潜在顧客の信頼を獲得するのに苦労していませんか?
実際に契約・購入をしてもらうには、まず自社の製品やサービスが訴求しているだけの価値があることを明確に示す必要があります。
もちろん、「当社はXに関して業界随一です」「YやZにおいて、競合他社と大きく差をつけています」などとアピールすることはできるでしょう。しかし結局のところ、それらは売り込み文句にすぎません。
よく短納期・高品質・低価格のキャッチフレーズを聞きませんか?どの企業もその3つを推しますが、実際にどこがいいかわからないですよね?お客様も同じ状況で、売り込み文句としか捉えていません。そのため根拠を示し信頼を得る必要があります。その根拠となり最も効果的なのが導入事例(ケーススタディ)です。
導入事例を通じて、製品やサービスが既存の顧客にもたらした成果を紹介すれば、自社が提供できる価値を実証することができます。
そこで今回は、皆さんが適切な情報を提供することで潜在顧客の信頼を獲得できるよう、効果的な導入事例の作成方法を、順を追って説明したガイドにまとめました。
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導入事例 / ケーススタディの作成方法を徹底解説
- 導入事例 / ケーススタディの基本
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導入事例の書き方:徹底ガイド
導入事例に最適な顧客の特定方法
本当に価値のある導入事例を提供するには、しっかりとプランを立てて最適な顧客を選抜する必要があります。具体的には以下のような顧客を候補として検討するとよいでしょう。
- 製品の知識:製品やサービスよく理解し活用できている顧客ほど適しています。そのような顧客は、自社がPRする以上に顧客目線で説得力のある説明をしてくれるはずです。
- 模範的な結果:顧客が求めるのは優れた手法ではなく結果です。そのため成果を出している企業は最も強力な導入事例になります。また自社がその顧客の成功に貢献していれば、熱意を持ち協力してくれるでしょう。
- 予想外の成功:従来の顧客とは違ったタイプの顧客で、素晴らしい結果を上げている企業があります。その企業は自社以上に顧客目線で考え行動し、自社製品・サービスを利用しているため、潜在顧客にとってはとても魅力的な事例になります。日本でいうと一人カラオケもその一つかもしれない。
元々は「複数名に歌う空間を提供」していたかもしれないが、「一人で歌を練習する」という目的のお客様が増えてきて、「一人カラオケ専門」店も増えてきました。このように顧客自身が見つけた解決策は、その当人だけではなく他にも必要とする人はいるため導入事例としてはとても価値があります。 - 有名な企業:中小企業の顧客でも強力な導入事例を作成することは可能ですが、大手企業や有名ブランドの導入事例は信頼性を高めることにつながります。大手企業は業界のリーダー企業であることが多く、追撃をするフォロワー企業が多数存在します。
コンビニ業界でいえばセブンイレブンがセブンカフェを始め売れ始めると、どのコンビニでも店頭でコーヒー販売を始めました。このように大手企業の動向は常に注目されているため、導入事例とすることで大きな効果が見込めます。 - 乗り換えた顧客:自社と契約する前に競合他社と契約していた顧客の導入事例を作成すれば、自社の競争力を強調し、潜在顧客の意志決定を自社に有利な方へ促すことができます。
導入事例を依頼する顧客へのコンタクト方法
依頼する顧客に、導入事例作成プロセスに協力してもらうには、クリアでオープンなコミュニケーションを行わなければなりません。つまり、最初の段階でこちらの期待するところを明確にし、しっかりとしたスケジュールを設定することが重要です。
導入事例作成プロセスが遅延する主な原因は、担当者に導入事例を承認する権限がなかったり、明確なスケジュールが設定されていなかったりするためです。ですから、事前にこうした点をしっかりと詰めておくようにしましょう。
遅れを出さないようにするためには、「自社から顧客に提供できるサポート」と「顧客に期待されること」のすべてを明確に記載したメールを送ってプロセスを開始するとよいでしょう。実際にどのようなメールを送ればよいのかは、以下のサンプルを参考にしてください。
サンプルメールを読まれて、おそらく「ケース スタディ リリース フォーム(Case Study Release Form)」 そして「サクセス ストーリー レター(Success Story Letter)」とは何かと思われたことでしょう。
まずケース スタディ リリース フォームですが、通常は以下のような内容を含めます。(ただこの文書は皆さんの事業規模、業務の性質、導入事例の用途によって多少変わってきます。)
- 導入事例の作成目的と用途に関する明確な説明
- 導入事例に含める予定の顧客情報(会社名、ロゴ、職位、写真等)の定義
- 導入事例以外に顧客に協力してほしい内容の説明(例えば、顧客は照会先になったり、フィードバックを共有したりすることに同意してくれていますか? そのために顧客の連絡先情報を他者に教える許可をもらっていますか?)
- 報酬に関する情報
次にサクセス ストーリー レターですが、これはサンプルメールにも書かれているとおり、導入事例作成プロセス全体の概要を記載したものです。文書では、導入事例に協力することで顧客が得られる利点を簡潔に説明すると共に、以下の各ステップを明確に定義することが重要となります。
- 合意:まずは顧客から社内承認をもらう必要があります。承認が出たら、署名・捺印済みのケース スタディ リリース フォームを返送してもらいます。この時に双方の希望に沿った日程を設定するとよいでしょう。
- アンケート:円滑にインタビューが行えるよう、電話でのインタビューを行う前に顧客にアンケートを記入してもらいます。お客様のことを正確に理解し、リアルティある記事を書くために必要です。
- インタビュー:アンケートが完了したら、顧客に連絡を取り、30~60分のインタビューをセッティングします。インタビューでは、自社の製品やサービスに関する顧客の活用に関して、顧客ごとにカスタマイズした一連の質問を行います。
- 草稿のレビュー:導入事例をまとめたら、顧客がフィードバックを返したり編集したりできるよう草稿を送ります。
- 最終承認:必要な編集が完了したら、導入事例の最終稿を顧客に送り、最終承認をもらいます。
最終的に導入事例のページを公開したら、顧客に共有のためページのリンクを送ります。その際、リンクを顧客の社内でも共有してもらうようお願いしてみましょう。
導入事例は自社の成果・能力だけでなく、担当者の成果でもあります。その素晴らしい成果をお客様社内で共有頂きましょう。社内で担当者の上がればお互いにwin-winの関係が築けます。
適切な質問を行う方法
アンケートとインタビューを成功させるには、事前準備が重要です。単純な質問では誰の心にも響かない事例になってしまいます。「どのようなお客様」が「どのような課題」を持ち、「どのように解決したか」。
具体的なお話を聞くことで、同じような境遇・課題を持つお客様に響く事例になります。単に質問を準備するだけでなく、それらが「適切な質問」であるようにしてください。
アンケートは、以下のような質問で始めるとよいでしょう。
- 御社の目標は何ですか?
- 弊社の製品またはサービスをご購入される前は、どのような課題を抱えておられましたか?
- 競合他社に比べ弊社の製品またはサービスのどのようなところが優れていましたか?
- 御社の導入までの流れを教えてください
- 弊社の製品またはサービスをご利用いただき、どのような効果がありましたか?(可能な場合には、実際の数字を出してもらいます)
実際のインタビューで、成果が出るまでのストーリーをお聞きしましょう。次に、電話によるインタビューでは「インタビューの黄金律」に従うことをお勧めします。次に、電話によるインタビューでは「インタビューの黄金律」に従うことをお勧めします。
黄金律というと仰々しく感じられるかもしれません。
実際には非常にシンプルで、「自由回答形式の質問をする」、ただこれだけです。
「はい」か「いいえ」で回答できてしまう質問からは、説得力のあるストーリーを作り出すことはできません。「~について詳しくお聞かせください」「~について教えてください」のように、詳しい話を引き出せるような質問に常にフォーカスしてください。
インタビューの構成については、「顧客のビジネス」、「ソリューションの必要性」、「意思決定プロセス」、「ソリューションの導入」、「ソリューションの実施」、「結果」という6つのセクションに分けることをお勧めします。このようにセクションを分けることで、充実した包括的な導入事例をまとめるのに十分な情報が収集しやすくなります。
それでは各セクションを詳しく見ていきましょう。
- 顧客のビジネス:このセクションのゴールは顧客の現在の課題と目標、およびそれらが業界の動向にどのように合致しているかを十分に理解することにあります。
- 質問例:事業年数はどのくらいですか? 従業員数は何人ですか? 部門における現在の目標は何ですか?
- ソリューションの必要性:説得力のあるストーリーを語るには背景が必要です。背景を明らかにすることで、自社のソリューションが顧客のニーズにどのようにマッチしているかが明らかになります。
- 質問例:どのような課題や目標がきっかけでソリューションを探そうと思われましたか? ソリューションが見つからなかったらどうなっていたと思われますか? 弊社の前に試して上手くいかなかったソリューションはありますか? あるとしたらどのような結果になりましたか?
- 意思決定プロセス:顧客が自社と契約するに至ったプロセスを理解することで、潜在顧客の意志決定プロセスを誘導することが可能になります。
- 質問例:弊社の製品またはサービスをどのようにしてお知りになりましたか? ソリューションの選定プロセスにはどなたが関与されましたか? 各オプションを評価するにあたり、最も重要視したものは何でしたか?
- ソリューションの導入:実際の導入プロセスにおける顧客の体験にフォーカスした質問を行います。
- 質問例:実際に導入して開始するまでにどのくらいかかりましたか? それは期待に沿っていましたか? このプロセスにはどなたが関与されましたか?
- ソリューションの実施:このセクションのゴールは、顧客が自社の製品やサービスをどのように使用しているかを理解することにあります。
- 質問例:製品またはサービスで特に頼りにしている部分はありますか? どなたが製品またはサービスを使用されていますか?
- 結果:ここでは定量的な成果を聞き出します。具体的な数字が多ければ多いほど理想的です。
- 質問例:製品またはサービスは、時間の削減や生産性の向上にどのように役立っていますか? どのような形で御社の競争力を強化していますか?重要指標であるA、B、Cはどのように変化しましたか?
導入事例の作成:導入事例のサンプルフォーマット
収集したすべての情報を、いざ何らかの形にまとめるとなると、難しく感じる方もいるかもしれません。
どこから始めればよいのか? 何を含めるべきか? どうするのがベストな構成か? 疑問はつきません。
導入事例のレイアウトとして、HubSpotでは、以下の7つのセクションを組み込むことをお勧めします。
- タイトル:最も説得力のある成果を強調した短いタイトルにします。
- 概要:ストーリー全体の概要を2~4文で示します。その後、成功を実証する要素を2~3つ、箇条書きで加えます。
- 顧客の紹介:顧客(個人または企業)を紹介します。顧客のFacebookプロフィールやウェブサイトから引用してもよいでしょう。
- 課題:2~3段落で、自社の製品またはサービス導入前の顧客の課題および設定していた目標を説明します。
- 提供したソリューション:2~3段落で、自社の製品またはサービスが顧客の課題をどのように解決したかを説明します。
- 顧客の成果:2~3段落で、自社の製品またはサービスが、顧客個人または顧客企業にどのような影響をもたらし、目標達成にどのように貢献したかを説明します。自社の貢献度を示せるような数字を含めましょう。
- 視覚要素と顧客の声:上記のいずれかのセクションの最後に、顧客の声で最も印象的なものを1~2つ引用しましょう。またストーリーを裏付けるような視覚要素を含めます。
以下は、上記の導入事例(ケーススタディ)フォーマットを実際にテンプレート化したものです。
導入事例のレイアウトを決める際は、収集した情報をできる限り明確かつ簡潔に伝えることに努めましょう。さっと読めて理解しやすいようにしてください。そして最も重要となるのが、最後にCall-To-Action(CTA)を配置して、読者に製品やサービスの詳細を知る機会を提供することです。
ビジネス導入事例記事の例
あなたは結果を出し、顧客にコンタクトし、期待するところを明確にし、アンケートを実施して生産的なインタビューを行い、収集した情報を説得力のあるストーリーにまとめました。そのようにして完成したのが、セールスを促進する強力な「導入事例記事」です。
導入事例が最終的にどのような形になるかについては、HubSpotの導入事例(ケーススタディ)ライブラリから引用した以下のマーケティング導入事例をご覧ください。
インバウンドマーケティングでプッシュ型営業がほぼゼロ。新規顧客単価が2倍へ。
タイトルに説得力のある数字が含まれているため、ソウルドアウト株式会社がどのようにその数字を達成したのか、読者に知りたいと思わせることができます。
また、ソウルドアウト株式会社がインバウンドマーケティングを導入するまでどのような境遇にいたかを明確に説明しています。
パワフルな引用がいかに効果的で、導入事例全体の裏付けとなるかがお分かりいただけるかと思います。
ビジネス導入事例動画の例
動画の導入事例では、事前に収集した情報を説得力のあるストーリーにまとめプレゼンテーションをするような形で収録する必要があります。
導入記事なども効果を発揮する一方で、動画の力に注目も集まり、動画を活用して導入事例を紹介する企業が増加してきています。
HubSpot パートナー企業:株式会社タービン・インタラクティブ
動画の情報量はテキストなどの文字と比較し、圧倒的に密度と量が増加します。その情報量は、テキストと比較すると5,000倍にもになると言われ、どうして株式会社タービン・インタラクティブが導入に成功したのかを、視聴者に知りたいと思わせることができます。
もちろん、被写体となる方のプレゼン力であったり、表情などが視聴者に対して大きな影響を与えることもあります。パワフルなジェスチャーや豊かな表情がいかに効果的で、導入事例全体の裏付けとなるかがお分かりいただけるかと思います。
皆さんの会社では導入事例作成プロセスにどのようなアプローチで取り組んでいますか? 導入事例のプロモーションに何か特別なことは行っていますか? 以下のコメント欄で是非共有してください。
編集メモ:この記事は、 2015年5月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。 Carly Stecによる元の記事はこちらからご覧いただけます。