📋 この記事の要点
- AI時代におけるカスタマーサービスの利用者の変化は、「自己解決の増加」「問い合わせの高度化・複雑化」「個別化の期待」の3点
- 一般的な回答よりも「文脈理解」に基づくパーソナライズされた対応が期待されるようになった
- 大量処理はAIに委ね、人は付加価値の高い課題解決や共感対応に集中する役割分担が鍵
- CRMとAIエージェントの連携が、一人ひとりの文脈を踏まえた個別対応の基盤となる
- AIを「効率化」の手段ではなく「人にしかできない価値」を創出するための基盤として再定義する
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AI検索の普及により、顧客が問い合わせ前に自分で解決を試みる行動が増加しています。これに伴い、カスタマーサービス部門には従来の定型対応では応えきれない、より高度な役割が求められるようになりました。
本記事では、AI時代における顧客行動の変化と、カスタマーサービス部門が新たに担うべき役割や具体的な実践アプローチを解説します。
カスタマーサービスに 関する意識・実態調査2026
2026年におけるカスタマーサクセスの現場の実態と変化の兆しを、データから読み解きましょう。
- 生成AIの活用度と業務改善効果
- AI活用支援の有無によるCS担当者の業務満足度
- AIと人間の理想的な分業モデル
- 「人間に対応してほしい」と感じる場面とは
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カスタマーサービス部門が直面する、顧客行動3つの変化
AI検索ツールの普及にともない、顧客がカスタマーサービスに求める内容や接触のタイミングが大きく変わってきました。ここでは、カスタマーサービス部門が押さえておきたい代表的な3つの変化を整理します。
AI検索による「自己解決」の増加
AI検索ツールの普及により、顧客は問い合わせをする前にChatGPTやGemini、AI Overviewsなどで自己解決を試みるようになりました。
実際に、HubSpotが実施した2026年のカスタマーサービスに関する意識・実態調査では、BtoBの買い手の54.4%が問題解決の手段として生成AIを活用していると回答しており、検索エンジンやFAQに次ぐ第3の主要な選択肢としてAIが定着しつつあることがわかります。

顧客は複数の手段を組み合わせて情報を集める行動へと移行しており、有人窓口に届く時点ではすでに「FAQやAIで得た一般的な回答」を踏まえた上で接触してくるケースも多く見られます。カスタマーサービス部門に求められるのは、ネット上の情報だけでは自己解決できなかった質問への対応力です。
高度化・複雑化する問い合わせ内容
簡単な疑問がAIやFAQで自己解決されるようになった結果、有人窓口に到達する問い合わせの構成比は「AIでは解決できなかった内容」に偏ってきています。
HubSpotの同調査では、人間に対応してほしい場面として「自分の状況に合わせた柔軟な対応が必要なとき」「複雑な技術的トラブルを解決したいとき」の2つがそれぞれ47.1%、45.6%で上位に挙げられました。

有人窓口に求められているのは単なるマニュアル通りの案内ではありません。製品の仕様に関する深い考察や、企業の業務フローに合わせた技術的なトラブルシューティングなど、一次対応の段階から製品知識に加え、業界知識や顧客固有の文脈理解までが求められるようになっています。
一般的な回答より「個別化」を期待
顧客は日常的に、ECサイトの推奨機能やSNSのレコメンドといった個別化された体験に触れており、自分向けに最適化された提案を受けることが当たり前となっています。そのため、カスタマーサービスに対しても、「AIや他サービスと同等以上の、自分の状況に最適化された回答」を求める傾向が強まっています。
例えば、 「A様は以前、設定変更の手順でエラーが発生して困っていた経緯がある。だから今回は、その際の手順でのつまずきを未然に防ぐために、最新の操作ガイドとトラブルシューティングのリンクをセットで案内すると良さそうだ」 のように、過去の経緯や文脈を踏まえて回答することで、単なる疑問解決にとどまらず、顧客の本質的な課題解決につながります。
AI時代のカスタマーサービスに求められる役割
顧客行動の変化を受けて、カスタマーサービス部門が担うべき役割も再定義が進んでいます。求められる方向性を3つの観点から見ていきましょう。
「大量処理」から「個別対応」への転換
カスタマーサービス部門のKPIは、「対応件数」のような量的指標から「個別化された解決の質」へと変化しています。大量の問い合わせの一次処理はAIに委ね、人は付加価値の高い対応へ集中する流れが定着しつつあるのです。
この転換を支える基盤となるのが、CRMとAIの連携です。CRM上の顧客データをAIが文脈として参照することで、定型対応に終始しない「個別化された応答」が可能になります。
顧客接点全体での一貫した体験設計
一貫した体験を顧客へ届けるためには、カスタマーサービス部門単独での改善ではなく、マーケティング・営業を含めた全社的な顧客情報の統合が欠かせません。部門間で情報が分断されると、顧客は同じ説明を何度も繰り返すことになり、満足度を大きく損なってしまいます。CRM等の基盤を通じて全社で顧客データを統合し、部門をまたいでも一貫した文脈で対応できる体制を整えることが、顧客のストレス解消と信頼構築につながります。
また、カスタマーサービスがカスタマージャーニーのあらゆる段階に能動的に関与することも重要です。TOFU(課題認知)からBOFU(意思決定)までの各フェーズにおいて、顧客がその時々に必要な情報を自ら得られるよう、ナレッジベースやサポートコンテンツを通じて自己解決を支援しましょう。単なる窓口対応にとどまらず、顧客の購買・利用プロセス全体に伴走し、各フェーズに合わせた最適な情報提供を行うことで、一貫した支援体験が実現します。
AIと人の役割分担と「高度な課題解決」への集中
AIが一次対応・文脈把握・基本的な提案を担い、人は判断と共感に集中する分業が望ましい形です。感情的なケアや複雑な意思決定支援は、依然として人にしかできない領域として残ります。
HubSpotの調査では、「カスタマーサービスをAIが対応すること」について、約7割の方が「積極的に活用したい」「場面によっては利用したい」と回答しました。まだまだ「人間に対応してほしい」という意見もあるものの、約16%と少数に留まっています。

AIを活用しながら、人にしかできない領域に集中する分業が定着すれば、担当者の業務満足度と専門性も向上し、結果として顧客体験の質の底上げにもつながるでしょう。
AI時代のカスタマーサービス部門が取り組むべき5つの実践アプローチ
ここからは、AI時代のカスタマーサービス部門で実装が進んでいる代表的な5つのアプローチを整理します。
| 施策 | 主な役割 | 期待効果 |
|---|---|---|
|
AIチャットボット |
一次対応の自動化 |
24時間対応・対応件数の処理能力向上 |
|
エージェントアシスト |
オペレーター支援 |
応対品質の均質化・新人教育の効率化 |
|
応対履歴の自動要約 |
ナレッジ蓄積 |
属人化解消・組織知化の促進 |
|
顧客感情の分析 |
応対品質の改善 |
エスカレーション判定・離脱予兆検知 |
|
CRM連携AIエージェント |
パーソナライズ対応 |
文脈理解にもとづく個別化対応の実現 |
AIチャットボットによる一次対応の自動化
簡易な問い合わせをAIが自動で処理し、有人対応を複雑な案件に集中させる仕組みは、AI時代のカスタマーサービスの基本構造になります。24時間365日の対応体制を構築でき、顧客の待ち時間を削減できる点が大きな利点です。
一方で、設計の甘さから「解決率が上がらず結局有人窓口に流れる」課題を抱える例も少なくありません。応答精度を高めるには、公開FAQだけでなく、社内マニュアルや過去の問い合わせパターンまで学習ソースを広げる方法が有効です。また、AIに固執せず、感情の悪化や同じ質問の繰り返しを検知して人へバトンを渡す設計も欠かせません。導入そのものよりも、運用設計と継続的な改善サイクルが成果を左右します。
エージェントアシストによるオペレーター支援
AIが、応対中のオペレーターにリアルタイムで参考情報や回答候補を提示する仕組みです。過去の類似ケースから最適解を瞬時に引き出せるため、オペレーターは情報検索ではなく対話と判断に集中できる環境が整います。
育成期間中の新人でも、ベテランに近い品質で応対できるようになる効果もあり、サポート体制の拡大と品質維持を両立できる手段といえます。カスタマーサービス部門の人的ボトルネックを和らげる現実的な選択肢の1つです。
応対履歴の自動要約とナレッジ化
通話やチャットの履歴をAIが自動で要約してCRMに記録する仕組みは、属人化したナレッジを組織知として蓄積するうえで効果的です。担当者個人に依存していたノウハウが体系的に整理されることで、後続の問い合わせ対応や、製品改善・サービス改善のヒントとしても活用できます。
ただし、要約品質には精度のばらつきが生じやすいため、検証フローを並行して整備する必要があります。カスタマーサービスが扱うデータは、本来は組織全体にとって価値のある資産です。要約とナレッジ化、検証の仕組みが整えば、カスタマーサービスの知見をマーケティングや営業にも還元できる流れが生まれるでしょう。
顧客感情の分析と応対品質の改善
通話やチャットのトーン・表現から、AIが感情の変化を検出し、応対品質の改善に活かす仕組みです。不満度が高まったタイミングで上位エスカレーションを自動提案するため、対応の遅れによる顧客満足度の低下を防げます。さらに、解約予兆や離脱リスクの早期発見にも活用できるため、カスタマーサービスが顧客維持に貢献する経路が明確になります。
感情データはCRMと連動させることで、単発の応対品質改善にとどまらず、長期的な関係構築に活かすことも可能です。応対の質を「主観」で判断するのではなく、データで補完していくアプローチは、カスタマーサービスの意思決定をより透明性のあるものへと変えていくでしょう。
CRMと連携したAIエージェントによるパーソナライズ対応
CRMと連携したAIエージェントは、顧客データを文脈として参照しながら、一人ひとりに最適化された応答と業務処理を自動で実行します。顧客の契約状況・問い合わせ履歴・利用状況をCRM上のデータとして参照し、文脈を踏まえた応答を生成する仕組みです。
例えば、ECサイトで過去に購入した商品の保証期間や注文履歴をAIが把握し、その情報をもとに最適な回答や次のアクションを提示する、などです。チャットボットによる質問への回答にとどまらず、メールの返信下書き・優先度判定・次アクションの提案など、対応プロセス全体を自律的に処理します。
HubSpotが提案するAI時代のカスタマーサービス
HubSpotでは、AI時代のカスタマーサービスを支える基盤として、CRMと統合された製品群を提供しています。代表的な2つのソリューションをご紹介します。
「Service Hub」で実現する一元化されたカスタマーサービス基盤

Service Hubは、AIを活用したカスタマーサービスソフトウェアです。ヘルプデスク・チケット管理・ナレッジベース・顧客フィードバックの収集までを一元的に運用できます。
HubSpotの強みは、CRMと完全に統合されている点です。マーケティングや営業との間で顧客情報が分断されることなく、顧客接点全体での一貫した体験設計を、追加の連携作業なしに実現できます。ヘルプデスクワークスペースでは、AIによる自動割り当てや専用画面の活用により、対応の効率化と顧客満足度の維持を両立可能です。
成長企業から大企業まで、規模に応じて柔軟に拡張できる設計となっており、無料ツールから始められる点も特長です。
【Service Hubでできることの具体例】
- ヘルプデスクとチケット管理(統合型CRM):複数チャネルからの問い合わせを一つのシステムに集約。マーケティングや営業のデータ(履歴や取引ステージなど)も一元管理・共有できるため、一貫した顧客対応が可能
- ナレッジベース:ヘルプ資料を提供して顧客の自己解決を促進し、問い合わせ件数を削減
- カスタマーサクセスワークスペース:担当顧客リストの管理、独自の顧客健全性スコアの設定、タスクの優先度付けなど、顧客維持や定着に必要な作業をまとめて行える
- 顧客フィードバックの管理:NPS(顧客ロイヤルティー指標)やCSAT(顧客満足度指標)といったカスタマイズ可能なアンケートを実施し、顧客の本音を把握できる
- カスタマーサービスアナリティクス:標準搭載のリアルタイムレポートにより、サポートチームのパフォーマンスや顧客満足度をリアルタイムで測定・分析できる
「顧客対応エージェント」で文脈を理解した自動応答を実現

顧客対応エージェントは、CRMデータと連動し、顧客の文脈を理解した応答を自動生成するAIエージェントです。一次対応の自動化に加え、人へのエスカレーション判定までを同時に担います。過去のやり取り・契約状況・利用履歴を踏まえたパーソナライズが可能なため、顧客は「自分のための回答」を24時間体制で受け取れます。
承認済みのコンテンツのみを利用し、引用元を明示しながら回答する仕組みにより、回答の信頼性を担保。人間の担当者は感情的ケアや高度な課題解決に集中できる環境が整い、結果としてカスタマーサービス全体の品質向上にもつながります。Service HubのProfessional・Enterpriseエディションに含まれており、コーディング不要で短期間に導入できる点も特長です。
【顧客対応エージェントでできることの具体例】
- 24時間365日のマルチチャネル対応:Eメールやウェブチャットをはじめ、ボイスメッセージ、SNSに至るまで、顧客が普段利用しているチャネルでの問い合わせに自動応答
- CRMの履歴に基づいた文脈に沿う個別回答:CRMに蓄積された顧客の過去の対応履歴や文脈を理解し、自然でパーソナライズされた回答を生成
- 有人担当者への最適な自動引き継ぎ:エージェントが自分で解決できない複雑な質問や、人間の温かみある対応が必要なデリケートな場面を自動で判断し、最適なサポート担当者へシームレスに会話を転送・引き継ぎ
- ノンコーディングでの迅速なナレッジ学習:自社のWebサイト、既存のナレッジベース、PDF、社内ドキュメントなどのデータ取り込みにより、自社の情報に基づいた正確な回答エンジンを数分で構築
AI時代のカスタマーサービスは「文脈理解」と「役割分担」が成果の分岐点になる
AI時代のカスタマーサービスを考えるうえで重要なのは、AIを「単なる効率化ツール」としてではなく、「人にしかできない価値を創出するための基盤」として捉える発想です。
ここで鍵を握るのが「文脈(コンテキスト)」です。
HubSpotでは、AIから真の成果を引き出すには、過去の出来事を示す「データ」だけでなく、それが何を意味し、次に何をすべきかという「背景」をAIが理解できる環境が欠かせないと考えています。AIが文脈を把握できていれば、顧客は毎回イチから事情を説明する手間から解放されます。その結果、顧客は抱えている問題をスムーズに解決でき、より納得感の高いサポート体験を得られるようになるでしょう。
今の顧客は、AIから一般的な回答を得たうえで接触するケースが増えています。これからのカスタマーサービスに求められるのは、単なる情報の提供ではなく、文脈に沿った個別の提案です。「文脈理解」の質と、AIと人の「役割分担」の設計こそが、カスタマーサービス部門の競争力を決める分岐点になるでしょう。
HubSpotのService Hubや顧客対応エージェントは、CRMを基盤にした「文脈理解」で、こうした課題を解決します。定型対応の効率化にとどまらず、顧客の過去の履歴や契約状況という「文脈」を踏まえたサポートを実現することで、顧客満足度とチームの生産性を両立できます。ぜひ、AI時代の新しいサービス体験を作る土台としてお役立てください。
AI時代のカスタマーサービスに関するよくある質問
AIチャットボットを導入すれば、有人窓口は不要になりますか?
不要にはなりません。AIは一次対応や定型処理を担いますが、感情的なケアや複雑な意思決定支援は人にしかできない領域として残ります。両者の役割分担を前提に体制を設計することが、AI時代のカスタマーサービスの基本となります。
CRMがまだ整備されていない状態でも、AIエージェントは活用できますか?
限定的な範囲では活用可能ですが、本来の価値である「文脈理解にもとづく個別対応」はCRM整備が前提となります。先にCRM基盤を整えるか、CRM機能を内包したツールの導入を検討するのが現実的です。
AI時代のカスタマーサービス部門のKPIは、従来とどう変わりますか?
対応件数や処理時間といった量的指標から、解決の質・顧客満足度・LTV向上といった成果指標へシフトします。AIが処理量を担保する分、人の対応はより質的な指標で評価される設計が望ましいといえます。
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