CMSを導入することで、Webサイトを構築できるだけでなく、サイト内コンテンツを簡単に更新できるようになります。しかしCMSには多彩な機能があり、どのCMSを選べば自社の目的に合った機能を利用できるのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
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本記事では、CMSの主な機能を一覧で紹介するとともに、機能から考える自社に最適なCMSの選び方も解説しています。CMS導入時に、ぜひ参考にしてください。
ここで、まずはCMSの役割と機能についてまとめます。
CMSはWebサイトの構築・コンテンツの更新のために使用するシステムですが、CMSを使用しない場合、Webサイトの構築は原則としてゼロベースとなり更新は1ページごとに制作会社が行うことになります。
CMSを使い、テーマ・テンプレートを活用すれば初心者でもWebサイトを作成でき、ブログサービスで記事を書くように簡単にコンテンツを更新できるようになります。
このように、CMSの役割はWebサイトの導入のハードルを下げること、コンテンツの更新を自社内でも行えるようにすることだといえます。
なお実際には、Webサイトの構築は制作会社に依頼するケースがほとんどで、コンテンツの更新も制作会社や広告代理店に依頼するケースは多々ありますが、その場合もほとんどはCMSを導入するでしょう。
CMSの基本について詳しく知りたい方は、以下コラムをご覧ください。
CMSには、大きく分けて次の4つの機能があります。
次の章からは、各機能について具体的に解説します。
コンテンツの作成・編集機能の代表例である次の6点について詳しくご紹介します。
見たまま編集とは、コンテンツを作成・更新する際に、ブラウザに表示された状態に近い見た目で編集できる機能です。
CMSには見たまま機能が備わっているので、実際の見た目を想定しながら、コンテンツの文字装飾や画像挿入が行えます。
通常、サイト上にコンテンツを表示させるには、HTMLやCSSなどの言語で実装する必要がありますが、見たまま編集機能によって、言語に詳しくない人でも容易にコンテンツを作成・編集できるようになりました。
コンテンツを編集・更新した時に、自動でバックアップが保存される機能です。
コンテンツを編集していると、「間違えて更新してしまった」「〇日時点の状態に戻したい」などのトラブルが起こることもあります。
CMSを導入すれば、任意の時点の状態まで戻せるので、誤操作や、複数バージョンの比較に便利です。
事前に設定した公開日時にコンテンツが自動で公開される機能です。
手動での投稿では、誤って予定日前に公開してしまったり、投稿を忘れてしまい公開できなかったりするミスが起こる可能性があります。
投稿予約を使えば、公開当日に担当者が不在でも自動で公開できるため、公開日が決まっているコンテンツを投稿したい場合に有用でしょう。
サイトデザイン管理とは、テンプレート(デザインのひな形)を活用してWebサイト全体の見た目を一元管理できる機能です。
先述の通り、コンテンツを表示するには特定の言語を用います。Webサイトのデザインを変更する際にも言語を用いて、全てのページの変更部分を修正する必要があるため、作業工数がかかり、場合によっては漏れが発生する可能性もあります。
CMSではテンプレートを利用して、統一感のあるデザインを複数ページに設定できます。テンプレートの設定を変更すれば対象ページ全てのデザインが変更されるので、作業工数も削減でき、変更漏れの防止にも役立つでしょう。
オウンドメディアなどでブログを利用する場合は、ブログ機能のあるCMSを選びましょう。
CMSのブログ機能を使えば、コーディングの知識がなくても文字装飾や画像のレイアウトなどを容易に設定でき、体裁の整ったブログ記事が作成できます。
新製品やキャンペーン、セールやイベントなど、ユーザーに広く知らせたい情報を作成する機能です。
手動で設定する場合、新しいニュースが投稿されたら古いものはアーカイブしたり、RSS機能との連携が必要だったりと手間がかかります。また、ニュースを更新するには独立した機能が必要です。
広くユーザーに周知したい情報がある場合は、ニュース作成機能を導入すると良いでしょう。
CMSには、複数人でWebサイトを運営・操作するのに便利なユーザー管理機能も備わっています。
ここでは、ユーザー管理に関する次の4つの機能を紹介します。
ユーザーごとにアカウントを作成し、CMSへのログイン状況や操作履歴を保存する機能です。
操作履歴を確認すれば、「誰が」「いつ」「何を」したのかを的確に把握でき、トラブル発生時の原因究明に役立ちます。
複数人でWebサイトを運営する場合や、更新作業の一部を外注する場合に有用です。
CMSでは、コンテンツの作成や削除・閲覧など、操作の権限をユーザーごとに設定できます。
特定の作業の更新権限を、一部のユーザーに限定すれば、他のユーザーによる誤操作やコンテンツ削除などのトラブルを回避できます。
複数人でWebサイトを運営する際は、CMS操作に慣れていない人が関わることもあるでしょう。そのような場合にもユーザーごとの権限設定が活用できます。
部署やチームなど、グループごとにアクセス権限の付与や承認フローを設定できる機能です。
例えば、製品やサービス紹介ページはマーケティング部、採用ページは人事部など、部署ごとにグループを設定すると、運営がスムーズになります。
コンテンツ作成者と校正者、Webサイト責任者が異なる場合、公開前のチェックが重要です。
承認フローの管理を活用すれば、作成者から確認担当者への確認申請ができ、記事公開までのチェック体制を容易に構築できます。
Webサイトの重要な目的となるマーケティングや集客に役立つ機能も、CMSに備わっています。次の8つの機能を詳しく解説します。
Webサイトへの訪問者数やクリック数などをデータ化し、分析する機能です。
どんな流入元から訪問しているのか、どんな属性(性別や年齢など)のユーザーが多いのかなどを分析し、Webサイト運営に活用できます。
アクセス解析を活用する目的は、Webサイトにおけるユーザー体験の改善にあるといえるでしょう。
アクセス解析によってユーザーの動きが可視化されれば、コンバージョンに至ったユーザーの意図や感情、態度の変化について知ることができます。その反対の、コンバージョンに至らなかったユーザーがどこで離脱しているかも解析できます。この結果を受けてコンテンツを改善できれば、ユーザー体験が改善され、アクセス数やコンバージョン率の向上につながるでしょう。
CMS独自の分析機能に加えて、Google アナリティクスとの連携機能をもつものもあります。導入時は自社に必要なデータや分析ができるかどうかを事前に確認してください。
アクセス解析について詳しくは、以下のコラムをご覧ください。
会社名や氏名、メールアドレスなど、ユーザーの情報を入力してもらうフォームをCMS上で作成し、管理できる機能です。
Webサイトから資料や申し込みをできるようにしたい場合や、会員登録が必要なページを用意する場合には必須です。
フォームはただ情報を記入する場所を作ればいいのではなく、ストレスなく記入できる体裁を整え、最後まで入力を完了してもらうことが重要です。このようにフォームを最適化することをEFO(エントリーフォーム最適化)と呼びます。
EFOについては、以下コラムにて詳しく解説しています。
入力フォームの作成・Webサイトへの設置には、Google フォームが使われることもあります。
無料で多彩な質問を作れること、Google の各ツールとの連携ができることなどが評価されており、カジュアルなアンケートにも向いています。
LPOとは「ランディングページ最適化」のことで、ランディングページのKPI改善を目的とした機能を指します。具体的には、A/Bテストやヒートマップツールなど、Web集客に欠かせないデータ集計やテスト機能があげられます。
そもそもランディングページとは、商品・サービスを購入してもらうことを目的にした、原則縦長の1ページで作成されるページを指します。広告からの流入を狙い、課題をもったユーザーに商品・サービスの有用性を訴求するため、コーポレートサイトなど通常のWebサイトとは別で対策を行うことがほとんどです。
ランディングページの基本については、以下コラムにて詳しくまとめています。
タイトルやキーワード、メタディスクリプション、見出しタグなどSEOに必要な施策をCMS上で容易に設定できる機能です。
Google やYahoo!など検索エンジン経由で集客をしたい企業は、SEO機能が備わっているCMSの利用をおすすめします。
SEOは、Google やYahoo!などの検索エンジンで検索上位表示を目指すために行います。検索エンジンでは上位に表示されるページがよりクリックされやすいことから、検索からのアクセスを狙うには十分なSEOが必要となります。
CMSに搭載されているSEO機能は、基本的にはテクニカルな部分をサポートするものですが、施策としてのSEOではユーザー目線に立ったコンテンツの改善なども重要です。
SEOについては、以下コラムにて詳しく解説しています。
メールマガジンの作成や配信機能が備わっているCMSも多くあり、メールマガジンに登録済みの顧客に向けて、キャンペーンやクーポンの情報を配信できます。
多数の顧客に一斉メール配信をする機会がある場合、メールマガジン配信機能のあるCMSを選びましょう。
SNS連携は、Webサイトと各種SNSアカウントを連携させることで、情報の拡散や引用を容易に行える機能です。
SNSを使った集客や認知度の向上を目指すのであれば、導入したい機能といえるでしょう。
サイト内検索とは、Webサイトに検索窓を設置して、サイト内の情報を検索できる機能です。検索窓があれば、ユーザーは必要な情報を見つけやすくなり、使いやすいWebサイトとして評価につながるでしょう。
自社でCMSを導入する場合は、独自の検索システムが実装されているか、Google などの検索エンジンの検索機能をWebサイトに埋め込めるのかどうかを確認するのがおすすめです。
CMSの導入を外部委託する場合は、環境構築時に検索機能の埋め込み対応をしてくれるかを確認しておきましょう。
ページの削除・追加のたびに自動的にサイトマップを更新できる機能です。
サイトマップとは、サイト内のページ構造をリスト化して記述したもののことです。ユーザーや検索エンジンにサイトの内容をわかりやすく伝える役割を持っています。
長期的にWebサイトを運営していると、「不要なページを削除したい」「新しいページを追加したい」ケースが生じますが、自分で逐一サイトマップを管理するのは大変で、作業漏れが生じるかもしれません。サイトマップ管理があれば、自動でサイトマップの内容が更新されるので、管理の手間が省けるでしょう。
続いて、Webサイト構築後の管理や運営に役立つ機能を6つご紹介します。
マルチデバイス対応とは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどさまざまな端末で、Webサイトを閲覧する際の見た目が最適化される仕様です。
近年、個人のインターネット利用機器はスマートフォンがパソコンを上回り、20代から40代の約9割がスマートフォンを利用しています。
マルチデバイス対応できていないWebサイトは、スマートフォンの小さい画面でみると文字サイズやレイアウトが崩れて閲覧しにくく、ユーザーに不便を感じさせてしまうでしょう。
マルチデバイス表示をさせるには、CSSコーディングが必要ですが、CMSのマルチデバイス対応機能があれば、作成したコンテンツはパソコンやスマートフォンなどそれぞれの端末に最適化されます。
閲覧者のブラウザ情報から適切な言語のページを表示させる機能です。
取引先や販路に海外が含まれる場合、外国語に対応したサイトが必要です。多言語対応していないWebサイトは、ページの表示言語を切り替えた際にレイアウトが崩れるので、閲覧者のストレスになってしまいます。多言語対応していれば、最適なページが表示されるので、快適にWebサイトを閲覧できるでしょう。
海外用のページが必要な場合は、多言語対応CMSの利用をおすすめします。
FAQコンテンツを作成する機能です。
顧客や見込み顧客からの問い合わせが多い場合は、企業情報や商品、サービスに関するよくある質問をもとにFAQページを作成し問い合わせ画面にリンクを設置しておくと、ユーザーの自己解決を促せます。
RSS配信機能とは、Webサイトを更新した際、その情報を自動的にユーザーに知らせる「RSSフィード」を配信する機能です。
ニュースやブログ記事など、ユーザーに広く周知させたい情報がある場合、RSS配信機能を活用すると良いでしょう。
Webサイトに投稿されたコメントを管理し、掲載の確認や、削除などの管理ができる機能です。
ECサイトで口コミを投稿してもらう場合や、Webサイト上にユーザーが自由に交流できる掲示板がある場合、コメント管理機能があればユーザー間でのトラブル防止に役立ちます。
サイバー攻撃やコンテンツの改ざん、情報漏洩防止などのセキュリティリスクからWebサイトを守るための機能です。
CMSの中でも、特に大きいシェアを持つオープンソース型は、特にセキュリティ対策が重要だとされています。これは、オープンソース型CMSが高いシェアを持ち攻撃者のメリットが大きいこと、ソースが公開されているため脆弱性が発見されやすいことが理由として挙げられます。
オープンソース型のCMSを選ぶ場合は、信頼性の高いセキュリティ対策プラグインを入れて強化したり、外部のセキュリティ対策ツールを導入したりして強化する必要があります。
一方で、定期的なメンテナンスやSSL対応など、セキュリティ対策に力を入れているCMSも多くあります。安全性を重視するのであれば、こうしたCMSを選ぶようにしましょう。
そのうえで、CMSのバージョンアップやセキュリティパッチ対応をこまめに行うことで、自社サイトを守ることができます。
CMSのセキュリティリスク、セキュリティ対策については以下コラムをぜひご覧ください。
最後に、ここまでご紹介した代表的な機能以外のものを2つご紹介します。
Webサイトで商品やサービスを販売したい場合は、ECサイト機能がついたCMSを選ぶようにしましょう。
ECサイトには、決済やカート機能、商品情報を登録・管理するためのデータベース、売上管理のための帳票出力機能などECに関する機能が必須です。
CMSにこれらの機能があれば、外部の決済サービスやECサイトサービスを利用せずに運営できます。
独自ドメインとは、個人や会社が独自で登録した文字列のドメインのことです。
無料のCMSや安価で利用できるCMSでは、CMS提供元のドメインを利用しなければならないケースがあります。この場合、CMSサービスの終了に伴いドメインを利用できなくなるリスクがあります。
また、ドメインの利用歴はSEOにも有利に働くため、Webサイトを長期運営するのであれば、独自ドメインを設定できるものを選びましょう。
ここまで紹介したCMSの機能を踏まえて、最適なCMSの選び方を3つご紹介します。CMSを導入する目的や必要な機能を見極めるためにも、ぜひ参考にしてください。
まずは自社サイトにCMSを導入する目的を明確にしましょう。それにより、具体的にどのような機能が必要かが見えてきます。
例えば、「オウンドメディアを運営しながらSNSでも集客したい」と考えているのであればブログ機能やSNS連携機能、「Webサイトにネットショップ機能を持たせたい」という場合はECサイト機能が必要だとわかります。
場合によっては、「自社サイトではCMSは不要」という判断になるかもしれません。Webサイト運営の目的やCMSの用途を明確化できれば、自社サイトをより良いものにできるでしょう。
CMSの用途を明確化できたら、自社サイトに必要なCMS機能を洗い出しましょう。
最初からあらゆる機能を詰め込みたくなるかもしれませんが、実装しすぎると不要な機能に費用をかけることになるかもしれません。
「今は不要だが将来的に必要になるかもしれない」という機能は、後から追加できるかどうか確認しておくと安心です。
CMSを利用するには、導入から運用までさまざまなコストがかかります。トータルコストを考慮したうえで、必要な機能を満たすCMSを選ぶようにしましょう。
CMSの導入・運用には次のような費用がかかります。
機能とコストのバランスを見ながら比較すれば、自社にとって最適なCMSを選ぶことができるでしょう。
CMSには実に膨大な製品がありますが、ここでは基本的には無料で利用できるおすすめのCMSについてご紹介します。
WordPressは、日本および世界で最も多く利用されているCMSです。オープンソース型であり、誰でも開発に参加できることから膨大な数のテーマ、プラグインが公開されています。
テーマ、プラグインも多くは無料で利用できるため、自社の目的に合ったWebサイトの設計やデザインを突き詰めることもできます。
元はブログサービスとして始まったことから、ブログ機能に優れている点も特徴です。コンテンツを継続して更新していきたい場合も、WordPressが大きな選択肢になるでしょう。
なおWordPress自体は基本無料ですが、WordPressを動かすためのレンタルサーバー代と、Webサイトを公開するための独自ドメインは別途必要になります。
WordPressと同じく、オープンソース型のCMSです。決済機能を備えてECサイトを簡単に開設できる点が特徴で、ネットショップ利用数No.1を謳っています。自社でテーマやプラグインを組み合わせてECサイトを作ることもできますが、ベンダーや制作会社に依頼して大規模開発をすることもできます。
決済機能が必須となることから、オープンソース型ながら独自のセキュリティ機能を搭載しセキュアな環境を構築している点も特徴です。
当社HubSpotが提供している、AIによってコンテンツの作成が行えるマーケティングソフトウェアです。
Content Hubのフリープランから無料のCMSを利用でき、テンプレートを利用することにより直感的な操作で美しいWebサイトを構築できます。
成果につながる分析機能を備えている他、HubSpotのツール群と簡単に連携できるため、マーケティングのあらゆるフェーズで必要な施策を打つことができます。
コンテンツマーケティングに特化しているContent Hubでは、指示を入力するだけで下調べから記事作成までをAIが行う作成機能の他、AIによるブログ記事のアウトライン作成、基本的なSEOのサポートなどが利用できます。
有料プランでは、コンテンツリミックスや動的コンテンツによるパーソナライゼーションなど、高度なコンテンツマーケティングが行える機能も利用できます。
CMSを導入すればWebサイトの構築を効率化でき、ユーザーにとって見やすく使いやすい自社サイトを運営できます。CMSの機能は提供元によりさまざまで、自社には必要のない機能もあるかもしれません。
事前に自社サイト運営の目的と必要な機能を整理し、トータルコストもあわせて検討することが重要です。
まずはCMSの幅広い機能を知り、自社に最適なCMSを選びましょう。