iPaaS導入のための完全ガイド

執筆者 Christina Perricone
業務効率化を実現!iPaaS完全ガイド

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iPaaSの特徴や導入時のチェックポイントとは?

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皆さんはSaaS(Software as a Service)という言葉を耳にしたことがあるかと思います。

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SaaS企業では、ソフトウェアをサブスクリプション形式で販売しているほか、ユーザーが自社のソフトウェアを最大限に活用できるように、サブスクリプションに加えてテクニカルサポートやカスタマーサービス、ソフトウェアのアップグレードなどのサービスを提供しています。

HubSpotもSaaS企業の1つで、マーケティング、営業、カスタマーサービス用の各種ツールを統合したソフトウェアを提供し、お客様のビジネスの成長を後押ししています。しかし、その中で1つの問題に直面しました。

ソフトウェアの提供を続ける中で私たちが実感したのは、たった1つのソフトウェアでユーザーのニーズをすべて解消できるほど、話は単純ではないということでした。ユーザーは完璧なソリューションを作り上げるために、ソフトウェアやプラグインを別々の場所から調達し、さらにはウィジェットまで導入して、膨大な数のオプションを組み合わせていたのです。

消費者のニーズは大きく変わりました。問い合わせに対してすぐに返事がほしい、即効性のある解決策がほしい、問題の解決に必要なものをすべて手に入れたい。今の消費者はそのように考えています。

しかし、企業にとっては、自社のソフトウェア環境にツールをさらに追加するとコストがかさむ可能性があり、顧客の要望が増え続けている現状では、すべてのニーズに対応することが難しくなってきています。

しかも、ほとんどのソフトウェア企業では、そもそも自社のシステムが一本化されておらず、データをクラウドやオンプレミスのシステムから取り込み、全体として1つのシステムを構成しているのが現状です。米国ボストンの広告代理店Ascend2の調査では、「自社の成功を妨げる最大の要因は異なるソフトウェアの統合にある」と考えているマーケティング担当者の割合が57%に達しています。

複数のシステムが別々のプラットフォームで稼働し、それぞれが自社にとって不可欠な機能を果たしているような状況では、データの損失や情報の断片化、システムの連携不全などのリスクが生じるおそれがあります。

顧客のニーズに対応しつつ、社内のシステムの複雑さを解消できるように、業務効率を改善するための手段が必要です。

そこで解決策となるのがiPaaS(Integration Platform as a Service)です。

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〜iPaaSの特徴や導入時のチェックポイントとは?〜

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    iPaaSは、分断されたシステムどうしを接続し、ソリューションの統合を実現するためのプラットフォームです。システム間の連携を媒介する機能を果たすことで、システムの統合とデータの共有を可能にします。

    iPaaSを導入すれば、ほとんどのシステムを一貫して統合することができるため、新しいサービスを導入するたびに統合に頭を悩ます必要がなくなります。また、クラウドへの依存度が高くなるほど、ビジネスモデルを問わず、ほぼすべての企業にとってiPaaSが不可欠なものになります。

    このガイドでは、iPaaSの基礎知識や仕組み、iPaaS導入の主なメリットについて説明します。

    ほとんどの企業では、特にマーケティング、営業、カスタマーサービスの各部門で異なるシステムを使って業務を進めています。iPaaSを導入し、ソフトウェアを統合することで、サイロ化したシステム間の連携を改善し、社内のデータ共有を促進することができます。

    また、iPaaSを導入すれば、サービスを拡充するうえでシステムを新しく構築する必要がなくなります。そのシステムと同じ機能を持つ既存のソフトウェアとiPaaSを連携させることで、顧客に提供するソリューションの改善と一元化を実現できます。

    たとえば、皆さんの会社で美容室向けのスケジュール管理ソフトを販売しており、このソフトに予約受付、予約管理、リマインダー送信の機能があると仮定します。このソフトウェアの開発後、「顧客に口コミの投稿を依頼する機能や、決済処理を行う機能を搭載してほしい」という美容室のニーズがあることが判明しました。こうしたニーズに応えるには、新しい機能を構築してソフトウェアに追加することも可能ですが、iPaaSを利用して既存の口コミ管理用ソフトや決済処理用ソフトと接続する方法もあります。この方法を採用すれば、時間とコストを節約しつつ、サービスを拡充して顧客のニーズに答えることができます。

    iPaaSの仕組み

    iPaaSを導入すると、複数のソフトウェアアプリケーションを連携し、クラウド内で展開するためのインフラストラクチャーを構築できます。

    iPaaSを導入する場合、プラットフォーム上で許可する連携の種類について、パラメーターを設定します。このパラメーターは、API(Application Programming Interface)や構築済みのコネクターの形式を取る場合もあれば、他の形式のルールになる場合もあります。

    このルールを設定すると、すべてのデータ、インフラストラクチャー、操作の表示、管理、変更が可能な一元的なエコシステムが作成されます。これにより、製品の調整や情報の共有、顧客に対するソリューションの提供が簡単に行えるようになります。

     

    知っておきたいiPaaS関連用語

    ところで、皆さんは各種SOA(サービス指向アーキテクチャー)を正しく区別できているでしょうか? ここからは、iPaaSの特徴を理解しやすくなるように、一般的なクラウドサービスのビジネスモデルについて、簡単に説明していきます。

    プラットフォーム

    プラットフォームとは、すべてのシステム連携を一元管理する中核的な要素です。HubSpotのプラットフォームエコシステム担当VPであるScott Brinkerは、HubSpotブログの記事で、「プラットフォームと呼ばれるソリューションの特徴はさながら車輪の『ハブ』のように、複数の製品を効果的に連携させる存在である」と説明しています。

    連携プラットフォーム

    連携プラットフォームは、複数のアプリケーションやシステムをつなぐ役割を果たし、エンジニアの開発環境の基盤となります。

    PaaS(Platform as a Service)

    PaaSとは、ユーザーがソフトウェアを展開するうえで必要となるすべての要素を搭載したプラットフォームのことです。この要素には、サーバー、ネットワーク、メモリー、データベース、オペレーティングシステムなどが含まれます。

    ソフトウェア

    ソフトウェアとは、ユーザーのために特定のタスクを実行するプログラムのことです。

    SaaS(Software as a Service)

    SaaSとは、ユーザーにオンデマンドでソフトウェアを提供するためのシステムのことです。ソフトウェアの保守、ホスティング、展開はすべてソフトウェアプロバイダーの手で行われます。

    IaaS(Integration as a Service)

    IaaSは、システムとサードパーティーのベンダーの間のデータ統合を可能にする、クラウドベースのモデルです。IaaSを使用すると、ベンダー間で複雑な相互依存関係を構築することなく、データ共有の遅延を最小限に抑えることができます。

    ESB(Enterprise Service Bus)

    ESBには「aaS(as a service)」が含まれていませんが、iPaaSとの違いを理解しておくことは重要です。ESBとiPaaSは、組織内でのデータやアプリケーションの共有を可能にするという点は共通している一方、いくつもの違いがあります。そのため、ESBはクラウド環境で使われるソリューションとして実際に選ばれにくくなっています。たとえば、ESBのソリューションが動作するのはオンプレミス環境に限定されるため、リモートやクラウドベースでの連携では効率が低下します。また、マルチテナントがサポートされておらず、iPaaSに比べて応答時間が長くなる場合があります。

    iPaaS導入のメリット

    過去20年でSaaSが普及した結果、エコシステムの内部で「システムの連携不足」というギャップが生じており、このギャップはさらに深まりつつあります。iPaaSが生まれたのは、即効性のあるシームレスなクラウドソリューションを展開するための方法へのニーズの高まりによるものです。

    iPaaSのメリットは、2つの側面から捉えることができます。1つはiPaaSを導入する企業にとってのメリット(社内のメリット)、もう1つはiPaasを導入する企業の顧客にとってのメリット(社外のメリット)です。

    社外のメリット

    ソフトウェア企業が顧客に提供するサービスの一部としてiPaaSのテクノロジーを導入すると、顧客満足度の向上によりさまざまなメリットを得ることができます。iPaaSの導入によって顧客に提供できるメリットは、さまざまなものがあります。

    ソリューションの一元化

    各種ニーズに合わせて必要なソフトウェアをそれぞれ用意し組み合わせるのではなく、必要なソフトウェアがすべて接続された1つのプラットフォームをクラウドベースの1つのツールで便利に使用できるため、複数の環境でテクノロジーを入手、展開する必要がなくなります。

    データの整理

    顧客がすべてのデータを1つの画面で確認し、データの分類やアクセスについてのルールを設定できるようになります。その結果、顧客が使用しているすべてのシステムでデータが解釈しやすい形で表示され、データの分析、解釈、活用がさらに簡単かつ正確に行えるようになります。

    情報共有の改善

    プラットフォームが1つに統合されていれば、唯一の信頼できる情報源を確立することができます。データが同じエコシステム内で共有されているので、重要な情報が失われることはありません。また、ユーザー全員が同じデータにアクセスできるため、齟齬が生じにくくなります。

    ワークフローの改善

    ツールの切り替えにかかる時間が減ることで、業務に集中できる時間が増えます。しかも、その業務はすべて1か所で行うことが可能です。プラットフォームを共有することでチーム全体で協力し効率的に業務を進めたり、ワークフローを改善したりすることができます。

    社内のメリット

    ソリューションの統合を必要としているのは顧客だけではありません。企業でも、Eメールツールやマーケティングソフトウェア、ドキュメント共有ツールなど、さまざまなツールを使って業務を進めています。iPaaSを導入すれば、これらのツールを1つにまとめ、業務効率とワークフローの改善を実現できます。

    iPaaSの導入によって社内で得られるメリットは、次のようなものがあります。

    システムのサイロ化の解消

    サードパーティーのシステム連携は、展開環境が異なる場合があります。連携するシステムが少なければ問題にならないかもしれませんが、製品やサービスの開発が進み、企業規模が拡大していくと、システムの連携が社内に分散する可能性があります。その結果、データの閲覧が不可能あるいは困難になって混乱が生じ、重要な情報を見落とすリスクが生まれます。

    リアルタイムのデータ処理

    iPaaSを導入すると、データをリアルタイムで共有し、処理できるようになるため、アクセス時の遅延が解消し、ソリューションをすばやく簡単に利用できるようになります。

    業務効率の改善

    iPaaSを利用すれば、1つのシステムから他のすべてのシステムを一元管理できるようになり、データの損失や矛盾による混乱を防ぐことができます。

    システムの一元管理

    iPaaSで作成された1つの仮想ビューを使って、プラットフォームに含まれるすべてのシステム連携を管理できます。個人や部署単位でさまざまなシステム連携を管理してもらうことなく、1つのコンソールからすべてのシステムにアクセスできるようになります。

    マルチテナントへの対応

    原則として、ソフトウェアを利用するテナントは、それぞれ個別のインスタンスが必要になります。電話をかけている人それぞれに電話回線が必要になるのと同じように、ソフトウェアへのアクセスがあると、その都度インスタンスが作成されます。しかし、iPaaSを導入すればテナント間でインスタンスを共有できるようになり、過負荷の解消とコストの抑制、そして使用速度の向上が実現します。

    セキュリティーとコンプライアンスの向上

    どのような環境でもセキュリティーの脅威は避けられませんが、特にクラウド環境ではそれが重篤な問題になります。そのため、iPaaSのソリューションでは不正や侵入の検出機能が提供されています。しかし、iPaaSの本当のメリットは、プラットフォームが一元化されていることで、脅威が潜んでいる場所の特定と適切な対応がしやすくなるという点にあります。さらに、1つの環境で変更を実装できるので、法令の遵守も容易になります。

    Gartner社によるiPaaS分野のマジック・クアドラント

    iPaaSは比較的新しいテクノロジーなので、iPaaSベンダーの信頼性、安全性、事業の継続可能性を判断するには、客観的な評価を見ることが必要です。そこで役に立つのが、Gartner社が公開しているiPaaS分野のマジック・クアドラントです。

    Gartner社はIT分野を中心としたコンサルティングサービスを提供する企業で、「マジック・クアドラント」と呼ばれる客観的で質的な市場調査を実施し、高い信頼を得ています。Gartner社は、「マジック・クアドラントでは、各市場の方向性や成熟度、市場に参加している企業の状況を視覚的に把握し、調査結果の詳しい分析やすぐに役立つアドバイスを確認することができる」と説明しています。

    GartnerのエンタープライズiPaaS分野のマジック・クアドラントでは、Dell Boomi、Jitterbit、MuleSoft、Oracle、SAPなどのiPaaSベンダーを取り上げ、それぞれの強みと注意点を詳しく説明しています。これにより、iPaaS分野についての客観的な見解と、読者のニーズにマッチするソリューションを判断するためのヒントを提供しています。

    iPaaSベンダーの例

    iPaaSの導入は、社内のあらゆるデータやアプリケーションの連携を改善するのに非常に有効です。皆さんがご自身の組織にぴったりのパートナーを探せるように、私たちが作成したiPaaSベンダーのリストを最後にご紹介します。

    Dell Boomi

    Dell Boomiは、アプリケーションとデータの統合、ワークフローの自動化、アプリケーションの展開、APIの設計、B2B管理などの機能をすべて1つのマスターハブにまとめた便利なiPaaSソリューションを提供しています。

    Informatica

    Informaticaは、他社のソリューションより優れた機能を備えた業界トップクラスのiPaaSソリューションを提供しており、高い顧客ロイヤルティーを獲得しています。Gartnerだけでなく、世界各国の7,000社以上の顧客から支持を集めているInformaticaは、業界トップの位置を維持しています。

    Celigo

    Celigoは、FTPによるシンプルなシステム連携から高度な連携まで、さまざまなニーズに対応できるiPaaSソリューションを提供しています。さらに、Celigoのアプリマーケットプレイスでは、多種多様なビジネスニーズの解消に役立つアプリが、Celigoの審査を経たうえで紹介されています。

    Jitterbit

    Jitterbitは、オンプレミスとクラウドのシステムをつなぐAPIの構築の難しさを理解しており、システム連携を社内で構築するためのリソースが不足している企業のことを考え、自社のプラットフォームとすばやく連携できるサービスを提供しています。

    Blendr.io

    Blendr.ioは、エンタープライズレベルの高度なシステム機能やセルフサービスの標準的なシステム連携を作成できる、ローコードのビジュアルビルダーを提供しています。さらに、Blendr.ioのプラットフォームは、他のSaaSプラットフォームのUIにシステム連携を埋め込むための機能も搭載しています。

    MuleSoft

    MuleSoftのクラウド連携機能は「CloudHub」という製品で提供されています。この製品は、システム連携やAPIのマルチテナントに対応しており、世界の8つの地域への展開、多数のユーザーによる利用、設定不要ですぐに利用できるクラウドセキュリティー、そしてコンプライアンスに対応できるほか、さまざまな指標に基づくデータを提供します。

    Zapier

    Zapierはアプリの接続とワークフローの自動化、そして分断されたシステムどうしの接続とデータ共有を可能にする著名なソリューションです。

    このリストの企業以外にも、さまざまなiPaaSベンダーがあります。少し調査をすれば、いくつものベンダーを見つけて比較できるはずです。あるいは、Gartner社の調査結果を利用してもよいでしょう。

    iPaaSソリューションを導入してシステムの連携を進めましょう

    クラウドの利用が普及していく中で、複数のシステムの使用に伴う摩擦を解消し、組織とサードパーティーの間でアプリケーションやデータを連携させるためのソリューションとして、iPaaSが現実的な選択肢になりつつあります。業務に使用するすべてのシステムを接続し、一元管理できるようにすることは、ビジネスを成長させていくうえで重要なステップです。システムを接続し、同期させることで、ビジネスをさらに飛躍させましょう。 

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    トピック: iPaaS

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