顧客と結びつき企業の売り上げにつなげる役割を担う営業。これまでは、ほとんど無差別にテレアポしたり、相手をよく知らないまま飛び込み営業したりするなど「アウトバウンドセールス」が主流だった時代もありました。近年は、有益な情報で顧客を惹きつけ、購買につなげる「インバウンドセールス」という営業手法が主流になりつつあります。
本記事では、アウトバウンドセールスとインバウンドセールスの違いを解説。それぞれにどのような特徴があるのかを紹介します。
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営業のアプローチ手段は、「インバウンド」と「アウトバウンド」に分類される
営業は、大きく「インバウンドセールス」と「アウトバウンドセールス」に分類できます。
インバウンドセールスとは、顧客への情報提供をベースに、顧客のニーズに対して働きかけることで購買につなげるアプローチ方法を指します。一方、アウトバウンドセールスは、商品やサービスの魅力を積極的にアピールすることで購買につなげる営業手法を指します。最も大きな違いは、顧客を起点に考えているかどうかです。顧客のニーズを汲み取り、先に価値提供して興味を惹きつけるのがインバウンドであり、顧客のニーズとは関係なく自社をアピールするのがアウトバウンドと言えます。
当社HubSpotは、インバウンドセールスを推進する立場をとっています。よくやりがちなのは、「テレアポ=アウトバウンド」「セミナー=インバウンド」というように、アウトバウンド、インバウンドを手法ベースで分類してしまうことです。あくまで、顧客のニーズを汲み取り、価値提供することを優先することをインバウンドと呼ぶので、例えばテレアポであっても、アプローチ次第でアウトバウンドにもインバウンドにもなり得ます。自社や顧客の状況を考慮し、最適な手法を選定した上で、どうすればインバウンドなアプローチができるかを考えてみましょう。
営業手法の種類
ここから、主要な営業手法をご紹介します。
1. セミナー、展示会
セミナーや展示会は、リアルな場で顧客と交流し、次の営業ステップへとつなげる営業手法です。セミナーや展示会に参加する人々は、掲げられたテーマに興味を持っています。すでに具体的な商品やサービスに魅了を感じている人もいれば、「住宅リフォームがしたい」、「子育ての悩みを聞いて欲しい」など、ニーズを解決する商品やサービスを探している人もいるでしょう。そうした見込み客の個別のニーズに合わせて情報提供を行い、成約へと導く場がセミナーや展示会です。
メリット:対面でのやりとりを行うため、商品やサービスなどの実物を顧客に見せられます。また、興味をある程度持っている見込み客にアプローチできるため、ニーズや課題に対してより踏み込んだ提案が可能です。
デメリット:セミナーや展示会に参加するための費用が発生します。また、ターゲットも、セミナーや展示会に参加できる人に限定されます。近年ではオンラインセミナーなど、費用や場所の問題をクリアした新しい手法も注目されています。
2. Eメール
潜在顧客や見込み客のリストに対して、メールでアプローチする手法です。見込み客への興味喚起として購入のステップに導く効果が期待できます。また、すでに購入し顧客となっている対象者には、アフターフォローとしてメールマガジンを活用することで、顧客満足度を高め利用促進や更新へとつなげます。
メリット:見込み客を育成するのと同時に、既存顧客との関係性を構築するアプローチ手法としても利用できます。顧客の背景情報やアクションに合わせ、パーソナライズされたメッセージを送れます。
デメリット:パーソナライズせずに一斉送信していると開封率が低くなる傾向にあります。対象が興味を持つようなキャッチコピーの作成やパーソナライズ設計などの工夫が求められます。
3. 電話営業
顧客リストに対して電話を用いて商品をアピールしたり、訪問の約束を取り付けたりする手法です。
メリット:移動時間を必要としないため、効率的にアプローチできます。
デメリット:リスト作成の手間がかかります。チームで動く場合は、リストが重複しないような管理体制も必要です。
4. DM(ダイレクトメール)
商品やサービスを知らない顧客に対して、メールで情報発信をする営業手法です。近年では、SFAなどのツールを用いて潜在顧客や見込み客にパーソナライズしたメールを発信することも可能です。
メリット:広範囲のターゲットに向けて一度にアプローチ可能です。
デメリット:開封率を上げるためには、ターゲットの特性によってメールのタイトルを変更するといった工夫が求められます。
5. 飛び込み営業
アポイントメントがない状態で、営業担当がターゲットを直接訪問する手法です。担当地域を決めて回るといったスタイルが一般的です。
メリット:名刺や資料を渡して、対面で商品やサービスを知ってもらうチャンスがあります。
デメリット:移動時間や交通費がかかります。また、話を聞かずに断られるケースも多いです。
6. 手紙営業
顧客に手紙を送り、アプローチするスタイルです。古くからの既存顧客など、すでに関係性が構築されている場合に利用されます。
メリット:手紙の形式で定期的に連絡とることにより、顧客との信頼関係を醸成できます。
デメリット:直接的かつ短期的な受注にはつながりにくい側面があります。
各営業手法を実践する際の注意点
営業手法を実践する際は、以下のポイントに注意します。
どんな営業手法を実施する場合でも、インバウンドを意識する
インバウンドセールスを実施する場合は、顧客の心理状態に沿ったアプローチを行う必要があります。潜在顧客や見込み客に対して、画一的なセールスを行っていては、インバウンドセールスの効果は期待できません。
インバウンドセールスでは、相手のニーズを読み取ったうえでそれに応える情報を掲示することが重要です。そのためには、まずは顧客がどのようなフェーズにいるのかを知りましょう。「商品・サービスを認識したばかりでより詳しい情報を求めている」のか、それとも「すでに検討のステージに踏み込んでおり、課題解決に役立つ具体的なアプローチを求めている」のか。顧客の状態に合わせてパーソナライズされた対応を心掛けなければいけません。
ツールでリソースを最大限活用する
企業がコンスタントに新規顧客を獲得するには、展示会やメール、電話などフェーズに合わせて様々な営業手法を組み合わせていく必要があります。
しかし、複数の手法を駆使すると、誰が、どの顧客に、どのようなタイミングでアプローチしたのか、管理しきれなくなるケースも少なくありません。同一の見込み客に、別の営業担当者がほぼ同時期にアプローチしてしまったなど機会損失に繋がるようなミスを防ぐためにも、営業システムや顧客管理システムなどの管理ツールを活用しましょう。顧客のアプローチ状況を一元管理し、誰でも顧客情報を確認できる状態にしておけば、営業活動を最適化しやすくなるでしょう。
各営業手法を理解し、顧客への価値提供と売上向上に役立てよう
インバウンドセールスとアウトバウンドセールス、顧客からするとどちらのアプローチ方法が嬉しいでしょうか。ほとんどの方がインバウンドセールスだと考えるはずです。自分自身が営業される側のケースを考えてみるとより明らかになるでしょう。いきなり電話がかかってきて商品を押し売りされそうになったり、いきなり会社に訪問されて自分の意図とは関係なく商品を見せられたりしても、良い気分にはなりませんよね。このようなアウトバウンドなアプローチをとってしまっていないか、自身を振り返ってみましょう。
ただ、先述した通り、電話営業や飛び込み営業が全てアウトバウンドになるわけではありません。電話営業でも、相手を事前に調べ、どのようなニーズを持っているのかを理解した上でアプローチし、ニーズに応えられる情報を提供できれば、それはインバウンドセールスと言えます。飛び込み営業の場合でも、例えば暴風で看板が壊れてしまっている店舗に対し、看板屋が飛び込みで訪問して修理提案をすれば、相手の困りごとに応えることになるので、インバウンドセールスになり得ます。
繰り返しになりますが、どんな営業手法にしろ、どうすれば相手に価値提供できるかを常に考えながら実践しましょう。