「YouTubeやYahoo!を使っていると、以前検索サイトで調べていた商品が広告として表示される」

誰でも一度はこのような経験があるのではないでしょうか。こうした広告はユーザーの属性や行動履歴などを基に配信されており、「パーソナライズド広告」と呼ばれています。

パーソナライズド広告の仕組みは、主にGoogleやTwitterが提供する広告サービスに採用されています。そのため、今後Google広告やTwitter広告を利用したい方は、パーソナライズド広告に対する理解が欠かせません。

本記事では、パーソナライズド広告の仕組みやメリット、事例について詳しく解説します。

パーソナライズド広告とは?

パーソナライズド広告とは?

「パーソナライズド」とは、ユーザーの属性や行動履歴などのデータを基に最適な商品やコンテンツを提供することです。その仕組みを活用したWeb広告を「パーソナライズド広告」といい、広告配信会社に蓄積された個人データを基点としてユーザーが興味を示す商品やサービスの広告を配信します。

パーソナライズド広告を活用することで、ユーザーは関心の高い分野の新商品や情報の認知につながりができ、求めていた商品やサービスを効率良く購入できる可能性が高まります。その結果、企業も販売効率を高めることができるため、双方にとってメリットが生まれます。
 

パーソナライズド広告の仕組み

パーソナライズド広告の仕組み

パーソナライズド広告の基になるデータには、ユーザー属性や行動履歴、検索履歴、各人の趣味嗜好といった要素が含まれます。そして、蓄積されたデータに基づき、各ユーザーのニーズに合った広告を自動的に表示するのがパーソナライズド広告の仕組みです。

たとえば、あなたが新車の買い替えを検討したいと考えて「トヨタ 新車 おすすめ」と検索し、車の口コミサイトや比較サイトを閲覧したとします。そのときは結局、何も購入せずにブラウザを閉じました。

すると後日、車とはまったく関係のないニュースサイトを見ていると、広告欄に「車の買い替えならトヨタへ」という表示が。これは「トヨタ 新車 おすすめ」という検索履歴と、車の比較サイトを訪問した行動履歴に基づいたパーソナライズド広告です。

このようにパーソナライズド広告を使うと、ユーザーのニーズに合った広告を自動的に配信できます。

また、「パーソナライズド」とよく混同されるマーケティング用語に、「ターゲティング」があります。どちらも配信する広告をユーザーの属性や興味関心に合わせるという意味では変わりませんが、ターゲティングは広告出稿時に広告主が自ら配信先となるターゲットを設定することであり、広告を自動配信するパーソナライズド広告とは仕組みが異なります。
 

非パーソナライズド広告(NPA)との違い

非パーソナライズド広告(NPA)とは、広告配信会社が取得した個人情報を配信に利用しない広告です。広告用のデータ収集を拒否したユーザーに、パーソナライズドされていない広告を表示したいと考える広告主に向いています。

ただし、広告主が自ら取得した見込み客データなどを使い、出稿時にユーザー属性や趣味嗜好を指定してターゲティングすることは可能です。
 

パーソナライズド広告におけるメリット

パーソナライズド広告におけるメリット

パーソナライズド広告を活用するメリットについて、ユーザー側と広告主側のそれぞれの利点を解説します。
 

ユーザー側のメリット

ユーザーにとっては、自分が興味のあるジャンルの新商品や新たな情報を知る機会になります。先に述べたとおり、仮に新車買い替えに興味があれば、そのニーズに沿った形で「車の下取りシミュレーション」など適切な広告が表示されるためです。結果、効率良く目的の商品やサービスに辿り着きやすくなります。

知りたい情報を認知する以外にも、「トヨタの新車購入キャンペーン」といった新しい 情報を知る機会としても役立ちます。自分の潜在的なニーズに気付くことができれば、購入後の失敗のリスクを抑え、満足度を向上できる可能性があります。
 

広告主側のメリット

ユーザーが、求めていた商品やサービスに効率良くアクセスできるようになると、企業の販売効率も向上します。大多数のユーザーへ無作為に広告を表示させる場合は多額の費用が必要ですが、パーソナライズド広告の場合は配信先を限定でき、広告費を抑えられます。その結果、広告費用対効果(ROAS)の最適化が可能です。

また、「口コミサイトや比較サイトなどを見て興味を示しているが、自社の存在を知らない」といった潜在層のユーザーにアプローチできるメリットが生まれます。
 

パーソナライズド広告におけるデメリット

パーソナライズド広告のメリットだけではなくデメリットも理解しておくことで、自社に合うマーケティング手法を冷静に判断でき、今後の広告戦略の幅が広がります。ユーザー側と企業側のそれぞれのデメリットを解説します。
 

ユーザー側のデメリット

ユーザー側のデメリットは、自分の思考やニーズの変化にパーソナライズド広告が対応してくれない場合があることです。

たとえば、「ハワイ旅行」の情報を検索していたユーザーは、パーソナライズド広告によって「HISの最新ツアー情報」といったサービスの存在を知ることができます。ほかにもJTBや阪急交通社など、別の会社が提供するハワイ旅行に関するサービスを知る機会にもなります。

しかし、その後の関心がハワイ旅行から台湾旅行へと変わった場合や、「やっぱり旅行は止めて新しい化粧品にお金を使おう」と思考が変化したとき、ハワイ旅行の広告はニーズに適さなくなってしまうでしょう。つまり、パーソナライズド広告は、変化したユーザーの思考やニーズに対応できず、不適切な広告を表示し続けてしまう可能性があるということです。
 

広告主側のデメリット

上記のように、移ろいゆくユーザーのニーズに対応しづらい点が広告主側のデメリットにもなります。とはいえ、潜在層にアプローチできるのはパーソナライズド広告の大きなメリットなので、広告主側のターゲティングを柔軟に調整してニーズの変化に対応していくと良いでしょう。

パーソナライズド広告についてもうひとつ注意したい点が、ユーザーのプライバシーの問題です。ユーザーにとっては自分の個人情報が広告配信に利用されていることを不安に感じ、企業に対して不信感を抱く可能性があります。

InMomentの調査では、約75%のユーザーがパーソナライズド広告に「気味が悪い(creepy)」と回答。Accentureによる調査では、精度の悪いパーソナライズド広告を表示させた結果、41%の顧客がその企業が提供する商品やサービスの利用を選択肢から排除したという結果が出ています。

プライバシーの問題や企業に対する信頼低下という課題を克服するには、別の集客手段との併用が効果的です。SEO対策やSNSでの情報拡散、動画共有サービスを駆使した新たなチャネルの開発、非パーソナライズド広告の活用などの方法が挙げられます。
 

パーソナライズド広告の事例

パーソナライズド広告の事例

では、実際にどのような広告配信サービスでパーソナライズド広告が利用できるのか、ここでは3つのサービスをご紹介します。

  • Amazon
  • Twitter
  • Google

それぞれのサービスで提供されているパーソナライズド広告の内容は以下の通りです。
 

Amazon

Amazon

Amazonが提供するスポンサー広告では、パーソナライズのシステムが採用されています。

ECサイトの利用者向けに「あなたへのおすすめ商品」や「この商品を買った人はこちらも購入しています」といったパーソナライズを行っているAmazon。広告の場合も同様、閲覧履歴やチェックアウトシステムのデータなどに基づき、各ユーザーに合わせた広告の配信が可能です。
 

Twitter

Twitter

Twitter広告には、プロモ広告やフォロワー獲得広告などのメニューがあり、それぞれ細かいターゲティングが可能です。ターゲティングの精度を向上させるため、Twitterでは自社で取得したユーザーの個人情報を広告配信に活用しています。取得したユーザー属性やWebサイトの訪問履歴などに基づいて広告を配信するため、Twitter広告もパーソナライズド広告の一種です。
 

Google(GDN)

Googleが提供するGoogleディスプレイ広告(GDN)では、配信対象となるコンテンツに合わせたパーソナライズ表示が可能です。

Googleでは、アカウント情報やChromeブラウザから、ユーザー属性や検索履歴、Webサイトの閲覧履歴などのデータを取得しています。それらのデータは各ユーザーに合わせてカスタマイズされており、ディスプレイ広告ではカスタマイズ情報に基づいて適切な広告配信を行うという仕組みです。

Googleアカウントにログインした状態で「広告のカスタマイズ」というページを開くと、自分のカスタマイズデータを参照、あるいは配信停止の設定を行えます。

Google(GDN)
 

Googleのパーソナライズ広告におけるデータ収集と使用に関するポリシーについて

パーソナライズド広告はユーザーや広告主にとって有用なものである一方、プライバシーの問題が絡んできます。ユーザーにとっては、いつ、どのように、どんなデータが取られているのかについて不安を覚えるケースもあり、慎重な取り扱いが求められます。

たとえばGoogleでは、プライバシーに対してどのような考えの基、パーソナライズ広告を展開しているのでしょうか。

Googleは、個人のプライバシーに関わる情報の扱いには慎重です。「自身の情報をどこまでGoogleに開示するか」という判断はユーザーに委ねられており、同意を得られない限り個人情報の収集は行いません。

(以下引用)
Google のプライバシー ポリシーは、お客様の情報の処理について Google が依拠する法的根拠を説明しています。たとえば、お客様の同意を得て、または Google の正当な利益(ユーザーのニーズに合わせたサービスの提供、維持、向上など)を追及する目的で、お客様の情報を処理することがあります。なお、サイトやアプリから共有される情報を Google が処理する場合、そのサイトやアプリは、Google にお客様の情報の処理を許可する前に、お客様に同意を求めます。
Google ポリシーと規約

また、各国当局はプラットフォーマーに対する情報開示を求める動きを加速させており、個人情報の取り扱いやデータ漏洩に対する罰則規定などが徐々に整備されつつあります。ユーザーが安心してWebサービスが利用できる環境や制度の整備は、今後さらに強化されていくことでしょう。
 

ユーザーのプライバシーにも配慮しつつパーソナライズド広告のメリットを生かそう

パーソナライズド広告を配信することで、ユーザーは求めていた商品やサービスを効率良く購入できる可能性が高まり、企業にとっても販売効率が向上するメリットが生まれます。ただし、個人情報の取得に関して不安を感じるユーザーも多いため、プライバシーへの配慮は必須です。

パーソナライズド広告のメリットを生かしつつ、さらにプライバシーの問題を克服するなら、マルチチャネルを意識することが重要です。SEO対策やSNSでの情報拡散、動画共有サービスなど、複数の集客手段を駆使してパーソナライズド広告を展開しましょう。

元記事発行日: 2022年1月12日、最終更新日: 2022年1月15日