何かを簡潔に言い表すのは決して簡単ではありません。腕利きのコピーライターでも口を揃えてそう言うはずです。

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しかもスローガンとなると、何かに対する複雑な想いを一言か二言で表現するわけですから、難しいに決まっています。

ですから、これを見事にやってのける企業、すなわち自分たちの提案する価値を、短かく、しかも気の利いた一文でバイヤーペルソナに完璧に伝えている企業を見ると、尊敬せずにはいられません。

そこでこの記事では、お手本になる素晴らしい企業のスローガンをご紹介します。私たちが感銘を受けた22のスローガンについて、なぜ素晴らしいかを解説していきます。(この記事は、初回投稿時に読者の方からいただいたコメントのアドバイスをもとに加筆しており、過去と現在の両方のスローガンを掲載しています。)

ですがその前に、スローガンとは何かをまず説明し、優れたスローガンに必要な条件についても簡単にお話しておきたいと思います。

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〜自社ブランドの認知度向上を実現させる秘訣とは?〜

企業が掲げるべきスローガンとは

Entrepreneur.comの「Small Business Encyclopedia」によると、ビジネスの世界でスローガン(タグラインとも呼ばれます)とは、製品や企業を印象付けるために、短い言葉で特別に作成するキャッチフレーズのことを言います。

ミッションステートメント(企業理念)を短くしたもの、と言えなくもないと思います。

企業がスローガンを持つ理由は、ロゴを持つ理由と同じで、広告のためです。ロゴはブランドをビジュアルに表現したものであるのに対し、スローガンはブランドを音声で表現します。この2つは、社名や製品名だけを表示するよりも、消費者の注意を惹きやすくすると同時に、企業や製品への理解と記憶を助長するという効果もあります。

スローガンはブランドからの重要なメッセージとして消費者の記憶に残ります。広告を見たあと内容を何も覚えていない人でも、スローガンだけは頭に残るはずです。

素晴らしいスローガンが持つ4つの条件

HowStuffWorksによると、素晴らしいスローガンは、次の条件の大半またはすべてを満たしているそうです。

(1)覚えやすいこと

スローガンを見た人が、その意味を1秒か2秒で理解できる必要があります。短くて覚えやすいスローガンなら、広告やビデオ、ポスター、名詞、垂れ幕などに表示して、いつまでも利用することができます。

(2)要点が含まれていること

マーケティングでよく言われる「Sell the sizzle, not the steak」をご存知ですか。つまり、製品の機能を宣伝するのではなく、そこから得られるメリットを宣伝しなさいというアドバイスです。これはそのままスローガンにも当てはまります。素晴らしいスローガンは、企業や製品のメリットをオーディエンスにわかりやすく伝えます。

(3)ブランドを差別化できること

ビールを選ぶなら、香りの豊かなものが良いですか? それともノンカロリー? 製品やブランドには、必ず他社とは違う何かが必要だと思います。

(4)ブランドにポジティブなイメージを与えること

優れたスローガンには、ポジティブでテンポの良い言葉が使われます。たとえば、Reeseという菓子メーカーが、ピーナッツバターをサンドしたカップ型のチョコレートに「Two great tastes that taste great together(一緒に美味しい2つの美味しい味)」というポジティブなスローガンを付けたのに対し、ステーキソースのメーカーであるLea & Perrinsは、「Steak sauce only a cow could hate(牛だけが嫌うステーキソース)」というスローガンを作りました。この2つではReeseの方がオーディエンスの印象は良いと思います。

それでは、いよいよここから過去および現在の素晴らしいブランドスローガンの例をご紹介します。皆さんのお気に入りが紹介されていなかったら、コメント欄でぜひお知らせください。今後の記事の参考にさせていただきます。

キャッチーな海外ブランドスローガン22選

1)ナイキ:「Just Do It」

ナイキのこのメッセージは、あっという間に世界中に知れ渡りました。そして、ナイキはスポーツウェアメーカーの枠を超えて、精神的な価値をも提供するブランドへと成長しました。体を鍛えたり、目標を定めて戦ったりすることは、アスリートでなくてもできるとナイキは教えてくれたのです。やりたいことがあるなら、あれこれ考えずまずは始めなさいと、このスローガンは私たちに伝えています。

ですが、このスローガンを作った広告代理店のKennedy + Wiedenでさえ、ナイキがこのようなブランドに変わるとは予想していなかったと思います。以前のナイキは、マラソンランナーという非常にハードコアなアスリート向けの製品以外は、ほとんど製造していなかったからです。要するに、「Just Do It」のキャンペーンがナイキのファネルを大きく広げたのです。このことから、ブランドのメッセージを伝え、ターゲットオーディエンスの共感を呼ぶスローガンを時間をかけて作成することは、企業にとって非常に重要であることがわかります。

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出典:brandchannel

2)アップル:「Think Different」

このスローガンが最初に登場したのは、アップルが「Here's to the Crazy Ones, Think Different」というコマーシャルで、現状を打破し世の中を変えようとチャレンジする「ビジョナリー」たちを褒め称えたときのことです。この「Think Different」自体は、当時IBMがThinkPadの広告で使用していた「Think IBM」を意図的に似せて作られたものです。

その後すぐ、「Think Different」はアップルのすべての広告に表示されるようになりました。当時、アップルは主要な新製品を何も発売していませんでしたが、人々はアップルが普通のコンピューターとはまったく異なることに突如として気付きます。一般的なユーザーでさえ、自分を「時代を先取りするハイテクユーザー」だと錯覚してしまうほど、同社の製品が非常にパワフルで使いやすいことに気が付いたのです。

Forbesによると、このコマーシャルのリリースから1年以内に、アップルの株価は3倍に跳ね上がったそうです。このスローガンはその後使われなくなりましたが、アップルのユーザーは今でも、自らを「think different」の一人であると認められたように感じることができます。

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出典:Blue Fin Group

3)Dollar Shave Club:「Shave Time. Shave Money.」

Dollar Shave Clubは、オンラインで申し込んだ顧客にカミソリを毎月配送するサービスを提供しています。同社のコンテンツは、HubSpotブログでもたびたび取り上げて紹介してきました。Dollar Shave Clubが、自分たちのサービスを知り尽くしたうえでマーケティングや広告を行っているということです。この「Shave Time. Shave Money.」というスローガンも、同社の持つ強みが実に上手く言い表わされています。

Dollar Shave Clubのサービスが提供するメリット、すなわちコストと利便性が、この簡潔なスローガンに巧妙に組み込まれています。的を射た軽快な表現で、ブランドが放つトーンを完璧に捉えていると思います。

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出典:TheStephenHarvey.com

4)L'Oréal:「Because You're Worth It(あなたにはその価値があるから)

「You're Worth It(あなたにはその価値があるから)」と言われて嫌な気になる人はいないでしょう。女性が化粧をするのは、自分を美しく見せることによって、多くの人から望まれる、魅力的な「価値のある」人間だと実感したいからであり、L'Oréalはそれを十分に理解しています。

このスローガンは製品そのものではなく、製品を利用する人に与えられるイメージを表現したものです。L'Oréalはこのスローガンによって、単なる化粧品ブランドの枠を超え、メーキャップの概念に極めて強力なメッセージをプラスすることに成功しました。

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出典:Farah Khan

5)California Milk Processor Board:「Got Milk?」

「Got Milk?」のキャンペーンはアメリカではかなり有名ですが、これがCalifornia Milk Processor Board(CMPB)によるものであることを知らない人もいるようです。このキャンペーンの面白いところは、そもそもがファーストフードやソフトドリンクの過剰摂取の問題に対抗する目的で始められたことです。

CMPBは、健康維持のために、多くの人にミルクをもう一度見直して欲しいと考えました。嗜好性の低い製品であるミルクにスポットライトを当てようと企画されたキャンペーンだったのです。

このキャンペーンでは、唇の上にミルクの髭を付けたセレブや動物、子供たちの写真に「Got Milk?」と書き足した画像がいくつも紹介され、2003年から2014年までという非常に長い期間続けられました。

CMPBはこのスローガンで自分たちの知名度を上げたかったわけではありません。ミルクを飲むという習慣をアメリカ中に広めようとしたのであり、実際、「Got Milk?」というシンプルな言葉でそれを見事に実現しました。

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出典:Broward Palm Beach News Times

6)マスターカード:「There are some things money can't buy. For everything else, there's MasterCard.」

マスターカードが1997年に作成したこのスローガン、「お金で買えない価値がある、買えるものはマスターカードで。」は、46の言語に翻訳され、広告キャンペーンとして98か国で使用されて、のちに賞を獲得することとなります。

この最初のシリーズは1997年にTVコマーシャルで放映されされましたが、これについて、Avi Dan氏がForbesに寄稿したこちらの記事(英語)には次のように書かれています。

「父親が息子を連れて野球観戦に行き、ホットドックとドリンクを買い与えます。ですが、この二人の会話はお金では買えません。」(中略)「"プライスレス"は当時の大流行語になりました。ソーシャルメディアが登場するのは、まだかなり先の話ですが、ある意味これはソーシャルキャンペーンだったと言えると思います。」

コマーシャルは多かれ少なかれ、見る人の感情を揺さぶるものです。たとえばこの最初のTVコマーシャルであれば、自分が父親に連れられてスポーツ観戦に行ったことを思い出す人も少なくないと思います。

何を懐かしみ、どう感じるよう仕向けるかは、広告によってさまざまですが、いずれにしても、「まずはカルチャー現象を起こし、それを継続的に育てていくことが重要」と、MasterCardのCMOであるRaja Rajamannar氏は言います。そのために、このスローガンのような「ノスタルジアマーケティング」が非常に有効だと思います。

7)BMW:「The Ultimate Driving Machine」

BMWは北米を除く世界中のあらゆる地域で自動車を販売しています。この「究極のドライビングマシン」という有名なスローガンは、Ammirati & Purisというほぼ無名の広告代理店によって1970年に作られました。

ディレクターのBaby Boomersは、当時大学を出たばかりの若者で、(BMWのブログによると)この仕事で苦労して得たお金をパッと使ってしまったそうです。最高級車であるBMWに、あまりにも似つかわしいエピソードだと思いませんか?

このスローガンは、BMWの最大のセールスポイント、つまり、「ドライバーが興奮するほどの高い性能」を力強くアピールすることを目的に作られています。見る人の感情を刺激し、高いお金を払ってでも購入したいと消費者に思わせることに成功していると思います。

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出典:BMW

8)Tesco:「Every Little Helps」

スーパーやコンビニなどの小売業を主たる事業としながら、金融や電気通信、ガソリンスタンドなどを幅広く展開するテスコにふさわしく、このスローガンは同社のさまざまな側面に巧妙にマッチします。テスコの提供する価値、クオリティ、サービス、そして環境保護運動(テスコは環境への影響を緩和するための活動を行っています)にいたるまで、どのようなメッセージにもぴったりと当てはまります。

Naresh Ramchandani氏はThe Guardianに寄稿した記事で、「これほど謙虚なスローガンはほとんど見たことがない」と述べています。テスコのマーケティングメッセージは「人々のためのブランド」であり、この柔軟で控えめながら影響力の高いスローガンによって、それを見事に表現しています。

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出典:The Drum

9)M&M:「Melts in Your Mouth, Not in Your Hands」

ここで、非常にわかりやすく価値を提案しているブランドのスローガンをご紹介します。チョコレートは要するに、チョコレートです。そのチョコレートを便利さという要素で差別化したのがM&Mです。同社の「手の中ではなく、お口の中で溶けます」というスローガンは、ブランドを他社とは違う魅力(チョコレートが硬くコーティングされていて、手がべたべたしないこと)でアピールすることの大切さを教えてくれます。

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出典:Platform Magazine

10)Bounty:「The Quicker Picker Upper」

Procter & Gambleが製造するBountyのペーパータオルには、「The Quicker Picker Upper」というキャッチーなスローガンが、もうかれこれ50年ほど使用されています。子供のころに聞いた言葉遊びの歌のようだと思うかもしれませんが、まさにそのとおりです。このスローガンには、いわゆる「押韻」が使わています。つまり、(「クイッカー・ピッカー・アッパー」のように)同じ音を短い文の中に2度3度と繰り返しているため、詩のように聞こえるのです。

長い年月のなかで、Bountyはこのスローガンの「Quicker」の部分を、キャンペーンの内容にぴったりな別の形容詞に置き換えては使用してきました(「The Quilted Picker Upper」や「The Clean Picker Upper」など)。また、Bountyのウェブアドレスを、quickerpickerupper.comからbountytowels.comに変更したこともありました。このように、キャンペーンごとに少しずつ変更を加えてはきたものの、同社はこのキャッチーなスローガンをオリジナルテーマとして守り続けています。

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出典:Bounty

11)De Beers:「A Diamond is Forever(ダイアモンドは永遠の輝き)」

ダイアモンドは本来、それほど価値の高いものではありません。実際、ダイアモンドは宝石店で払う金額の半分程度の価値しかないそうです。にもかかわらず、ダイアモンドがアメリカで富と権力とロマンスの象徴となったのは、1900年代のはじめにN.W. Ayerという広告代理店が、クライアントであるDe Beersのために、多面的で素晴らしいマーケティングストラテジーを企画し、実施したからです。

「A Diamond is Forever(ダイアモンドは永遠の輝き)」という、De Beersの象徴とも言えるスローガンは、1948年以降、De Beersのすべての広告に表示され、1999年にAdAgeによって20世紀最高のスローガンとして称えられました。

De Beersが目指す「ダイアモンドと二人の仲は永遠に不滅」というセンチメンタルな思想を完璧に表現したメッセージの効果で、所有するダイアモンドを売りに出すのを控える人が増えました(ダイアモンドが大量に再販されると人気が下がるため、ダイアモンドの市場価値が大幅に低下します)。

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出典:Sydney Merritt

12)Lay's:「Betcha Can't Eat Just One」

真面目な話、ポテトチップスを1枚だけ食べて終われる人はいないと思います。ですから、この「1枚食べたらきっと止められなくなる」というスローガンは、特にLay'sでなくても、どのスナックメーカーでも使えそうですが、最初に言いだしたLay'sの賢さを評価したいと思います。Lay'sは塩味の効いたパリパリと美味しいスナックに手が止まらなくなる人間の性を上手く突いています。炭水化物って本当に恐ろしいですね。

ところで、このスローガンは製品の味について何も語っていません。人気の高いスナックは他にいくらでもあるなかで、Lay'sがここまで支持を得た理由は、人間が自分の意思とは無関係にスナックをいつまででも食べ続けてしまうことを、このスローガンでユーモラスに表現したからだと思います。

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出典:Amazon

13)アウディ:「Advancement Through Technology」

アウディはこれをメインスローガンとして、1971年からあらゆる場所で使い続けてきました(ただし、米国でのみ「Truth in Engineering」というスローガンが使用されました)。オリジナルはドイツ語の「Vorsprung durch technik」です。さまざまな方法で訳されてきましたが、Audiはこれを「Advancement Through Technology」と英語で表記し、また、日本語では「技術による先進」と表記しています。

このスローガンが作られた翌年の1972年に発表された、第一世代のAudio 80(B1シリーズ)は、世界を驚かせるような新技術を数多く搭載するなど、スローガンにぴったりな新製品となりました。その後、アウディは1970年代の終わりにかけて、5気筒エンジン(1976年)、ターボチャージ(1979年)、4輪駆動(1980年)などの先進技術を次々と世に送り出すことで、「先進的な自動車メーカー」としてブランドを確立し、現在にいたっています。

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出典:Cars and Coffee Chat

14)Dunkin' Donuts:「America Runs on Dunkin」

2006年4月、Dunkin' Donuts(ダンキンドーナツ)は、ブランドリポジショニングを目標とし、数百万ドルを投資するなど、かつてない規模の広告キャンペーンを「America Runs on Dunkin.」というスローガンを掲げて発表しました。このキャンペーンは多忙なアメリカ人をターゲットとし、外出の途中にドーナツとコーヒーでお腹を満たしてもらうというコンセプトで始められました。

キャンペーンの開始時にDunkin' Donutsが公式に発表したプレスリリースには次のように書かれています。「この新しいキャンペーンでは、アメリカの人々の日常の生活、つまり仕事、遊び、そしてそのどちらでもないときにも、楽しいことや意外なことを見つけてみんなで喜び合いたい。そして、そのときいつもダンキンドーナツを手にしてもらえると嬉しいと思います。」

その10年後、ダンキンドーナツはお客さまへの感謝と尊敬の気持ちが薄れてきているのではないかと考え、2016年に「Keep on」キャンペーンを開始しました。このキャンペーンについて、ダンキンドーナツは、10年間続いた「America Runs on Dunkin.」キャンペーンを現代風にアレンジしたものとコメントしています。

広告代理店、Hill Holidayでセールス担当副社長とグループ・クリエイティブ・ディレクターを兼任するChris D'Amicoは次のように言います。「このキャンペーンでは、美味しいフードやドリンクを提供するだけでなく、多忙な毎日にダンキンドーナツが悪友、サポーター、あるいはバディとして皆さまにパワーを与えられるよう、精神的な面でも貢献したいと考えています。」

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出典:Lane Printing & Advertising

15)Meow Mix:「Tastes So Good, Cats Ask for It by Name」

ミャウミャウミャウミャウ...と、TVコマーシャルで数匹の猫がキャッチーな歌を合唱するMeow Mix社が、「とてもおいしいから、猫は名指しでミャウ・ミックスをおねだりする」という、シンプルながら説得力のあるスローガンを作成しました。

このスローガンによって、猫の鳴き声を聞くたびにMeow Mixをおねだりされているように感じるようになった人も多いでしょう。面白い仕掛けであると同時に、競争の激しいキャットフード市場で、多くの人にブランドを覚えてもらえる良い手法だと思います。

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出典:Walgreens

16)McDonald's:「I'm Lovin' It」

マクドナルドの「I'm Lovin' It」キャンペーンが開始されたのは2003年のことですが、このスローガンは現在でも色あせることなく、世界中で使用されています。マクドナルドのフードは、必ずしも健康的とは言えないかもしれませんが、同社はそもそも健康的であることよりも、味や便利さを売りにしており、そのターゲットオーディエンスに向けて、非常に魅力の高いスローガンになっていると思います。

マクドナルドのコマーシャルにでてくる「パラッパッパッパー」ですが、実はこれ、Justin Timberlakeの歌を元に作られました。ご存知でしたか。

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出典:McDonald's

17)New York Times:「All the News That's Fit to Print」

これは私が個人的に非常に好きなスローガンの1つです。この「All the News That's Fit to Print(印刷に値するニュースはすべて掲載する)」というスローガンは、1980年に、競合する新聞社が煽情的な記事を競って掲載していたことに意義を唱えるものとして作成されました。The New York Times社は、センセーショナルなニュースを売りにするのではなく、重要な真実やストーリーをオーディエンスに伝え、教育することに重点を置いています。同社のニュースがすべて、実際に「印刷に値する」ものであったのはそのためです。

このスローガンによって、The New York Times社は単なる新聞社ではなく、信頼に値するニュースを提供する企業として知られるようになりました。これは、人々の興味を誘うために作成されたスローガンというよりも、時代がそれを必要としていたためにできたスローガンであったと言えます。

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出典:4th St8 Blog

18)General Electric:「Imagination at Work」

General Electric社が1979年に作成した1つ前のスローガン、「We Bring Good Things to Life」をご存知でしょうか。このスローガンは広く知れ渡り、評判も良かったのですが、新しいスローガン、「Imagination at Work」ではさらに、企業の文化によって、社内の人たちのブランドに対する考え方が根本的に変わることを明確に示しました。

「Imagination at Work」のスローガンは、GE社の内部に向けたテーマとして作成されました」と、GEのコーポレートアイデンティティ責任者であるTim McClearyは言います。Jeff Immeltが2001年にGEのCEOに就任したとき、彼は「イノベーションこそすべてというGEのルーツに立ち返る」とアナウンスしました。

このテーマと文化によって、GEのブランドは「Imagination at Work」というスローガンとともに生まれ変わりました。つまり、イマジネーションが人々を刺激し、仕事への姿勢を大きく変えるきっかけとなる、と考えるようになったのです。

19)Verizon:「Can You Hear Me Now? Good.」

Verizonもオーディエンスを実に上手くターゲティングしてスローガンを作っています。この「Can You Hear Me Now? Good.(聞こえる? よーし!)」というスローガンは、「We never stop working for you.」というタグラインに追加して2002年に作成されました。

Verizonが設立されたのは1983年ですが、米国の最大手2社(AT&TとT-Mobile)をはじめとする数々の電話会社と、長いあいだ競争を続けていました。そのような状況で、Verizonを一躍有名にしたのは、どこにいても電話がつながるというサービスの信頼性でした。テキスティング(ショートメッセージ)や通話のオプションはイマイチだったかもしれませんが、エリアのカバー率で群を抜いていました。

このキャンペーンに登場する俳優(Paul Marcarelli氏)は、Sprintの新しいコマーシャルにも、最近出演し始めています。

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出典:MS Lumia Blog

20)State Farm:「Like a Good Neighbor, State Farm is There」

State Farm社は米国の保険会社です。これまで「Get to a better State」や「No one serves you better than State Farm.」など、数々のスローガンを作成してきましたが、最も有名なのは「Like a good neighbor, State Farm is there(親切なご近所さんのように、State Farmがそばにいます)」で、米国に住んでいる人ならおそらく一度はテレビで目にしていると思います。

このスローガンはState Farm社の「コミュニティファースト」という価値提案を強力にアピールしています。また、保険会社にありがちな堅苦しい雰囲気を感じさせないため、これを見た消費者はすぐに親近感を抱くでしょう。

保険というものは、利用者がほとんど予期しないところで必要になるものです。そのようなとき、State Farmが親しみやすい親切な言葉遣いで対応してくれます。

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出典:StateFarm

21)Maybelline:「Maybe she's born with it. Maybe it's Maybelline.」

このCMソングを頭の中で歌える人がたくさんいるほど、Maybellineのスローガンは1990年代に作成されたのち、世界中でかなり有名になりました。これを聞くと、雑誌のきらびやかなページに長いまつげで、カメラのレンズを真っすぐに見つめる美しい女性が頭に浮かびます。化粧品ブランド、Maybellineといえばこれです。つまり、メークアップによって、女性が自信たっぷりに生まれ変わるというコンセプトのブランドです。

Maybellineはこのスローガンを2006年2月に「Make IT Happen」に変えました。これは、自分なりの方法で美を表現する気持ちを女性に促すものです。それでも、長く親しまれた前のスローガンは今なお影響力が強く、あちこちで目にすることができます。

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出典:FunnyJunk

22)アメリカ海兵隊:「The Few. The Proud. The Marines.」

アメリカ海兵隊は何十年ものあいだ、隊員を募集するために最高に素晴らしいスローガンをいくつも作り続けてきました。第一次世界大戦が始まった頃にできた「First to fight」や、1980年代の「We're looking for a few good men」もそうですが、やはり「The Few. The Proud. The Marines.(少数、精鋭、海兵隊)」が最も素晴らしいと思います。

「このスローガンは、海兵隊に参加して自国に奉仕しようとする人たちの度量の大きさを強く表現しています」と、Marine Corps Recruiting Commandの前司令官であるMaj. Gen. Richard T. Tryon氏は言います。このスローガンは2007年にMadison Avenue Advertising Walk of Fameにも選ばれました。

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出典:Marines.com

皆さんの会社にスローガンはありますか? 他にもお気に入りのブランドスローガンがありましたらお知らせください。

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PRの基礎と必須ツールがわかるPR活動完全ガイド

編集メモ:この記事は、2016年7月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Lindsay Kolowichによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

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元記事発行日: 2017年2月01日、最終更新日: 2023年8月23日

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