【AIの基礎知識】シンギュラリティとは?大きく変化する未来社会

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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AI(人工知能)は私たちにとって身近なサービスへの応用も進んでいます。スマートフォンのカメラを使って画像検索ができるサービスや自動チャットボットの問合せ窓口などは、普段の生活で触れたことがある人も多いのではないでしょうか。

【AIの基礎知識】シンギュラリティとは?大きく変化する未来社会

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AIは過去にも盛り上がりと終結を繰り返し2012年ごろから、人間の知能を越えられるのか?という議論が活発になりました。これが本記事で解説する「シンギュラリティ(技術的特異点)」です。AIが人間の知能を超えたとき、どのような世界が待っているかを想定することは、今後のビジネスやキャリアを考えるヒントになるでしょう。

本記事では、シンギュラリティとは何か?という話題に加えて、AIの進化によって起こる問題、私たちの仕事や社会全体への影響など、幅広く解説します。

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シンギュラリティ(技術的特異点)について

シンギュラリティの議論が活発になった2010年代前半から現在に至るまで、様々な意見が飛び交ってきました。まずはその基本的な概念からおさえていきましょう。
 

シンギュラリティとは?いつ到来するのか

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、AIが人類の知能を超える転換点のことです。人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル博士らが2005年に提唱した概念で、テクノロジーは指数関数的に進歩していくという「収穫加速の法則」と呼ばれる経験則がもとになっています。

シンギュラリティは2045年に技術的特異点に到達するという説が最も広く知られており、「2045年問題」として、これまで世界中で度々話題となり、議論されてきました。

一方で、到来に懐疑的な見方をする人も多いです。AIは、たとえ進化したとしても、人間のような複雑かつ総合的な判断を行うことが難しいのではないかといった見方があります。AIが人間を代替したり飛躍的に進化させたりする論調に対しては、慎重な姿勢をとる専門家も多いのが実情です。
 

シンギュラリティが引き起こす2045年問題

レイ・カーツワイル博士は、著書である「シンギュラリティは近い[エッセンス版] 人類が生命を超越するとき」にて、シンギュラリティへの到達を2045年と予測しています。AIなどの技術が、自ら人間より賢い知能を生み出すことが可能になると、それに伴って様々な影響や問題が発生します。

2045年問題が注目されるきっかけとなった出来事の1つが、2014年にイギリスで行われた、コンピューターに知性があるかないかを判定するチューリングテストです。ウクライナ製のAIが、13歳の少年として振る舞った結果、観察者の30%が「人間かAIか判断できない」と評価したため大きな話題となりました。

それ以前にも、2011年、米国企業IBMが開発した人工知能「ワトソン」がクイズ対決で人間に勝利したり、2012年には日本でもAIが将棋でプロ棋士に勝利したりなど世界各地でAIが人間を超えるシンギュラリティの兆しが出ていました。

頭脳だけでなく肉体まで使う分野においては、現時点で人間に大きな優位性があります。今後はテクノロジーの進歩にともなってAIが人間を超えるシーンは増えてくるでしょう。
 

プレシンギュラリティ

シンギュラリティの前に起こるプレシンギュラリティ(社会的特異点)の概念もおさえておきましょう。スーパーコンピューターの開発者であり、次世代の汎用人工知能の研究者でもある齊藤元章氏は、2030年ごろにはプレシンギュラリティが現実になるのではないかと意見を述べています。

シンギュラリティがAIが人間の能力を超える転換点であるのに対して、プレシンギュラリティは、現在の社会的なシステムが変化する転換点を指します。たとえば、貨幣がなくなる、エネルギーや衣食住が無料提供される、戦争を起こしにくくなる(戦争問題の解決)などの変化が予測されています。
 

シンギュラリティの影響範囲

シンギュラリティの影響範囲

シンギュラリティが到来した場合、社会に大きな影響が及ぶことが予測されています。

その影響範囲は、仕事から医療まで様々です。
 

仕事の代替

シンギュラリティにより、AIによる仕事の代替が進むと考えられています。野村総合研究所とオックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授との共同研究によれば、理論上は2025年から2035年の間に、日本の労働人口のおよそ49%が就く職業が技術的には代替ができることが予測されています。

パターン化できる仕事はAIによる代替が進む可能性が高く、AIに代替可能な職業の数は100種以上にも及ぶといわれています。また、証券トレーディングなど、いわゆるホワイトカラーにあたる一部の分野でも業務をAIが代替する動きが出てきています。

仮にAIによる代替が進んでいくと、私たちは人間しかできない仕事が求められるようになります。企業の人事システムや国による救済措置など、仕事の代替に伴った新たな変革も起こるでしょう。
 

AIの進化によって生まれる仕事

2016年の 総務省のレポートによると、AIの進化によって新しい仕事が生まれることも予測されています。

例えば、大量のデータを解析するデータ調査官やAIの導入支援を行うAIビジネス開発マネージャー、AR(拡張現実)のストーリー設計・デザインなど体験全体をプロデュースするAR体験クリエイターといった仕事が出現して需要が高まると見込まれています。

これまでにもYouTuberをはじめとする、インターネットやテクノロジーの進化によって新たに誕生した仕事があります。AIの発達によって、今後様々な仕事が生まれていくでしょう。
 

脳や臓器を人工物で代替する世界

シンギュラリティが到来した場合には、脳や臓器を人工物で代替する世界になる可能性があります。現在も人工ニューロンや極小のデバイスの埋め込みなど、様々な研究開発が進んでいます。

これらは、人間の身体で、データの保存、コピー、消去、各種データやソフトのインストールをおこなう未来の世界を示唆しています。記憶のバックアップや複製により、記憶喪失の防止や他者との共有も可能になるかもしれません。

こうした飛躍的なテクノロジーの進化は、医療に対する人々の倫理観も変化させる可能性があるでしょう。
 

シンギュラリティによって進化する分野

シンギュラリティによって進化する分野

シンギュラリティが到来すると、一部の分野は飛躍的な進化を遂げる可能性があります。
 

ディープラーニング(深層学習)

まずAIに大量のデータを学習させ、人間に近いパフォーマンスを生み出すディープラーニング(深層学習)は、今後さらに発達すると考えられます。すでにディープラーニングを使った顔認証や音声認識など、人間に近づくような技術が出てきています。
 

IoT

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とは、今までインターネットに繋がっていなかったモノをインターネットに接続することです。例えば音声で指示を出せるスマートスピーカーや生活をサポートしてくれるウェアラブルデバイスなどが挙げられます。

また検証段階の技術として、自動車の自動運転があります。車のセンサーが収集した走行状況や位置情報のデータをAIが分析し、ディープラーニングにかけて、その結果をインターネットを通じて車に送ることで、データに応じた運転ができる技術です。今後はその実用化だけにとどまらず、全く新しい技術やサービスが生まれてくるでしょう。
 

ナノテクノロジー

ナノテクノロジーは極小単位の物質を制御し、製品に新しい機能や性質を与える技術のことです。
 

シンギュラリティが到来する時代を生き抜くために

シンギュラリティが到来する時代を生き抜くために

今後、シンギュラリティが起こることを想定したキャリア形成も未来を生き抜くうえで必要になってくるでしょう。
 

AIにできないこと

AIは絵を描く・音楽を作るなどのクリエイティブな作業や、人の気持ちを汲み取るコミュニケーションの領域においては発展途上の段階だと言われています。

データ量が多いほど高い精度で出力される特徴があるAIにおいては、取り込めるデータ量が少ないものや人間の感性や経験値が大きく影響するシーンでは、AIの能力が発揮しにくいと考えられています。
 

AI時代のキャリア形成

AIが複雑な人間の感情を読み解くことは難しいことから、特に「人と人とのコミュニケーション」に関わる領域の仕事は、代替される可能性は低いとされています。

シンギュラリティが到来する時代を生き抜くためには、AIや新しいテクノロジーに対する適切な知識を取り入れつつ、スキルアップやジョブチェンジを行いながら、柔軟に対応していくことが求められるでしょう。
 

AIは、より良い状態を目指すための手段と捉えよう

シンギュラリティは、日常生活から社会制度まで広い範囲で大きな変革をもたらす可能性があります。

一方で、シンギュラリティの到来に懐疑的な意見も根強く、本当にAIが人間を代替したり飛躍的に進化させるのかについては、まだ予測段階で確実な見通しが立っていません。

ただ、AIは自分たちの生活をより良くする、または企業が提供する価値を高めるための手段の1つということは、しばらくの間は変わらないでしょう。自分自身、または所属する企業は、どうAIを活用するべきなのか、技術の進化を注視しつつ模索していく必要があるでしょう。

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