電子名刺(デジタル名刺)を利用するメリットと実際の活用方法は?

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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リモートワークが進む中、オンライン名刺交換の機会が増えつつあり、それに伴って「電子名刺」の需要も高まっています。

電子名刺(デジタル名刺)を利用するメリットと実際の活用方法は?

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電子名刺の主な特徴として「紙で管理する必要がなくなるので効率化が図れる」「得た情報を属人化させず社内で共有し資産とすることで、より良い情報を顧客へ向けて提供できる。」「いつでもどこでも名刺情報をチェックできる」などが挙げられるでしょう。

一方、「紙の名刺は今後使われなくなるのか」「今後、電子名刺がどのように主流になってくるのか」「本当に電子名刺が利用されているのか」と疑問に感じたり、電子名刺をビジネスにおいて利用する際に注意すべきポイントがわからないと感じることもあるかもしれません。

本記事では、電子名刺とは何か、デジタルで管理できるメリットや活用法をご紹介します。

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    電子名刺・デジタル名刺とは?

    電子名刺・デジタル名刺とは?

    電子名刺はデジタル名刺とも呼ばれ、データ化された名刺でオンライン上で活用できるものを指します。

    電子名刺は以下の2つのように利用されています。

    • スマートフォンやタブレットにQRコードを表示させ、名刺交換の際にこれを先方に提示し読み込んでもらう
    • 名刺情報の入ったURLを先方に送付してアプリ内で管理する

    従来は、紙の名刺を対面で交換するケースが一般的でしたが、昨今、働き方改革や新しい生活形式に伴うリモートワークの推進により対面での交換が難しくなっています。情報のデータ化によってオンライン上でも使用できる電子名刺は、これまでの紙の名刺にとってかわる存在として注目されています。

    また、電子名刺に含まれるデジタルデータを社内で共有することでマーケティングや営業活動ににおいても効果を発揮します。得られた情報を元に、顧客がどのような情報、サービスを欲しているのかを分析すれば、より柔軟かつ上質な顧客体験の提供に繋げられるメリットもあります。

    このように、電子名刺は単なる自己紹介ツールから脱却し、優れたマーケティングツールとなりつつあるのです。 

    電子名刺の仕組み

    電子名刺を作成する際は、電子名刺サービスのスマホアプリやクラウドサービスなどを活用し、オンライン上で氏名、社名、電話やメール、会社情報、商品情報などを記録してプロフィールデータを作成します。

    紙の名刺では一度作ってしまうと印刷し直さないといけませんが、電子名刺では作成したデータを随時編集できるため修正にも対応しやすいという特性があります。

    これらのデータはオンライン上にアップされるので、データ共有も時間や場所を問わず交換できます。先述の通り、電子名刺を交換する際はQRコードをスマートフォンやタブレットで読み取るか、自身の電子名刺に付与されるURLをメールに添付します。

    受け取った側は、スマートフォンのカメラ機能を利用したQRコードの読み取りやURLのアクセスにより先方の情報を閲覧できる状態になります。受け取った名刺情報は名刺管理アプリなどで管理できますが、名刺情報を交換するだけであればアプリをダウンロードしなくともオンライン上のサービスを利用して無料で名刺を作成し管理することも可能です。

    有償の電子名刺サービスはさらに機能が豊富で、既存のCRM(顧客管理システム)ツールを充実させる役割を担います。

    例えば、収集した情報をCRMと連携させることで、商談情報と顧客情報を連携させ、日々の営業活動を促進させることも可能です。

    CRMツールは顧客情報や活動記録が一箇所に集まっていればいるほど効果が発揮されます。そのため、重要な顧客情報を正確な電子データとして記録してCRMと連携させると、社内関係者がデータにアクセスできるようになるため、顧客への情報提供や営業アプローチに活かすことができます。また、データとして管理することで顧客の組織情報の把握も容易になり、円滑な業務推進が見込めるでしょう。
     

    電子名刺を活用する5つのメリット

    電子名刺を活用する5つのメリット

    電子名刺には以下5つのメリットがあります。

    1. 情報が可視化され属人性を排除できる
    2. 対面とオンラインの両方で交換できる
    3. 社内で効率的な情報共有ができる
    4. 名刺の作成コストが削減できる
    5. 入力の手間が省けミスが減る
       

    1. 情報が可視化され属人性を排除できる

    紙の名刺であれば、営業個人の机の引き出しに眠ったまま共有されずに活用もされずに残っているケースがありました。さらに、営業個人が自分だけのデータとして独自に管理し、名刺交換をした営業だけしか連絡先を知らないなど社内での情報共有が不十分なために不都合が生じることもありました。

    しかし、本来名刺は営業個人のものではなく、会社に帰属する大事な資産です。つまり、得られた情報を社内で共有することで、必要な際にすぐに活用できるようになります。また、別部署がデータを利用するなど寄り効率的な業務が行えます。

     

    2. 対面とオンライン双方で利用できる

    対面営業であれば、QRコードなどを通じ電子上で名刺交換ができます。オンラインであれば、メールにURLを添付できますし、例えば、Web会議の最中に背景画像にQRコードを配置し読み取ってもらったり、チャットでURLを送付するなどの交換方法もあります。

    その他、社外の人に対しWeb会議情報のURLをメールやカレンダーで送るときに同時に名刺情報もQRコードやURLで送ることもできます。このような場合はWeb会議以前に先方にプロフィールを伝えられるため、スムーズな会議進行を促進します。

    電子名刺の強みであるオンラインデータの性質があるからこそ、CRMやSFA(営業支援システム)の仕組みと連携でき、顧客情報の充実にも寄与します。

     

    3. 社内で効率的に情報共有できる

    紙の名刺は物理的に紙そのものがないと活用できません。しかし、電子名刺は情報がデータとして残ります。社内の共有資産として保存しておけば、システムやアプリ上から必要な時、誰でも閲覧ができるのです。

    ビジネスはスピードが大事ですが、「どんなときでも名刺を渡せるように」と紙の名刺を常に持ち歩くわけにもいきません。スマホで電子データとして管理できれば、五十音順で名刺を検索できますし、すぐに名刺情報の確認が必要なときにアクセスできます。顧客情報をすぐに確認できる環境自体が会社の組織としての強みになります。

    例えば、出先で商談担当の情報が必要なときや過去に名刺交換をしたことがあるお客様の情報、自社の社員と面識があるお客様かどうかを調べたいときなども、スマホやパソコンを通じて情報を確認できます。

    このように事前に先方の情報を調べておくことで、社内外を問わず関係を把握でき、商談や営業活動もスムーズに行えるメリットがあります。

    また、ビジネスは対会社として進められる性格も有しているため、自身だけでなく、上司や役員も取引先企業にアプローチしている場合も考えられます。

    仮に自分の交換した名刺しかない場合、営業アプローチには限界がありますし、誰が接触しているか判別がつきません。しかし、名刺情報が共有できている場合、既に上司や役員、同じチームの営業がキーマンにアプローチできていれば困難な商談の突破口としての情報を得られます。

    電子名刺のデータを社内共有すれば、データ統合、営業間、部門間のコミュニケーション活性化、営業強化、コンプライアンス強化といったメリットが得られます。これらのメリットを活用すれば、顧客のニーズや情報を事前に把握し、より価値の高いサービスの提供に繋がります。このような顧客体験の向上は、会社の成長にも寄与するでしょう。

     

    4. 名刺の作成コストを削減できる

    部署移動で役職が変わったときや、会社が変わった際など、名刺記載の情報が変更される場合、紙の名刺は都度新しい名刺を新しく刷らなければならないため、コストもかかってしまいます。

    また、製作までの日数も課題です。紙の名刺が出来上がるまでには「役職や名前の確認」「社内の担当者に申請」「印刷会社に依頼」「名刺を印刷」などの工程があり、早い場合でも1~2日はかかります。

    一方で、電子名刺は電子上で社員情報が管理できるため、役職が変わった場合はもちろん、部門名や会社名が変わっても関連する社員情報を更新することで瞬く間に名刺データを更新可能です。もちろん、新規の名刺データ作成もその場で行えます。

    また、名刺交換ができるアプリを活用する場合は保存されている情報が更新される都度、変更内容を名刺交換済みの先方に通知できる機能を有しているものもあるため、連絡の手間が省けます。さらに、紙の名刺であるような手持ちが切れてしまい、名刺交換ができないというやり取りも防げます。

     

    5. 入力の手間が省け、ミスが減る

    電子名刺の交換は、カメラを用いたQRコードのスキャン機能やURLの入力によって行えるため、名刺を登録する面倒な作業からも解放されます。

    紙の名刺の場合、住所、氏名、メールや電話番号を誰かが手入力する必要がありますが、手入力ミスが生じる可能性も大いにあります。

    QRコードの撮影やURLの入力であれば、保存されているデータ自体は確定しているため、入力の手間やミスの可能性も激減します。
     

    電子名刺を作成するには?

    電子名刺は個人、法人問わず作成できます。専用のアプリケーションソフトをダウンロードして電子名刺を作成するサービスや、PWAなどWeb上でアプリケーションソフト類似の機能を用いて発行できるサービスも広まっています。

    これらのサービスは、無料、有料とそれぞれに提供されています。

    例えば、「2bs」と呼ばれる名刺作成・管理ソフトの場合、無料の会員登録をした後、名刺作成に必要な情報を入力すればその場で電子名刺が発行されます。

    参考:2bs - Cloud Business Card

    個人で電子名刺を発行したい場合や電子名刺を試しに作りたい場合、コストを抑えたい場合はこのような無料のサービスを用いると良いでしょう。

    一方で、社内での情報共有を念頭に置いて既存のSFAツールとの連携や名刺情報の読み取り入力、データの保存などの機能を望むのであれば、有料サービスの導入を検討しましょう。

    例えば、Eightが提供している企業向けプレミアムサービスでは、社内での名刺データの共有や管理はもちろんのこと、オプションとしてHubSpotサービスと連携させることで名刺情報をもとにHubspot上のコンタクトを作成するなど業務の効率化を図れます。

    さらに名刺情報のリスト化を行うことで、マーケティングや営業活動の向上にも繋がります。

    参考:Eight 企業向けプレミアム | 社内の名刺を一括管理
     

    電子名刺は、TPOに応じて使い分ける

    新しい生活様式の広がりやリモートワークの促進により、電子名刺のニーズが高まってはいるものの、実際のビジネスシーンでは先方の様子や状況を踏まえて電子名刺を活用するかどうかを見極めることが求められます。つまり、 場面によっては電子名刺を使わない、という選択肢をすることもポイントになってきます。

    電子名刺は便利ですが、取引先も同様に電子名刺を使っているとは限りません。実際のビジネスの場でも、紙の名刺交換は引き続き行われていますし、デジタル化の進捗具合は会社によって異なります。このような背景を踏まえれば、先方が電子名刺を使っていない可能性も考えられるでしょう。

    今後、リモート化が進むと電子名刺の交換がより一般的になり活用シーンも増えてくると考えられます。

    しかし、取引先の会社情報や歴史、デジタル化の状況、年齢、考え方をできるだけ察知し、いつでも電子名刺と紙の名刺を使い分けられるような心持ちをして接することが先方への思いやりにつながります。

    なお、先方が電子名刺を使っていなかったとしても、Web上で名刺情報を送付できる方法があります。

    例えば、既に作成された電子名刺データへアクセスできるQRコードやURLの提示を行えば先方は電子名刺の情報を確認できます。紙の名刺を持ちあわせていない場合は、このような方法を用いてコミュニケーションを図りましょう。

    参考:進化する「オンライン名刺交換」…デジタル化で名刺文化はどう変わる?
     

    電子名刺を利用する際の注意点

    電子名刺を導入する際や実際にビジネスの場で利用される場合の注意点についてご紹介します。
     

    投資対効果を確認する

    有償の電子名刺アプリやサービスを使う場合は投資対効果を考えましょう。法人や部門単位で利用する場合は無料ツールでは機能が十分でない場合がありますが、一方で、コストがかかりすぎる可能性もあります。

    そこで、現時点で名刺をどのように管理しているか、以下のポイントを事前に理解して導入を検討してください。

    • 電子名刺を使わないことで具体的にどの程度の機会損失が生まれているか
    • 有料ツールを導入した場合の社内外におけるメリットは何か
    • 業務時間がどのくらい削減でき効率が上がるのか(既存の名刺が何万枚あり、手入力した場合の時間など)

    例えば、導入を検討する担当者は上記ポイントを踏まえ、電子名刺を活用することが自社において有用であるという試算をした上で承認者からの合意をとる必要があるでしょう。

    他方、電子名刺のサービスを使っていなくとも、社内で名刺を記録する際の運用ルールが決まっており、データの一元化が図られいつでも名刺を閲覧できる状態であるなど、導入メリットが少ない場合は無理に電子名刺を導入する必要はありません。

    電子名刺の活用により営業にプラスになったり顧客体験を向上させられるなどのメリットが出る可能性は高いですが、自社ならではの効果を試算したうえで導入を検討しましょう。

    参考:先進的な企業はすでに取り組んでいる、売上を上げるために必要な名刺のマーケティング活用とは? | 株式会社サンブリッジ
     

    名刺交換する際にもたつかないよう準備しておく

    電子名刺は「電子」とつく以上、スマホやタブレットなどのデジタルデバイスを経由して情報を交換します。紙の名刺であれば名刺交換のお作法を理解するだけで難なく名刺交換ができますが、電子デバイスの場合、エラーや操作ミスでスムーズに交換ができない可能性があります。

    新人研修で名刺交換の練習をする時のように、電子名刺の交換をスムーズにこなすために次の注意点を確認してください。

    • 先方に声がけをするタイミング
    • デバイスの充電が十分にあるか
    • 先方が紙の名刺しか持っていない場合の想定
    • 交換した後に名刺情報を難なく管理し活用できるか

    これらの動作を何度も確認することはもちろんですが、電子名刺が何かしらのトラブルで利用できない場合に備え、紙の名刺も携帯しておくなど万が一に備えての対策をしておきましょう。

    参考:流行りのデジタル名刺のメリット・デメリットを解説します – 名刺管理アプリ大全集
     

    電子名刺活用のメリットを享受し、より良い顧客体験を提供しよう

    リモート化による 非対面営業やITツールを導入する企業の増加、DXの導入など、ビジネスにおいてもデジタル化への対応が必須となっています。

    電子名刺はデジタル化施策の中でも効果を発揮しやすい手段の一つです。大事な顧客情報を営業の机に眠らせることなく電子データとして活用することで、ビジネスの可能性が大いに広がります。

    取得した情報を共有すれば、紙の名刺のような属人化を防げますし、営業やマーケティング活動がより効率的に行えます。その結果、顧客が求める情報を適宜提供しやすくなり、より良い顧客体験を提供できるでしょう。

    ただし、紙の名刺の交換も継続されている現状も考慮しておきましょう。使っていないことで先方が劣等感を抱くような状況は好ましくありません。

    名刺交換はあくまでコミュニケーションの一部分であり、先方に敬意を持って接し、良い関係を築いていくための大事な初手です。状況を見ながら、電子名刺を利用する柔軟さが求められます。

     

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    トピック: 名刺整理

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