AIと機械学習の違いは?それぞれの特徴や活用方法を解説

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伊佐 裕也(いさ ひろや)
伊佐 裕也(いさ ひろや)

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AIの分野には、意味を混同しやすい複雑な用語が数多く存在します。例えば、AIや機械学習、ディープラーニングなどの違いを正確に理解している方は、あまり多くはないでしょう。

AIと機械学習の違いは?それぞれの特徴や活用方法を解説

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AI技術をビジネスに取り入れ、最大限に活用するためにも、混同しやすい言葉を正確に理解しておくことが大切です。

そこで本記事では、AIと機械学習の違いや、機械学習とディープラーニングとの関係性について解説します。AIや機械学習のビジネスでの活用方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

AIと機械学習の違い

AIは、機械学習やディープラーニングといった、さまざまな学習方法を内包する広義の領域に位置します。そのため、機械学習はAIの領域に含まれる一要素であり、AIという概念を構成する重要な技術の一つです。

ここでは、AIと機械学習の仕組みをそれぞれ解説します。
 

AIとは人間の知的行動を人工的に再現する技術

AI(Artificial Intelligence = 人工知能)とは、人間の知的行動をコンピュータに代替させる技術です。

AIは、「特化型AI」と「汎用型AI」の2種類に分かれます。

特化型AI(弱いAI)とは、画像認識や自動翻訳、データ分析など、特定の作業のみを実行するための人工知能です。2023年の現時点において「AI」と呼ばれているのは、特化型AIになります。

一方、人間の知識を完全に模倣し、幅広い知的行動を行えるのが汎用型AI(強いAI)です。人間と同じように思考したり、アイデアを出したりと、高度な知的行動が可能です。現段階の技術では実現が難しいものの、積極的に研究が進められています。

また、人間の指示によって機械がコンテンツを生み出す「生成AI」にも注目が集まっています。生成AIの詳細については、こちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

機械学習とは膨大なデータから法則性を見つける分析手法

機械学習とは、膨大な量の情報をコンピュータにインプットし、特定のアルゴリズムをもとにデータを分析する手法です。インプットした複数の情報の関連性を特定し、ルールやパターンを学習することで、適切なデータを出力する仕組みが完成します。

主な目的は、データの識別や予測です。組織内に蓄積された「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な情報を有効活用するために、機械学習へ注目が集まるようになりました。

機械学習は、デジタル画像から意図した情報を取り出せるのが特徴で、ノイズを除去して画像を整形する画像処理や、画像に含まれる異物を特定する生産ラインでの外観検査などに活用されています。また、機械の動作データをもとにメンテナンスのタイミングを決定する、予知保全でも活用が進んでいます。
 

AI・機械学習・ディープラーニングの関係性

AIの仕組みを理解するには、機械学習だけでなく、ディープラーニングの概要やAI・機械学習との関係性を把握しておくことも重要です。ここでは、AI・機械学習・ディープラーニングの関係性について詳しく解説します。
 

ディープラーニングの概要と機械学習との違い

ディープラーニングとは、多数の層から成る「ニューラルネットワーク」を用いて行う機械学習のことです。

ニューラルネットワークとは、人間の脳を構成する神経回路網の仕組みを数理的に再現したモデルです。ニューラルネットワークを用いると、そのほかの機械学習に比べ、データの認識や分類の処理精度が飛躍的に向上することが期待されています。

本来、機械学習を実行するには、特徴量と呼ばれるパラメータを人間が事前に指定しなければなりませんが、ニュートラルネットワークを用いたディープラーニングでは、コンピュータが特徴量を自動的に取得できます。

つまり、膨大なデータのなかから必要な特徴を抽出し、コンピュータが自ら学習すべきデータを読み取るため、人間が特徴量を指定するタスクから解放されるのが利点です。
 

AI・機械学習・ディープラーニングの関係性

前述した通り、機械学習とディープラーニングは、人間とコンピュータが実行するタスクに大きな違いがあります。

では、機械学習とディープラーニングが横並びの関係にあるかといえば、決してそのようなことはありません。AI・機械学習・ディープラーニングの3つの技術は、次のように多層的な関係で成り立っています。

AI・機械学習・ディープラーニングの関係性

つまり、機械学習はAIという広い領域に含まれる技術の一つであり、ディープラーニングも、数ある機械学習の手法の一つだということです。
 

AIや機械学習の活用方法

ビジネスシーンにAIを導入するには、具体的な活用方法を理解しておくことが重要です。ここでは、AIや機械学習の代表的な活用シーンをご紹介します。
 

1. 需要予測

需要予測は、蓄積されたデータから法則性を見つけ、将来的な需要を予測するAIの代表的な活用方法です。

商品の流通データからトレンドを予測し、商品企画に活かしたり、販売実績や過去の天候データから最適な発注量を特定したりと、営業やマーケティング、資材調達などの領域で効果を発揮します。

膨大なデータにもとづいて判断するため、従業員の勘や経験に頼らず、明確な根拠を持って予測できるのがメリットです。

ただし、予測精度は投入するデータ量に比例します。投入前のデータをしっかりと精査し、予測するうえで有用なデータのみを絞り込むことが重要です。
 

2. 異常検知

異常検知とは、大量のデータをインプットした状態で、通常とは異なるデータのみを検出する技術です。

データマイニングと呼ばれる、データセット中の不一致情報を識別する仕組みが用いられます。時系列データのほかに、静止画や音声データなどのさまざまなデータを収集し、高速かつ複合的に分析するのが特徴です。

異常検知の仕組みは、主に製造・生産現場において、機械や設備が停止・故障する前に異常を特定するような形で活用されています。静止画や動画から異常を特定する場合は、製品パッケージに付着した異物やキズなどの不良を検出するのにも役立ちます。
 

3. 画像認識

画像認識は、画像に写る人や物をAIが認識する技術です。

あらかじめコンピュータに大量の画像データをインプットし、その学習データをもとに、画像に写っている情報を機械が判別します。画像内の物体を検出する物体認識、物体のほかに位置も特定する物体検出、画素ごとの識別が可能なセグメンテーションなどの種類があります。

画像認識技術を活用することで、紙書類の自動電子化や、レジにおける商品の自動識別などが可能です。
 

4. レコメンデーション

ECサイトやWebサイトで、一人ひとりのユーザーに合わせた商品やコンテンツを提案する技術です。「レコメンドエンジン」とも呼ばれています。

購買履歴や、似た傾向を持つ他ユーザーの行動履歴などをAIが分析し、おすすめの商品やコンテンツを提案することで体験価値が向上し、販売促進につながります

あらかじめ提案ルールを決めておくルールベースレコメンドや、行動履歴情報に紐づく提案を行う協調フィルタリングなどの手法が代表的です。
 

5. 問い合わせ対応

AIに含まれる自然言語処理と音声認識の技術を活用することで、問い合わせ対応の自動化も可能になります。

自然言語処理は、人が話したり書いたりする言葉をコンピュータが正確に読み取る技術です。カスタマーサポートの領域ではチャットボットが代表的で、ユーザーの質問を機械が読み取り、内容に応じた回答を行います。

音声認識は、音声データから音素を抽出したり、音声を自然な日本語に出力したりする技術です。主に電話の自動応答システムに活用されています。

このようなAIの技術を活用している企業の事例は、こちらの記事でご紹介しています。より実用的な施策を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

AIと機械学習の違いを理解して正しくビジネスに取り入れよう

企業のDXが進む現代において、AIはビジネスに欠かせない技術となっています。ビジネスにAIを導入することで、業務の効率化やコストの削減など、さまざまな恩恵を受けてきた企業も少なくありません。

ビジネスでAIを活用するためには、事業の課題に合わせて適切な技術を取り入れることが重要です。AIを活用することが目的にならないよう、戦略的な検討や導入が必要になるでしょう。

AIにできることを正しく理解し、的確な意思決定を行うことを心がけてください。

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