YouTube広告の2019年度売上高は「1兆6,600円」であるということがAlphabet社の決算発表により明らかにされました。売上高伸率は昨対136%をマークしたようです。
世界の月間ユーザーは20億人(2020年3月時点)、日本には6,200万人(2018年12月時点)という巨大プラットフォームは、広告媒体としても非常に高い価値を保有しており、予算を割く企業が増えているようです。
ただ、YouTube広告は全て動画形式です。そもそも動画作成経験がない、動画広告を運用したことがない方にとっては、出稿にハードルを感じてしまうかもしれません。
そのような方たちに向けて、今回はYouTube広告を活用して成功をおさめた3社の事例をご紹介します。
3社の事例を通じて見えてきた動画活用のポイントは以下の3つです。
- 多くの情報量を盛り込める動画の利点を活用する
- 目的に沿った動画生産体制を整備する
- ユーザー視点に立ち、何が響くかを考え続ける
今回ご紹介する企業はこれらポイントをどのように実践したのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
広告メニューと出稿方法を解説!YouTube 広告完全ガイド
初めての方にもわかりやすく出稿手順を説明しています。また、YouTube のメディア特性や広告フォーマット、メリットの解説と広告活用戦略についても解説。
- YouTube 広告の概要
- 活用目的と成果指標
- YouTube 広告の活用戦略
- YouTube への出稿手順
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
限られた予算で優位性を提示し、売上を向上させた事例
まずは、高品質なマットレスを提供する「Tuft & Needle」の事例をご紹介しましょう。
Tuft & Needle社は2012年に設立され、現在の売り上げは1億ドルを突破しました。「これほどの売上を出せたのはYouTube広告の影響が大きい」と創業者の二人が語っています。
創業当初の資金は6,000ドルで、限られた予算で競合他社との差別化ポイントを最大限訴求するために何を使えばいいか検討した結果、YouTube広告に決めたようです。
競合他社が多数存在し、ある程度成熟している業界では優位性を伝えるのはそう簡単ではありません。
情報量の多い動画であれば短い時間で競合優位性をアピールできます。Tuft & Needleの場合はできる限り動画を内製し、どれだけ自社のマットレスが素晴らしいか熱量を持って伝えるよう心がけているようです。
また、YouTube広告はテレビCMに比べて予算をコントロールしやすく、事業フェーズに合わせて柔軟に予算を変化させられます。
実際、Tuft & Needle社は当初1日あたりの予算を50ドル〜100ドルに設定していたそうですが、現在はGoogle広告にかける総予算の半分をYouTube広告に投資しているようです。
チラシを動画に横展開して来店単価を下げた事例
次は、家電量販店である「株式会社ノジマ」の事例をご紹介しましょう。
株式会社ノジマは、YouTube広告を利用する前は新聞の折込チラシがメインの集客手段でした。ただ、新規層へのアプローチが弱い点、チラシがどれだけ来店に繋がっているか厳密に計測できない点に課題を感じていたようです。
- 紙のチラシではリーチできない層にアプローチしたい
- 広告の効果を数値に基づいて測定したい
これらを解決するためにGoogle広告を導入し、その一環でYouTube広告も出稿しました。
ノジマの場合、動画を0から作成するのではなく、折込チラシのクリエイティブを活用し、毎週変わるチラシの内容を反映させるためスピーディに動画を生産できるフローを構築しました。動画制作パートナーに協力してもらいながら、週に1回のペースで新しい動画を配信できているようです。
課題の1つだった効果測定の面もクリアし、広告がどれだけ来店に繋がっているかを計測する「来店コンバージョン」を利用し、広告効果を測定できる体制を構築しました。
1名あたりのGoogle広告による来店単価が目標値に対して33%ほど下回る結果になり、店舗集客の効率化に成功したようです。
こちらの事例で注目するべきポイントは「紙のチラシを動画広告に応用した」ことでしょう。
動画広告で成果を出すためには、動画用に設計された高品質なコンテンツが必要なのではと思いがちです。
しかし、重要なのはターゲットユーザーが求める情報がわかりやすく盛り込まれているかという点です。それに、都度動画を作っていてはスピーディな運用は実現できません。
動画にとらわれず、ターゲットにとって必要な情報を盛り込むことを重視して、既存コンテンツを活用してスピーディな運用を実現して大きな成果に繋げたコジマの戦略は、特にオフライン広告を活用してきた企業にとって参考になるのではないでしょうか。
追体験できる動画で新規顧客獲得に成功したツアー会社の事例
アラスカに特化したスキーツアーを展開する会社「Majestic Heli Ski」の事例をご紹介しましょう。
Majestic Heli Skiは、ノジマとは逆にアラスカでスキーする魅力を凝縮した高品質な動画を作成しました。
近隣に存在するリゾート業社は約1万社あり、競合がひしめく中で集客するために、印刷広告やラジオ広告、パーティーイベントなどあらゆる広告手段を試したようです。その中でYouTube広告に着目しました。
Majestic Heli Ski が提供するのはアラスカのスキーツアーという「体験」です。オーナーのNjord Rota氏自身もスキーが趣味でターゲットユーザーと近い感性を持っており、「訴求するには追体験できるような動画がベスト」だと判断したようです。
そこで、ヘリコプターによるアラスカまでの送迎風景から、スキー場で実際にスキーを体験しているシーン、宿泊先のロッジまで、一連の旅行体験をストーリー仕立てにして映像化し、YouTube広告として配信しました。
結果、新規顧客の40〜50%をYouTube広告経由で獲得し、創業期と比較して約4倍の顧客獲得に成功し、年間売上が毎年25%増加しているようです。
体験を提供する企業の場合、ターゲットユーザーの感性に訴えかけられるかどうかが1つの重要なポイントのようです。
その場合、スピーディに生産するよりも、しっかり興味喚起できるよう、1本の動画を丁寧に作成した方が費用対効果は高くなるのかもしれません。
運用しながら地道にチャレンジを重ねよう
- 多くの情報量を盛り込める動画の利点を活用する
- 目的に沿った動画生産体制を整備する
- ユーザー視点に立ち、何が響くかを考え続ける
3社の成功事例から上記3点が重要だということが見えてくるかと思います。ただし、YouTube広告で成功するためのポイントこれだけではありません。日々様々な企業が試行錯誤しながら成功の法則を見つけているはずです。
YouTube広告は少額の出稿も可能なので、躊躇している企業はまずは小さく始めてみてもいいかもしれません。その中で生まれたアイデアを少しずつ試していけば道が開けるかもしれません。
3つ目に紹介したMajestic Heli SkiのオーナーであるNjord Rota氏は、事例動画の最後で「アイデアとやる気さえあれば成功するのです」と語っています。ぜひ皆さんも、予算の許す中で様々なアイデアを試してみてください。