採用にかかるコストは、企業によって大きく異なります。他社がどの程度の予算をかけて人材を採用しているのか、気になっている採用担当の方は多いのではないでしょうか。
一人当たりにかける採用コストが相場より低いと、自社の求める人材にアプローチできない可能性があります。相場を把握したうえで、自社に合った戦略を立てましょう。
本記事では、採用コストが一人当たりどれくらいかかるのか、新卒と中途の場合に分けて解説します。
新卒採用の採用コスト
リクルートの就職白書2020によると、2019年度の新卒採用では、一人当たりの採用コストは93.6万円 とされています。2016年度から2019年度の新卒採用一人当たりのコストを比べると、年々増加していることがわかるでしょう。
年度:一人当たりの採用コスト
- 2017年度:53.4万円
- 2018年度:71.5万円
- 2019年度:93.6万円
※株式会社マイナビ「2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」、株式会社マイナビ「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」、リクルート就職白書2020を基に作成
同社の調査では、採用が充足している企業で特に、「採用に関わる社員数が多い」ことがあげられています。
採用コストには、会場費や求人広告費など社外に支払う費用である「外部コスト」と、面接や電話対応など、採用に関連する業務を行う社員にかかるコストである「内部コスト」に分けられます。
企業間で採用活動の競争が激しくなったことを受けて、内部コストをある程度かけないと、採用が難しくなってきているのが現状です。また、学生に興味を持ってもらうためのPR活動も積極的に行う必要があり、外部コストが増加する要因の一つになっています。
中途採用の採用コスト
「就職白書2020」によると、2019年度の中途採用の採用コストは一人当たり103.3万円 です。2017年度から2019年度の一人当たりの採用コストを比べると、新卒採用同様に増加していることがわかるでしょう。
年度:一人当たりの採用コスト
- 2017年度:63.4万円
- 2018年度:83.0万円
- 2019年度:103.3万円
※株式会社マイナビ「中途採用状況調査2018年版(2017年実績)、リクルート就職白書2020を基に作成
また、新卒採用と中途採用を比較すると、中途採用のほうがコストがかかることがわかるでしょう。
主な理由として、求職者自身の潜在能力を評価するポテンシャル採用に加えて、スキルや経験の有無を重視する即戦力採用など、採用手段が多岐にわたる点があげられます。特に即戦力採用の場合は、自社が必要とするスキルや経験を持った人材にアプローチする難易度が高くなるぶん、コストがかかります。
その他、人材紹介会社を経由した採用では紹介料がかかる点も、要因の一つでしょう。
今回紹介した資料から、新卒採用と中途採用、いずれの場合も一人当たりの採用コストは100万円程度であることがわかります。
採用活動にある程度の費用をかけることは、自社が求める人材を採用するうえで重要です。しかし、採用活動の進め方を工夫してコストを抑えることは可能です。例えば、WebサイトやSNSなど、自社の持つコンテンツを最大限活用する方法などがあります。
採用コストが一人当たりどのくらいかかるかを把握しよう
今回紹介した一人当たりの採用コストは、調査結果を参考にした目安金額です。企業規模や業種によって適切な採用コストは異なるため、あくまで一例として考えておきましょう。
また、新卒と中途では採用コストの平均値に差があります。それぞれ違いを把握し、自社の採用コストと比較してみましょう。自社の採用コストが相場からかけ離れている場合は、原因を分析・改善することで、採用活動の最適化が可能になります。