多くのWeb制作会社などの代理店企業のスタッフを絶えず悩ませているもの、それはタイムシートです。
なんとか記入しないで済ませられないかと考えてみるものの、決して逃げ切れることはありません。タイムシートを提出しなければならない時は必ずやってきます。一部のWeb制作会社などの代理店企業では従業員にタイムシートを期限通りに提出させるために、無料ビールというインセンティブを用意しているほどです。そのくらいタイムシートの記入は誰にとっても面倒だということでしょう。
タイムシートで問題となるのは、あらゆる業務を逐一トラッキングしなければならないことです。マイクロマネジメントを好む人はいませんし、予定よりプロジェクトに時間がかかってしまったことや、実際に仕事をしていた時間が少なかったことを、わざわざ明らかにしたいと思う人はいないでしょう。つまり従業員には記入するモチベーションがないのです。
時短実現のためのヒント!業務効率化チェックシートとツール選定のコツ
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時間をトラッキングする理由
しかし、だからといって時間のトラッキングは避けられません。私たちの業界は、「請求可能な時間」で成り立っています。予約金や着手金の金額ですら、今後その顧客に毎月どれくらいの時間を費やすかで決まります。
タイムシートのもう一つの問題は、実際に正確に時間をトラッキングしている人が誰もいないということです。そのため、Web制作会社などの代理店企業はプロジェクトを完了するのに必要な正味時間を知ることができません。例えば、あるWeb制作会社などの代理店企業において、デザイナーがデザインに必要な時間を10時間と見積もったとしましょう。
3か月後、デザイナーが提出したタイムシートを見てみると、デザイン期間は2週間以上にわたっており、実際の所要時間は11時間と記入されています。しかしデザイナーは実際に時間をトラッキングしたわけではありません。だいたいこのぐらいだろうと見当をつけただけです。それに、プロジェクトに時間をかけて取り組んだというのは、良い印象を与えるだろうとも考えました。
デザインチームのリードはこのタイムシートを確認し、最初の見積もりと比較します。そしてこう考えます。1)このプロジェクトからは利益が出ない、2)今後同じようなデザインプロジェクトでは15時間と見積もる必要がある、と。
しかし、デザイナーがきちんと時間をトラッキングしていたら、実際にはプロジェクトを完了するのに6時間しかかからなかったことが分かったはずです。そうなれば、Web制作会社などの代理店企業のプロジェクトに対する認識もまったく変わってきます。さらに、この不正確なタイムシートのせいで、今後の料金を不必要に高く設定してしまうでしょうし、見積もりが15時間未満の仕事は利益がでないという誤った認識を持ってしまいます。
採算性を考えた場合、タイムシートはどうしても必要です。しかし、面倒なやり方を従業員に強制するのは無理があります。できるだけ簡単に日々の業務をトラッキングする方法を考えていきましょう。
従業員に時間をトラッキングさせるための4つのコツ
最大の問題は、たとえ時間のトラッキングが必須の企業であっても、タイムシートがないがしろにされており、そのためデータが不正確だということです。従業員にきちんとトラッキングしてもらうためには、以下の原則に従いましょう。
時間をトラッキングするメリットを伝える。
ただ時間のトラッキングを強制するだけでは、不信を招きかねません。従業員たちは常に監視されているように感じ、タイムシートはさぼっていないかチェックする手段なのだと考えるはずです。ですから、時間をトラッキングするのは、従業員を信頼してないからではなく、会社が採算性を保てるようにするためであることをしっかり説明することが重要です。
そして会社の利益が増えれば、ボーナスや昇給など将来の「うれしい」ことに対する投資が増えることを伝えましょう。また時間をトラッキングすることで、より正確な予測やリソース管理が可能になります。プロジェクトの見積もりが甘かったせいで、顧客に無理な約束をしてしまったりすることもなくなり、現場のストレスも軽減されます。
トレー二ングとサポートを提供する。
管理職も含めた従業員一人一人に、タイム トラッキング ツールの使い方、タイムシートの提出方法、自分の生産性の確認方法をトレーニングしましょう。新しく入社した従業員が読めるようなガイドを作成したり、つねに最新バージョンのツールを使って、便利な機能を確実に活用できるようにすることも忘れないでください。過度に複雑で使いにくいツールは、トラッキングの障害にしかなりません。
ガイドラインを守っている従業員に報奨を与える。
タイムシートが必須のWeb制作会社などの代理店企業の場合、時間をトラッキングすることは仕事の一部です。しかし、やって当たり前とするのではなく、従業員が継続的に正確なタイムシートを期限通りに提出している場合は、ちょっとしたギフトや表彰などで努力に報いましょう。例えば、キャッシュバックならぬ「タイムバック」で、時間を還元するのはどうでしょう。タイムシートをきっちり提出している従業員に、月に1回、金曜日に早退できる権利を与えるのです。
日々の業務の中で無理なくトラッキングできる方法にする。
毎週金曜日の終業間際にタイムシートを記入することを心待ちにしているという人はいないでしょう。Web制作会社などの代理店企業のニーズに合ったツールを選ぶことが大切です。いくつかのツールやアプリを従業員に試用してもらい、フィードバックをもらってください。カレンダーと一体化したツールが良いでしょうか?
それとも、プロジェクト マネジメント ソフトウェアと組み合わせて使えるものがよいでしょうか? モバイルアプリは必要でしょうか? マネージャーは、リモートで作業している従業員がオンラインで作業中であることを確認できる必要があるでしょうか? チームの日々の業務にとって最も手間のかからないやり方は何かを考えます。
検討したいタイム トラッキング ツール10選
ブログの記事を書いたり、ランディングページをデザインしたり、要求の多い顧客に対応したりするのに、実際にはどのくらいの時間がかかっているのでしょう? 正確に把握するには、簡単に使えて頼りになるタイム トラッキング ツールが必要です。チームが楽しんで使用することができ、便利な機能が揃っていながらも複雑すぎないツールが理想です。
Web制作会社などの代理店企業が使用しているプロジェクト マネジメント システムの大部分には、タイムトラッキング用のアドオンやアプリが用意されていますから、現在利用しているツールと組み合わせて使えるものがないか探してみましょう。
1)TrackingTime
TrackingTimeには、Windowsユーザー用とMacユーザー用のアプリに加え、iPhone用とAndroid用のアプリも用意されています。使い方はシンプルで、タスクを入力し、プロジェクトを選択したら、トラッキングの開始ボタンを押すだけです。このツールを使えば、どの顧客の対応に時間がかかっているか、プロジェクトとプロジェクトの間の時間をどのように使っているかといったことを把握することができます。
プロ版にはカレンダー統合機能がついているので、タスクとプロジェクトの管理およびモニタリングが可能です。またレポート機能も充実しており、チームの時間がどのように使われているか、プロジェクト別、顧客別、ユーザー別に分析することができます。さらに、Zapierを使って他のツールとの連携が可能なので、プロジェクト マネジメント ツール、経理ソフトウェア、カレンダー、Eメール等と組み合わせることで、ワークフローの自動化と最適化が実現できます。
価格:3名までのチームは無料、プロ版は1ユーザーあたり月額4.99ドル
2)Timely
Timelyは、To Do リスト、トラッキングアプリ、カレンダーが統合されたツールです。GoogleやMacなどの主要カレンダーを使用することが可能で、各タスクを特定のプロジェクトにタグ付けできます。カレンダーに、各タスクを実行する予定を記入しておけば、ツールが自動的に時間数をトラッキングしてくれます。
またプロジェクトはドラッグ&ドロップで簡単に移動することが可能です。さらに、マネージャーは、自分のチームメンバーのプロジェクトとカレンダーを閲覧することができるので、業務量が多すぎるスタッフや予算を超過しそうなプロジェクトにいち早く気づくことができます。
価格:14日間の無料トライアルあり、1ユーザーあたり月額14ドル
3)Harvest
Harvestは、パワフルながら簡単に使えるトラッキングアプリケーションで、iOS用、Android用、さらにはApple Watch用のアプリが用意されています。マネージャーはチームメンバーにタイムシート提出のリマインダーを送ることが可能で、さらに会社全体における請求可能時間数と請求不可時間数の確認、データの分析、請求書の送付なども可能です。
もちろんデスクトップ版もあり、Basecamp、Trello、Zendeskといったツールと統合できます。さらにHarvestのリソース管理ツール「Forecast」を使って、今後のプロジェクトをスケジュールしたり、業務量に応じてチームメンバーを割り当てたりすることができます。
価格:1ユーザーで2プロジェクトまでは無料、1ユーザーあたり月額12ドル(プロジェクト数無制限)
4)ClickTime
ClickTimeでは、顧客別、プロジェクト別、従業員別、タスク別に時間をトラッキングすることができるので、顧客の採算性やリソースの活用度を簡単に把握できます。またタスクを完了するのに通常どのくらいの時間が必要なのかが分かるので、将来の見積もりや提案にも役立ちます。
このツールでは、従業員が経費の入力もできるようになっているので、プロジェクトに関連する費用を合わせてトラッキングすることができます。また予算プランニング機能では、プロジェクト予算に対するコストと時間数や毎月の予約金をトラッキングできます。
さらにリソースプラン二ング機能を使うことで、従業員を効率的に配置することができます。レポート機能では予算に対してサービスが過剰なプロジェクトを特定することができます。
価格:1ユーザーあたり月額10ドル、予算機能付きは1ユーザーあたり月額12ドル
5)Dashable
Dashableは、Trello、Basecamp、Github、Pivotal Trackerといったアプリケーションからプロジェクト情報を取得し、プロジェクトステータスを同期します。従業員には毎日、その日の業務内容と所要時間を確定するようEメールで通知されます。マネージャーには毎朝、前日の業務内容と請求可能時間数を通知するEメールが送られます。請求機能も付いているので、プロジェクトが完了したら迅速に請求書を作成し支払いを受けることができます。
価格:6ユーザーまで月額79ドル、15ユーザーまで月額199ドル
6)Tick
Tickは、シンプルなタイム トラッキング アプリケーションで、プロジェクトを選択してタスクを入力し時間をトラッキングします。便利な機能として、プロジェクトの完了率と予算内で進行しているかどうかを即座に確認できます。全体の予算とタスク毎の予算を設定することも可能です。レポート機能では、従業員別、顧客別の採算性と所要時間が確認できます。
Basecampを使っているWeb制作会社などの代理店企業なら、簡単にTickを統合し、Basecampから時間を入力することができます。
価格:1プロジェクトまで無料、10プロジェクトまで月額19ドル、30プロジェクトまで月額49ドル、60プロジェクトまで月額79ドル、プロジェクト数無制限月額149ドル
7)Toggl
Togglは、人気のあるトラッキングアプリで、組織内の複数のチームに対応可能です。各人に異なるレートを設定することが可能な上、ワークスペースを区切ることができるため機密文書もしっかりと管理することができます。こうした機能は、フリーランスを使っているエージェントには非常に便利でしょう。
Togglではプロジェクト、顧客、タスクを簡単に見つけ評価することができます。さらにその日一日の時間の使い方、使用したプログラム、ギャップのあるエリアをトラッキングできるので、手動でプロジェクトの時間数を入力する際に役立ちます。
Togglは、WindowsとMacのデスクトップアプリ、AndroidとiOSのモバイルアプリだけでなく、Chromeの拡張機能として使用することも可能です。多数のツールと統合が可能で、現在のワークフローにシームレスに組み込むことができます。
価格:スターター:1ユーザーあたり月額9ドル、プレミアム:1ユーザーあたり月額18ドル、エンタープライズ:1ユーザーあたり月額49ドル
8)Timecamp
Timecampも、チームで使用するのに適したソリューションです。カレンダーと連携して請求可能時間数と請求不可時間数をトラッキングできるだけでなく、各エントリにメモを追加したり、見積もり時間数と実際の所用時間数を比較したりできます。
請求機能も含まれているので、月末やプロジェクト完了時に簡単に請求書を送付することができます。各チームメンバーがどの顧客に時間を費やしているか可視化されるので、業務の透明性を高めメンバー間の信頼を強化することにもつながります。
価格:ソロプランは1ユーザーまで無料、ベーシックプランは1ユーザーあたり月額7ドル、プロプランは1ユーザーあたり月額10ドル
9)Freckle
Freckleは、ユーザーフレンドリーなタイム トラッキング ツールで、チームでの使用にも適しています。タグシステムを使って簡単にプロジェクトや作業種別をトラッキングすることができ、従業員の活用率を理解したり、請求不可時間数を把握したりできます。Pulseセクションでは、従業員が自分のその日の生産性を確認することが可能です。またExcelや他のトラッキングアプリケーションからタイムシートをインポートすることもできます。
価格:5ユーザー月額49ドル、25ユーザー月額199ドル、エンタープライズ月額499ドル
10)Hubstaff
Hubstaffは、リモートのチームメンバーをトラッキングすることに特化しています。マネージャーは誰が現在オンラインでどのプロジェクトに取り組んでいるかを見ることができます。また、ユーザーのPCのバックグラウンドで実行することが可能で、定期的にスクリーンショットを取得するので、従業員が生産性を維持しているかをチェックできます。また支払いに関してはPayPal、Payoneer、Quickbooksと、プロジェクトマネジメントに関してはBasecamp、Jira、Asanaを含む16ものプラットフォームと連携可能です。
価格:無料トライアルあり、ベーシックプランは1ユーザーあたり月額5ドルから、プレミアムプランは1ユーザー当たり月額9ドルから
みなさんはどのタイム トラッキング ツールを使用されていますか? チームに時間をトラッキングしてもらうことにおける課題は何ですか? コメント欄で是非共有してください。
編集メモ:この記事は、2016年6月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Jami Oettingによる元の記事はこちらからご覧いただけます。