交流会への参加は、適切に実践すれば、すべてのプロフェッショナルにとって時間と労力を費やすだけの効果を十二分に期待できる先行投資になります。
ネットワーキングは有意義な人脈を築き、参考になる意見を得て、キャリアアップへとつながります。何よりも、長期的に大きなメリットをもたらしてくれます。
では、交流会への参加が無意味に感じられるときがあるのはなぜでしょうか。すべてが嘘っぽく感じられ、疲れてしまうことがあります。率直に言うと、ネームプレートを付け、食べ物の乗ったお皿を手に、知らない人たちが動き回っている中、1人きりで立っていることが、ただ苦痛に感じられることがあります。
しかし、こうした交流会への参加のつらさを軽減する方法があります。まず、交流会への参加イベントに参加するときの自分を顧みて、何が間違っているのかを把握することです。
と言っても、話しかけるときに顔を近付けすぎているとか、服装がラフすぎるとか、そういったわかりやすい間違いではありません。知らず知らずのうちに、ついやってしまう、微妙な間違いです。
ここでは、ネットワーキングによって有意義な人脈を築き、そこから真の価値を引き出せるようにするために、注意すべき13の間違いをご紹介します。
ネットワーキングで注意すべき13の間違い
1)必要に迫られるまで、人脈を築こうとしない。
多くの人が、人脈が本当に必要な状態に追いつめられるまで、ネットワーキングに目を向けていません。失業や転職をきっかけに、または大学院への進学を検討しアドバイスや資料を求めるときに、初めて交流会への参加の重要性に気付くのです。
決まった目標がないときには、なかなかネットワーキングに積極的に取り組む気にはなりません。しかし、定職に就いて安定した収入を得ているときでも、継続的にネットワーキングに取り組むことで、一番必要なときに強力な人脈を活用することができます。
交流会への参加は先行投資です。新たな機会が向こうからやってくるのを待つのではなく、こちらから積極的に開拓しに行きましょう。
「週1時間は、人脈を広げるためだけに使いましょう」。ハブスポットのカルチャーアンドエクスペリエンス元部門長であるKatie Burkeは、自身の記事でこのように語っています。
「友人の勧める興味深い人物に会いに行きましょう。気に入ったブログの著者にメールを出して、ブログに関するコメントや質問を伝えましょう。あなたが実力を認めていた昔の同僚に連絡を取ってみましょう。
それが何にも結び付かないこともあります。しかし多くの場合は、新しいアイデア、人脈、創造力を生み出す源となるでしょう。忙しい毎日の中で貴重な時間を割く価値は十分にあります」
2)ネット上のパーソナルブランド(人物像)を確立していない。
初対面の人と出会った場合、相手はその後あなたをソーシャルメディアで検索して、どんな人物なのかを調べようとします。あなたのFacebookのプロフィール、Twitterのページ、ブログ記事などをチェックします。
さらには、あなたをGoogleで検索するかもしれません。ですから、積極性と思慮深さを兼ね備えた魅力的な人物像を、ネット上で確立しておくことをお勧めします。
そのため、常に新しいつながりを探すと同時に、ネット上のパーソナルブランドを絶えず構築しておくことが重要です。
つまり、Facebookのようなソーシャルメディアのプロフィールを最新の状態に保ち、ソーシャルメディアアカウントに面白い記事やコメントを定期的に投稿する必要があります。また、メッセージ、Eメール、ツイートを受け取ったら丁寧な返事を出しましょう。
会社のブログに投稿し、他のブログや出版物にも寄稿し、アーンドメディアを活用してパーソナルブランドの露出を高めましょう。
3)1人でネットワーキングイベントに参加したがらない。
社交的な人でも、ネットワーキングイベントやカンファレンスに1人きりで参加するのは気が進まないものです。初対面のはずの周りの人たちが顔見知りのように打ち解けているのはなぜだろうと思いながら1人で立っていると、本当に不安になります。
しかし、実際にそうでしょうか?筆者である私もかなり多くのイベントに参加者として足を運びます。今月だけで、東京にて開催されたBtoBマーケティングのイベント3つへ参加しています。
もちろん時間の許す限り交流会へは参加するようにしていますし、十分な準備をしておけば、それが自信となって、初対面の人に話しかける勇気が湧きます。
個人的には、どのイベントに出席するときにも作戦を練っておくことをお勧めします。まず、講演者やゲストをチェックして、その中で話したい人を決めておきます。次に、思い切ってその人に話しかけてみましょう。
皆快く応じてくれるはずです。もしも最初に話しかけてきた相手があなたなら、なおさらです。
4)事前の準備を怠っている。
新しい名刺を印刷して持参するだけで、イベントやカンファレンス、ミーティングに出席する準備が整うわけではありません。イベントの参加者や登壇者の中に名前や顔を知っている人がいて、詳しく話を聞いてみたいと思った場合は、あらかじめその人について調査しておきましょう。
事前に調査しておけば、無駄な会話を省いて、最初から本題に入ることができます。また、相手に対する質問だけでなく、相手から質問されたときの答えも用意し自己紹介を練習しましょう。
5)出会った相手へ個人的にメッセージを送っていない。
イベントに参加し、気になっていた人に話しかけ、会話も弾み、名刺を交換できたとします。大成功です。でも、ここで終わりではありません。後で個人的にメッセージを送っておかなければ、その人と二度と会う機会がなくなるリスクがあります。そうなれば、有益なつながりも途切れかねません。
それを避けるには、ネットワーキングイベントで出会った人に、気持ちのこもった文面であなた自身の謝意を伝えるメッセージやEメールを必ず送っておきましょう。
田中様、昨晩はお会いできて光栄でした。とても有意義なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
田中様が取り組んでいらっしゃるプロジェクトのお話は、実に興味深いものでした。
私もいちマーケティング担当として、XXXのようなプロジェクトに取り組んでおります。
今度お昼をご一緒させて頂きお話を伺うことはできますか。
ご検討のほどよろしくお願いいたします。
このようなメッセージを送ると、相手は人脈リストに加えるべき人物としてあなたを再認識しますし、これをきっかけにメッセージのやり取りが始まる可能性もあります。
相手があなた自身のプロジェクトや仕事について何か提案していた場合は、その件について具体的に言及してみましょう。今後その提案を実行に移すかどうかはともかく、話してみる価値はあります。
専門家からのアドバイス:出会った相手との会話を終える前に、次の再会につながるような質問をして、後で効果的なメッセージを送れるようにしておきましょう。ウェブスター大学のGeorge Herbert Walker School of Business & Technologyで学部長を務めるBenjamin Akande氏は、相手が現在取り組んでいる仕事について質問することを提案しています。ネットワーキング相手の答えをメモしておけば、後で送るメッセージの話題として使えます。
会話の細かい内容を忘れてしまいそうな場合や、一度にたくさんの人と出会った場合には、相手の名刺に(こっそりと)メモを書いておくか、スマートフォンのメモ機能を使って情報を残しておきましょう。
6)相手の連絡先を聞かなかったので、後で連絡できなくなる。
相手にあなたの連絡先を教えて、相手の連絡先を聞かなかったことはありませんか? その場合、後日連絡が来るかどうかは相手任せになり、こちらから連絡が取れなくなります。
残念なことに、忙しい人は連絡を取ることを忘れがちです。そうなると、せっかくのつながりが途切れてしまいます。この失敗を避けるために、私はスマートフォンに自分のFacebookのアカウントを表示して相手に見せて、その場で名前を入力してもらったり、友達に追加してもらうことまで行っています。
7)他の人とまったく同じ質問をしてしまう。
ネットワーキングで効果的なのは、他の人と一線を画すことです。誰もが尋ねるような、ありきたりの質問をしていては、一線を画すことなどできません。このことは、イベントの講演者や知名度の高い出席者など、多くの人からの質問を受ける人が相手の場合は特に重要です。
相手に好印象を与えるには、その人物の情熱を引き出すような質問や、個人的なストーリーを語るきっかけとなるような質問をすることをお勧めします。
良い質問をすれば、必ず良い答えが返ってきます。ですから、相手が今取り組んでいることを尋ねるのではなく(尋ねたとしても、控えめな自慢話をぎこちなく話してくれるだけでしょう)、子供のころの夢や初めて行ったコンサート、定期購読している雑誌について質問してみましょう。
そのような質問をすることで、相手は仕事関係の退屈な話をする必要がないとわかって、もっと興味深い話題から会話を広げることができます。
8)一方的にしゃべり続ける。
誰でも一度はそういう状況に巻き込まれたことがあるでしょう。相手が自分の人生経験を熱心に語り始めて、気付けば、その場からいつまでも立ち去れなくなっているという状況です。
しかし、あなたも他の人に同じことをしていると気付いたことはありませんか? 特に、特定の話題について夢中でしゃべっているときや、自分を全力でアピールしているときには、誰でもそのような状態になりがちです。
一方的にしゃべって相手の時間を奪い続けていると、自己中心的で他人に興味がない人物と見なされて、敬遠されるようになります。ネットワーキングイベントは、さまざまな人が交流するための場であることを肝に銘じてください。大勢の人が参加しているのです。
ネットワーキングイベントを自分のアピールの場として利用する人はたくさんいますが、それは大間違いです。ネットワーキングイベントは、新しいつながりを作り、つながった相手に好印象を与えるための場です。
人の注目を独占して、自分の実績だけをしゃべり続けても、他の人とのつながりは生まれません。それは、就職の面接のときに実践すればよいことです。
初対面の人に純粋な興味を持って話しかけ、質問をしてみましょう。一緒に議論ができるだけでなく、相手の感情を読み取り、他人に興味を示し、耳を傾けることができる人こそが、私にとっては特につながりたい相手であり、一緒に仕事をしたいと思える人なのです。
9)会話を自分から切り上げようとしない。
ネットワーキングイベントで会話をうまく切り上げるのは難しいスキルですが、それを身に付ければ、いつまでも同じ人とばかり話し続けてしまう状況を打開することができます。
昨日の大きな失敗は、会話を切り上げるのが苦手なせいで次の出会いに進めず、少しの人としか話せずに終わったことです。限られた人と長時間話していたので、多くの人とつながる機会を逃してしまいました。
では、自然に会話を切り上げるにはどうすればよいでしょうか。以下に、相手に失礼にならずに会話を切り上げる方法をいくつかご紹介します。
- 「お手洗いがどこにあるかご存じですか?」
- 「別の部屋に[ノートPC / バッグ / 携帯電話]を置き忘れたようなので、ちょっと取りに行ってきます」
- 「もう一杯飲みたいのですが、あなたはいかがですか?」
- 「○○がお好きなんですか? ぜひJoeに会ってみてください、彼も○○が大好きなんですよ!」
10)熱心すぎる。
イベントで出会った人と連絡先を交換した後は、冷静になりましょう。好感の持てる人物と思われるためには、相手に対する振る舞いが重要です。くれぐれも、やり過ぎには注意してください。
興味を持った相手のSNSアカウントに対して一度にリクエストを出すのはやめましょう。最初から押しが強すぎるように見られてしまいます。その人が定期的に価値ある情報を投稿しているチャネルを1つ選んで、そこだけに注目すれば十分です。
11)人の役に立っていない。
弊社ハブスポットの共同創設者でありCTOのDharmesh Shahが尊重したコンセプト「徹底して人の役に立つ」という信念にこちらで触れています。交流会への参加も全く同じことが言えます。あなた自身がネットワーキングから何を得るかではなく、他の人の役に立つことを意識しましょう。この視点からネットワーキングを考え直すと、あなたの活動の質が見えてきます。
「情けは人のためならず」という言葉のとおり、良い行いは必ず自分に返ってきます。
12)現在の人脈の外に足を踏み出そうとしない。
人脈を広げることに足踏みし、現在の人脈や業務分野の外で関係を構築しようとしない人が多すぎます。知らず知らずのうちに、躊躇しているのです。
これは驚くことではありません。慣れた世界にしがみついている方が楽で快適ですし、未知の世界に出て行って馬鹿にされるのは恐怖でもあるからです。
ただし、人脈を広げようとしない場合、当たり障りのない意見を交わすだけの人間関係に閉じ込められ、目標のために挑戦する意欲が失われるリスクがあります。この問題を解決するには、積極的になる必要があります。
まずは、まったく知らないけれど興味を引かれる分野の専門家を毎週10人、TwitterとFacebookでフォローしてみましょう。ソーシャルメディアのおすすめアカウントは信用せず、自分で調べて探しましょう。そうすることで、学び取る価値がある人物を見つけることができます。
13)何もお願いしない、または逆に度を超えたお願いをしてしまう。
具体的な目標を決めてネットワーキングイベントや会話に加わることには意味があります。求職中で、履歴書の書き方についてアドバイスが欲しいと考えている人もいれば、推薦状を書いてもらおうと画策している人もいるでしょう。
自分が携わっているプロジェクトについて意見が欲しい人もいれば、自社の実績をアピールしたいと考えている人もいるでしょう。
目標があっても、それを他の人にさりげなく訴えることは簡単ではありませんが、ネットワーキングイベントではそれが許されます。「お願い」することは、むしろ推奨されています。会話のきっかけとなって関係構築につながるだけでなく、後から個人的なメッセージを送りやすい状況を作ることができます。
ただし、多くの人が陥りがちな失敗が2つあります。それは、「お願い」をはっきりと伝えないことと、度を超えたお願いをして相手を困らせてしまうことです。
相手は超能力者ではありません。お願いしなければ、求めている結果を得ることはできないのです。そして何かをお願いするときには、礼儀正しく、誠実に話すことが重要です。
たとえば、あなたが仕事を探していて、話しかけた相手が今のところ求人募集はしていないと答えた場合、次のような問いかけ、またはお願いをすることが考えられます。
- では、将来的に求人募集を行う予定はありますか?
- この業界で新規採用を予定している会社をご存じないですか?
- 私は次に何をすべきだと思いますか?
- 私が話しておいた方がよい人をご存じないですか?
その一方で、ほとんど面識がない人に度を超えたお願いをしてしまう人もいます。次の転職先についてアドバイスを求めることと、今後の人生の助言をしてほしいと頼むことは、大きく違います。
同じように、自分の書いた文章の一部を評価してほしいと頼むことと、全文をレビューして詳しいフィードバックを返してほしいと頼むことはまったく別のお願いです。
いかがでしたか?みなさんが交流会でネットワーキングを行う秘訣はどのようなものですか?