マーケティングは来る日も来る日も試行錯誤の連続です。アイデアが底をつき、インスピレーションを求めてパソコンに向かうとき、参考になりそうな事例を求めて競合他社のブログに直行していませんか? それとも、お気に入りリストに溢れかえる同業他社のコンテンツを眺めていますか?

いくら頭の中だけで考えていても、建設的な考えは浮かびません。自分の仕事の枠から一歩踏み出して、一見無関係にみえるところにヒントを求めたときにこそ、最高のアイデアが生まれてきます。B2Bマーケティング担当者が求める独創的なアイデアは、同じ業界の中で見つかるとは限りません。むしろB2C企業のアプローチを観察することで学べることがたくさんあるのです。独創的なB2Bマーケティングのヒントを得るために、B2C企業のマーケティングの事例を活用しましょう。

もちろん、同じマーケティングでも、B2BとB2Cでは大きな違いがあります。B2Bマーケティングでは、技術的な専門用語を使用したり、長い時間をかけて慎重にマーケティングプロセスを進めたりしてもかまいません。一方、B2Cマーケティングでは、ユーモアのあるキャンペーンにしろ涙を誘うキャンペーンにしろ、発想が豊かな広告に大きな効果が期待できるようです。

とはいえ、この2つに違いがあるとしても、画期的な事例の観察は新しいアイデアが浮かぶチャンスにつながります。少しのインスピレーションと独自のアプローチを組み合わせることで、大きな評判を呼んだクリエイティブなB2Cマーケティングキャンペーンを、B2B企業でも実践することができます。

1)Chobani

美しい画像で視覚に訴えるビジュアルマーケティングは、製品のラインナップが豊富な企業にしかできないと考えてしまいがちですが、1つの商材に特化している企業でも不可能ではありません。

米国のギリシャ ヨーグルト ブランドのChobani(チョバーニ)は、ケールのシーザーサラダや、マッシュルームのフラットブレッドピザ、桃のチーズケーキなど、色とりどりの写真を使って、1つの製品に注目を集めることに成功しました。 

主要製品が1つしかないニッチなB2B企業のマーケティングでも、ビジュアルマーケティングの可能性は無数にあります。ソーシャルメディア(特にInstagram)でのビジュアルマーケティング戦略を決めるうえでは、製品そのものだけではなく、その製品がどのような場面や目的で使用できるのかを考えることから始めましょう。

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2)Starbucks

ソーシャルメディアの活用を早くから開始したStarbucks(スターバックス)は、業界内でも特に優れた写真を投稿して、今でも多くの顧客を惹き付けています。一方、ほとんどのB2B企業は、カップに入ったコーヒーのように、ソーシャルメディアのフィードで映えるような魅力的な製品があるとは言えません。それでも、Starbucksのオムニチャネルのアプローチからは、どんな業界のマーケターにとっても、マーケティングや営業の面で学べることがあります。

Starbucksは、スペシャルコンテストや店舗検索機能、世界各国の支社へのリンクや求人広告など、Facebookページの多種多様な機能を活用して、ユーザーにとって便利なコンテンツを提供しています。

さらに、商品の購入にかかる時間を短縮できるように、モバイルで簡単に決済できるアプリを開発して、行列に並ばなくても済むようにしました。すべての企業が自社オリジナルのアプリを開発しようとするのは現実的ではありませんが、Starbucksの事例から、バイヤージャーニーの各タイミングで顧客とのやり取りをスムーズに行うことの重要性が伺えます。

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3)Spotify

パーソナライゼーションを自在に使いこなしているブランドの代表例がSpotify(スポティファイ)です。Spotifyは、音楽に関するユーザーの好みを踏まえて、各ユーザーと関連があり確実に反応が得られるコンテンツだけをEメールで通知しています。たとえば、好きなバンドの新しいアルバムのリリースや、地元で開催されるコンサートのニュースなどです。

しかし、Spotifyの事例から分かるとおり、パーソナライゼーションはもはやEメールマーケティングのためだけのものではありません。現在Spotifyでは、Discover Weeklyというコンテンツを配信しています。これはプレイリストをカスタマイズして、今まで聴いたことのない曲を紹介してくれるというものです。また年末には、各ユーザーがその1年間に聞いてきた楽曲やアーティストを振り返る「Year in Music」というコンテンツを提供しました。

自社のマーケティングキャンペーンに人間味を与える方法を考えるときは、Eメールのパーソナライズトークン以外にも、顧客を感動させる方法がないかどうか検討してみましょう。

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4)Herschel Supply Co.

カナダのバッグブランドHerschel Supply(ハーシェルサプライ)のビジュアルマーケティングのテーマは「アドベンチャー」です。同社のInstagramアカウントには、山頂からの景色や混沌とした都市の様子など、息を呑むほど圧倒的なスケールの写真が掲載されています。

しかし、マーケターがHerschel Supplyに注目すべき理由は、単に完成度の高い写真を投稿していることだけではありません。このブランドのビジュアルコンテンツの大部分は、「#WellTravelled」というハッシュタグが付いた顧客の投稿をそのまま活用したものなのです。 

Herschel Supplyのように、ソーシャルメディアを活用してフォロワーを集めるだけでなく、コミュニティーを築くことで、顧客が自社のマーケティングの当事者として、製品にまつわるストーリーを語ってくれるようになります。 

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5)Everlane

米国のバッグブランドEverlane(エバーレーン)では、どのソーシャルメディアでも、ある共通の目標を意識したコンテンツを投稿しています。その目標とは「透明性」です。Everlaneは、自社の事業活動の目的や手段を明示することで、自社のブランドを気に入ってくれている顧客との間にある壁を取り払っています。たとえば、Snapchatで顧客にメッセージを送信して、誠実で親身な印象を与えたり、Instagramアカウントで衣類の製造工程の舞台裏を紹介したりしています。

取引先の企業から信頼とロイヤルティを集めるための新しいアプローチを模索しているのであれば、ソーシャルメディアやブログで仕入れや価格設定の過程を公開することで、透明性を高めるのも手段の1つです。

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6)Taco Bell

ブランドの個性を表現するのにユーモアほど効果的な方法はあまり多くありません。B2Bマーケティングにジョークを挟む余地はないと決め付ける前に、タコスで有名な米国のファストフードチェーンのTaco Bell(タコベル)のアプローチを見てみましょう。Taco BellのTwitterアカウントには、手描きのイラストやおかしなGIFが大量に投稿されています。

ただし、Taco Bellのユーモアが反響を呼んでいるのは、オーディエンスの年齢層が若いからだけではなく、大胆かつ一貫した姿勢を維持しているからです。Taco Bellは、中途半端なジョークを手当たり次第に投稿して反応をうかがうのではなく、ユーモアを徹底して前面に押し出しています。ウィットを含んだ皮肉っぽいトーンを選ぶにせよ、見る人を励まして勇気付けるようなトーンを選ぶにせよ、ブランドのトーンは一貫性が命であることを肝に銘じましょう。

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7)Threadless

Tシャツのデザインから販売までを手がける米国のサイトThreadless(スレッドレス)では、自社のオーディエンスの嗜好や価値観を確実に把握しています。同社のブログでは、自社のファンキーなデザインのTシャツが取り上げられることはほとんどなく、その代わりに、一風変わった個性的なデザイナーやイラストレーターがデザインを自由に投稿できる空間を作りました。

それぞれの記事には画像が何枚も添付されており、ユーザーの手描きのイラストがそのまま掲載されていることもあります。そして、視覚的なインスピーレションを求める読者の要望に応じて、文章の量は最小限にとどめられています。もちろん、これと同じ方法がどのブランドでも有効とは限りません。しかし、オーディエンスへの理解が深まるにつれて、顧客が気にいるスタイルに合わせてコンテンツを提供できるようになります。 

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8)TOMS

米国の靴メーカーTOMS(トムス)のマーケティング活動を成功に導く鍵となったのは、視覚に訴えるストーリーテリングでした。同社では、靴が1足売れるごとに、靴を必要とする子どもたちに新しい靴を1足贈る「One for One」という活動を実施しており、この活動にまつわるストーリーを共有することで、自社の理念に共感する顧客を獲得してきました。このような事情を踏まえれば、同社のソーシャル メディア アカウントが、マーケターというよりフォトジャーナリストが運営しているように見えても不思議ではありません。

自分のしたことが成功だったと気付いたら、それをさらに追求しない手はない。この考え方を前提に、TOMSが実施したあるビジュアルマーケティングでは、発展途上国で靴を寄付するまでの過程をオーディエンスが追体験できるVR(バーチャルリアリティー)動画を投稿しました。この動画では、フレームをドラッグしたりスマートフォンを傾けたりして、周囲の風景を360度シームレスに見ることができます。自社の強みがビジュアルマーケティングではないとしても、自社の得意分野を見極めて、ブランドの評判を集めるためにはどのように磨きをかければよいかを考えてみましょう。

 

9)EDEKA

ドイツのスーパーマーケットチェーンであるEDEKA(エデカ)の事例は、コマーシャルがいかにもコマーシャルらしいものである必要はないということを思い出させてくれます。2015年のクリスマス休暇に合わせて同社が打ち出した広告では、ある老人が忙しい子どもや孫たちをクリスマスに帰省させようと、思いもよらない行動に出るというストーリーが描かれました。このコマーシャルは、つい感情移入してしまう物語とキャタクター造形によって、だれかと共有したくなるインバウンドコンテンツに仕上がっており、動画マーケティングの実施を検討している方にはぜひチェックしていただきたいものになっています。 

B2Bブランドが製品の宣伝にストーリーテリングをどのように活用すればよいのか、自信が持てないとしても心配はいりません。別にオーディエンスの涙を誘う必要はなく、ストーリーテリングを通じてオーディエンスの心に訴えかけることが、B2Bマーケティングを面白くするために必要なことなのです。

 

10)Purina

キャンペーンを成功させるためのアイデアを思い付いたら、どのような形式でコンテンツを公開できそうか、できる限り検討してみてください。たとえばペット フード ブランドのPurina(ピュリナ)は、BuzzFeedと提携して、ある飼い主が新しい子犬と初めて出会った日を描いた可愛らしい動画を作成しました。しかし、Purinaはそれだけではなく、「初めてのトイレ」や「恋のはじまり」などの続編も制作した後、このキャンペーンをまとめたマイクロサイトを公開して、子犬を育てるという冒険へ視聴者を誘いました。

コンテンツマーケティングを通じて、メディア企業と同じようなことが小売企業でも可能になった今、キャンペーンの範囲を拡大する方法を模索して、新しいメディアやストーリーのトレンドを実験してみましょう。

 

ヒントにつながる事例をさらにご覧になりたい方は、「お手本にできる海外B2Bマーケティングコンテンツ10選」もご覧ください。

B2BとB2Cのコンテンツマーケティング調査レポート

元記事発行日: 2019年5月22日、最終更新日: 2019年10月29日