ランディングページ(LP)改善は、ユーザーのニーズに合わせてLPを最適化する施策です。LPO(Landing Page Optimization)とも呼ばれます。
もし、運用中のLPで思うような成果が出ていない場合には、課題を見極めたうえで改善に取り組みましょう。
本記事では、LP改善の具体的な方法や手順、注意点までを詳しく紹介しています。コンバージョン率の向上を目指しているWeb担当者やマーケターの方はぜひ参考にしてください。
ユーザーのニーズと行動は、トレンドや競合の状況によって変化します。そのため、LPは公開した後もユーザーの行動や反応に応じて継続的に改善していくことが大切です。
LPを適切に改善することで得られる効果には次のようなものがあります。
また、LPの制作時点では、構成やコピーは仮説に基づいて検討されることがほとんどです。公開後に得られた事実を分析して、デザイン・構成・キャッチコピーなどの要素を改善し続けることで、LPの効果を最大化できます。
LPに次のような課題を感じたら、改善を検討するタイミングといえます。
こうした問題を解消し、より良いLPを作るための方法を次の章で詳しく解説していきます。
LPを構成する要素ごとに改善のヒントを紹介します。
ファーストビュー(FV)は、ユーザーがLPにアクセスしたとき最初に目に入る画面領域を指します。LPの印象を決定する重要な要素です。ファーストビューには次のような改善方法があります。
ファーストビューに表示されるメイン画像は、ユーザーがLPに抱く第一印象を大きく左右します。商品やサービスの特徴を視覚的に伝えるために、高解像度かつターゲットに訴求するビジュアルを選定しましょう。
ユーザーの理想の姿や、サービスの提供により得られる変化・体験を表現して、ユーザーが直感的にベネフィットを理解できる画像が理想です。
キャッチコピーはユーザーの興味を引き、コンテンツを読み進めてもらうための重要な要素です。「最短〇分で完了」「業界初」などの具体性を持たせることで、理解しやすく心に残る表現になります。
ユーザーのニーズや悩みの解決につながることがイメージできる言葉選びを意識しましょう。
すでに成果が出ている広告やSNS投稿がある場合、そのバナーやビジュアル・コピーはLPに活用しても高い効果を期待できます。ユーザーからの反応率が高いということは、そのクリエイティブがユーザーのベネフィットを魅力的に表現していると考えられるためです。
同じ画像を使用する、使われているキーワードやフレーズを流用するなど、効果が実証されている要素を積極的に活用しましょう。
ユーザーに第一印象から「このサービスは自分のためのものだ」と感じてもらうことは、サービスへの強い関心や後のコンテンツへの期待感につながります。そのためには、ユーザーの具体的な課題や状況に寄り添うことが重要です。例えば、ターゲットを明言したり、ペルソナと近い属性のモデルの画像を使用したりすると、ユーザーの共感を呼びやすくなります。
広告で訴求している内容とLP内のメッセージに齟齬があると、ユーザーの不信感や離脱を招く原因となります。広告のキャッチコピーやデザインとLPの内容を一致させることで、ユーザーに違和感を与えず、自然な流れでページを読み進めてもらうことが可能です。
特に、「広告はクリックされているのにCVにつながらない」というケースでは、広告とLPの一貫性がないか低い可能性を疑いましょう。
CTAボタンは、ユーザーにアクションを促すための要素です。CTAボタンのクリック率が低い場合には次のような改善方法があります。
CTAボタンの色や形は、クリック率に大きく影響します。ボタンだと認識してもらえるよう、ブランドカラーとバランスよくコントラストをつけて視認性を高めるなどの工夫を行いましょう。
立体感やアニメーションを取り入れて目立たせる工夫も効果的です。
CTAボタンは、ユーザーの行動導線を考慮して設計する必要があります。
ファーストビュー内やページの最後に設置するのが一般的ですが、加えてサービス説明や口コミといった態度変容が起こりやすいセクションにも配置するのがおすすめです。
CTAボタンのコピーには、ユーザーの心理に合わせてクリックを促す表現を使用しましょう。「今すぐ無料で始める」「資料をダウンロード」など、具体的かつメリットが伝わる文言にすることで、迷わずクリックされやすくなります。設置箇所の文脈によってコピーを使い分けるのも有効です。
「先着100名限定」や「今月末まで」などの期間・数量の限定表現は、ユーザーに今すぐ行動する動機を与えます。CTAボタン付近に限定表現を含むコピーを配置することで、迷っているユーザーの背中を押すことができます。コピーには明確な数字を提示すると効果的です。
ただし、不安を煽るようなコピーは逆効果となる可能性があるので注意しましょう。ネガティブな表現を多用せず、ユーザーの前向きな行動を促すことが大切です。
CTAのコピーやデザインをより効果的なものにする方法を詳しく知りたい方のために、無料の資料もご用意しています。CTA改善のチェックリストもありますのでぜひご活用ください。
LPのメインであるコンテンツには、多くの改善要素があります。特にLPの離脱率が高い場合には、コンテンツの見直しを重点的に行いましょう。
ユーザーがスムーズに情報を得て、納得してコンバージョンするためには、適切な構成が重要です。重要な情報をLPの前半に配置してユーザーの関心を引きつけ、ユーザーの思考や心理に沿って疑問や不安を解消することでアクションを促しましょう。
LPの基本的な構成は、こちらの記事で詳しく解説しています。
LPの最適な長さは、ユーザーの検討段階や商品・サービスに応じて変わります。情報が多すぎると読み疲れて離脱され、少なすぎると説得力に欠けるため、要点を押さえた適切な情報量にすることが大切です。
適切なLPの長さを知るためには、A/Bテストやヒートマップ分析を活用しましょう。
導入企業数・受賞歴・掲載メディアなどの実績を掲載することで信頼性を示し、ユーザーの安心感を与えられます。改善前のLPに具体的な内容が記載されていない場合は、ぜひ追記しましょう。
王冠やメダルなどの視覚的にわかりやすいロゴや受賞マークを使用することで、さらにコンバージョンにつながりやすくなります。
実際の利用者の声は、新規ユーザーの不安を和らげ、商品やサービスを使用するメリットを分かりやすく伝える効果があります。「〇〇で助かった」「〇〇に優れている」といった具体的な感想を掲載しましょう。可能であれば、肉筆のメッセージや写真、プロフィールなどを添えると、よりリアリティと説得力が高まります。
ユーザーに合わせて最適なコンテンツを出し分けることで、訴求力とコンバージョン率を高めることが可能です。年齢・性別・地理的情報・行動履歴(閲覧ページや流入経路)・時間帯などに合わせて、表示するコピー、セクション、画像などを調整しましょう。
パーソナライズされたコンテンツの配信にはツールの活用が有効です。HubSpotのContent Hubは、CRMと連携して、ユーザー属性やマーケティングチャネルに合わせたコンテンツを表示できます。また、ユーザー属性ごとのコンテンツ作成は、AIを活用して効率化できる点も強みです。Content HubのLP作成機能は無料からご利用いただけますのでぜひお試しください。
LPの入力フォームは、ユーザーがコンバージョンアクションを完了するためのパーツであり、入力フォームの最適化(EFO)はコンバージョン率に直結します。入力フォームでの離脱が多い場合には、次のような改善方法を試してみましょう。
フォームの入力項目数が多いと、ユーザーにとって負担となり、離脱の原因となる可能性があります。問い合わせや購入といったフォーム本来の目的に合わせて必須項目を厳選することで、完了率の向上が見込めます。
エラー箇所や必須項目を分かりやすく表示することで、ユーザーの「難しい」「面倒」といった心理的な負担が軽減されます。このほか、郵便番号から住所を自動で入力する、過去に入力した情報をもとに入力候補を表示させるなどの補助機能を充実させることも有効です。
入力フォームの改善方法を詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
LPのデザインは、訴求を視覚的に伝えたり、情報を視覚的に整理したりする役割があります。デザインでは、次のポイントに着目して改善点がないかチェックしましょう。
商材がBtoB向けかBtoC向けか、高価格帯か低価格帯かによって、デザインの方向性は大きく異なります。例えば、子ども向け商材であればポップな配色、企業向けの商材であれば青や白といった信頼感・清潔感のあるカラーを選ぶなど、ターゲットに合った配色を選び、フォント・素材もトーンを統一することが重要です。
テキストや画像のサイズが不適切だと、情報が伝わりにくくなってしまいます。誰もが読みやすいように、適切なフォントサイズ・行間・余白を設定したレイアウトを心がけましょう。視覚的なストレスが軽減されることは、滞在時間の向上にもつながります。
ページの表示速度はユーザーの離脱率に関わります。モバイルサイトの読み込みに3秒以上かかった場合、53%のユーザーが離脱するという調査結果もあります。
定期的にPageSpeed Insightsを使って表示速度をチェックしておきましょう。
ページの表示速度を改善する方法には、次のようなものがあります。
LPは画像が多い構成のため、画像ファイルのサイズはページ表示速度に大きく影響します。画質を維持しながら圧縮し、軽量化することが重要です。JPEGやPNGよりも高圧縮なWebP形式を活用しましょう。
LPの読み込み速度を改善するには、使用していないライブラリや不要なスクリプトの削除、遅延読み込みなどが有効です。遅延読み込みとは、ユーザーが閲覧する直前まで画像や動画などの読み込みを遅らせることで、最初に読み込むデータ量を減らし、ページ全体の表示速度を改善する方法を指します。
ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョンを促進するその他の要素を紹介します。
チャットボットやポップアップなどのWeb接客ツールは、ユーザーの疑問や不安をリアルタイムで解消し、サイトからの離脱を防ぐのに効果的です。これにより、LP上でユーザーに最適化された接客が可能となり、コンバージョン率の向上に貢献します。
ニーズがまだ顕在化していない潜在層には「アンケートLP」が有効です。LP内のアンケートに答えてもらうことで、ユーザー自身が気づいていないニーズを顕在化でき、サービスへの関心を高めるきっかけが作れます。
質問内容は年代や居住地域のほか、「○○を使ったことがありますか」「今一番の悩みはどれですか」のように現在の状況や課題を把握するためのものや、「〇〇が解決できるとしたらどれくらいの費用をかけたいですか」など購買意欲を確認するものが考えられます。なお、アンケートの目的はユーザーニーズの顕在化のため、回答の回収は必須ではありません。
スマートフォンやタブレットなど、あらゆる端末で快適に閲覧・操作できるレスポンシブデザインは不可欠です。端末ごとに最適な文字サイズやボタン配置にすることで、離脱率やCVRの改善が期待できます。
LP作成ツールやテンプレートを利用してLPを作成した場合はレスポンシブデザインに対応していることがほとんどですが、デバイスによっては表示が崩れていることもあります。複数のデバイスで表示を確認し、必要に応じて調整を加えましょう。
検索広告、SNS、メールといった流入経路によってユーザーの期待や目的は異なります。それぞれの経路に合わせたLPのメッセージと構成を用意し、広告内容との整合性を高めましょう。
例えば、課題が明確な検索広告からの流入ユーザーには具体的な解決策やメリットを提示し、漠然とした興味を持っていることが多いSNSからの流入ユーザーにはビジュアル訴求を重視したり、ライトなCTAを設置したりするのが効果的です。
LP改善は次のような流れで行います。
各ステップのポイントを詳しく解説します。
LP改善の前に、まずは具体的な目的を設定しましょう。「問い合わせ数増加」や「無料登録促進」など、達成したい目標を明確にし、それに応じたKPI(コンバージョン率・ページ滞在時間・クリック率など)を定めることが重要です。
数値目標を設定することで、施策の進捗と成果を可視化し、適切な評価が可能になります。
LPを訪問したユーザーがどのような行動を取っているのか現状を把握するために、Google アナリティクスやヒートマップツールを用いて分析を実施します。
直帰率・スクロール率・クリック率などの数値を可視化することで、LPのどの部分に課題があるかを特定できます。このとき、単に「クリック率が低い」「コンバージョン率が低い」といった数値上の問題だけでなく、例えば「CTAボタンがクリックされていない」「フォームからの離脱が多い」など、ユーザー体験上の問題点を見つけ出すことが重要です。
次に、分析で得られたデータから、「なぜユーザーが離脱するのか」「なぜコンバージョンに至らないのか」といった仮説を立てます。この仮説は、必ず前のステップで把握したデータを根拠として導き出しましょう。
仮説が立てられたら、具体的な改善策を検討します。例えば、ヒートマップで特定のセクションに離脱が集中しており、「情報量が多すぎて読まれていないのではないか」という仮説が立てられたとします。その場合、「情報を整理し、見出しや箇条書きで読みやすくする」「図解を増やして視覚的に分かりやすくする」といった改善策が有効です。
次に仮説に基づき、LPのデザイン・構成・コピーの見直しを行いましょう。変更箇所が複数あっても、一度にすべてを変えるのではなく、優先順位の高い項目から段階的に進めることが重要です。
優先順位は、コンバージョンへのインパクトと、実行コストを考慮して決定します。例えば、ファーストビューのキャッチコピーやCTAボタンの色など、CVに大きな影響を与える箇所から対応すると効率的です。
改善後は、変更内容がどの程度効果をもたらしたのかを必ず検証しましょう。A/Bテストを活用して、変更前後のKPI(コンバージョン率やクリック率など)を比較することで、改善施策の有効性を判断できます。
改善をして一度成果が上がったとしても、外部環境やユーザーは変化し続けていきます。コンバージョン率の最大化を目指すためには、PDCAサイクルを繰り返して継続的にLPを改善することが大切です。
最新のデータに基づいた分析・仮説・検証を繰り返し、LPを最適化していきましょう。
LP改善を実施する際は、より少ないコストで成果につながるよう、次の3点に注意しましょう。
限られた時間や予算で最大限の効果を出すには、施策の優先順位付けが重要です。まずはコンバージョンに直結し、大きなインパクトをもたらすファーストビューやCTAから着手すると効率的です。
そのうえで、継続的にPDCAサイクルを回し、段階的に改善を積み重ねていきましょう。
A/Bテストを実施する際は、一度につき1つの要素のみを変更することが重要です。これにより、ボタンの色・テキストの表現・画像など、どの改善策がどの程度の効果をもたらしたかを正確に測定できます。
複数の要素を同時に変更すると成果の要因が不明確になるため、1要素ごとにテストし定量的な検証を行いましょう。
LP改善は、本来の目的を常に意識して進めましょう。資料請求・問い合わせ・会員登録など、LPのゴールを意識することで、コンテンツの優先順位やユーザーを誘導する道筋が明確になるため、成果につながりやすくなります。
また、現状で大きな課題がないにもかかわらず、やみくもに改修を重ねるのは逆効果になりかねません。分析に基づき、必要な部分にだけ的確にアプローチすることが重要です。
LP改善はツールの活用で効率化できます。課題に応じて導入を検討してください。
LP改善を行うためには、Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールを使って、サイト訪問者の流入経路や離脱率、コンバージョン率などを定量的に把握することが必要です。
どのページで離脱しているか、どのチャネルが最も成果を出しているかといった情報が明確になることで、改善のための仮説の精度も向上します。
ヒートマップツールを使うと、ユーザーの行動パターンを色で視覚的に把握できます。具体的には、LPのどこがよくクリックされ、どこまでスクロールされているかなどが分かります。
これにより、ページ内で注目されているエリアやあまり読まれていないエリア、離脱しやすいポイントが明確になるため、コンテンツの配置や導線設計の見直し、課題の特定に効果的です。
A/Bテストは2つ以上のパターンを比較し、どちらがより高い成果を出すかを検証するテスト手法です。ボタンの色や文言、画像など、変更した要素ごとにテストを実施することで、ユーザーの反応を数値として確認できます。
LP改善にはA/Bテストが必須です。簡単にテストが行えるツールを準備しておきましょう。A/Bテスト専用のツールのほか、ヒートマップやLP作成機能と一体になったタイプもあります。
EFOツールは入力フォームの改善に特化したツールです。入力補助・エラーチェック・表示項目の最適化などの機能が備わっており、フォーム離脱の削減をサポートします。
ツールによっては離脱が多い項目のデータも取得可能です。
LP改善の成功事例を2つ紹介します。
株式会社バルクオムでは、LPの課題が明確に把握できておらず、仮説検証と改善のPDCAが適切に回らない課題を抱えていました。そこで、ヒートマップツールを導入してユーザーがどこで離脱しているかを特定し、A/Bテストによってページデザインを最適化する施策に取り組みました。
その結果、主要エリアにおける離脱率の改善に成功。当初1%台だったコンバージョン率が、最大で4%に達するなど、大幅な改善に成功しています。
参考:流入経路ごとのセグメント分析 × A/B テストで LP 改善 | SiTest (サイテスト) ブログ
エン・ジャパン株式会社では、有料プランのLPにおいて、一部のユーザーの期待とLPの内容にギャップが生じるケースがあることが課題でした。一部の導線で、有料プラン全体の概要ではなく、特定の目玉機能に焦点を当てた訴求となっていたことが原因です。
そこで、流入元に応じて表示されるコンテンツを最適化し、目玉機能に焦点を当てた導線から流入したユーザーには、該当機能について詳しく記載したコンテンツを表示させる取り組みを実施。それによりユーザーのニーズに合致した情報提供が可能となり、有料プランへの問い合わせ率が約28%向上する成果を得られました。
参考:遷移元の訴求内容に合わせて有料プランの詳細ページコンテンツを出しわけし、問い合わせ率を28%改善 | KARTE Blocks Blog
LPは「作って終わり」ではなく、常にユーザー行動に合わせて改善を続けていくことが重要です。この記事で紹介したツールを活用しながら、現状分析と課題の把握を行い、優先順位をつけて改善に取り組んでいきましょう。
HubSpotのContent Hubでは、LPのコンテンツ作成・アクセス解析・A/Bテスト・EFOが1つのツールで行えます。さらに、AIを活用すればパーソナライズされたコンテンツを短時間で作成できる点も強みです。基本的な機能は無料プランで利用できるのでぜひお試しください。
また、LPにチャットボットを導入したい場合は、24時間365日人間のような対応ができるHubSpotのBreeze顧客対応エージェントがおすすめです。デモでBreezeの使いやすさを実感してみましょう。
無休の対応でビジネスを支える AIコンシェルジュ 詳細はこちら→