Webマーケティングには、さまざまな手法があります。施策の幅も広く、何から始めれば良いのかわからないとお困りの方も多いのではないでしょうか。
顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略ガイド
デジタルマーケティング戦略を立て企業の業績を向上させよう。手法紹介やモバイル最適化、SEOなど詳細解説。業績向上の秘訣を紹介。
- デジタルマーケティング戦略の策定方法
- SEO診断
- SNSを活用する方法
- 検索連動広告の仕組み
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本記事では、これからWebマーケティングに取り組みたいと考えているマーケティング担当者に向けて、広告・SNS・動画・SEO・メルマガの5つのテーマで成功事例14選を紹介します。
成功事例に共通するポイントや集客につなげるためのコツも具体的に紹介しますので、自社のマーケティング活動に役立ててください。
Webマーケティングの成功事例
今回は、Webマーケティングの代表的な手法である広告・SNS・動画・SEO・メルマガの5つをテーマに、成功事例をそれぞれ紹介します。
【広告】Webマーケティング成功事例
まずは、広告に関するWebマーケティングの成功事例を2つ紹介します。
- CROOZ SHOPLIST 株式会社
- 弥生株式会社
Webマーケティングを含めたデジタルマーケティングの事例を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
CROOZ SHOPLIST 株式会社
ECサイト「SHOPLIST」では、リテールメディアの広告売上を強化することを目的として、リテールメディア広告エンジン「ZETA AD」を導入しました。
ユーザーの検索キーワードを分析し、ニーズに合わせて広告を表示できるのがZETA ADの大きな特徴です。その結果、ユーザーが検索した商品と広告に表示される商品に親和性を持たせることが可能になり、違和感のない形で商品のプロモーションが行えます。
また、主力商品の在庫状況や季節に合わせた新商品など、マーケティング計画に合わせた広告展開も実施でき、機会損失の防止にもつながります。ユーザーにとっても、数多くあるアイテムから、自分の好みにあったものが広告として表示されることはメリットといえるでしょう。
導入後、CTRやROASが140%改善し、クリック後の購入率も150~160%増加。広告経由流通額は20倍以上となり、広告出稿が売上につながる状態を構築することに成功しました。
参考:ROASが140%改善⁉「SHOPLIST」が実現したリテールメディア戦略:MarkeZine(マーケジン)
弥生株式会社
出典:弥生株式会社
会計ソフト「弥生会計」を展開する弥生株式会社は、2023年10月に施行されたインボイス制度に対応するプロジェクトを推進。その一環としてYahoo!を活用し、「インボイス=弥生」のイメージを潜在層に浸透させることを目指しました。
「弥生会計」をはじめとする同社の製品群の主なターゲットは、個人事業主やフリーランスなどの小規模事業者です。同社のターゲット層は、主にインターネットを通じて会計ソフトなどに関する情報収集を行っており、検索にYahoo!を使用しているケースも多いことがわかりました。そのため、デジタル広告に注力する流れになったといいます。
また、広告のニュース閲覧ターゲティングを活用したWebCMを制作し、潜在層への効果的なリーチを実現しています。WebCMでは、粘土作品を用いた「クレイ・アニメーション」を導入し、製品の特徴をわかりやすく伝えました。その結果、指名検索数とコンバージョンの増加につながっています。
Yahoo!を活用したデジタルマーケティング施策は、他媒体の70%ほどのCPA効率を実現し、当初の目的であった「インボイス=弥生」のイメージを潜在層へと浸透させることに成功しています。
参考:指名検索数とコンバージョンが増加!弥生が活用したYahoo!広告のニュース閲覧ターゲティング:MarkeZine(マーケジン)
【SNS】Webマーケティング成功事例
ここでは、SNSを用いたWebマーケティングの成功事例を3つ紹介します。
- カゴメ株式会社
- オルビス株式会社
- 新生フィナンシャル株式会社
カゴメ株式会社
出典:カゴメ株式会社
カゴメ株式会社の野菜ジュースブランド「つぶより野菜」は、主に60~70代をターゲットとした高価格帯の商品でした。しかし、顧客が高齢化し、「毎日飲むのが難しくなった」という理由で定期お届けコースの解約が増えてしまい、LTV(生涯顧客価値)が低下していたといいます。
そこで、ターゲットを若年層にシフトし、Twitter(現:X)などのネット広告を活用することでLTVの改善を目指しました。
その結果、CPAは60%低下し、CV数は250%増加しています。Twitterの認証バッジ(公式マーク)の取得も行い、アカウントの信頼度向上にもつながりました。
参考:CPA60%低下、CV数250%増加!カゴメ事例に学ぶ、Twitterのサイト訪問数最適化の実力:MarkeZine(マーケジン)
オルビス株式会社
出典:オルビス株式会社
オルビス株式会社は、見込み客の醸成とCRM(顧客関係管理)施策強化のため、LINE公式アカウントを活用しています。LINEスタンプを活用して「友だち」を増やす施策から開始し、徐々にCRM領域へと移行しながら配信効率を向上させることに成功しました。
顧客と良好な関係を構築するためのコミュニケーションを重視し、セグメント別に情報を配信することでニーズに合った商品を紹介しています。セグメントを最適化するためにPDCAを回し、適切なタイミングでユーザーが必要とする情報を提供できるようにしたことが成功の秘訣です。
LINEを新たな購買の入口として活用し、セグメントの見直しなどの最適化を行うことで、見込み客を醸成する施策ではCPOが約20%改善しました。CRM領域では、LINE経由のリピート売上が前年比+20%に伸長し、毎月20日~月末にかけて実施されている「オルビスウィーク」の期間中も、LINEが新商品の認知拡大や来店の促進に役立っています。
参考:LINE経由の再購入売上が+20%に 新規獲得とCRMを両立するオルビスの公式アカウント活用戦略:MarkeZine(マーケジン)
新生フィナンシャル株式会社
新生フィナンシャル株式会社の提供するカードローン「レイク」は、競合他社に比べて認知度が低いことが課題だったといいます。そこで同社は、「レイク」の認知を向上させるため、新しいテレビCMに合わせたSNS広告を展開しました。
カードローンは急に必要になるものであるため、カードローンを検討する際に「レイク」を真っ先に思い浮かべてもらうようにすることが主な目的です。若年層への効果的なアプローチのため、プラットフォームはX(旧Twitter)を選択しました。
同社の新しいCMは、「ティザー広告」と呼ばれる手法が活用されていることが大きな特徴です。商品を直接訴求せず、情報の一部を隠すことでターゲット層の興味を引く手法で、Twitter広告にも応用した結果、CMキャストのファン層を中心に話題が広がりました。さらに、タイムラインの一番上に広告が表示ができる「タイムラインテイクオーバー」などの機能も活用することで、効果的なアプローチに成功しています。
フォロー&リツイートキャンペーンも同時に展開した結果、テレビCMや「レイク」に関連するツイートが7万5,000件行われ、SOV(競合他社と比較した自社の露出度合)が72.3%にまで大きく拡大しました。
一連の施策を実施した結果、広告純粋想起が165%、ブランド純粋想起が163%になり、当初の目的だった「レイク」の認知度向上につながりました。サイトの訪問数も増加したといいます。
参考:SOVが72.3%に急上昇!レイクのTwitter広告を活用した認知獲得事例:MarkeZine(マーケジン)
【動画】Webマーケティング成功事例
ここでは、動画を制作して成果をあげた企業の事例を3つ紹介します。
- 株式会社アルカディア
- 株式会社プロトコーポレーション
- 株式会社KINTO
株式会社アルカディア
出典:株式会社アルカディア
九州の結婚式場を運営する株式会社アルカディアでは、若年層に対する新たなアプローチとして、TikTokショートドラマを制作・配信しました。
TikTokショートドラマは3部作で、各話が結婚式を検討する進度に対応しており、徐々に訴求力を高める内容となっています。ストーリー性のある第1話と第2話を投稿し、最終話である第3話のみを広告として配信しました。
第1話と第2話は、2023年10月の段階で320万回再生され、ショートドラマを見た20代前半の若い世代が式場に来ることも増えたといいます。「お金がかかる」、「仰々しいイベントが苦手」などの理由で結婚式をあげない若年層に対して、結婚式の魅力をストーリーで伝えることに成功した例です。
参考:結婚式をしない若年層にTikTokショートドラマが響いた!九州の結婚式場アルカディアのチャレンジ:MarkeZine(マーケジン)
株式会社プロトコーポレーション
株式会社プロトコーポレーションは、中古車情報メディア「グーネット」のテレビCMを展開していますが、テレビをあまり見ない若年層へのアプローチを強化するためにTikTok広告を活用することになりました。
TikTokは、ショート動画プラットフォームとして広く普及しており、ほかのプラットフォームと比較して費用対効果が高いと判断したためです。
実際に、広告にかかったコストは、ほかの動画プラットフォームと比較してCPM(インプレッション1,000回あたりにかかる費用)が2分の1、CPC(広告のクリック1回あたりにかかる費用)が7分の1になり、ブランド認知や利用意向の向上効果も高まりました。
ユーザーに寄り添った動画を制作するためにクリエイターを起用し、企業目線にならないよう工夫したことも成功の理由です。
参考:グーネット、TikTok広告で車購入の認知と利用意向を大幅向上!低リーチ単価、高成果の戦略とは?:MarkeZine(マーケジン)
株式会社KINTO
出典:株式会社KINTO
トヨタ自動車が提供する新車のサブスクリプションサービスである「KINTO」は、テレビCMによって認知度が向上しました。しかし、視聴者がサービス内容を理解していないという新たな課題に直面したといいます。
そこで活用したのが、ネットテレビの「TVer」です。TVerは長尺動画の広告展開が可能で、CMを最後まで視聴する「完了率」が高いことから、説明が必要な「KINTO」のサービス内容を理解してもらうのに適していると考えたためです。
TVerの完全オリジナル番組を「KINTO」の一社提供で制作することが決まり、番組とタイアップしたオリジナルCMの提供などによって視聴者の興味を引くことに成功しました。
参考:検討率が約2倍に!KINTOがTVerで展開する、「サービス認知」を拡大させるデジタル戦略とは:MarkeZine(マーケジン)
【SEO】Webマーケティング成功事例
SEOは成果が出るまでに比較的時間がかかる施策ですが、じっくり取り組むことで自然検索からの定期的な流入が見込めます。ここでは、SEOのWebマーケティングの成功事例を見ていきましょう。
- トヨクモ株式会社
- 株式会社ハーモ
- 株式会社Kaizen Platform
トヨクモ株式会社
出典:トヨクモ株式会社
安否確認サービスを提供しているトヨクモ株式会社は、株式会社PLAN-BのSEOツール「SEARCH WRITE」を導入しました。SEOの重要性は理解していながらもリソース不足に悩んでいた同社が、「SEARCH WRITE」の導入によってオウンドメディアを効率的に運用できるようになったといいます。
作業の効率化によって新規記事制作の本数やリライト実施数が増加し、自然検索での流入数が半年で4万から6万超になりました。セッション数やページビュー数、獲得キーワード数なども伸びています。
さらに、SEARCH WRITEの検索順位チェックや関連キーワード分析といった機能で施策の効果検証が行えるようになり、次の施策につながっています。
参考:オウンドメディアの流入数が半年で1.5倍以上に!トヨクモに聞くSEOツールの選定軸と活用方法:MarkeZine(マーケジン)
株式会社Kaizen Platform
株式会社Kaizen Platformは、「顧客体験DX」を追求し、セールスとマーケティングのDX支援に取り組んでいます。クライアントのDX支援を行う一方で、自社では体系的なマーケティング施策が不足していることが課題だったといいます。この課題に対処するための施策としてコンテンツマーケティングプロジェクトを立ち上げ、同時にHubSpotを導入しました。
見込み客のリストがあるものの活用できていないという状況を打開するため、HubSpotを活用した顧客情報の管理とコンテンツの作成に取り組みました。施策の実施前は不定期に送信されていたメルマガを、定期的に配信する体制が整ったのも大きな成果です。
施策開始後1年で、マーケティング経由のアポ数と商談数、受注件数が従来の2倍以上になりました。アポと商談のうち、20%以上がメルマガからの流入だといいます。
参考:株式会社Kaizen Platform|HubSpot
【メルマガ】Webマーケティング成功事例
最後に紹介するのは、多くの企業が取り入れているメルマガを活用した成功事例です。
- 株式会社三井不動産ホテルマネジメント
- 株式会社キャリカレ
- 株式会社フィラディス
株式会社三井不動産ホテルマネジメント
ホテル運営を主な事業としている株式会社三井不動産ホテルマネジメントでは、メルマガの施策を見直すことで宿泊予約数が前年同月比で41倍になりました。
それまでは月1回だった配信を週2回まで増やし、開封率やクリック率を向上させるための工夫も行いました。また、メルマガの制作に時間がかかりすぎるという課題もあったため、制作プロセスの見直しを同時に実施しています。伝えるメッセージを1つに絞り、同一のテンプレートを使うことで効率化に成功しています。
参考:「急がば回れ」でメルマガCVが41倍 三井不動産のLTV改善策 | 日経BOOKプラス
株式会社キャリカレ
出典:株式会社キャリカレ
通信教育講座を提供する株式会社キャリカレは、メールマーケティングを自動化するため、2018年に株式会社プラスアルファ・コンサルティングの「カスタマーリングス」を導入しました。
導入前は資料請求の要望に対して担当者がメールを送っていましたが、データ活用によるメールマーケティングが自動で行えるようになりました。
その結果、メールマーケティングの業務効率化につながりましたが、メールの開封率は25%前後と伸び悩んでいたといいます。そこで、新たにLINE公式アカウントも開設し、LINE IDを使用したサンクスLINEメッセージやセグメント配信を行うことになりました。新たな接点としてLINEを活用し、顧客データを活用しながら申し込み数の増加につなげています。
特に、サンクスLINEメッセージの20%オフクーポンのCV率が高く、LINEとメールをかけ合わせたアプローチにより、受講率が10%近く向上しました。LINEを活用することで、メルマガだけではリーチできなかった層へのアプローチが可能になり、メールより申し込み率が高いことも確認されました。
参考:キャリアカレッジジャパンが行う、データを掛け合わせたLINE公式アカウントの活用法とは:MarkeZine(マーケジン)
株式会社フィラディス
出典:株式会社フィラディス
株式会社フィラディスは、ワインのECサイト「フィラディスワインクラブ」を運営しています。後発のワインECサイトだったため、他社との差異化を図る目的でメルマガのコンテンツを充実させました。
JSA認定ソムリエの資格を持つ担当者が、ワインの生産地やワインに合う料理などの情報を詳しく解説することで、ターゲットのニーズに応えています。メルマガを継続するうちに会員数や売上が伸びていき、その後も売上の4割がメルマガ経由となっています。
参考:目利きワインの良さを伝えるメルマガ経由の売上が4割!「フィラディスワインクラブ」のリピーター獲得術:MarkeZine(マーケジン)
成功事例から読み解くWebマーケティングのポイント
企業の課題や目標はそれぞれですが、Webマーケティングの成功事例には共通するポイントもあります。
- ユーザーが求めるコンテンツをつくる
- 目的を持って運用する
それぞれ詳しく解説します。
ユーザーが求めるコンテンツをつくる
コンテンツを軸としたWebマーケティングでは、ターゲットとなる潜在客や見込み客が興味を持っていることや、悩みの解決につながる情報を取り入れたコンテンツを作成することが大切です。今回紹介した多くの事例でも、顧客視点でコンテンツを作成し、自社の認知度向上や売上につなげていました。
自社の商品やサービスを紹介する際も、ターゲット層の悩みを解決するうえで、その商品やサービスがどのように役立つのかという視点を持つと良いでしょう。企業側から先に価値を提供することで接点が増え、結果的に売上やリピート率の向上につながります。
目的を持って運用する
企業がWebマーケティングを行う目的には、ブランド認知の向上や売上の増加、見込み客の醸成などがあります。目標を具体的に設定することで、マーケティング施策を具体的に計画することが可能です。
成功事例として紹介した企業は、自社の課題を把握し、明確な目的を持って対策を行っていました。例えば、ブランドの認知度向上を目指す場合は、SNSでブランドのストーリーを積極的に発信し、ターゲットとするユーザーへ効果的にアプローチするなどの方法が考えられます。
売上の増加を目指す場合は、特定のプロモーションやセールスキャンペーンを計画的に行い、売上を上げる施策を取り入れると効果的です。目的を明確にしたうえで、効果測定を行うための指標も設定しましょう。
成功事例を参考にWebマーケティングを取り入れて成果をあげよう
Webマーケティングは施策の種類が多いため、目的を明確にしたうえで最適な手法を選択することが大切です。
自社の課題に近い成功事例を参考に、Webマーケティングの戦略を立ててみましょう。複数の施策を組み合わせる際は、それぞれの施策の成果を客観的に把握できるように指標を設定します。
PDCAを回しながら、自社に合ったWebマーケティングの戦略を確立するのがポイントです。