WEBマーケティングにおいて重要な指標の1つが「コンバージョン率」です。コンバージョンとは、WEBサイトやランディングページに訪れたユーザーのうち、資料請求や商品購入など何かしらのアクション(コンバージョン)を取った割合を見る指標で、割合が高いほどユーザーニーズに応え、成果を出していると判断できます。
本記事では、コンバージョン率の定義と、コンバージョン率を上げるためには何をすべきなのかをお伝えします。
コンバージョン率が低い場合の原因と対策、事例も交えて解説していきますので、是非参考にしてみてください。
コンバージョン率最適化 (CRO) の基礎完全ガイド
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コンバージョン率の定義を確認しよう
本見出しでは、以下について解説していきます。
- コンバージョンとコンバージョンポイント
- コンバージョン率
- コンバージョン率最適化(CRO)
自社サイトのコンバージョンポイントとは?
コンバージョンとは、Webサイトを訪れたユーザーが何かのアクションを起こして、見込み客に転換(コンバージョン)したことを指します。
ですので、目的によって当然コンバージョンポイントは変わってきます。
例えばBtoBのWebサイトの場合、目的は大きく3つに分類できます。
- Webサイトを通じて、ユーザーを見込み客に転換すること
- 見込み客に関心を持ってもらうこと
- 関心のある見込み客を、実際に購入する顧客に育てていくこと
仮にあなたのWebサイトが「サブスクリプションサービスを半年間継続して定期購入してもらう」という目標を持っているとします。ところが初めてWebサイトを訪れたユーザーがいきなり定期購入を開始することはありません。
そこで
- ブログを購読する
- サイトでアカウントを作成する
- 製品ページを表示する
- 動画を視聴する
- 無料のお試しを開始する
など、最終目標(定期購入)を達成するための、小さな目標を設定します。
ユーザーが最終目標を達成したことを「マクロコンバージョン」、小さな目標を達成したことを「マイクロコンバージョン」と呼び分けるとわかりやすいかもしれません。
1つのマクロコンバージョンに対し、複数のマイクロコンバージョンポイントを設定する場合がほとんどです。例えば定期購入を最終目標とした場合、マイクロコンバージョンは、メルマガ会員登録、無料トライアルの申込数などが挙げられます。
自社サイトのマクロコンバージョンは何か、そこにたどり着くために、どのようなマイクロコンバージョンを設定すればいいのかを考えてみましょう。
特に、マイクロコンバージョンの場合は見逃している項目があるかもしれません。どのような項目が最終目標の達成に貢献しているのか、アクセス解析などで確認してみましょう。
逃している項目があるかもしれません。どのような項目が最終目標の達成に貢献しているのか、アクセス解析などで確認してみましょう。
コンバージョン率(CVR)とは?計算式も紹介
コンバージョン率とは、Webサイトに流入したユーザーの中からコンバージョンしたユーザーの割合を指します。
英語では「ConversionRate」と呼ばれており、一般的にはCVRと略します。求め方は以下の通りです。
CVR(%)=コンバージョンしたユーザー数÷対象とする母集団数×100
もう少し具体的な例で解説してみます。例えば、食品を販売する事業者が、ランディングページ上での購入完了をコンバージョンに設定した場合を考えてみましょう。出稿したリスティング広告からランディングページに誘導して購入してもらう場合、
CVR(%)=Webサイトでコンバージョンしたユーザー数÷広告をクリックしてWebサイトに流入したユーザー数×100
で求めることができます。
例えば、1,000人のユーザーがランディングページに流入し、そのまま10人が購入完了したとすると、コンバージョン率は1%となります。
コンバージョン率最適化とは
コンバージョン率最適化は、Webサイトに設置したコンバージョンポイントに訪問者がたどり着き、コンバージョンしやすくするための一連の施策を指します。
WEB広告やSEO、SNSによりサイトのPV数が増えたとしても、直接的な成果(購入や契約)に繋がるとは限りません。サイトに流入後、資料請求や問い合わせをしてもらい見込み客との接点が作れてはじめて、本来の集客が実現できます。
コンバージョン率最適化が適切に行われなかった場合、集客に投資したコストに見合った成果が得られないケースが多いので、優先度を上げて対応するようにしましょう。
コンバージョン率の平均・目安を知って自社サイトを分析しよう
コンバージョン率の平均や目安の把握は重要です。ここでは、主に2つのポイントからそれぞれの数値を紹介します。
- 業界別
- CVポイント別
以下の記事で、より詳しくコンバージョン率について解説しています。あわせてチェックしてみてください。
【業界別】コンバージョン率の平均・目安
まずは、業界別のコンバージョン率の平均と目安を紹介します。数値は表のとおりです。ただし、何をコンバージョンにするかで数値も変わるため、ここで紹介するのはあくまで平均であると留意しておきましょう。
なお、全体のコンバージョン率は以下のように示されています。
業界 | 平均CVR |
衣服 | 2.6% |
自動車 | 0.4% |
B2B | 0.6% |
美容 | 3.2% |
家電 | 1.2% |
エネルギー | 0.0% |
金融 | 1.0% |
買い物 | 5.0% |
ラグジュアリー | 0.8% |
旅行 | 2.4% |
通信 | 0.7% |
全業種 | 1.82% |
出典:2021 年の業界別デジタル エクスペリエンス ベンチマーク(英語)
上記の業界を含む全体の平均値は、1.82%です。とはいえ、実際は1%を下回るケースも珍しくありません。自社サイトを運営する際は、上記の数値を参考にしつつ、費用対効果を鑑みながら自社が目指すべきコンバージョン率を探っていきましょう。
【CVポイント別】コンバージョン率の平均・目安
コンバージョン率には、コンバージョンポイント別の見方もあります。
主な例として、次の項目が挙げられます。
コンバージョンポイント | 平均コンバージョン率 |
問い合わせ | 0.5〜1.0% |
資料請求 | 1.0〜2.0% |
資料ダウンロード | 5.0〜8.0% |
購入率 | 2.0〜3.0% |
この表からは、資料ダウンロードの数値が最も高いことが分かります。一方で、問い合わせは1.0%を切るケースも珍しくありません。
このようにコンバージョンポイントによって、コンバージョン率が変わってきます。そのため、施策実行の前のシミュレーションを立てる際は、コンバージョンポイントを1つの指標に想定のコンバージョン率を立てるのがおすすめです。
コンバージョン率が低い原因を特定するには?
誰でも、体調が悪くなると病院へ行きますよね。病院では最初にいくつか簡単な問診があり、ここでおおまかに見当をつけます。さらに必要があれば血液検査や画像診断で問題を正確に特定します。
コンバージョン率最適化を行う場合も同じです。まずはコンバージョン率を下げている原因をおおまかに把握し、さらにそこから細かく分析し、コアな要因を特定しましょう。どこに問題があるかを特定できれば離脱率を大幅に改善できる可能性があります。
ユーザーの動きを知ろう
CROの第一歩はユーザーの動きを追うことです。Webサイトの中で離脱率の高いページを見つけ出し、その原因を特定しましょう。
上図は、Webサイトに流入したユーザーの動線を模式化したものです。上図の模式図にアクセス解析を数字を入れていきます。
上図の模式図のサイトには自然検索で3,000件のアクセスがあり、うち1,800件はランディングページを経由しないで直接ブログへ遷移、1,200件はランディングページへ向かいました。
ランディングページには、その他にも広告から2,000件のアクセスを得ています。
しかし、ランディングページからは2,200件の離脱があり、その割合は69%に上っています。
ブログは、自然検索とランディングページから2,400PVは得たものの、そこから入力フォームへと遷移したのは100にすぎず、96%の離脱率となっています。
また、ランディングページから事例紹介へと300件のアクセスがありそこから200件が入力フォームへ向かいました。
入力フォームはランディングページから100件、ブログから100件、事例紹介ページから200件のアクセスを集めましたが、結局コンバージョンに至ったのはそのうちの160件で、ここでも離脱率は60%になっています。
模式図では煩雑になるため、直帰数(Webサイトを訪問して最初のページで離脱する人)は記入していませんが、アクセス解析には直帰数も出てくるので併せて検討してください。
離脱率の多いポイントはどこか?
コンバージョン率をあげるには、各ページの離脱率を下げる必要があります。コンバージョンに至らなかったユーザーはどこで離脱したのかを確認し、改善しましょう。
ランディングページの直帰率が高い場合は、どんな検索ワードでユーザーが来訪しているかを調べましょう。「無料」や「簡単」などの購入意図を含んだ検索ワードで流入したユーザーが直帰した場合は、ランディングページがユーザーのニーズに応えていない可能性を示しています。
ブログの離脱率が多い場合はどうでしょうか。自然検索経由での集客はできていてもコンバージョンに結びつけられていないということは、行動喚起の導線に問題があるのかもしれません。
記事を読んだユーザーに向けて、次のアクションを促すCTA(行動喚起)の文言、配置は気付いてもらいやすい箇所にあるのか、もしくはユーザーのコンテンツ消費を邪魔しないよう設置されているのか確認する必要がありそうです。
入力フォームの離脱率が多い場合、どのような原因が考えられるでしょうか。入力フォームにたどり着くのは深い関心を寄せているユーザーです。にも関わらず離脱してしまうということは、モチベーションを低下させるほど入力が面倒か、わかりづらい可能性が高いということです。
記入項目は最低限にする、どれだけ入力すればいいか一目でわかるようにするなど、 ユーザーのストレスをできる限り軽減するための配慮が必要です。
このように、離脱率の多い箇所を洗い出し、問題点を探っていく分析してWebサイトの問題点を洗い出します。では実際に浮かび上がった問題点をどのように解決していけば良いのかを見ていきましょう。
コンバージョン率を改善するために見直すべき6つのポイント
問題のある箇所を見つけたら、原因を特定して改善策を立てます。ここではコンバージョン率を改善する上で特に気をつけるべきポイントと、主な改善策を解説します。
1.集客キーワード
検索連動型広告やブログで狙っている集客キーワードが適切かどうかは、ランディングページの直帰率で判断しましょう。特にブログの場合、記事が読まれていてもランディングページに誘導できていない場合は、「そもそも意欲のないユーザー」を集めてしまっている可能性があります。
・改善策
コンバージョンしたユーザーのトラフィックソースを確認し、コンバージョン率の高いキーワードを把握します。逆に、直帰ユーザーが訪問するきっかけとなった「間違ったキーワード」を洗い出し、除外します。
2.価格の表記
価格ページを閲覧するのは、購入を本格的に検討しているユーザーだと判断できます。検討しやすいよう、いくらで何ができるのかをわかりやすく提示しましょう。(割引やセット価格などが組み合わさってどこを見れば良いのかわからない価格ページに悩まされた経験がある人も多いのではないでしょうか。
・改善策
とにかく、できるだけわかりやすく、シンプルにします。無料トライアルや返金保証がある場合はわかりやすく掲載し、購入ハードルを下げましょう。
3.ブログ
ブログは有用な情報を提供するだけでなく、CTAを追加してeBookやホワイトペ-パーを提供し、リードを獲得できる場でもあります。
・改善策
ブログ記事を「ユーザーにとって有益なコンテンツ」「ブランド認知・商品認知を高めるコンテンツ」「購入しようと判断してコンテンツ」に分類してバランスを取ります。
4.事例紹介ページ
事例紹介(ケーススタディ)は、商品やサービスを導入して、実際にどのような問題を解決して効果を上げたかを伝えることが目的で、コンバージョン率に大きな影響を与えます。事例紹介で離脱する場合は、は、ユーザーが求めている情報と異なっているか、CTAが適切でない可能性があります。
・改善策
ユーザーのインタビュー動画を入れてみましょう。実際に使用している方に話してもらえると、事例の説得力が増します。
5.ランディングページ
広告の受け皿であるランディングページは、ユーザーを見込み客に変えることが目的です。自社商品に関心を持ってもらい「資料請求しよう」「問い合わせよう」など、次のアクションを取りたいと思ってもらえるかが鍵です。
・改善策
まずは、ランディングページ内容が広告と一致しているかを確認します。広告のコピーから、ランディングページのファーストビューに飛んだ際にチグハグな印象を持たれてしまうと離脱される可能性があります。
そして、何より大事なのは「ユーザーのニーズに合った訴求になっているか」。ターゲットとしているユーザーは何を課題に感じており、どのような解決策を欲しているのか仮説をたて、ランディングページに落とし込んでいきましょう。
6.入力フォーム
コンバージョンの最終段階である入力フォームは、スムーズに、ストレスなく入力してもらうことを突き詰めるべき箇所です。
・改善策
質問項目は、ユーザーから見て「妥当」と思えるものでしょうか。「こんな情報を何に使うのだろう」と思った瞬間に、ユーザーは入力をやめてしまいます。
ユーザーにとって必要性が納得できる最小限の質問を行います。また、すでに回答したことのあるユーザーが住所などの入力を省力化できるように、アシスト機能をつけましょう。Webサイトの各部分をテストを重ねながら改善してください。
【事例】実際にコンバージョン率が上がった施策を紹介
多くのサイトでコンバージョン率を改善するための工夫が見られています。ここでは、実際に効果のあった施策について紹介します。これらの内容を参考にして、自社サイトの改善に生かしましょう。
CTAボタンのデザインや位置を改善した事例
CTAボタンのデザインを改善した事例について取り上げます。株式会社ガイアックスが独自に行った検証によると、ボタンのデザインを目立たせるだけで、クリック率が85%上がったという結果が出ました。
これまでは背景と同化してしまい、CTAボタンが見えにくかったそうです。見た目を少し工夫するだけでも、効果は大きく異なります。
他にも、CTAボタンをクリックしやすい位置に設定してコンバージョン率を19%上げた事例もあります。オランダのエージェンシーGreenhouseGroupによる記録です。もともと価格の下にあったCTAボタンを上に移動することでコンバージョン率アップに成功しました。
出典:事例から学ぶ|コンバージョンを改善する15の具体的手法
予約フォームのレイアウトを改善した事例
サイトのレイアウトを改善したことで、コンバージョン率を約1.5倍も高めた事例があります。この戦略を行ったのは、Arenaturist(英語)の予約サイトです。予約のフォーム(入力画面)を水平にするか、縦型にするかで比較検証が行われました。
前者は背景(ホテルからの景色)の下部、後者は背景に重なるような形で設定したところ、これらのコンバージョン率は以下のように算出されました。
- 水平の予約フォーム…0.23%
- 縦型の予約フォーム…0.32%
縦型の方が140%も高い数値を出していることが分かります。このように形を変えるだけでも、成果が上がる可能性はあります。位置にも配慮しつつ、さまざまなパターンを見比べましょう。
出典:A/B test case study - Arenaturist booking engine layout(英語)
決済型チャットボットで顧客対応を改善した事例
決済型チャットボットの導入により、コンバージョン率を140%改善したケースもあります。ハンド美容液を中心に販売する株式会社クロコスの事例です。
もともとコンバージョン率に課題がありLPOを行ってきたが、リソースの観点からLPの改善をやりきるのは難しいと判断しチャットボットを導入されました。
実施した施策は、以下の3つです。
- 一貫性やお得感を訴求するデザインへ
- 答えやすいシナリオへ順番を変更
- 画像を活用しビジュアル訴求の実施
LPOからチャットボット導入に移行し、コンバージョン率の改善を実現しました。
既存のLPでも改善が難しい場合はチャットボットへの移行の検討をおすすめいたします。
出典:決済型チャットボットの威力。急成長D2Cベンチャーにもたらした「CVR140%改善」の奇跡
ガイド機能のある接客ツールを導入した事例
2016年、株式会社ワコールでは運営する通販サイトに「Sprocket(スプロケット)」を採用しました。求めていた商品が購入できるようにユーザーを誘導し、探し方の分からない人をサポートするためです。
Sprocketは購入完了まで案内してくれる点が強みです。ユーザーの中には、商品をカートに入れても購入まで手続きしない人が一定数存在します。このような「カゴ落ち」を防止することで、株式会社ワコールの購入完了率は最大125%まで増加しました。
なお、上述した「BOTCHAN」も、ガイド機能のある接客ツールの1つです。コンバージョン率に課題感のある方は導入の検討をおすすめいたします。
サイト内に事例ページを充実させた事例
サイト内に「事例ページ」を充実させたことで、問い合わせの件数が4倍に増加したケースもあります。株式会社ルーシーの運営する「バズ部」では、商品やサービスを利用した顧客の事例を紹介するページが公開されました。
公開する前は、問い合わせ件数が月に約20件だったそうです。事例ページがつくられたことで、顧客から問い合わせ件数が月に約80件増加しました。バズ部以外にも、当該ページはWebサイトにおいてさまざまな効果を与えています。
例えば、あるクリニックのサイトのケースでは、事例ページを設けたところ、PV数は変わらないのにわずか1か月程度でコンバージョン率が1.5倍になりました。事例ページは、コンバージョン率を高める上でも必要な存在です。
出典:事例から学ぶ|コンバージョンを改善する15の具体的手法
コンバージョン率最適化を実践し、Webサイトの価値を高めよう
Webサイトには、さまざまな目的があります。
- より多くの顧客を獲得すること
- 商談に向けた資料請求を行ってもらうこと
- 教育的コンテンツを通じて会員登録をしてもらうこと
Webサイトの目的を達成するためには、コンバージョン率の最適化を行いましょう。
ユーザーにとってコンバージョンしやすいWebサイトにするには、ユーザーの行動を追跡するのが一番効率の良い方法です。検索連動型広告で流入したユーザーが求める情報や解決策が見つかったかどうかは、ランディングページからの直帰率やコンバージョン率で把握できます。
短い時間で別のページへ遷移しているとしたら、Webサイトの構造がわかりにくいのかもしれません。ユーザーの離脱率が高いページはページの構成や内容に問題があるのかもしれません。コンバージョン率を改善するには、数字に表れたユーザーの反応を理解して対策を取りましょう。
しかし、仮説はあくまでも仮説です。数字の向こうには生身の人間がいることを忘れてはいけません。できる限り自社ユーザーとコミュニケーションを取り、彼らが何を求めているのかを理解すれば、より良い施策を打てるはずです。