自社の施策は同業他社と比べて優れているのかどうなのか、気になったことはありませんか?
「ランディングページへの流入数も毎月増えているし、メルマガへの登録者数も先月に比べて増えているので、ある程度の効果を上げてうまくいっていると思う。でも競合と比べてどうなのだろう?」と考えたことのある人は少なくないでしょう。
自社のコンバージョン率をどう評価すべきか知りたければ、まずは他社の平均コンバージョン率と比較してみることをおすすめします。
ただ、他社のコンバージョン率を知るのは困難ですし、日本国内のコンバージョン率平均を知ることができる調査は少ないのが実情です。
一方、アメリカではいくつかの統計が公開されています。
今回は、その中から日本でも参考になりそうなデータを集めました。ランディングページやECサイト、メルマガ、アプリについて、各業界別のコンバージョン率の平均と改善に向けた取り組みをご紹介します。
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コンバージョン率(CVR)とは
まず、そもそもコンバージョン率(Conversion Rate)とは何かについて整理しましょう。
コンバージョン率を広く言えば、集客できたユーザーのうち、目的にあわせたコンバージョンに到達したユーザーの割合を示すものです。Web広告を出稿する場合には、Web広告からサイトやランディングページに流入したユーザーのうちコンバージョンに至った割合を指します。
コンバージョンとは、Web広告においては何かしらの成約を指すことが多く、資料請求や会員登録などが挙げられます。
業界や広告の種類、どのような数値を母数にするか、何をもってコンバージョンとするかなどによって、コンバージョン率の捉え方や数値は変わってきます。
コンバージョンそのものについて理解を深めたい方は、以下の記事をご覧ください。
コンバージョン率を算出する計算式
コンバージョン率は、以下のシンプルな計算式で求めることができます。
コンバージョン率(%) = コンバージョン数 ÷ 広告流入数 × 100
広告流入数のところには、ビジネスの目的にあわせてサイトアクセス数やランディングページアクセス数などが入ります。例えば、広告流入数が1,000件あり、コンバージョンが50件あった場合、コンバージョン率は5%です。
コンバージョンには種類がある
コンバージョン率を求める上で重要となるコンバージョンには種類があります。
同じ結果を見てもどのタイプのコンバージョンを見るかによってコンバージョン率は異なってきます。どのコンバージョンを重視するかは、なぜコンバージョン率を出すのかというビジネスの目的に合わせて選択しましょう。
コンバージョンは、例えばユーザーの行動に焦点を当てることで「マクロコンバージョン」と「マイクロ(ミクロ)コンバージョン」に分けることができます。
マクロコンバージョンでは、Webサイトやランディングページの役割において、ユーザーが最終的な段階にまで到達した際にコンバージョンとしてカウントします。
一方のマイクロコンバージョンでは、最終的な段階へ到達する前のいくつかの段階もすべてコンバージョンとしてカウントします。
このようなコンバージョンの種類については、以下の記事にて詳しく解説しています。
コンバージョン率(CVR)の平均値を知るメリット
スモールビジネスでは、「コンバージョン率を最初は計測していたけれど、あまりに低いのでイヤになってしまった」というパターンがありがちです。
しかし、本当にその数値は低いのでしょうか?業界平均と比較することで、自社のコンバージョン率の良し悪しをはじめて判断できます。
コンバージョン率が1%を下回るのはいたって普通のこと
もしかしたら、「コンバージョン率が1%にも届いていない、低すぎる…」と愕然としている担当者がいるかもしれません。事実を冷静に捉えた上で、以下のグラフを見てみましょう。
下の図は、ランディングページのコンバージョン率のグラフです。リスティング広告運用ツールを提供しているWordstream社が、Google 広告を活用している自社クライアント14,197のアカウントから、サンプル調査を実施した結果です。
ここではコンバージョン数が月間10未満のアカウントや、クリック数が月間100を下回るアカウントは除外されています。What Is a Good Conversion Rate? It's Higher Than You Think! | WordStream(英語)
グラフを見ると、0.5%未満、1%未満がともに13%を超えており、総アカウントの約1/4のコンバージョン率は1%未満であることがわかります。
一方、中央値が2.35%であり、上位25%は5.31%以上、上位10%となると、11.45%という驚異的なコンバージョン率を上げています。
仮に、現在コンバージョン率が1%を下回っていても悲観する必要はありません。しかし、放置したままでは下位1/4から脱却することもできません。
平均値を知ることで、自社サイトが最適化されているかが推測できる
コンバージョン率は、Webサイトがどれだけ最適化されているかどうかを測る目安です。コンバージョン率の高いサイトは次の3点が達成されているサイトだと考えられます。
- 自社の商品・サービスに合ったユーザーを集められている
- ユーザーに響くメッセージを発信できている
- カスタマージャーニーに沿った設計ができている
仮に、あなたの会社のWebサイトでのコンバージョン率が2.8%だったとします。この数値が良いのか悪いのか、どうしたら判断できるのでしょうか? コンバージョン率の平均を知っていれば、自社のWebサイトが最適化されているかどうかを判断する目安になります。
では、ランディングページ、ECサイト、メルマガ、アプリ、4つのカテゴリの業界別平均コンバージョン率を見ていきましょう。
業界によってコンバージョン率には差があるため、できる限り同業者の数字を追うようにしましょう。
詳しくはそれぞれの章にて解説しますが、簡易的に参照できる表を以下にご紹介します。
- ランディングページ(リード(見込み客)へのコンバージョン)参考:The Unbounce Conversion Benchmark Report(英語)
- ECサイト(商品購入)
※2021年10月~2022年9月のうち、最も低かった月のコンバージョン率と最も高かったコンバージョン率参考:Ecommerce Market Data and Ecommerce Benchmarks(英語) - メルマガ・DM(開封率)参考:Ultimate Email Marketing Benchmarks for 2022: By Industry and Day(英語)
- アプリ(インストール)参考:Conversion benchmark - AppFollow(英語)
ランディングページの業界別平均コンバージョン率
ランディングページのコンバージョン率の中央値は2.35%です。What Is a Good Conversion Rate? It's Higher Than You Think! | WordStream(英語)
この数値は業界横断的な数値ですが、Unbounce社が測定した統計では、10の異なる業界での結果を見ることができます。その結果が下のグラフです。参考:The Unbounce Conversion Benchmark Report(英語)
この統計では、ランディングページからリード(見込み客)に転換した割合をコンバージョン率として算出し、中央値と平均値をグラフにしています。
なお、グラフの上半分が平均値、下半分が中央値を意味しています。
高い中央値を出しているのは、
- 出前・外食(9.8%)
- メディア・娯楽(7.9%)
- 金融・保険(6.2%)
- 教育(5.8%)
です。
ランディングページのコンバージョン率改善の取り組み
ランディングページのコンバージョン率を向上させたい場合は、以下のポイントをチェックしてみてください。
- キャッチコピーで自社独自の価値を訴求できているか?
- 広告とキャッチコピーの内容は一致しているか?
- 自社商品のメリットが見出しで簡潔に説明されているか?
- 内容が把握しやすく、スクロールしたくなるような説得力があるか?
- 検索用にページタイトルやURL、メタディスクリプションは最適化されているか?
- フォームを入力すると得られるメリットがわかりやすく(画像などで)ユーザーに表示されているか?
- 入力フォームの質問項目は多すぎないか?
- 送信ボタンは「送信」とだけ書いてあるのではなく、送信後どうなるかわかりやすく明記されているか?
- 過去に入力したことのあるユーザーの場合、入力の手間を省けるよう自動入力などを設定しているか?
- モバイルデバイスにも対応しているか?
- コンバージョン後に遷移する「サンクスページ」やお礼メールは用意されているか?
このチェックリストを元にランディングページを改善し、効果検証してみましょう。
ECサイトの業界別平均コンバージョン率
ECサイトの場合はどうでしょうか。ECサイトの場合、目的が「商品購入」に絞られているので、ほぼ全てのECサイトのコンバージョンポイントは「商品購入」に置かれていると考えていいでしょう。
データを見ると、こちらもカテゴリごとの開きが大きいようです。
以下のグラフでは、2021年10月~2022年9月のうち、最も低かった月のコンバージョン率と最も高かったコンバージョン率をグラフにしています。参考:Ecommerce Market Data and Ecommerce Benchmarks(英語)
その中でも美術工芸品やヘルスケア関連商品を扱うECサイトは、高いコンバージョン率を上げています。
反対にベビー・子供用品はコンバージョン率が低く、インテリア・ギフトは高い月と低い月の差が広くなっています。
ECサイトのコンバージョン率を下げる直接の原因となる「カゴ落ち」どう防ぐ?
ECサイトでコンバージョン率を下げる大きな原因の1つとして考えられるのがカゴ落ちです。商品をカートに入れながらも、支払い直前で離脱してしまうまでの行動を指します。世界平均ではかご落ち率は69.57%となっています。
カゴ落ちの理由をユーザーにヒアリングし、まとめたデータを見てみましょう。48 Cart Abandonment Rate Statistics 2022 – Cart & Checkout – Baymard Institute(英語)
53%のユーザーが「送料、税金、手数料など、商品の料金以外のコストがかかるから」を上げています。
第4位の「料金総額が事前にわからないから」(20%)というのも同種の理由だと考えられます。
自分の過去のECサイト体験を振り返ってみてください。決済直前になって意外と手数料や送料が高くついて、買う気持ちが萎えてしまったことが一度はあるのではないでしょうか。
続いて第2位の「アカウントを作成しなければならないから」が31%、第3位の「支払いプロセスが複雑すぎる」が23%、第5位「カード情報を知らせるほどサイトを信用できない」と考える人が17%もいるのがわかります。
自社の信用を上げるためには長期的な取り組みが必要になりますが、それ以外のポイントについては少しの改善で対応できそうです。
ECサイトのコンバージョン率改善のポイント
カゴ落ち率を低下させ、コンバージョン率を改善するために、以下のポイントを押さえると良いでしょう。
- Webサイトにチャットを追加して、ユーザーが質問しやすくする
- 商品の口コミを表示する
- できる限り早い段階で送料、手数料を明示する
- 支払いプロセスを簡略化する
- アカウントを作成しなくても購入できるようにする
- さまざまな支払いオプションを用意する
メルマガ・DMの業界別平均コンバージョン率
メールマーケティングを手掛けるCampaign Monitorが2022年にまとめたデータをもとに作成したのが、以下のグラフです。参考:Ultimate Email Marketing Benchmarks for 2022: By Industry and Day(英語)
メルマガのコンバージョンポイントは、大別して3点あります。
- 開封率(OR)
- クリック率(CTR)
- 開封した人のクリック率(CTOR)
開封率やクリック率も重要ですが、メルマガ自体の効果を測る上では、開封した人がメルマガを読んで、どれほどコンテンツに関心を持ってクリックしたかを表すCTORも重要な数値です。
開封率を見てみると、教育や金融、非営利などが高い開封率となっていることが分かります。クリック率を見てみると、開封率トップの教育はやはり高いですが、不動産も高くなっています。
メルマガのコンバージョン率を改善するには
近年、「メルマガはもう読まれない」「効果がない」とする論調も出てきてはいましたが、先にあげたデータを見る限り、メールマーケティングはまだまだ有効なようです。では、より効果的なメルマガ配信を実現するには何を行えばいいのでしょうか。
まずは、開封率とクリック率を定期的に観測するところから始めましょう。
MarketingProfsの2016年の調査によると、マーケティング担当者の15%は、自社のメールの開封率やクリック率に対して定期的な調査を行っていないと回答しています。 Webサイトとメールを一体化させて、クリック後の行動をトラッキングしていると答えたのはわずか23%です。
まずは定期的に開封率、クリック率を測定できる環境を構築し、自社の平均値が業界平均値に届いているかどうかをチェックしてください。
それを踏まえ、コンバージョンレートを改善するためには、次の3つのポイントに気を付けましょう。
- メールの発行回数は、ユーザーがどのくらいの間隔でメールを求めているか、テストを行いながら決める
- ユーザーの過去の行動記録の追跡などを元に、ターゲットごとに適切な内容のメール配信を行う
- 件名はユーザーにカスタマイズする
アプリのコンバージョン率
アプリで「コンバージョン」という言葉が使用されるのは、一般的に以下の3つの場合です。
- インストール:ユーザーがアプリストアからアプリをダウンロードして、自分のモバイルまたはPCにインストールした時
- 登録:メールアドレスやユーザー名、パスワード、SNSを通じてログインした時
- 購入/サブスクリプション:サービスを購入、またはサブスクリプションとして購入した時
この中で、まずマーケティング担当者が注力するのは「インストール」数ではないでしょうか。
今回は、インストールをコンバージョンポイントとした場合のデータを紹介します。
以下のグラフは、日本における2022年10月のApp Storeにおける「Appユニット率」です。Appユニット率はその端末にダウンロードされた最初の1回のみをカウントするため、実質インストール数と考えることができます。参考:Conversion benchmark - AppFollow(英語)
コンバージョン率が10%を超えているのは、フード・ドリンク、デベロッパーツールです。反対に、天気、写真・ビデオ、ゲームのカテゴリのアプリはページを見てもインストールにあまり至っていないことがわかります。
なお、このランキングは月によって大きく変動することも珍しくないため、常に業界の最新のデータをキャッチし続けることが重要です。
アプリのコンバージョン率改善の取り組み
アプリではアプリストアページの最適化(ASO)が重要になってきます。ASOを行う際、以下の点に気をつけてください。
- 使用するキーワードは検索ユーザーの意図に沿っているか?
- 画像やアイコンはターゲットユーザーを惹きつけるものになっているか?
- 説明文はわかりやすく、魅力を伝えるものになっているか?
平均値を知り、ベンチマークとして最適化を行おう
自社のコンバージョン率を出しただけでは、それが高いのか低いのか、良い数値なのか悪い数値なのかはわかりません。
自社のコンバージョン率を客観的に評価するためには、まずは全体平均を知り、その数値をベンチマークとすることが大切です。まずは業界の平均値を調べてみましょう。
自社の数値は業界平均値を超えているでしょうか。超えていないのだとすると何が問題なのでしょうか。本記事で上げたチェックポイントをもう一度確認してください。
平均値を超えていた場合、ひとまず安心したくなるかもしれません。しかし、もう一度、ランディングページのコンバージョン率を見てください。What Is a Good Conversion Rate? It's Higher Than You Think! | WordStream(英語)
中央値の2.35%はずいぶん左にあることがわかります。つまり、上位1/4の企業は中央値の2倍、上位10%の企業は中央値の4倍の数値を出しているのです。
ランディングページだけでなく、他の分野のコンバージョン率においても同様のことが言えます。
まずは、平均値をベンチマークとし、それをクリアできたら業界の上位1/4を目指してみてください。
コンバージョン率の改善に万能薬はありませんが、自社のコンバージョン率を知り、どこに課題があるかを把握することで、適切な改善策を打てるようになります。
改善策には例えば、集客キーワードの見直しや価格表記の改善、ブログを用いた情報発信などが挙げられます。
改善策についての詳しい解説は、以下の記事をぜひご覧ください。