公開されている多くのWebサイトは、制作・公開・コンテンツの作成・運用をプラットフォーム上で簡単に行える「CMS」で構築されています。これからWebサイトの制作を検討する場合にも、CMSの利用をまず考えることになるでしょう。
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CMSを導入する際には、そのメリット・デメリットをしっかり把握しておくことで最大限に活用し、Webサイトを制作する目的の達成につながります。
本記事では、CMSの導入を検討している方に向けて、導入を進める上で知っておきたい内容を解説しています。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、デザインやコーディングなどの専門的な知識がなくてもWebサイトの制作・公開・更新が行えるようになるシステムです。
WebサイトはHTMLやCSSといった言語で構築されており、本来であれば1ページごとに専門職が作成する必要があります。そこで、テキストや画像、テンプレート、デザイン、編集データなどを管理し、必要に応じてページを作成するCMSが登場しました。
CMSがあることで、例えば制作時にはテンプレートに画像やテキストを当て込むだけでWebサイトが完成します。また、ブログやニュースなど決まった形の記事を更新する場合には、Wordやドキュメントで文書を編集するように直感的に記事を作成できます。
なお実際には、制作時には制作会社へ依頼するケースが多いでしょう。決まった形の更新を行う際にはCMSが便利であり、自社で内製化する余地があります。
CMSの代表例といえるのが、個人から法人まで幅広く利用されている「WordPress」です。WordPressは開発者向けにソースコードがすべて公開されているオープンソース型のCMSであり、テンプレートやプラグインの選択肢が膨大で、導入もしやすいCMSとなっています。
WordPressは世界全体でみてもシェアNo.1のCMSですが、日本では特にシェアが高く、全CMSのうち約8割を占めます。
次に法人向けに充実したサービスを提供するAdobe Systems、EC向けCMSとして世界的なシェアを持つShopify、カラーミーショップ、ホームページビルダーと続きます。
CMSの概要については、以下コラムにてさらに詳しくまとめています。
まずは、自社サイトの構築にCMSを導入するメリットを5つご紹介します。
CMSは管理画面から直感的に操作でき、Webサイト全体に適用されるテンプレートも豊富です。そのため、HTMLやCSSなどのコーディング知識がなくても、CMSを導入すれば簡単にWebサイトを作成できます。
例えば、ヘッダーやグローバルメニュー、ボタンの配置、全体のカラーなど、通常はコーディングの知識がないと難しいデザインの実装も簡単で、統一感のあるWebサイトを作成できます。
特にパッケージで提供されているCMSにはすでに必要な機能やデザインが揃っているため、ゼロから構築する必要はなく、短期間で自社サイトの作成が可能です。
CMSを使えば、自社でホームページの更新が可能です。
従来、専門知識のある人材が社内にいない場合、ホームページのコンテンツやデザインの追加・修正は外部のWeb制作会社などに依頼する必要がありました。
CMSなら、Webサイト公開後のコンテンツの追加・修正、部分的なデザインの変更なども、外注することなく自社で対応できます。
自社で試行錯誤しながら気軽に変更できるため、ユーザーの反応を見ながらスピーディな更新が可能となり、ユーザビリティも向上するでしょう。
CMSを利用していない場合、専門知識を持つ社員がいなければ、Webサイトの更新・修正や維持管理をWeb制作会社に外注する必要があるでしょう。一方、CMSを使えば自社で更新できるため、外注費用を抑えることができます。
マルチデバイス対応やSEO機能が備わったCMSを活用すれば、Web制作会社に依頼するような業務も自社対応が可能です。
CMSは、Web制作の専門知識がなくてもコンテンツの更新や追加が可能で、複数の部署によるWebサイト運用の分業化を実現できるのが大きなメリットです。
また、CMSにはアカウントの権限管理機能があるため、チームや部署ごとに操作権限も設定できます。
例えば、コンテンツを作成した担当者から校正者・責任者への承認フローをCMS上で管理できたり、ユーザー・部署ごとに操作権限を分けたりといった操作が可能です。
この機能を使えば、担当ではない人が誤ってコンテンツを更新・公開するようなトラブルを避けられるでしょう。複数人でWebサイト運用を行っている企業に役立つ機能です。
SEOが可能なCMSでは、内部構造でのページ作成やマルチデバイス対応、サイトマップなどが管理画面から簡単に設定できます。
さらに、プラグインを使えば、ページごとのメタタグ設置、noindexやcanonical設定も可能です。
こういった機能を有効活用することで、ユーザーの使いやすさにもつながり、検索エンジンからの評価の向上も期待できます。
CMSは機能が多く便利な反面、細かい部分のカスタマイズが難しく、操作方法の学習が必要というデメリットもあります。
デメリットの対策方法もあわせて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
CMSのメリットのひとつとして、テンプレートを利用して統一感のあるWebサイトを簡単に作れる点があげられます。ただしその反面、部分的なカスタマイズは難しい場合もあります。
例えば、「このページの特定の部分だけ表示を変えたい」「新たに機能を追加したい」など、細かい変更にはコーディングが必要となるCMSも多いです。
部分的なカスタマイズはWeb制作会社に外注するか、事前にカスタマイズする可能性があるとわかっているのであれば、後から追加・変更できるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
CMSはWebシステムのため、操作方法を学習する時間が必要です。そのため、導入初期は操作に慣れずWebサイト運用がスムーズに進まない可能性もあります。
CMS導入初期の操作サポートをWeb制作会社に依頼したり、自社で管理するためのマニュアルを作成したりといった対策も検討しておきましょう。
CMSは大きく分けて、WordPressのようにソースが公開されているオープンソース型、ベンダーが独自に設計している独自開発型に分けられます。独自開発型はセキュリティ対策についてベンダーの開発に委ねることができますが、オープンソース型のCMSを利用する際には十分なセキュリティ対策が必要です。
具体的には、オープンソース型のCMSには「利用者が多いため攻撃者が悪意ある攻撃を行うリターンが大きい」、「ソースが公開されているため脆弱性を発見しやすい」などの理由からサイバー攻撃を受ける危険性をはらんでいます。もちろん、オープンソース型CMSでもセキュリティを高める開発を行っていますが、未知の脆弱性を突く「ゼロデイ攻撃」には弱いという特徴があります。
対策としては、SSL化する・CMSのバージョンを最新のものに更新する・WAFなどセキュリティ対策を導入する、といったものがあります。
CMSのセキュリティリスクとその対策については、以下コラムもあわせてご覧ください。
CMSはWebサイト作成・運用に便利なツールですが、Webサイトの特性によって向き不向きがあります。
ここでは、CMS導入の効果が出やすいWebサイトと、出にくいWebサイトをそれぞれ紹介します。
更新頻度が高いWebサイトや規模が大きいWebサイトは、関わる人も多いため、更新漏れや承認作業の遅れなど、運用中に、さまざまな問題が起きる可能性があります。
CMSを使えば、更新・承認作業がスムーズになり、アカウント管理によって人的ミスも防げます。
コンテンツ作成や更新のしやすさは更新頻度やWebサイトの見やすさに大きく影響するため、結果的にユーザーフレンドリーなWebサイトを作成できるでしょう。
CMSは、長期的に運用することではじめて、ユーザー数の増加や運用コストの削減といったメリットが生まれます。そのため、キャンペーンのために一時的にWebサイトを立ち上げる場合などは、CMSを導入するメリットが薄くなってしまうでしょう。一時的に使用するWebサイトなら、Web制作会社に依頼してLP(ランディングページ)を作成する方法がおすすめです。
また、アニメーションや画像などが効果的に使われているクリエイティブ性が高いWebサイトなどは、CMSを導入することでコーディングの制約ができてしまい、思うように作業ができない可能性があります。
Webサイトの目的に合わせて、CMSの導入を検討しましょう。
最後に、CMS導入時に押さえておきたいポイントを5つご紹介します。
CMSにもさまざまな種類があり、ECサイトなどWebサイトの目的に特化したものもあります。そのようなCMSは、目的別に必要な機能が揃っているため、自分でカスタマイズする必要がなく、成果につながりやすくなります。
Webサイトを使うユーザーにとっても、見慣れた機能が標準装備されているため、直感的に理解しやすいのもメリットです。
まずは自社サイトの目的をはっきりさせて、それに合うCMSを探すと良いでしょう。
管理画面の使いやすさもCMSを選ぶポイントとして重要です。直感的な操作ができるか、管理画面がシンプルかどうかなどを確認し、使いやすさを調べておきましょう。
機能が多いCMSでも、使いにくいとスタッフの操作ミスや作業遅れの原因になります。無料トライアル期間を設けているCMSも多いため、使いやすさの観点で比較してみてください。
CMSベンダーのサポート体制、利用できるセキュリティ対策ソフトやプラグインについても詳しく確認しておきましょう。
CMSを利用していると、操作方法の疑問やシステムの不具合が生じる場合もあります。必要な時に、すぐに問い合わせができるかどうかは重要なポイントです。WordPressなどオープンソース型のCMSはサポートがないため、不安であれば運用・保守サービスを提供しているWeb制作会社などへの依頼も視野に入れると良いでしょう。
また、CMSの脆弱性を狙ったサイバー攻撃も多いため、適切なセキュリティ対策が施されているかどうかの確認も重要です。特にソースコードが公表されているオープンソース型CMSは注意が必要で、プラグインなどで対策をしていないと情報漏洩などにつながる可能性もあります。
CMSベンダーやWeb制作会社のサポート体制、セキュリティ対策などは、事前に必ず確認しておきましょう。
オープンソース型のCMSは、開発元やベンダーによるサポートがありません。一方で、クラウド型のCMSはベンダーによって開発・保守管理されるのが一般的です。
ベンダーが倒産した場合、サポートやバージョンアップ対応などを受けられなくなり、Webサイトの修正や移行作業が発生する可能性もあるでしょう。
ベンダーの資本金や企業規模、ビジネスモデルもチェックして、信頼性が高いかどうかを確認しておくことをおすすめします。
CMSには、Google アナリティクスやSNS、MAツールなどとの連携機能が備わったものもあります。この機能を使えば、簡単に外部システムとの連携が可能です。
CMSを導入する際には、自社で利用している外部ツールと連携ができるかどうかを事前に確認しておきましょう。標準で利用できるものもあれば、有償追加が必要なツールやソフトウェアもあります。
こうしたツールと連携すれば、マーケティング施策が最適化でき、ユーザーの反応や要望に的確に応えられるWebサイトができるでしょう。
ここでは、導入するのにおすすめのCMSを5つご紹介します。
メリット・デメリット、チェックポイントをふまえて、自社に合うCMSを探してみてください。
本記事でもすでにご紹介している、CMSの代表例ともいえるのがWordPressです。有志により膨大な数のテンプレート、プラグインが公開されており、多くは無料で利用できるため、費用を抑えつつ自社に合ったデザインを模索できるでしょう。
コンテンツ更新機能も優秀で、ブログ機能は「見たまま編集」により直感的な操作が可能です。一度プラグインなども整えれば、Webサイトについて専門的な知識のない担当者でも問題なく更新できるようになります。
WordPressと同じく、オープンソース型のCMSです。
大規模サイトに対応していること、100以上の言語に対応していることから、越境も視野に入れて本格的なWebサイトを制作したい場合に向いています。
ECサイトを開設したい場合に大きな選択肢となるのが、EC-CUBEです。
EC-CUBEは大規模ECの構築も可能なオープンソース型のCMSで、ECサイトに必須の機能である決済機能はもちろん、カスタマイズ性に優れるテンプレートやセキュアな開発環境も備えています。
ジンドゥーは、初心者でも簡単に美しいWebサイトを作れることを目指した独自開発型のCMSです。
プランには専門的な知識がなくても直感的な操作でカスタマイズが行える「ジンドゥークリエイター」と、ナビに従うことでAIにより美しいWebサイトが完成する「ジンドゥーAIビルダー」があります。
独自開発型のため基本的には有料ですが、無料プランでも十分な機能が利用できます。
当社HubSpotが提供する、コンテンツ制作に特化した管理ツールです。Content Hubの中には完全無料で使用できる独自開発型のCMSも含まれており、HubSpotツール群の1つとしてシームレスなマーケティングが可能になります。
Content HubはAIを搭載しているため、魅力的なブログ記事を短時間で仕上げたり、新しいアイディアやアウトラインの作成をAIに任せることも可能です。
CMSには他にもいろいろな種類があるため、以下コラムから確認してみてください。
CMSの導入により、自社でのコンテンツ追加・修正、複数人での管理など、Webサイト運用が効率的にできるようになります。
ただし、WebサイトによってはCMSを導入する必要のないものもあるため、自社サイトの特徴をきちんと把握し、導入を検討してください。
Webサイトは長く運用するものです。そのため、自社サイト運用の目的や使いやすさ、運用開始後のサポートまでチェックして、自社に合ったCMSの導入を進めましょう。