成約につながる提案書の作り方【マーケティング代理店向け】

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土井 早春 (どい さはる)
土井 早春 (どい さはる)

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マーケティング代理店の担当者とそのクライアントとの関係において、クライアント側は代理店側からの提案の段階をあまり重視していないように見えます。マーケティング担当者側が「営業プロセスの次の段階に近づいた」と感じていても、クライアント側は「とりあえず提案書に目を通すと約束しただけ」と考えているものです。

Keys to Success - Concept on Golden Keychain over Black Wooden Background. Closeup View, Selective Focus, 3D Render. Toned Image.-1

成約の見込みのないクライアントのための提案書作成に時間をかけることも、代理店としての正式な提案書が必要になる都度ゼロから提案書を作り始めることも、時間を効率的に使えているとはいえません。

かといってクライアントに対する提案書提出のプロセスをなくすのはほとんどの場合不可能かと思います。提案書の提出は、代理店からクライアントへの売り込みにおいてもはや当たり前の習慣となっているからです。それでも、マーケティング提案書の作成に繰り返し利用できるプロセスの構築によってある程度の手間を省くことはできます。

そのために必要なのは、まずクライアントの成約見込みを判断し、クライアントのニーズを明らかにするための手法を確立すること、そしてクライアントにできるだけ早く提案書を提出できるように、提案書のテンプレートをあらかじめ用意しておくことです。新規ビジネス開発の担当者が自分の役割を全うすれば、クライアントは期待を膨らませて、契約書の署名に応じてくれるでしょう。

 

マーケティング提案書の書き方

提案書とは、プロジェクトについての情報をクライアント側に提供し、プロジェクトを進めるにあたってに必要な承認を得るための資料です。この記事では、マーケティング代理店がクライアントからスムーズに同意をもらえるような説得力のあるマーケティング提案書を作成するための方法を紹介します。

※ただし営業プロセス全般にあてはまることですが、他とまったく同じクライアントは存在しないので、今回取り上げる項目が貴社プロスペクトのニーズに合わない場合もあります。

表紙

表紙には、提案書の最初の1ページとして、視覚に訴えるものを選びましょう。クライアントである見込み客のブランドロゴを表紙に置くと効果的です。提案書の冒頭から、この提案書が顧客の問題を解決するためのものであることを示しましょう。代理店でデザインやクリエイティブを扱っている場合は、その実力を表紙でも発揮しましょう。  

 

プロジェクトの概要

この項目では、クライアントの目標、予算、スケジュールなど、初回の要件定義の打ち合わせを通じて入手した情報を簡潔にまとめます。また、プロジェクトに関連して実施した調査があればそれにも言及し、重要なポイントをいくつか取り上げて説明します。さらに、クライアントとプロジェクトを進めていく意欲をはっきりと伝えると共に、自社がプロジェクトを任せる相手として適任である理由を詳しく説明します。

 

プロジェクトの目標と課題

クライアントが自社との契約を提携しようとしているのは、ビジネス上の問題を解決したいからです。初回の打ち合わせや提案依頼書の確認の際は、必ずビジネスやマーケティング上の主要な課題を明らかにしましょう。その課題を理解していなければ、自社が提供するサービスやその成果をクライアントのROIに結び付けて説明することはできません。 

目標と課題のセクションでは、クライアントとの打ち合わせで話題に上った目標、計画、課題、スケジュールの概要を直前の「プロジェクトの概要」項目よりもう少し詳しく記載し、自社が提供するソリューションの前提を確認します。

具体的には、マーケティング提案書を作成する前に以下の点についてクライアントに確認しておきましょう。

  • 翌四半期または翌年度の収益目標
  • クライアント自身で測定している指標
  • 前年度または前四半期の目標と、それを達成するために取り組んだこと
  • 目標を達成するために使用できるリソース
  • これまでの目標達成を阻害していた要因
  • 今回の目標の達成よりも優先される可能性のある事項
  • 目標を達成できなかった場合の、目標やスケジュールの変更の意思

 

またこれまでの打ち合わせでは、クライアントがマーケティング戦略の変革を進めようとしている理由や、このまま何の対策も取らなかった場合に発生する損失についても議論しているはずです。

クライアントの担当者がボーナスや昇進の機会を逃してしまうのか、クライアントが自社の従業員を解雇しなければならなくなるのかなど、目標達成に失敗したらどのような状況に陥るのかといった点を提案書に盛り込むことで、何の対策も取らなければ大きな損失を被ることになり、自社の提供するサービスのコストが妥当であるということを、クライアントに納得してもらうことができます。

ただし、目標と課題の確認では、相手を驚かせるようなことは含めず、あくまでこれまでの打ち合わせの内容を書面でまとめるだけに留めましょう。

 

最終成果物と納品手段

この項目では、クライアントの問題を解決する計画(簡単な概要で十分です)と、提供予定のサービスの概略を説明します。細かい戦略を決定するのはクライアントのビジネスについてさらに理解を深めてからにしましょう。 

プロジェクト単位の提案書では、プロジェクトの各フェーズ、クライアントの義務、完了までのスケジュールについて大まかに説明します。

提案書の構成は、次のようにするとよいでしょう。

【ウェブサイトの構築・リニューアルの例】

フェーズ1

  • 成果物
  • スケジュール 

フェーズ2

  • 成果物
  • スケジュール

 

長期契約の提案書では、初期段階で発生する各種作業について確認した後、毎月提供するサービスについて説明します。自社が新規顧客とのプロジェクトに共通で実施しているプロセスがある場合は、最初の6か月間のロードマップを提示しておくと効果的な場合があります。アップセルの選択肢や長期契約の内容に含まれない業務についても記載しておきましょう。

ご自身で提案書のテンプレートを作成する際は、以下の例をカスタマイズして使用することをお勧めします。

【プロジェクトの初期段階(1~3か月目)の例】

  • 初回の要件定義の打ち合わせと評価
  • インバウンドマーケティングの計画と戦略の策定
  • コンテンツカレンダーの作成
  • SNS戦略の策定
  • キーワード分析
  • 競合他社の分析
  • SEOの内部対策と外部対策のチェックと計画策定
  • バイヤーペルソナの作成

 

【毎月または四半期ごとの成果物の例】

四半期ごとに○件のキャンペーン

  • ブログ記事○件
  • ランディングページとサンクスページ
  • eBookやホワイトペーパーのデザインと執筆
  • CTA(Call-To-Action)
  • Eメールマーケティングの開始とナーチャリングの手順
  • SNSチャネル上でのコンテンツのプロモーション

長期契約の毎月の成果物

  • ブログ記事○件
  • コンテンツ最適化プロジェクトまたはA/Bテスト
  • 四半期ごとに○本のeBook公開
  • キーワード分析
  • リンク構築
  • Eメールマーケティング:セグメンテーションとリストの管理
  • ニュースレターのEメール作成
  • リード管理:リードスコアリング、リードナーチャリング、有望なリードの見極め
  • SNSマーケティング:オリジナルコンテンツの作成、インフルエンサーキャンペーン、モニタリング
  • ワークフローとリストのセグメンテーション
  • トレーニング
  • 月次レポート

 

【リテーナー契約とは別料金で提供可能な成果物の例】

  • PPC広告
  • リターゲティング
  • イベントへの協賛
  • ブログのゲスト投稿の打診、メディアとの窓口
  • 営業とマーケティングの連携サービス
  • セールスイネーブルメント用コンテンツ
  • コンテンツのプロモーション
  • SlideShare用プレゼンテーションの作成とプロモーション
  • 動画の制作とプロモーション
  • Eコマース統合
  • コールトラッキングとナーチャリング
  • 予測リードスコアリング

成果物それぞれについて詳しく説明し、それによって得られるメリットをわかりやすく提示しましょう。

 

作業範囲のまとめ

最後に、各種成果物やアップセルの選択肢を箇条書きにし、それぞれによって得られる成果を書き出します。このセクションは1ページ以内にまとめて、クライアントが参照しやすいようにしましょう。

 

プロジェクトの成果を測定する指標

初回の打ち合わせで議論を深めることができていれば、クライアントのマーケティングの現状や優先度の高い目標について理解しているはずです。

この場合、ベンチマークとなるデータを提示(ウェブサイトのリニューアルやリード獲得を目的としたキャンペーンでは特に重要です)して、今回のプロジェクトにおける目標と達成するためのスケジュールを強調することをお勧めします。ベンチマークとしては、次のようなものが挙げられます。

  • ウェブサイト訪問数を○%増やす
  • リードを○%増やす
  • Eメールの受信登録者を○%増やす
  • コンバージョン率を○%向上させる
  • リード獲得のソースを改善する
  • 顧客獲得コストを○%削減する
  • Eメールの成果を改善する
  • MQLを増やす
  • SQLを増やす

 

自社の概要

クライアントが現在抱えているマーケティング上のニーズについて確認し、計画の概要を説明したら、次は自社の特徴や社風を紹介していきます。ここでは自社の受賞歴や評判よりも、自社との取引の様子を予測できるような情報を提示しましょう。自社が提供する価値や社内の雰囲気、クライアントとの関係において重視することなど、自社との協業の様子をプロスペクトが想像できるようにします。 

 

導入事例

また、過去のプロジェクトについて説明するために、同様の導入事例やお客様の声をいくつ紹介してもよいでしょう。

 

各種規約、契約条件

最後に、取引関係の各種条件について法的に規定しておく必要がある場合があります。

ここでは支払い条件、解約の通知、知的財産権の譲渡、守秘義務、データなど、クライアントとの関係に適用される規則について説明します。このセクションを作成する場合は、法律の専門家に助言を求めるようにしてください。

また、契約書の最終版をマーケティング提案書に含めておくと、実際のプロジェクトに着手するまでのプロセスを短縮できることがあります。クライアントが契約締結を決断した時点で改めて契約書の送付を自社に依頼しなくても済むように、契約締結に必要なものをすべて含めるようにしましょう。

繰り返しになりますが、マーケティング提案書は、これまでにクライアントと話し合った内容を文書にまとめたものにすぎません。対面であれテレビ会議であれ、何らかのプレゼンテーションを実施してから、提案書を送るようにしましょう。また、プレゼンテーションは必ず自分で実施するようにしてください。

自社での提案書作成がスムーズになるように、そして見込み客が同意して契約を締結しやすくなるように、この記事の内容を参考にして、オリジナルのテンプレートを作成してみましょう。

ウェブ制作会社とマーケティング代理店の組織作りガイド

トピック: 代理店ビジネス

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