミュニケーション促進につながります。
ハッシュタグチャレンジとは、「TikTok For Buisiness(TikTok広告)」で利用できる広告メニューの一つです。ダンスや歌といったユーザー参加型のハッシュタグキャンペーンを企画し、入賞した参加者に景品や賞金をプレゼントします。
ユーザー参加型のプロモーションは話題になりやすく、ユーザーも楽しんで参加できます。TikTokのハッシュタグチャレンジを活用することで多数のUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれ、1,800万回以上の広告インプレッションが発生すると想定されています。
たとえばユニクロは、過去に「#UTPlayYourWorld」のハッシュタグチャレンジを開催しました。好きなUTを着用し、楽しく情熱的な動画を投稿したユーザーのなかから、グランプリに選ばれた5名にテレビCMの出演権を与えるという企画です。
引用元:ユニクロ
TiKTokの基本的な使い方
次にTikTokの基本的な使い方をご紹介します。TikTokの使い方は、「閲覧」と「投稿」に分かれます。
閲覧方法
TikTokの動画を見る方法は以下の通りです。
- TikTokアプリを起動する
- 「レコメンド」をスワイプしながら好みの動画を見る
- 目的の動画を探すなら「トレンド」をタップ
- 検索窓にキーワードを入力して目的の動画を探す
上記の手順を踏むだけで目的の動画が見つかります。お気に入りの動画を「いいね」や共有する場合は、会員登録またはログインした状態でTikTokを使いましょう。
投稿方法
TikTokに動画を投稿する方法は以下の通りです。
- アプリ画面の中央下部の「+」ボタンをタップ
- カメラモードが起動
- 好みの設定に変更して撮影(ピンクの丸ボタン)
- エフェクトやテキストなどを編集
- 公開範囲を決めて動画を投稿
TikTokでは動画の撮影から編集、投稿までの作業がアプリ内で完結します。フィルター機能やメイク機能によって色バランスの調整が可能で、音源もTikTok内に用意されています。
TiKTok広告の始め方
企業がTikTokを活用する方法は、自社アカウントから動画を投稿するだけではありません。アプリ内に広告を出稿するのも手段の一つです。「起動画面を24時間独占」「インプレッション数を保証」など、数多くの広告メニューがあり、リーチ拡大やブランディングに役立ちます。
TikTok広告を始めるには、以下から最適な方法を選びましょう。
【企業の活用事例】国内で人気のTikToker(ティックトッカー)
TikTokでマーケティングの効果を最大化させるために、まずはベンチマークとなるアカウントを見つけましょう。以下で紹介する企業事例を参考にしてみてください。
ドミノピザ
【人気動画】
ドミノピザは、Z世代(1990年後半~2000年代に生まれた世代)を対象に動画を発信しています。利用シーンやターゲットなどをユーザーにイメージしてもらいやすくするため、インフルエンサーである「ゆうたろう」さんや「修一郎」さんを動画に起用しているのが特徴です。
たとえば「ゆうたろう」さんの場合、日頃からさまざまな場所をパルクールで移動する動画を投稿しています。ドミノピザでは、地図の指定した場所に商品を注文できるピンポイントデリバリーと、ゆうたろうさんのパルクールを融合させ、ユニークな動画を投稿しました。これにより、面白さと分かりやすさを兼ね備えたコンテンツが完成しました。
#ざっきーとゆってぃー
【人気動画】
「zakkyyutty」は、モバイル通信の代理店であるアロージャパンに勤める従業員が開設したアカウントです。採用担当として先輩の「ざっきー」さんと後輩の「ゆってぃー」さんによる、漫才のような掛け合いが人気です。
企業のプロモーションとは関係ないように思えますが、このアカウントをきっかけに数多くの求職者がアロージャパンにエントリーしています。面白いコンテンツが人気のTikTokの性質をよく理解し、うまく採用活動につなげています。
大京警備保障
【人気動画】
大京警備保障は、新宿区に本社を構える警備会社です。採用活動の効率化のため、TikTokにアカウントを開設しています。2022年1月25日時点のフォロワー数は160万人を超え、企業アカウントとして成功をおさめています。
動画には社長や部長、課長といったさまざまなオジサン社員が登場。3人の中年男性がTikTokで流行りのダンスをぎこちなく踊ったり、若者に人気のスイーツを頬張ったりと、どこか可愛げのある親しみやすさで人気を集めています。
岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】
【人気動画】
岡野タケシ弁護士は、アトム法律事務所の代表を務めながら、TikTokやYouTubeで活躍している弁護士インフルエンサーです。TikTokでは、主に法律に関する質問に答えるほか、有名な事件を弁護士の視点から易しく解説しています。
また弁護士の堅いイメージを打ち壊すような面白い動画を公開しているのも特徴です。たとえば、「P丸様。の『シル・ヴ・プレジデント』の曲は犯罪ですか?」という動画では、視聴者からの質問に返答する内容が大好評です。
Tastemade Japan
【人気動画】
料理レシピや旅行といったライフスタイル動画を発信するTastemade Japanは、TikTokでもユニークなコンテンツを提供しています。公式アカウントのフォロワー数は150万人以上、ミニチュア料理の実演レシピ動画として人気の「ちびめし」のアカウントも20万人を突破しました。
動画を作る際はあらかじめSNSでユーザーの意見を取得し、その回答となるようなコンテンツを企画しています。単に質問に回答するだけではなく、Tastemade Japanならではの斬新なアイデアを生かし、600万再生の「ポッピングアイス」や300万再生の「アコーディオン音色パン」などの人気レシピを発案しました。
TikTokで自社オリジナルの動画を投稿してみよう
TikTokで独自性の高い動画を投稿できれば、他社との差異化を図ることができます。
今回は5つの企業事例を紹介しましたが、いずれも「ユーザーが楽しめるコンテンツ」に焦点をあてていました。もともと広告色の強いコンテンツが敬遠されやすいTikTokだけあり、成功するにはユニークなアイデアが必要です。
TikTokを起点に認知を拡大することで、ブランディングや売上向上、採用活動の促進につながります。人気ティックトッカーの事例を参考にしつつ、会社や商品・サービスの魅力が伝わる動画を作成しましょう。