ニューノーマル時代に求められる勤務形態に合わせるために、営業のアプローチ方法も「外勤から内勤に変わる」「内勤を一部取り入れる」というケースが増えています。
このように勤務形態が変わると、従来の営業活動を行ってもなかなか成果につながらないこともあるでしょう。しかし、営業活動の対象とアプローチ方法が変化しても、重視される営業スキルは変わりません。どのようなシーンでも重宝する、営業担当者として身につけておきたい営業スキルを身につけましょう。
本記事では、成果を上げられる営業担当者になるために必須の4つの営業スキルと習得方法を 内勤営業と外勤営業の違いをふまえつつ解説します。 ニューノーマル時代に切り替えられつつある内勤営業に、外勤営業の手法が通用せず不安を感じている営業担当者は、ぜひ参考にしてください。
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営業スキルは対象やアプローチ方法で異なる
営業スキルとは、営業担当者が成果を上げるために必要となるスキルです。営業とは、単純に製品やサービスを売ることではありません。 顧客のニーズや問題を探り出し、顧客ニーズの実現や問題・課題の解決のために製品やサービスを提案することが重要です。 そのため、必要かつ重視される営業スキルはセールスの対象とアプローチ方法によって異なってきます。
セールス対象での区別する場合、個人を対象とした個人営業(BtoC)と企業を対象とした法人営業(BtoB)とに分かれます。個人営業は即決力が高い一方で取り扱い金額が低い、法人営業は即決力が低い一方で取り扱い金額が高いという違いがあります。
営業のアプローチ方法での区別には、内勤営業(インサイドセールス)と外勤営業(フィールドセールス)があります。内勤営業は、「オフィスや自宅に居ながらできる」「自動化すれば効率よく営業活動が進められる」などの理由で、近年、拡大傾向にあります。外勤営業と内勤営業には共通する営業スキルがある一方で、異なるものもあります。そのため、内勤営業に切り替えた場合に、これまでと異なり新しく必要になる営業スキルもありますが、逆に重視されなくなる営業スキルもあります。
営業を円滑に進めるために、セールス対象とアプローチ方法に応じて、自らに必要な営業スキルを身につけて伸ばしていきましょう。
必要な4つの営業スキルとは?
それでは、営業担当者がより成果を上げるための基本的な4つの営業スキルについて詳しく解説します。
- ニーズを引き出すための「ヒアリング力」
- 解決のための提案ができる「課題解決力」
- 成約につながる「クロージング能力」
- 効率的な営業活動につながる「時間効率化能力」
1. ニーズを引き出すための「ヒアリング力」
営業の目的は、お客様の課題やニーズを探り、解決法を提案することです。そこで、営業スキルとしてお客様にセールストークをするためのトーク力ではなく、ヒアリング力が求められます。
ヒアリング力とは、お客様の課題やニーズを引きだすために、話を丁寧に聴き、理解するスキルを意味します。ただ話を聴くだけではなく、「適度に相槌を打つ」「相手が答えやすい質問をする」などのコミュニケーションも、ヒアリング力に含まれます。
ヒアリング力を高めるには?
ヒアリング力を高めるためには、以下の3点を心がけましょう。
・5W2Hの7つの要素を意識する
5W2H「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)、いくら(How much)」の7つの要素を意識しましょう。
自分が話すとき、相手の話を聞くときに、これら7つの要素を意識すると、相手が話のなかで求めているポイントを理解できるようになります。
・自分の知識や考えを増やす
相手の課題やニーズを引き出すために有効な質問をするには、自分の知識や考えをできる限り増やしておくことも重要です。本を読むなどして情報を仕入れて、知識や考えを蓄積しましょう。情報量が増えれば、適切な質問を投げかけられるだけでなく、相手の話を分析し理解することにも役立ちます。
・振り返りを習慣づける
営業活動ごとに振り返りをしておくのも、ヒアリング力を高めるために有効です。新鮮な感覚が残っているうちに振り返りをすることで、より鮮明にお客様の反応や声を想像できます。相手の心理の推測に役立つでしょう。
対面ではないテレアポなどのインサイドセールスでは、相手の表情や態度などからニーズや課題が読み取れません。そこで、特に、ヒアリング力を高めておくことが有効です。
2. 解決のための提案ができる「課題解決力」
お客様の潜在的なニーズや課題を発掘したあと、解決のためのさまざまな提案ができる営業スキルが「課題解決力」です。同じ製品やサービスを取り扱っている場合でも、対象が個人と法人では持っているニーズや課題が異なります。課題解決力が高い営業担当者は、お客様に合わせた提案ができます。
課題解決力を高めるには?
課題解決力を高めるためには、以下の2つの方法が有効です。
・自社および顧客の製品やサービスに対する知識を持っておく
課題解決力を高めるには、前提として自社および顧客の製品やサービスに対する十分な知識を持たなければなりません。十分な知識があれば、裏付けのある提案ができます。
・ヒアリング力を高めておく
課題解決力を発揮するには課題の発見が前提となるため、ヒアリング力を合わせて高めておきましょう。顧客の情報や商材研究など事前準備をしっかりしておくと、お客様への的確な質問の投げかけや提案にもつながります。
3. 成約につながる「クロージング能力」
商談の最終段階ではクロージングの成功が製品やサービスの成約につながります。クロージングの成功につながる営業スキルとは、言い換えると、適切なタイミングでお客様の背中を押せるクロージング能力です。ほかの営業スキルを身につけていても、クロージング能力がない営業担当者は成約につなげられません。
「クロージングのタイミングを見極められる」「クロージングのテクニックを身につけている」「ときには顧客の背中も押せる」スキルを身につけ成約に繋げていきましょう。
クロージング能力を高めるには?
クロージング力を高めるのに有効な方法は以下の2つです。
・クロージングのテクニックを身につける
クロージング能力を高めるには、以下のようなクロージングテクニックを身につけましょう。
・テストクロージング
テストクロージングとは、少しずつお客様に成約の意思があるのかを少しずつ確認しつつ、小さな同意を積み重ねてつみかさねていくテクニックです。相手が同意するタイミングを把握できるので、適切なところでクロージングに持ち込めます。
・正しい相場観を伝える
お客様の相場観を把握しつつ、正しい相場観が伝わるように働きかけるのも有効です。
・幅広い選択肢を与える
「買う・買わない」ではなく幅広い選択肢をお客様に与えるのもよいでしょう。
・沈黙には沈黙を
お客様の沈黙は、迷っていたり考えていたりするタイミングです。無理に話を挟まず、お客様が自分の考えを消化できるまで待ちましょう。
・ペースを合わせる
相手のことを考えない一方的な提案では、お客様に拒否的な感情を植え付けてしまいます。営業では、自分の伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、お客様のペースに合わせて商談を展開し満足度を高めましょう。
・情報収集能力、交渉能力を上げる
クロージング力を高めるためには、前提条件として、情報収集能力と交渉能力を上げる必要もあります。たとえば、見込み客や企業の属する業界の最新情報をあらかじめ取り入れておくと、スムーズな商談への導入につながります。
電話やオンライン上で商談をするため、感情がお互いに伝わりにくい内勤営業でも情報収集力は有効なスキルです。
また、読書やトップセールスとの情報共有による知識吸収も、交渉能力のアップに役立ちます。
4. 効率的な営業活動につながる「時間効率化能力」
営業活動を無駄なく進めるためには、時間管理が大切です。特に、 外勤営業では時間管理をしにくいのではないでしょうか。日中は外回り、帰社後は事務作業や雑務をする方も多く、残業が発生しやすくなります。時間管理を行い業務を効率化すると残業を防げるだけでなく、空いた時間を相手先企業に関する情報収集や商談の機会に充てられるため、成約件数の向上に繋げられます。
時間効率化能力を高めるには?
時間効率化能力を高めるために有効な3つの方法は以下の通りです。
・すきま時間を活用する
すきま時間を活用する意識を持ちましょう。外勤営業ならモバイルデバイスを持って、移動時間などにメールチェックや書類作成を少しでも進めておくようにします。外勤営業よりも取り扱うお客様の範囲やや営業の機会が多い内勤営業は、スケジューリングや優先順位を付けて進めましょう。
・セルフマネジメントをする
セルフマネジメントも、時間効率化に有効です。自分の持っているタスク量やひとつのタスクに対してどのくらいの時間がかかるかを把握すると、無駄な部分が見えてきます。セルフマネジメントをすると、どの業務にどのくらいの時間が必要なのかが分かるため、無駄を省いて時間の効率化ができます。
・営業ツールを導入する
営業ツールの導入も時間効率化に有効です。営業ツールは、セールス対象やアプローチ方法に合わせたものを導入しましょう。
営業ツールは自社で使用している他のツールと連携できるものを選びましょう。実際に使ってみると、ほかの機能が欲しくなる可能性があります。連携ができないと、機能ごとに異なるツールを都度導入しなければいけません。ツールが複数あるとそれぞれにログインの手間や、コストがかかるなどのデメリットが発生してしまいます。あらかじめ連携できる営業ツールなら、欲しい機能のみを効率よく、コストもおさえつつ追加できます。
営業スキル向上で得られる3つのメリット
営業スキルを向上させることで以下の3つのメリットが得られます。
- 取引の成約件数の増加
- 営業プロセスの効率化
- 顧客満足度の向上
取引の成約件数の増加
営業スキルの高さは成約件数に繋がります。営業スキルの高い営業担当者は、お客様のニーズを引きだし課題解決ができるため自然と成約に至ります。その結果、自社の売り上げ増加にもつながります。
営業プロセスの効率化
営業スキルの向上は、成約に直接的に繋がる物に限らず、商談の時間が短くなる、すきま時間を活用できるなど営業プロセスの効率化も図れます。また、適切なタイミングでクロージングできるため、商談時間が短くなり、顧客満足度も上がるため成約数も増えていきます。
営業スキルを上げて営業プロセスを効率化すれば、生産性の向上や時間外労働の是正などのメリットにも繋がります。
顧客満足度の向上
営業スキルの高い営業パーソンは、お客様の問題解決のための提案を的確に行えます。成約件数が増えるだけでなく、自社にとっての長期的な顧客獲得や、顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。
ここでご紹介した「営業スキル向上で得られる3つのメリット」はHubSpotが実施した調査「 State of Inbound Report 」2018年版(英語)でも、営業部門とマーケティング部門を持つ企業が「営業部門にとっての最優先事項」として挙げています。顧客満足度を高めるためには、まずは顧客を知る必要があります。顧客理解を深めるためには、顧客情報を一元管理できるCRMが欠かせません。
HubSpotは、無料のCRMツールを中心に、マーケティング・営業・カスタマーサービスの3部門がスムーズに連携し、顧客への提供価値を高めるためのツール群を提供しています。
営業スキルを発揮するための3つのポイント
営業スキルを向上させても、実際の商談など、営業の場で発揮させないと成約にはつながりません。発揮できる環境や取り組みを行うために、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 営業戦略の立案
- 営業手法を確立
- 営業支援の取り入れ
1. 営業戦略の立案
営業戦略とは、営業活動の生産性を高めるために重要な戦略です。たとえばマーケティング部門による見込み顧客の洗い出しなどを行うと、あらかじめ成約率の高いお客様にのみアプローチできるようになります。成約件数を増やすためにも売り手側ではなく、買い手側の立場に立った営業戦略を立てましょう。
2. 営業手法を確立
営業手法を確立させると、強い営業組織作りができます。自社製品やサービス、セールス対象やアプローチ方法に合った営業手法を取り入れましょう。
代表的な営業手法は以下の通りです。
・ソリューションセリング
見込み客に合わせたソリューションへカスタマイズし、提供する営業手法です。営業担当者がアプローチする前に見込み客自身が商材のリサーチを十分行っている、または知識や情報を入手している前提で有効です。
・インバウンドセリング
営業担当者がコンサルタントとして見込み客とコミュニケーションを取り、顧客の課題を解決していく営業手法です。「プロスペクト(見込み客)の特定」「関係の構築」「課題の分析」「アドバイスの提供」という4つのアクションで進められます。
・SPIN営業術
お客様への質問を通じた営業手法です。SPINと呼ばれる「状況(Situation)」「問題(Problem)」「示唆(Implication)」「解決(Need-Payoff)」の4つで構成された質問を投げかけます。見込み客の課題の発見と、信頼関係の構築につながります。
・N.E.A.T.セリング
N.E.A.T.とは見込み客の選別と、取引進行に使用するフレームワークです。「ニーズ(Need)」「財政面での影響(Economics)」「意思決定者へ働きかけ(Access)」「タイムライン(Timeline)」を指します。
・コンセプチュアルセリング
「顧客は製品やサービスの購入だけではなく、製品やサービスが実現する解決策を購入する」という考え方による営業手法です。見込み客が製品に求めるコンセプトを明らかにしながら、顧客の意思決定プロセスの理解につなげます。
・SNAPセリング
4つの原則「keep it Simple(常にシンプルに)」「be iNvaluable(唯一無二の存在に)」「always Align(常に足並みをそろえて)」「raise Priorities(優先度を高める)」に沿った営業手法です。
・チャレンジャーセールス
「指導」「調整」「支配」というプロセスを踏む営業手法です。営業担当者は見込み客を指導、見込み客に合ったコミュニケーション調整、交渉を支配します。
営業支援の取り入れ
営業支援とは営業担当者の業務を効率化し、生産性の向上につなげる方法です。
営業支援が成約までのプロセスと営業活動を分解して可視化するので、どのプロセスを効率化できるかが分かります。結果として、営業担当者は売り上げや成約につながるコア業務に集中できるようになります。
営業スキル向上の第一歩は、顧客理解から始まる
営業担当者として成果を上げるためには、営業スキルを身につけ常に向上させるのが重要です。ただし、営業の対象とアプローチ方法によって、重視すべき営業スキルは異なるため注意しましょう。
例えば、近年、内勤営業の導入機会が増えるようになり外勤営業で必要とされてきた長時間に渡る外回りの体力や、幅広いお客様に飛び込み営業をする根気や勘などは営業スキルとしては重視されなくなりました。
一方で、お客様の課題やニーズを発見するヒアリング力や、課題を解決して成約に結びつける課題解決力は、営業スタイルがどのようなものでも重視して身に着けるべきスキルです。
営業力を高めるためにも、まずは顧客を理解する力を養いましょう。スキルだけでなく、CRMやSFA導入など顧客理解を深めやすくする環境の整備も重要です。営業手法や環境を確立すれば、より効率的に業務が行えます。
営業スキルの向上は、自社の利益や自分自身のインセンティブにつながるだけでなく、何より顧客に提供できる価値を高めます。顧客・自社・自分自身全てに利益を提供できる一流の営業担当者を目指してスキルを磨いていきましょう。