皆さんは、これまでに誰かが「この銀行を選んだのは、ウェブサイトのバナーが面白かったから」とか、「このメーカーは説明の動画が綺麗だからいつも利用している」とか言っているのを聞いたことがありますか。
おそらくないと思います。
つまり、消費者はウェブサイトの見栄えが美しいという理由では商品を購入しません。それにもかかわらず、ウェブサイトを(ROIを犠牲にしてでも)華美に作り上げようと、必死になる企業やウェブデザイナーがいます。私にはその価値がまったく理解できません。
デザインで大切なのは、表面的なことだけではありません。内面にある真の素晴らしさこそが重要なのです。
ウェブサイトの残念な欠点を、美しく飾り立てたデザインで隠そうとしても無駄です。それよりも、問題点をきちんと洗い出し、解決する方法を理解しましょう。この記事では、どれほど華美にしようと誤魔化すことのできない、ウェブサイトの深刻な問題を7つ取り上げて解説します。
1)検索結果の上位に表示されない
検索エンジンから高く評価されることの方が、サイトの美しさを評価されるよりもずっと価値があります。Googleでは企業名よりも製品やサービスの名称で、より多くの検索が行われます。そのGoogle検索でウェブサイトを見つけてもらうことができなければ、美しく飾り立てても何の意味もありません。
たとえば、Bullet Proof Designsは主要な3つの製品、「radiator guards」、「swingarm guards」、「disk guards」について、トップ5の検索順位を常に保持しています。
SEO対策のテクニック:
- オーディエンスが検索に使いそうなトピックやキーワードで、ウェブサイトのページをターゲティングする。
- 上質かつ最適化されたコンテンツの作成にリソースを投資し、美しく飾り立てるための費用は削減する。
指標を重視するマーケターなら、ウェブサイトをより輝かせられるのはトラフィックであることをご存知のはずです。
2)コンテンツがつまらない
新しくて有益で、シェアしたくなるコンテンツは、ビジネスを必ず成長させます。コンテンツマーケティングへの努力を怠っている企業は、競合他社よりも多くのカスタマーを獲得することができません。以下の統計データをご覧ください。
- 3億2,900万人もの人が、ブログを毎月読んでいます。ブログを作成していますか?
- 1日に2,700万件のコンテンツがシェアされています。この中に、皆さんのコンテンツは何件ありますか?
- 広告よりもブログや記事の方を好むと回答したカスタマーは73%でした。それでも広告に予算を費やしますか?
- コンテンツを公開しない企業よりも、公開する企業から製品を購入することが多いと回答した消費者は61%でした。
- シェアされたコンテンツをクリックした場合、購入の可能性が500%高くなります。皆さんが獲得するシェアの数はどのくらいですか?
- コンテンツのシェアの8割以上が、Eメール、SNS、ブログ、およびフォーラムで占められています。これらのチャネルをマーケティングに上手く活用できていますか?
(出典: Ditch Cold Calls. Why Content Is King.)
コンテンツ作成のテクニック:
- ブログをできるだけ早く開始しましょう。少なくとも週に2回は記事を投稿してください。競合企業の多くがブログを開設しているようなら、それよりも頻度を上げて投稿する必要があるかもしれません。
- セールス担当者やカスタマーサービス担当者に、自分たちが日頃よく尋ねられる質問を教えてもらい、それに回答するかたちでブログ記事を作成しましょう。
- ブログの記事を作成したら、投稿する前に音読しましょう。その言葉をリードやカスタマーに直接伝えても、あるいは、短いCMとして全国に放映されても問題ないと思えるほど自信を得てから、記事を投稿してください。
3)マーケティングプラットフォームが不十分
トラフィックやリードを獲得し、売上げを増やすためには、コンテンツを投稿したり、ランディングページを作成してテストしたり、リードをナーチャリング(育成)したり、コンバージョン率を改善したりできるプラットフォームが必要です。
無駄なツールや複雑な設定に時間を取られている暇はありません。マーケティングを効率的に行うためには、ツールおよびプラットフォームのすべての機能が、高度に連携している必要があります。そうでなければ、マーケティングにかかる時間が2倍、あるいは3倍にも膨らむ場合があります。また、活動の成果を容易に分析し、次回どの部分により重点を置くべきかを、適切に判断するためにも重要です。以下の質問について考えてみてください。
- ウェブサイトでリードを獲得し、ナーチャリングするために、プラットフォームの機能が効果を発揮しているか。キーワードの作成やSEO対策の調査に便利な機能はあるか。SNSマーケティングを管理するための機能が用意されているか
- カスタマーとの直接的な対話を管理できるか。企業の目標達成プロセスやイニシアチブの管理は可能か。チームを作成して共同で作業できる機能が備わっているか
- EメールマーケティングやSNSでの対話を管理できるか。顧客満足度の測定は可能か。マーケティング活動の効果を担当者、あるいは企業でモニタリングすることは可能か
現在使用しているプラットフォームでこれらのことが可能でない、あるいは可能かどうかもわからないなら、新しいアイデアをテストし、KPIのトラッキングを行うことなど、とうてい不可能です。そもそもプラットフォームが正常に機能しているかどうかから確認し直さなければならないでしょう。
プラットフォーム選択のテクニック:
- マーケティングではアイデアを創出すること、テストを行ってそのアイデアを改善すること、そして、最新のマーケティング手法にそれを組み込むことが重要です。まずは、アイデアをウェブサイトでテストするための機能を備えたツールを探してください。
- それぞれに合ったツールを探しましょう。ツールと格闘するあまり、コンテンツを作成する時間が削られてしまうようなら、ツールの選択を考え直す必要があるでしょう。
4)リードを獲得できない:
ターゲットを適切に定めてマーケティングを行うために、インターネットほど有効なツールはほかに存在しません。テレビが実現し損なったことを、インターネットが見事にやり遂げています。最近ではインターネットマーケティングが非常に効果的に行われているため、従来型のマーケティング手法はほとんど時代遅れになってきています。
つまり、認知度を向上し、リードを獲得し、有望なリードを選別し、質の高いリードを営業担当者に渡すためにウェブサイトを有効に利用することは、もはやマーケティングでは必須と言えます。
リードを獲得するために何といっても重要なのが、CTA(Call-To-Action)を効果的に作成して、カスタマーを購買プロセスの次の段階へと進めることです。「詳しくはこちら」、「購読する」、「無料ガイドをダウンロード」、「見積もりを依頼する」、「今すぐ購入」、「フィードバックを送る」などのCTAをウェブサイトに適切に配置することで、カスタマーのナーチャリング(育成)プロセスを自動化する必要があります。
リード獲得のテクニック:
- トラフィックを獲得できない場合。 ブログを開設し、ターゲットカスタマーが検索に使いそうなキーワードを選んでブログ記事を最適化してください。関連の高いウェブサイトからブログへのインバウンドリンクを増やしましょう。コンテンツのシェアの数を増やすことも必要です。また、他のサイトへブログ記事を寄稿してもよいと思います。
- トラフィックからリードを獲得できない場合。 カスタマーが問題を解決するのに必要な情報を提供するオファーを作成してください。これによりブランドの認知度を高め、リードを獲得することが可能になります。
- リードを顧客化できない場合。オファーを作成し、プロモーションを行って、リードを顧客化するために役立ててください。また、そのコンテンツを利用してリードをナーチャリングし、ファネルの下の方へ移動させてください。
5)ターゲットオーディエンスが定まっていない
コンテンツやオファーを作成し、プロモーションする前に、ターゲットオーディエンスを必ず適切に設定する必要があります。そして、そのターゲットがなぜ、どのようにして製品を購入するのか、どうすればターゲットにリーチできるかを必ず理解してください。効果的なバイヤーペルソナを定義するには、時間や労力がそれなりに必要ですが、それができれば、ターゲットの要件を理解し、疑問点を特定し、ターゲットがそれについて調べる際に使用するキーワードを予測し、その課題を解決する方法を理解し、問題があれば相談にのり、解決策を(ターゲットにとって望ましい口調および方法で)提供することが可能になります。
ターゲットを適切に定め、そのターゲットに合わせてコンテンツを作成することが非常に大切です。
ターゲティングのテクニック:
- バイヤーペルソナを作成し、マーケティングコンテンツを作成する際のベースとして利用する
- カスタマーへの接し方についてまとめたドキュメントを作成し、ターゲットオーディエンスにとって望ましい方法で対話ができるようにする
- カスタマーサービスや営業の担当者がカスタマーから相談される問題について教えてもらい、それを解決するためのコンテンツを作成する
6)まったく更新されない
ウェブサイトを新しいアイデアで更新しないのも、非常に重大な問題だと思います。更新せず放置されたウェブサイトはすぐに新鮮さを失い、効果を失っていくからです。すべてを一新する必要はありません。それよりも、Eメールマーケティングやランディングページ、コンバージョンのファネルなどに少しずつ変更を加え、A/Bテストを行って効果が高いものを調べてください。
ウェブサイト更新のテクニック:
- ランディングページやリードナーチャリングのコンテンツ、あるいはCTAボタンなどに新しいアイデアを適用して、A/Bテストを実施してください。何か良いアイデアを思いついても、すぐに実践するのではなく、まずはテストを行って効果を確認しましょう。
- カスタマーがウェブサイトをどう思っているか知りたいなら、カスタマーに聞いてみましょう。製品を購入した(あるいはしなかった)人々にアンケートをお願いし、ウェブサイトに関する意見や、改善すべき点を聞いてください。
- Eric Ries氏による「The Lean Startup」をお勧めします。ここにはLean(無駄がないこと)の本当の意味について書かれているほか、無駄のないメソドロジーによってイノベーションがどれほど効果的、また効率的に続けられるかが説明されています。
7)SNSを意識していない
訪問者はウェブサイトを何気なく表示するのでも、何気なく離れるのでもありません。そして、コンテンツを何気なくシェアすることもないでしょう。多くの人が喜ぶコンテンツを作成し、多くの人に目にしてもらえるようにしてください。コンテンツをカスタマーに拡散してもらうには、コンテンツを簡単にシェアできるようにしておくことが重要です。
そのための必須アイテムがSNSです。SNSの利用は、企業の認知度向上や、オーディエンスへのリーチ拡大に偉大な力を発揮します。
SNSのテクニック:
- 「いいね!」やシェアやリツイートの数を増やしたいなら、全エネルギーの半分をコンテンツのタイトルに注ぎましょう。タイトルは読者が最初に目にする要素であり、タイトルだけを見てクリックするかどうかを判断されることもあります。素晴らしいタイトルを作成するために最善を尽くしましょう。
- コンテンツへのリンクをSNSで投稿する場合は、必ずエンゲージングなサムネイル写真を表示してください。
- SNSでシェアする場合は必ずトラッキングを行ってください。コンテンツの効果を測定することにより、改善を継続的に加えていくことが可能になります。
SNSマーケティングは長期的に考えるようにしましょう。Google+、YouTube、TwitterなどのSNSが企業の認知度向上に果たす役割はますます大きくなっており、長期的には検索結果の順位向上にも大きな効果を期待できます。
まとめ
ウェブサイトのコンテンツの質が低く、検索の順位も上がらなければ、潜在顧客をウェブサイトに引き寄せることができません。また、マーケティングプラットフォームが不十分だったり、ターゲットオーディエンスが適切に定まっていないと、マーケターやマーケティングチームが満足できる結果を得ることはとうてい不可能です。
この記事ではウェブサイトの問題点を洗い出して解決するために、自らに厳しく質問するべき7つの項目を、それぞれの解決方法と合わせて説明しました。ウェブサイトの改善やビジネス拡大のための参考になれば嬉しく思います。
著者:Kevin Barber氏。インバウンドマーケティングを専門とするエージェンシー、Lean Labsの創設者。レスポンシブに対応したウェブデザインに注目してサービスを提供しています。コスタリカに住居を構え、サイクリング、自給自足生活、職業能力開発を楽しんでいます。Kevin Barber氏によるブログ記事を、こちらのブログ(英語)からご覧いただけます。
編集メモ:この記事は、2013年11月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Kevin Barberによる元の記事はこちらからご覧いただけます。