アンダードッグ効果とは、劣勢や不利な状況にある人やグループなどを応援したくなる心理現象のことです。日常生活でも生じることがあるアンダードッグ効果ですが、マーケティングや営業にも活用できることをご存知でしょうか。
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本記事では、アンダードッグ効果の概要や、逆の心理現象であるバンドダウン効果との違いを解説します。あわせてアンダードッグ効果の具体例や、活用する際のポイント・注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
アンダードッグ効果とは
アンダードッグ効果とは、不利な状況や立場が弱い人、グループなどに対して同情心を抱き、応援の気持ちが芽生える心理現象です。
ここでは、アンダードッグ効果の概要を紹介し、逆の心理現象である「バンドワゴン効果」との違いも説明します。
アンダードッグ効果の概要
アンダードッグは「負け犬」と訳されることも多いですが、正確には日本語の慣用句「判官びいき」と同じ意味を表します。
不利または弱い立場でありながらも、めげずに努力をする人を指し、人間だけでなくブランドや企業、商品などあらゆるものが対象となります。例えば、「勝ち目がないと言われながらも、強豪に立ち向かうスポーツ選手」が典型例です。
アンダードッグ効果をマーケティングで利用すると、商品やサービスへの関心を高めたり、ファン層を増やしたりできる効果が期待できます。
アンダードッグ効果とバンドワゴン効果の違い
バンドワゴン効果とは、多数が支持する行動や選択肢を、その強い影響を受けて自ずと選択してしまう心理現象です。
例えば、「売上No.1」と書かれている商品は多くの人に支持されていることを意味するため、「みんなが使っているなら使ってみよう」という考えが働きます。アンダードッグ効果が不利な状況に対して働く心理現象なのに対し、バンドワゴン効果は有利な状況に対して働くことから、真逆の心理現象であるといえるでしょう。
行動を起こす際の心理はそれぞれ異なるものの、どちらも「不利」「有利」などの事前情報が引き起こす心理現象である点は共通しています。そのため、2つを合わせて「アナウンスメント効果」とも呼ばれます。
アンダードッグ効果の例
ここでは、よくあるアンダードッグ効果の例を紹介します。
- アイドルやアーティスト
- 選挙
- スポーツ
- ビジネス・営業
- マーケティング
アイドルやアーティスト
「苦節〇〇年」など、不遇な時代を乗り越えて成功したアイドルやアーティストにはファンがつきやすく、応援されやすい傾向にあります。
苦労して成功を掴んでおり、ファンは「自分が応援してあげなければいけない」という心理的な責任感や一体感を感じるためです。
選挙
選挙では、事前に世論調査やメディア報道で不利な状況に立たされている候補者が、同情票をかき集めて逆転勝利するケースがあります。これも、同情や支持を引き出すアンダードッグ効果によるものといえます。
スポーツ
スポーツでは、強豪に挑む選手や、圧倒的に不利な体格差のある勝負に立ち向かう小柄な選手などに同情の気持ちが芽生えるケースがあります。
一生懸命頑張る姿は、時として観客や視聴者に感動を与え、不利な状況に立たされているチームや選手を応援したくなるためです。
ビジネス・営業
ビジネス・営業では、アンダードッグ効果を活用して顧客の共感や応援を得ることが可能です。
例えば、新しい商品を開発し市場に公開する際、その商品が開発の過程で苦労したことや直面した困難、創業者の想いなどを共有します。そうすると、消費者や顧客に「この商品と企業を応援したい」という気持ちを芽生えさせる効果に期待できるでしょう。
また、営業成績が伸び悩んでいる営業パーソンが、顧客に対して自身の目標を語ったり、情熱をアピールしたりすることで、顧客から支援してもらえるケースもあります。
マーケティング
アンダードッグ効果は、SNSとの相性が良い点が特徴です。
例えば、新人ブログには応援したい気持ちからアクセスが集まりやすく、コンバージョンにもつながりやすくなります。
また、レストランが予約の大量キャンセルに見舞われた際、その苦境をSNSで公開すると同情を呼び、結果新たな顧客を引き寄せることがあります。
アンダードッグ効果を活用する際のポイント・注意点
ここでは、アンダードッグ効果を活用する際のポイントと注意点を紹介します。
頑張っている姿や苦境に立たされたストーリーを発信する
共感を得て応援してもらうためには、頑張っている姿や苦境に立たされたストーリーを発信することが重要です。
例えば、商品開発の裏話や大変だったことをWebサイト上で公開すれば、一生懸命頑張る姿を見てもらえます。
ここで重要なのは、自社の不利益にならない範囲でトラブルを包み隠さず公開することです。逆境に立たされたなかでも、現状突破に向けて努力している姿を見せることで、顧客の「応援したい」という気持ちを引き出せます。
同情を得るために誇張しない
アンダードッグ効果は、あくまでも一生懸命頑張っている姿に感動することで、共感や応援する気持ちが芽生えるものです。
そのため、同情を得るために架空のエピソードを作ったり、トラブルを大げさに誇張したりすると、逆に不信感を抱かれかねません。
嘘はつかずに、ありのままの頑張っている姿を見せると良いでしょう。
アンダードッグ効果への理解を深め、適切に活用しよう
不利な状況にある人やグループなどを応援したくなるアンダードッグ効果は、営業やビジネスに活用できます。
消費者から共感を得て、応援してもらうことで、売上につながったり、企業のファンになってもらえたりする可能性もあるでしょう。
頑張っている姿や苦境に立たされたストーリーを発信するなどの取り組みが考えられますが、ネガティブな内容になりがちなので注意が必要です。相手に不快な思いをさせたり、同情を得るために誇張し過ぎたりしないよう配慮しながら、適切にアンダードッグ効果を活用しましょう。