コンテンツマーケティングとは、SEO記事やSNS投稿、動画コンテンツ、ホワイトペーパーなどを活用したマーケティング手法のことです。まだ自社と接点がない潜在顧客から、リピーターになっている既存顧客まで、さまざまな状況の顧客を対象としてコンテンツを提供します。


コンテンツマーケティング入門ガイド
〜効果的なコンテンツ戦略の立て方を大公開〜
- コンテンツマーケティングの基本
- マーケティング戦略の立案方法
- ブログ作成のポイント
- 成功事例と書籍のご紹介
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全てのフィールドが必須です。

コンテンツマーケティングを成功させるための最大のポイントは、企業が伝えたいことではなく、顧客が知りたい情報を届けることです。
コンテンツマーケティングで成功している企業は、単なる商品やサービスの説明ではなく、顧客の悩みや関心に寄り添ったコンテンツを展開しています。まずは企業側から顧客に対して価値を提供し、顧客が必要になったタイミングで自社のブランドや商品・サービスを想起してもらうことが大切です。
本記事では、柔軟な発想でコンテンツマーケティングを展開し、成果を出している企業の事例8選と成功のポイントを紹介します。
コンテンツマーケティングの成功事例【BtoB】
ここでは、BtoBにおけるコンテンツマーケティングの成功事例を5つ紹介します。
- シヤチハタ株式会社
- 三菱UFJニコス株式会社
- 株式会社水野染工場
- 松尾産業株式会社
- 株式会社Kaizen Platform
シヤチハタ株式会社
出典:シヤチハタ株式会社
「シヤチハタ」の印鑑で知られているシヤチハタ株式会社は、自社の電子印鑑サービス「Shachihata Cloud」の知名度を向上させるために、コンテンツマーケティングを実施しました。
具体的な取り組みとして、まず「Shachihata Cloudは、誰のどういった悩みを解決するのか」を改めて社内で話し合いました。ターゲットが明確になったところで、カスタマージャーニーマップを作成し、「ペーパーレス」や「業務効率化」などのキーワードで記事コンテンツの作成を開始します。その結果、リモートワーク需要も後押しとなって、「電子印鑑」関連のキーワードでの上位表示と流入増加を実現しました。
三菱UFJニコス株式会社
出典:三菱UFJニコス
クレジットカードや決済システムなどの事業を展開する三菱UFJニコス株式会社は、2019年に20代~30代をターゲットとしたオウンドメディア「mycard」を立ち上げました。サイトを立ち上げた目的は、公式サイトへのオーガニック流入増加や新規顧客の創出です。年間80記事ほどのペースでクレジットカードや税金などに関するコンテンツを作成していましたが、2022年頃には記事を書いても流入数が増えなくなってきたといいます。
「流入もコンバージョンも増やす」というどっちつかずの戦略によって、流入数が頭打ちになったという仮説のもと、流入を増やす方向性に振り切る戦略へと転換することになりました。
具体的には、ターゲット層がお金に関する情報を必要とする確定申告や源泉徴収などをテーマに、毎月10個ほど新しいキーワードを追加したといいます。さらに、5本に1本程度の割合で、「伸びるか伸びないかわからないチャレンジキーワード」を選定し、ターゲットを広げることにも取り組みました。
戦略の見直しとキーワード戦略の結果、2023年には前年比140%の流入増加を達成しています。
株式会社水野染工場
出典:水野染工場
大漁旗や幟といった染物商品の製造、販売を行う株式会社水野染工場は、Webでの集客に課題がありました。インターネットの黎明期からホームページはあったものの、Webサイトを運営する競合が増えるなかで、「待ちのスタイル」に限界を感じていたといいます。
そこで、MA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入し、サイトの分析を開始しました。見込み客に役立つ積極的な情報発信のためには、まずサイト分析が必要と考えたためです。また、メルマガ施策などターゲティング機能を活用して、顧客にアプローチするスタイルを取り入れました。
社内に蓄積された見込み客の情報をMAツールに移行し、興味度に応じた配信先の絞り込みやポップアップ表示機能を活用しています。さらに、メルマガの改善を続けた結果、見込み客数と問い合わせ件数が1.5倍に増加し、ブランド認知と顧客との関係性強化に成功しました。
松尾産業株式会社
出典:松尾産業株式会社
自動車部品や塗料の材料といった製造業向けの商社である松尾産業株式会社は、オウンドメディア「PEAKS MEDIA」を立ち上げました。製造業向けの情報発信を強化し、「課題解決だけでなく、価値を創造する商社」として認知される必要性を感じていたためです。
オウンドメディアの設計段階では、ユーザーインタビューやワークショップなどを通じてメディアコンセプトとペルソナを明確に定義しました。SEOやペルソナを意識したコンテンツ制作を続けた結果、「PEAKS MEDIA」は「コンテンツの質が高い」と評価されるようになり、製造業の革新を促進するメディアになりつつあります。
株式会社Kaizen Platform
企業のDX支援を行っている株式会社Kaizen Platformは、「顧客体験DX」を推進する事業の一環として、HubSpotのMA(マーケティング・オートメーション)ツールを活用したコンテンツマーケティングに取り組みました。
同社は強い営業力を持っていたものの、体系化されたマーケティング施策が不十分で、見込み客へ適切にアプローチできないという課題があったことが主な理由です。既存のMAツールがありましたが、使いやすさやコスト面を検討した結果、HubSpotへの乗り換えを決めたといいます。導入後は、需要が高い動画広告系のキーワードからコンテンツマーケティングに着手しました。
BtoBの場合、顧客が契約に至るまで平均して5~6人が関わるという事実を考慮し、各ステップでペルソナの課題や解決策を細かく定義しました。そこで浮かび上がったキーワードやメッセージをコンテンツに反映することで、潜在顧客や見込み客のニーズに合ったコンテンツ制作が可能になりました。
また、MAを導入したことで、施策の振り返りに必要な数値の計測が可能になったことも大きな変化です。
これらの施策を実施した結果、約1年で、マーケティング経由のアポイントメント数や商談数、受注件数が倍増するという成果を上げています。特に動画広告分野ではキーワード検索の上位にランクインするなど、見込み客の創出と受注において大きな成功を収めています。
コンテンツマーケティングの成功事例【BtoC】
ここでは、BtoCにおけるコンテンツマーケティングの成功事例を3つ紹介します。
- アリナミン製薬株式会社
- 株式会社Dr.トレーニング
- スポーツナビ株式会社
アリナミン製薬株式会社
出典:アリナミン製薬
アリナミン製薬は、整腸剤「ビオスリー」の認知拡大とブランド信頼の醸成を目指し、「X(旧Twitter)」アカウントを開設しました。アカウント運営は、外部のマーケティング会社に支援を依頼しました。
SNSをプラットフォームに選んだ理由は、ユーザーと双方向のコミュニケーションがしやすいことです。競合商品と比べると歴史が浅いビオスリーが、安心感や信頼感を得るためには、SNSの活用が有効だと考えました。
まず、当初の目標であったフォロワー数を約1年で達成し、その後、ビオスリーの「言及数」をKPIとして掲げ、薬機法に注意しながらUGC(ユーザー生成コンテンツ)とリポストの両方を増やしていく戦略を取りました。Xでの投稿は、「腸活」におすすめのレシピ投稿など、フォロワーの興味・関心に合った内容にすることを心がけたといいます。
このように、Xで戦略的にコンテンツを増やした結果、「ビオスリー」に関する言及数が前年の同期間と比べて140%となり、「実際に商品を使った人の口コミがある」という安心感の醸成につながったと考えています。
ブランド調査から、「腸活に適した整腸剤」としてのブランドイメージが高まったことも明らかになりました。
株式会社Dr.トレーニング
出典:Dr.トレーニング
パーソナルジムを運営する株式会社Dr.トレーニングは、競合の増加によってサイト経由の問い合わせが減少するという課題を抱えていました。
コンテンツマーケティングにも取り組んでいたものの、トレーナーがほかの業務に追われて、記事を更新できない期間もあったといいます。同社が発信するコンテンツの作成にはトレーニングに関する専門知識が必要で、そのことが記事制作業務の属人化を招いていました。そこで、SEOを専門とする外部パートナー企業に記事制作の協力を依頼する流れになります。
外注による専門家ならではのSEOを意識した記事に、Dr.トレーニングの専門知識や独自ノウハウを加えることで、オリジナリティの高い記事を制作する体制を整えました。その結果、PV数は3か月で2倍になり、問い合わせ件数やジムの入会者数も増加しました。
結果が出たことで、社内でもオウンドメディアを活用しようとする意識が高まり、記事制作に携わるスタッフも増え、良い循環ができています。すべてを自社で完結させるのではなく、専門家の知識やノウハウを活用しながらコンテンツ制作の仕組みを整え、オリジナリティの付与に注力したことで成功した例です。
スポーツナビ株式会社
出典:スポーツナビ株式会社
スポーツナビ株式会社は、スポーツ総合サイト「Sportsnavi」の運営元で、YouTubeチャンネル「スポーツナビ野球チャンネル」を新たに立ち上げました。その際に、動画コンテンツを充実させる目的で、外部の制作会社に支援を依頼しています。
同社が企画する動画は、主にOB同士によるテーマトークでしたが、制作会社と協力して企画する動画は、ロケ収録が中心です。コンテンツのバリエーションが増えたことで、視聴者から評価を得ているといいます。
毎週、制作会社と定例会を実施し、密にコミュニケーションを取ることで企画がスムーズに進み、視聴者にとって魅力的なコンテンツの制作が可能になっています。
コンテンツマーケティングの事例から学ぶ成功のポイント
ここでは、コンテンツマーケティングを成功させるためのポイントを3つ解説します。
- ターゲットを明確にする
- 潜在顧客や見込み客の役に立つ情報を届ける
- 長期的な視点で取り組む
ターゲットを明確にする
コンテンツマーケティングでは、ターゲットを明確にすることが重要です。誰に向けて、どのような課題を解決する情報を提供するのかがはっきりしていなければ、効果的なコンテンツは作れません。
シヤチハタ株式会社は、自社サービスが誰のどのような課題を解決できるのかを突き詰め、ターゲットに合わせたキーワード設計を行い、コンテンツを作成しました。ターゲットが明確になると、リーチしたい層に直接アプローチでき、結果的にブランドの認知度やエンゲージメントの向上につながりやすくなるでしょう。
潜在顧客や見込み客の役に立つ情報を届ける
コンテンツマーケティングで成功するためには、潜在顧客や見込み客の役に立つ情報を届けることが欠かせません。成功事例に共通するのは、自社が伝えたいことではなく、ユーザーの興味や悩みに応えるコンテンツの提供を重視している点です。
例えば、アリナミン製薬の「ビオスリー」は、腸活に役立つレシピを発信してターゲットの関心を引きました。顧客視点で考えたからこそ生まれたコンテンツのアイデアといえるでしょう。
長期的な視点で取り組む
コンテンツマーケティングは、じっくりと取り組むことで徐々に成果が見えてくる取り組みです。中長期的にブランドへの信頼を高め、安定した見込み客の創出や収益向上などを目指す取り組みであると考えておきましょう。
予算やコンテンツの制作リソースも含めて、頓挫しないように計画を立てることが大切です。
コンテンツマーケティングの事例を参考に自社の戦略を検討しよう
コンテンツマーケティングは、中長期的に大きな成果が期待できますが、「予算や人的リソースが足りない」「思うように成果が上げられない」という声もよく聞く施策です。
ここまで見てきた成功事例からもわかるとおり、コンテンツマーケティングを効果的に実施するには、適切なツールの活用も重要な要素です。自社の状況に合わせて、無理のない運営体制の整備に加え、コンテンツマーケティングを推進できるツールの活用を検討してみましょう。
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