情報過多の時代、チラシや屋外広告、Web広告などプッシュ型のアプローチだけでは、ターゲットユーザーに認知してもらうことすら厳しくなってきています。そこで注目を集めているのが、コンテンツマーケティングです。ターゲットユーザーにとって有益な情報を発信することで自社の存在を認知してもらい、そこから関係性を深めて最終的に顧客になっていただくことを目的としたコンテンツマーケティングは、現在多くの企業が取り組み、実績を挙げています。
一方で、何から始めればいいかわからない、どのように成果を出せばいいかわからないなど模索している企業も多いはずです。
今回は、これからコンテンツマーケティングを始める、もしくはすでに実施しているけどわからないところが多いという方に向けて、基本となる考え方や事例、実践するためのコツを解説します。
- そもそも「コンテンツ」とは何か?
- コンテンツマーケティングが必要となった背景
- コンテンツマーケティングとSEOの違い
- コンテンツマーケティングのメリット・デメリット
- コンテンツマーケティングにおける購買行動
- コンテンツマーケティング実施における効果測定・KPI
- コンテンツマーケティングを実施するなら理解しておきたい「トリプルメディア」
- コンテンツマーケティングの成功事例【国内】
- コンテンツマーケティングの成功事例【海外】
- コンテンツマーケティングのよくある失敗例
- コンテンツを広めるための手法
- コンテンツマーケティングの展開がおすすめのデジタルチャネル
- コンテンツマーケティングの実践手順
- コンテンツマーケティングを成功させるためのポイント
- コンテンツマーケティングを『効率的に』実現するために
コンテンツマーケティング入門ガイド
〜効果的なコンテンツ戦略の立て方を大公開〜
そもそも「コンテンツ」とは何か?
コンテンツは、英語で「中身・内容」を意味する言葉で、主にブログやSNSなどネット上で発信される情報のことを言います。コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」とは、企業が一般消費者に対して発信する自社の商品やサービスに関連する情報のことです。
コンテンツの種類
「コンテンツ」と聞くと、ブログやSNS投稿が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、コンテンツには次のように様々な種類があります。
出典:Content Repurposing Ideas: The Periodic Table of Contentより筆者作成
こちらの表では、縦軸が寿命を表し、下に行くほどコンテンツの寿命が長いことを表します。そのため、一番上のソーシャルメディア投稿とブログ投稿は寿命が短く、一番下の紙媒体の書籍と電子書籍は制作に時間がかかるが寿命は長いことがわかります。
一方、横軸は見かける頻度を表し、左側にあるソーシャルメディア投稿やニュースレターはあらゆる場所で見かけ、右側にあるブログ投稿やウェブページは主にオンライン上で見かけることがわかります。
コンテンツの種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
また、近年は動画コンテンツの効果に注目が集まっていますので、以下の記事も合わせて確認ください。
観られる動画を作るには?ユーザーを惹きつける6つの心理テクニック
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなる潜在顧客に関連があり、価値のあるコンテンツを発信することによって新規顧客を惹き付け、最終的には商品やサービスを購入してもらうための戦略的なマーケティングアプローチです。
例えば、「最近、20代の頃とは肌の質が変わってお手入れ方法に悩んでいる30代前半の女性」がいるとします。その女性はインターネットで肌の悩みについて検索します。すると、コスメブランドが運営しているブログがヒットします。そのブログには女性が悩んでいたことについての解決策が書かれていて、女性はそのブログのファンになり、定期的に記事を読むようになります。さらに、その情報を同じ悩みを持つ自分の友人にも教えたいと思い、SNSで記事のリンクを拡散します。
この女性はブログを通じて企業のファンになり、いずれは優良な顧客になる可能性があります。このように、コンテンツマーケティングはブログなどのコンテンツを発信することによって潜在顧客を惹きつけ、最終的には商品やサービスを購入してもらうための施策です。
コンテンツマーケティングが必要となった背景
コンテンツマーケティングは新規顧客獲得に効果的なマーケティング手法として注目されていますが、そもそもなぜコンテンツマーケティングが必要になったのでしょうか。そこには、従来のマーケティングの定番手法だったアウトバウンドマーケティングの問題点が背景にあります。
TVのCMやオンライン上のポップアップ広告などの有料広告などを展開することによって企業の方から潜在顧客にアプローチする手法を「アウトバウンドマーケティング」と呼びます。
アウトバウンドマーケティングでは、「企業が伝えたい情報 = 商品やサービスの紹介」を配信するのが一般的ですが、アウトバウンドマーケティングでは新たな顧客の獲得が難しくなっています。その大きな理由の一つが、「消費者の企業広告疲れ」です。
Forbesによると、一般的な消費者が1日に触れる企業広告の数は4,000~10,000だといいます。
出展:Finding Brand Success In The Digital World
その膨大な数の広告から消費者の関心を引き、商品やサービスを知ってもらって売上に繋げるのは至難の業と言えます
「企業からの情報発信」という意味では、コンテンツマーケティングを含むインバウンドマーケティングもアウトバウンドマーケティングと同じですが、両者はアプローチの方法が全く異なります。
コンテンツマーケティングは、「企業が伝えたいこと」ではなく、「潜在顧客が知りたい情報」を発信するマーケティング手法です。
コンテンツを通じて潜在顧客の悩みや不安を解決する、潜在顧客が興味を持っている分野について新しい情報を伝えるなど、潜在顧客にとって価値がある情報を発信することによって潜在顧客を惹きつけて企業のファンになってもらいます。そうすることによって、最終的に商品やサービスの購入に繋がります。
消費者の都合を無視して日常生活に介入するアウトバウンドマーケティングに対して、コンテンツマーケティングは企業に興味を持ってもらう仕掛け作りと言えるのです。
さらに、消費者の情報収集の場は、テレビやラジオ、新聞などの企業が運営するメディアから、SNSやブログなどのオンラインを主体とした消費者自身が情報を発信する民主的なメディアに移行しています。そのため、従来のメディアでの広告展開では消費者の潜在意識にリーチできなくなってきています。
インターネットが普及した現代では、消費者の主な情報収集の場がオンラインになっていますが、オンライン上でのアウトバウンドマーケティングを取り巻く環境は厳しくなる一方です。
コンテンツマーケティングを含むインバウンドマーケティングは、オンラインの特性を活かし、効果的に集客するための施策なのです。
コンテンツマーケティングとSEOの違い
皆さんは、コンテンツマーケティングとSEOの違いを明確に理解しているでしょうか。
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOはよく似ている言葉ですが、コンテンツマーケティングは「コンテンツを発信することで見込み客を惹きつける」という広義の概念で、コンテンツSEOは、Googleなどの検索エンジンの検索結果に自社コンテンツが上位表示させるようにする手法のことです。
コンテンツSEOは、コンテンツマーケティングを実施する上での戦略の一つと考えると分かりやすいと思います。WEBマーケティングという大きな戦略の中に「コンテンツマーケティング」と「SEO」が含有され、それぞれの一部として「コンテンツSEO」が存在するというイメージです。
コンテンツSEOを詳しく解説したガイドも下記でご用意していますので、ぜひご活用ください。
コンテンツマーケティングとSEOの違いを混同するとどうなるか?
コンテンツマーケティングのメリット・デメリット
ここまで、アウトバウンドマーケティングと、コンテンツマーケティングを含むインバウンドマーケティングの違いについて説明してきましたが、コンテンツマーケティングにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
コンテンツマーケティングは少しずつコンテンツを作り続けなければならないので、忍耐力と大きな投資が必要なマーケティング手法ではあります。しかし、オンラインで集客をする手法としては相対的にメリットの方が大きいと言えます。次で詳しく見ていきましょう。
コンテンツマーケティングのメリット
①潜在顧客との接点が広がる
コンテンツマーケティングのメリットをWeb広告との比較で説明します。
Web広告は、主に「今すぐ製品/サービスを購入したい!」と思っている顕在層や「商品Aか商品Bのどっちの方が、実際には良いのだろう?」と比較などをしている純顕在層に対して有効です。これらの顧客層は、商品やサービスを購入することによって解決したい緊急の課題を抱えている場合が多く、購入を真剣に検討している顧客層です。
一方、コンテンツマーケティングでは、顕在層や純顕在層に加えて、Web広告ではリーチしにくい潜在層にアプローチすることができます。潜在層は、課題の深刻度はそれほど高くありませんが、市場に存在する数が非常に多いのが特徴です。
コンテンツを発信することによって顧客自身も気づいていないニーズを掘り起こし、商品やサービスに興味を持ってもらうキッカケを作ることができます。
Googleで何かを検索した際に出てくるWeb広告を例に、Web広告とコンテンツマーケティングがアプローチできる顧客層の違いについて比較してみましょう。
例えば、「マーケティングオートメーション 比較」とGoogle検索をしてみると、たくさんの広告が表示されると思います。このキーワードでGoogle検索をする人々は、マーケティングオートメーションのサービスを利用することによって解決したい課題を抱えている「顕在層」もしくは「純顕在層」と考えられます。
企業はこの層に向けてWeb広告を打つことによってリーチを獲得することができます。
では、「ブログ 書き方」と検索するとどうでしょうか?先ほどの場合と比較して広告の表示は少なくなると思います。その理由は、このキーワードでGoogle検索をする人々は何かしらの商品やサービスを購入しようと考えてGoogle検索をしている訳ではないからです。
課題の緊急度が高くない潜在層に行動喚起を促す広告を表示しても購買には至りません(認知は獲得できます)。この層に対して広告費用を投下しても十分なリターンが得られないため、「ブログ 書き方」というキーワードでGoogle検索をした人々に対して広告を打つ企業は少ないのです。
この潜在層に対して有効なのがコンテンツマーケティングです。「ブログ 書き方」と検索すると、「天才アフィリエイターが伝授!ブログ書き方の完全ガイド」というようなタイトルのブログがたくさんヒットしますよね。これは、自社ビジネスの見込み客が興味が高いであろうトピックに対して、ブログ、SNS、メルマガなどで情報発信しているコンテンツです。彼らの狙いは見込み客にとって有益なコンテンツを通して、自社を少しずつ知ってもらうことです。
Web広告とコンテンツマーケティングではアプローチできる顧客層が異なるということをご理解いただけたでしょうか?
顕在層や純顕在層よりも母数が圧倒的に多い潜在層が興味を持ちそうなコンテンツをフックにすることで顧客との接点を広げ、ビジネスチャンスを拡大することができるのです。
②潜在顧客のインサイトが得られる
コンテンツマーケティングは、潜在顧客の課題に対して情報を発信していきます。実際にコンテンツに接触した履歴などを、CRMなどのデータベースに蓄積しておけば、潜在顧客の現在の関心に合わせたマーケティングメッセージを出し分けるなどが可能になります。
このようなマーケティング手法は、単にオンライン広告などだけでターゲティングをしていた場合では実現できません。
③業界のリーダー的な存在になれる
発信する情報がオンライン上に少ないほど、業界においてのプレゼンスを確立できる可能性があります。つまり、ニッチな業界ほど有利ということです。
実際に、私がHubSpotのカスタマーサクセス時代に担当していたお客さんも、発信した情報を見て問い合わせに繋がったり、登壇依頼などがきたりしたと言っていました。
④中長期的な潜在顧客集客システムを構築できる
コンテンツマーケティングは少しずつコンテンツを作り続けることによって効果を発揮するマーケティング手法です。
つまり、質の良いコンテンツは繰り返し潜在顧客からの問い合わせを獲得し、それが積み重なっていくことで中長期的に集客ができるようになっていくということです。
コンテンツマーケティングを実施し続けることで、広告に頼らない、蓄積型の集客システムを構築することが可能になるのです。
⑤顧客ロイヤリティが高まる
コンテンツマーケティングで継続的に情報発信を行い、企業と潜在顧客の間にコミュニケーションを発生させることで、商品やサービスを購入するまでの間に関係性を築くことができます。
企業が発信したコンテンツを目撃した潜在顧客は、企業に良いイメージを抱き、より身近に感じます。その結果、すでに企業や商品、サービスに関心がある、質の高い潜在顧客を集めることができるのです。だからこそ、ロイヤルカスタマーの形成に繋がるのです。これは、コンテンツマーケティングが従来のアウトバウンドマーケティングとは大きく異なる点です。
参考:Why is Content Marketing Important? Learn the Importance of Content Marketing for Your Business
コンテンツマーケティングのデメリット
①時間と手間がかかる
コンテンツマーケティングを始めたばかりの頃は、ウェブページが上位表示されにくい状態が続きます。これは、Googleのクローラーが公開したブログをインデックスするまでに時間がかかるほか、Webサイトが被リンクなどを受けていないためです。上位表示されるためには地道に記事を増やし、SEO対策を行っていかなければならないので時間と手間がかかります。
②短期的な効果は得られにくい
前途の通り、良質なコンテンツは繰り返し潜在顧客を集めることができます。そして、コンテンツが蓄積されていくことによって集められる潜在顧客の数も増えていくことになります。そのため、Web広告などのダイレクトにレスポンスがあるマーケティング施策と対比した場合、短期的な効果は得にくいといえるでしょう。
③効果測定が困難
Web広告であれば、広告を展開した直後に増えた問い合わせは広告による効果だということがすぐに分かります。
一方、コンテンツマーケティングでは、潜在顧客がコンテンツを閲覧した事がどれだけ問い合わせや商品の購入に繋がっているのかを測定するのは困難です。
ただし、コンテンツの効果測定は不可能ではありません。「コンテンツマーケティング実施における効果測定・KPI」で詳しく説明していきます。
コンテンツマーケティングにおける購買行動
コンテンツマーケティングを考えるうえで、消費者の購買行動を知ることは欠かせません。消費者がどのようなステップをへて購入に至るのかをすることで、本当に有効なコンテンツマーケティングの実施につなげることができるためです。消費者の購買行動については、いくつかの法則が提唱されています。
マーケ担当者なら知っておきたい「DECAXの法則」
購買行動に関する法則はいくつかありますが、中でもコンテンツマネージメントに即して考え出された法則が、「DECAX(デキャックス)の法則」と呼ばれるものです。
後ほど詳しく紹介しますが、従来より消費者行動やマーケティングに関する法則はいくつも提唱され、実際に活用されていました。しかし近年、インターネットやインターネット上のコンテンツ、SNSなどの急速な普及により、我々の生活は大きな変化を遂げています。
当然、この変化は消費者の購買行動にも影響を与え、変化を生じさせています。
これらの変化に適応するため、新しいマーケティング理論が新たに生み出されました。中でも、コンテンツマーケティングに特化した法則として生み出された「DECAXの法則」は、特に多くのマーケターから支持を受けています。
従来のマーケティング法則を進化させ、コンテンツマーケティングに即した形に整えられたものですから、コンテンツマーケティングを行うのであれば必ずおさえておきたい法則です。
D:Discovery(発見)
従来のアウトバウンドマーケティングと最も違うところは、最初のステップです。
アウトバウンドマーケティングでは、企業側から消費者に向けて、伝えたい情報を提供していました。しかし、コンテンツマーケティングにおいては違います。
コンテンツマーケティングの場合、消費者はまず自分が知りたい情報を発見します。発見の方法はweb検索かもしれませんし、SNSに誰かがシェアした記事かもしれません。
消費者にリーチするためには、まず自分たちのコンテンツを発見してもらう必要があるのです。そのため、SEO対策や発見されやすい媒体でのコンテンツ発表といった工夫が必要となります。
E:Engage(関係作り)
最初に発見したコンテンツを気に入った場合、消費者はその媒体や企業が提供する別のコンテンツも見てみるでしょう。あるいは、最初に発見したコンテンツを何度も繰り返し参照するかもしれません。
そのようなプロセスの中で、消費者はその媒体や企業に対する関係性を深め、自分の中での信頼度を高めていきます。
C:Check(確認・注意)
媒体や企業への信頼性が十分に育ったら、消費者はそのコンテンツから誘導される商品やサービスに関心を持つようになります。それらの商品やサービスは自分に必要なあるいは魅力的なものなのか、自分の問題を解決してくれるのかといったことを確認・吟味し、納得して初めて購買行動につながるのです。
A:Action(行動・購買)
該当の商品やサービスが魅力的である、あるいは自分の問題解決に役立つと判断されれば、消費者は実際の購買や登録といった行動を起こします。
X:eXperience(体験と共有)
商品やサービスを購入した消費者は、実際にその価値を体験します。その上で、「良かった」あるいは「期待外れだった」などの感想を持ちます。
インターネット社会において従来のマーケティングと異なるのは、この個人の感想が、新たな情報としてインターネット上で公開・共有されるということです。
消費者はSNSや購買サイトの口コミなどで自分の体験を共有します。その際、行動のきっかけとなったコンテンツも一緒にシェアされる可能性もあります。
その結果、別のユーザーがそのコンテンツの存在を知ることとなり、最初の「発見」のフェーズが新たに始まることとなります。
その他のコンテンツマーケティングに関する法則
マーケティングを考える上で、その他にも抑えておくべき法則はいくつもあります。
中でも重要なマーケティング理論である「AIDMAの法則」と「AISASの法則」についても紹介します。
AIDMAの法則
マーケティング理論の中でも最も初期から使われる理論の一つに、「AIDMAの法則」があります。マスメディアの時代から提唱され広く使われている理論で、現在のマーケティングにおいて抑えておくべきポイントがたくさんあります。
A:Attention(注意)
マスメディアにおけるアウトバウンドマーケティングが中心だった時代には、情報は企業側から与えられるものでした。そのため、流れてくる情報の中で消費者の「注意」を引くところから、マーケティングがスタートしています。
I:Interest(興味)
企業の発信する情報に注意を引かれた消費者は、その内容に目を向けます。内容が興味を引くものであれば、より深く内容を吟味し、自分にとって価値ある商品あるいはサービスであるかを検討するのです。
D:Desire(欲求)
興味を持って内容を吟味した結果、自分にとって魅力的あるいは自分の問題解決に役立つと判断した場合、その商品あるいはサービスを購入したいという欲求が生まれます。
M:Memory(記憶)
インターネットがそこまで盛んでなかったころは、商品やサービスを購入するには店頭へ赴く必要がありました。そのため、商品やサービスに対して抱いた欲求を持続し、店頭へ行くまで記憶している必要があったのです。
A:Action(購買)
店頭で該当の商品やサービスを見つけることができれば、購買という行動につながります。
インターネットが普及したことにより、消費者行動は変化を見せています。
しかし、それを考慮してもなおこの法則は消費者の購買行動に至る心理をよく表しており、現在においても大変有用な理論と言えます。
AISASの法則
「AIDMAの法則」をもとに、インターネットを利用した場合の購買行動の特徴を付加したものが「AISASの法則」です。
A:Attention(注意)
マスメディアやWeb広告として、企業から消費者へ情報を提供し、注意を引きます。
I:Interest(興味)
企業から提供される情報が魅力的な内容であれば、消費者は興味をひかれ、その商品やサービスに関心を持つようになります。
S:Search(検索)
関心を持った結果消費者が次に取る行動は、Web・SNSを利用しての検索です。
そのため、企業側では検索結果において上位に表示されるよう、SEOが重要となります。
また、SNSでは一般ユーザーの投稿や口コミも重要となります。できるだけ多くの人の関心を集め、話題にしてもらうことができるよう、ニュースリリースやユーザーにとって魅力あるコンテンツの発信も重要な施策となります。
A:Action(購買)
現在ではインターネットを利用することでDesire(欲求)からAction(購買)への間は一瞬で完了するようになりました。そのため、Memory(記憶)のステップの時間は大変短くなっています。
ほとんどの場合、ユーザーは関心ある商品やサービスが見つかったら、即時に購入に至ります。
そのため、インターネットでの消費行動においては、「AIDMAの法則」にあったMemory(記憶)のステップは削除されています。
S:Share(情報共有)
購入した商品について、SNSや口コミなどで情報共有を行います。
消費者が提供する情報についても、別の消費者の注意を引くことで、最初のAttention(注意)のフェーズにつながることになります。
コンテンツマーケティングを実施するなら理解しておきたい「トリプルメディア」
コンテンツマーケティングの実践に踏み出すなら、まずはトリプルメディア」について知る必要があります。
トリプルメディアとは、「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」のメディアの総称です。
- オウンドメディア
自社で運営するメディアを指します。自社が持つ知見を活かしたオリジナルコンテンツを提供し、潜在顧客との接点を形成したり、ブランディングを強化したりなどの目的を持って運用されるのが一般的です。
- ペイドメディア
費用を払って出稿するメディアのことで、基本的にはオンライン、オフラインに関わらず広告媒体全般を指します。自社だけではリーチできないような層にアプローチするための手段として有効です。
- アーンドメディア
SNSやブログ、口コミサイトなど、ユーザーからの発信が主軸となるメディアです。自社サービスについてどのように言及されているのかをモニタリングしたり、ユーザーと企業でコミュニケーションをとってエンゲージメントを高めたりするなど様々な活用方法があります。
単一のメディアだけでなく、3種類のメディアを活用し、連携させればより高い相乗効果が見込めます。
トリプルメディアと相乗効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
コンテンツマーケティング実施における効果測定・KPI
コンテンツマーケティングは「コンテンツを作って終わり」ではありません。コンテンツごとの効果を測定し、改善しながら進めていくことによってはじめて結果が出るようになります。
解析方法は?
コンテンツマーケティングを実施するのであれば、CMSの導入は必須です。無料で構築するのであれば、WordPress + Google Anaylticsの組み合わせがおすすめです。改善を繰り返していくのであれば、Google AnaylticsからGoogleスプレッドシートへデータをエクスポートし、転換率が悪いブログを特定して編集するというやり方が良いでしょう。
ただし、この方法はコンテンツの数が増えてくるとかなり時間がかかります。HubSpotであれば、CMSにアナリティクス機能を搭載することができ、獲得したリードがCRM上で確認できるので便利です。
ちなみに、米国の大手ITレビューサイトG2 Crowdにおけるユーザーからのレビューでは、市場での満足度と存在感においてHubSpotがCMSで一番高い評価を受けることができました。
※2019年10月4日調べ
参考:Best Web Content Management Software in 2019 | G2
測定期間は?(数ヶ月?複数年?)
コンテンツマーケティングにおいて効果が出るまで、最低でも1年間は時間がかかります。また、トラフィックは伸びたとしても、リード数を増やすためには、ホワイトペーパーなどのダウンロードできる資料を作成する必要があります。
測定指標は?
HubSpotでは、マーケティングチーム、インサイドセールス、フィールドセールス(内勤)が、リード獲得から顧客化までの一連の測定指標を横断的に見ています。
セッション数 | ユーザーがWebサイトを訪問した回数 |
UU数 | Webサイトを訪れたユーザー数 |
リード獲得数 | 見込み顧客の情報獲得数 |
転換率 | リード獲得数 ÷ セッション数 |
MQLs | Marketing Qualified leadsの略。デモ予約、問い合わせなど。 |
SQLs | Sales Qualified leadsの略。営業担当者が営業フォローの価値があると認めたリード。 |
Opportunities | 商談受注した件数 |
Customers | 受注した顧客数 |
受注平均単価 | 受注額÷顧客数 |
受注率 | QLから顧客への転換率 |
日本でのマーケティング組織におけるKGI(ゴール)は、リード獲得数、またはMQLの数である場合が多いと思います。
しかし、単純にリードの数などでマーケティングチームの成果を評価してしまうと、全く受注には繋がる見込みがないリード数などが増えてしまい、リードの質に関しての議論になりがちです。
そこで、HubSpotのマーケティングチームでは、Service Level Agreement (SLA)という測定指標をKGIとして用いています。
算出には、以下の計算式を使います。 SLA = MQLの数 × 受注率 × 受注単価
つまり、「月内にマーケティング活動から生成されたMQLが生み出す想定売上高」が目標数値になるということです。
もちろん、MQLに寄与するリード数やトラフィック数なども指標として設定していますが、これらの数値はすべてKPIです。
もし、コンテンツマーケティングを実施する上でのKGI/KPI設定にお悩みの方は、是非とも参考にしてみてください。
コンテンツマーケティングの成功事例【国内】
コンテンツマーケティングの成功事例をBtoC/BtoB別に紹介。また、本章では国内の事例、次の章で海外の事例を紹介ています。さらに多くの成功事例を知りたい場合は次の記事をご覧ください。
BtoCの事例
北欧、暮らしの道具店
『北欧、暮らしの道具店』は、コンテンツマーケティングでECビジネスを変えたと言われています。
同社がコンテンツで成し遂げたいと思っているのは、「自分を分かってくれて大事にされている」という感覚であり、満足度の高い美容師やマッサージ師の提供するようなサービスです。
コンテンツもそれと同じで、「何か新しいことを教えてくれた」というよりは、読んだ人が「自分のためのコンテンツ」と感じられるものが理想です。そのようなコンテンツを発信し続けていくことで、いずれ顧客が欲しいと思ったものが見つかった時に、「あのサイトで買おう」と、思い出してもらえる存在になります。
同社がコンテンツで重視していることは、読了率と、「過去20回以上サイトを訪問した人の割合が50%前後をキープし、かつ絶対数が毎月純増している」という独自のKPIです。コンテンツの読者が自分にフィットしていると感じている = 読了率、サイトの常連客 = ロイヤルカスタマーの割合と絶対数という2つの指標が、『北欧、暮らしの道具店』のコンテンツマーケティングを支えています。
参考:『MilK』『北欧、暮らしの道具店』が語る、成功するコンテンツ
ニキペディア(ザ・プロアクティブカンパニー株式会社)
『ニキペディア』は、ニキビケア商品の「プロアクティブ」を提供しているザ・プロアクティブカンパニー株式会社のオウンドメディアです。ニキペディアは公開1年余りで月間40万UUを獲得している、コンテンツマーケティングのお手本のような事例です。
プロアクティブといえば、タレントを起用したTVのCMが印象的です。ところが、2011年以降、それまで対になって成長を続けていた「ニキビ」と「プロアクティブ」というワードの検索ボリュームが、「ニキビ」は伸びているけども「プロアクティブ」は伸びていない、という流れに変わってきました。
「ユーザーがニキビ自体に興味を失ったわけではない。これからは潜在的な顧客層に対してアプローチするWebプロモーションが必要だ」と考えた同社は、ニキビについて情報発信するサイト『ニキペディア』を立ち上げました。
ニキペディアには次のような特徴があります。
- 競合商品を中立的な立場で紹介している
- ハウツー記事の比率が高い
- ペルソナを詳細に設定している
- 書籍や専門家の意見などの信頼性が高い情報を用いている
徹底的にユーザーの目線に立ち、ユーザーが本当に求めている情報を発信していることがニキペディアの成功に繋がっています。
参考:公開から1年で40万UUを獲得した「ニキペディア」のコンテンツマーケティング戦略とは?
BtoBの事例
経営ハッカー(freee)
『経営ハッカー』は、クラウド会計ソフト「freee」が運営しているメディアです。freeeは個人事業主や中小企業向けの経理支援ツールで、2013年3月に発売開始、2018年3月には導入事業所数が100万事業所を突破しています。
経営ハッカーは2012年に公開され、2017年には月間PV400万を突破しています。経理など専門性の高い情報を扱うサイトは他のサイトとコンテンツが類似しやすくなるため、長く運営されているサイトの方が有利です。そこで、経営ハッカーは経理ではなく、「経営の効率化」へとコンテンツの内容を広げることにしました。
さらに、ピラーページを作り、バラバラになっていた過去記事をまとめることによって自然リンクを獲得し、自然検索訪問も着実に増やしつつあります。
すでに同業他社の多くが参入している中でコンテンツマーケティングに取り組もうとしている企業にとって、経営ハッカーの事例は非常に参考になります。
ピラーページについては、ピラーページとは? そしてなぜSEO戦略において重要なのか?を参考にしてください。
サイボウズ式(サイボウズ)
グループウェアの国内シェアNo1のサイボウズが運営する「サイボウズ式」は、2012年に開設されました。2019年の段階で平均月間20万PVを超えるメディアに成長しています。
グループウェア市場は成熟段階にあり、積極的に情報収集するアーリーアダプター層には広く普及しています。今後更なる成長を目指すためには、ITに関心のないマジョリティ層の顧客に認知してもらわなければなりません。
ITに関心のない消費者層にアプローチするためには、製品の機能ではなく、それによって顧客が得られる価値に焦点を当てる必要がありました。サイボウズ式が生まれたのにはこのような背景がありました。
また、サイボウズ式は、自然検索が増えるのを待つのではなく、ハフィントンポストやBLOGOSなどのネット媒体へ積極的にコンテンツを提供しています。これはソーシャルからのアクセスを狙った施策で、結果としてサイボウズ式のアクセス全体の45%がソーシャルから来ています。
その他にも、外部ブロガーの寄稿や、読み手に伝わりやすい表現にするなど工夫を凝らしています。
コンテンツマーケティングの成功事例【海外】
前章の国内事例に続き、コンテンツマーケティングの海外の成功事例をBtoC/BtoB別に紹介します。
BtoCの事例
Red Bull
エナジードリンクで有名なRed Bullは、スポーツに打ち込む若者を紹介するオウンドメディアを運営しています。自らが主催するスポーツイベントを通してユーザーとの接点を作り出し、感動を共有しています。
コンテンツには「Red Bull」という商品は登場しません。Red Bullのメディアの主役はアスリートです。アスリート達が真剣勝負をする姿を表現したコンテンツが多くのスポーツファンの心を掴んでいます。
参考:How Red Bull Takes Content Marketing to the Extreme
BtoBの事例
HubSpot
HubSpotも自らが提唱するインバウンドマーケティングを実践し、有効性を証明しています。ブログやホワイトペーパー、ウェビナーなどのコンテンツを配信することによって、創業から2年で月間訪問者数30万人を突破するWebサイトに成長しました。
HubSpotのブログはマーケティングブログ、営業ブログ、サービスブログに分けられ、ペルソナごとにコンテンツを分けて配信しています。また、現場で働く人が思わずクリックしたくなるタイトルで興味を惹き、コンテンツも親しみやすい語り口で書かれているのが特徴です。
オウンドメディアの運用により、2020年現在販売するソフトウェアの顧客が全世界で8万社以上、という導入者数を誇っています。
Unbounce
Unbounceはカナダのバンクーバーに拠点を置く、ランディングページ作成やA/Bテストツールを提供する企業です。
同社は「Page Fight」というマイクロサイトを持ち、Conversion XLというブログサイトと協働で変わったコンテンツマーケティングに取り組みました。それは、ランディングページの批評をライブストリーミングで配信するというものです。「ブログ = 文字ベースのもの」という概念を超えた同社のアイデアによって、潜在顧客を増やすことに成功しました。
同社の取り組みはそれだけではありません。ランディングページ作成などのサービスを開始する前から、需要喚起のためにコンテンツを制作し、オウンドメディアで発信していました。今では「ランディングページと言えばUnbounce」という確固たる地位を築いています。
コンテンツマーケティングのよくある失敗例
成功事例があれば、当然失敗してしまう事例もあります。
次は、コンテンツマーケティングを始めるにあたり、陥りがちな4つの失敗例を紹介します。
ユーザーが価値を感じるコンテンツになっていない
コンテンツマーケティングにおいて特に陥りがちな失敗に、コンテンツがユーザーにとって価値を感じるものとなっていない、というものがあります。
ユーザーにとっての価値を意識しないと、企業側が伝えたい情報、例えば商品の詳細やサービスの機能紹介などを前面に押し出してしまいがちです。しかし、コンテンツを見にくる消費者にとって、本当に有益な情報はそれらではありません。
ユーザーがコンテンツに求めているのは自分の問題を解決してくれる情報、あるいは面白いと感じる情報であって、企画側が押し出したい情報ではありません。
ユーザーとの関係性がまだ十分でない段階でこれらの情報をゴリ押ししてしまうと、コンテンツ自体が広告と捉えられ、離脱してしまう可能性が上がります。
コンテンツマーケティングを成功させるには、ユーザーが求める情報を正しく把握し、それを叶えるコンテンツを提供することが大切です。
サービス、会社に関係のないコンテンツを生み出していた
ユーザーにとって価値ある、あるいは魅力あるコンテンツを提供できたとしても、そのコンテンツの内容が自社に全く関係のないものとなってはいけません。
自社の商品やサービス購入、あるいはファン獲得を目的とするのであれば、その可能性が高い読者を集めることが必要です。そのためには、自社が提供できる価値に関連性の高い分野に興味がある層をターゲットとして想定する必要があるでしょう。
結果として、提供すべきコンテンツは自然と自社サービス分野に関連する内容となるでしょう。
コンテンツマーケティングにおいて効果を高めるコツは、そのコンテンツを読むことにより、関連する自社商品やサービスを魅力的に感じるようになる内容とすることです。
自社や扱う商品・サービスに関連した分野やその周辺で、ユーザーが魅力的に感じるコンテンツを提供することが重要なのです。
コンテンツ内容が自己満足になっている
最初のポイントと似ていますが、提供するコンテンツ内容がユーザー中心ではなく、自分の伝えたいことを中心においたものとなってしまうこともよくある失敗の一つです。
コンテンツの主役はあくまで読者=消費者です。どんなに有益な情報でも、彼らが魅力的に感じなければ、マーケティングとして用をなしません。
コンテンツを作成した際には、テーマ設定や説明の内容、言い回しなど全体を通して、本当にユーザーを中心にしたものになっているか、しっかりと吟味する必要があります。
できれば作成者だけでチェックするのではなく、第三者の目を入れて客観的に判断してもらうことをおすすめします。
作りっぱなしで効果検証できていない
趣味のサイトであれば「出来上がって満足」でも構いませんが、コンテンツマーケティングのためのコンテンツはそうはいきません。
どれだけ多くのコンテンツが提供できても、実際に購入や登録など、狙った効果が得られなければ意味がないのです。
そのため、コンテンツマーケティングにおいて効果検証は大変重要です。
この記事で紹介している「コンテンツマーケティング実施における効果測定・KPI」を参考に、定期的な検証を行うようにしましょう。
コンテンツを広めるための手法
コンテンツマーケティングを成功させるには、多くの消費者に見つけてもらう必要があります。コンテンツを広めるための手法には次のようなものがあります。
SEO
SEO対策(検索エンジン最適化)を行い検索エンジンでオウンドメディアを上位表示させることで、多くの潜在顧客に見てもらえるようになります。
SNSマーケティング
SNSには若年層を中心としたユーザーが多数存在しています。そのような媒体でのマーケティングに取り組むことによって、コンテンツを知ってもらうキッカケができるだけではなく、周囲への拡散効果も期待できます。
Web広告
商品やサービスを広めるためだけのWeb広告は潜在顧客にスルーされてしまいます。「企業ファースト」ではなく、「潜在顧客ファースト」の姿勢を持ち、潜在顧客に「価値がある」と感じてもらえるようなWeb広告を制作できればベストです。コンテンツマーケティングは、Web広告と共存する姿勢が大切です。
-リード獲得広告
リード獲得広告とは、ユーザーがワンクリックするだけで資料請求やメルマガ登録などができる仕組みのことです。ダイレクトに商品やサービスを購入してもらうのではなく、まずは潜在顧客にコンテンツを届けるための仕組みを作ることによって効果的にリードが獲得できます。
-リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、企業のWebサイトに訪れたことがあるユーザーを追跡しています。他のウェブサイトを閲覧している最中に広告枠に企業の広告を表示させ、再びウェブサイトへの訪問を促す手法です。それにより、最初の訪問で取りこぼしたリードを再度獲得することが可能になります。
メールマーケティング
メールマーケティングの代表的な手法がメールマガジンです。コミュニケーションツールとしてはメールよりもSNSが主流になっているように感じますが、総務省の「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、1日当たりのインターネット利用時間の内訳は、平日はメールが最も長く(34.6分)、次いでソーシャルメディア(32.3分)で、休日は動画投稿・共有サービスが最も長い(37.2分)という結果になっています。このことから、メールはまだまだ優秀なコンテンツであると言えます。
出典:総務省
プレスリリース
プレスリリースは潜在顧客に信頼のおける情報ソースとして認識されているため、プレスリリースを活用してコンテンツを広めるのも一つの方法です。
コンテンツマーケティングの展開がおすすめのデジタルチャネル
コンテンツを提供するためには、何らかのチャネルを利用することになります。それぞれのチャネル毎に特徴があるため、狙う効果を踏まえて適切に選択する必要があります。
Web(自社メディア)
自社メディアを立ち上げる、あるいは自社サイト内で配信するコンテンツとして始める方法があります。
自社メディアを立ち上げるためには新たにサイトを用意し、メディアとして成立する程度にコンテンツを充実させる必要があるため、立ち上げの負担は大きめです。その分一旦認知度や信頼を獲得することができれば、長く愛されるコンテンツを作ることも可能です。
またサイト作りにはCMSを利用するなど効率的な方法を導入することもできます。サービスを上手に使いながら、自社ならではの価値を創出することがポイントです。
SNS
TwitterやInstagramなど、SNSを利用したマーケティングも近年盛んに行われています。
SNSを利用するメリットは何といっても、読者側が気軽に利用できる点です。普段の友人とのやり取りと同じようなテンションで、暇つぶし感覚でコンテンツを発見・利用してもらうことができます。
YouTube
最近では、動画を使ったコンテンツマーケティングにも注目が集まっています。中でもYouTubeは世界的にシェアも大きく、多くのユーザーに認知される可能性を期待できるメディアの一つです。魅力的なコンテンツを作ることで、爆発的な人気に繋がることも期待できます。
動画の視聴率を高めるテクニックについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
観られる動画を作るには?ユーザーを惹きつける6つの心理テクニック
noteなどのブログプラットフォーム
文字や写真ベースでの情報提供をコンテンツの中心とするならば、ブログ形式での配信も有効です。
特にnoteは導入や操作がシンプルでわかりやすいことや、利用しているユーザーコミュニティの広がりもあり、注目度が急上昇しています。ブログプラットフォームやそのコミュニティを上手に利用することで、コンテンツの認知度をあげ、効果的なマーケティング施策となる可能性があります。
インタラクティブコンテンツ
インタラクティブコンテンツとは、企業が提供する情報と顧客が求めている情報を繋ぐ「双方向型のコンテンツ」です。
従来のパッシブ(静止)コンテンツよりも商材の理解促進と拡大効果が高いため、エンゲージメントの向上が期待できます。
インタラクティブコンテンツについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
インタラクティブコンテンツとは?海外ブランドの興味深い事例も紹介
コンテンツマーケティングの実践手順
それでは、実際にコンテンツマーケティングを進めていく際の手順について見ていきましょう。
コンテンツマーケティングで重要なのは主に以下の3点です。
- 価値のあるコンテンツの作成
- 顧客の育成
- 顧客をリピーター化する
まずはユーザーの視点から価値があると感じられるブログや動画などのコンテンツを発信し、瀬在顧客に「認知」されることを目指します。次に、コンテンツを認知したユーザーに「興味」を抱いてもらい、他社との比較検討を経たうえで、自社の商品やサービスを「選択」してもらわなければいけません。そのためには、SEOやメールなどの手段を利用します。
1. ペルソナの設定
戦略を決めるためには、見込み客を「群」ではなく「特定の個人」で捉えたペルソナを設定する必要があります。個別の人物像にまでターゲットを絞り込むことで、コンテンツマーケティングの戦略がより具体的になるのです。
2. 伝える情報の確認
ペルソナを設定したら、次に、「何を伝えるのか」を明確にしましょう。「設定したペルソナはどのような情報があれば「興味」や「関心」を抱いてくれるのか」を意識することが大切です。具体的な検索ワードの調査も欠かせません。
3. 伝える情報の順番を決める
「誰に」と「何を」が決まったら、情報を伝える「順番」を検討します。そのためには、カスタマージャーニーマップを作成します。ペルソナの行動は時系列によって変わるため、「点」ではなく「線」で考えなければいけません。カスタマージャーニーマップを作成すれば、ユーザー行動の全体像を可視化できるため、静的ではなく時系列で情報ニーズを把握することができます。
ここでは、「飲食店を探している30代の女性」をペルソナに設定した場合のカスタマージャーニーマップをご紹介しましょう。
来店に至るまでの各フェーズでは、ユーザーが求めると思われる適切なコンテンツを提示する必要があります。コンテンツには「ニーズに適した情報の提供」と「次のフェーズへの進行促進」という、二つの役割があることも忘れてはいけません。
たとえば、漠然と「おしゃれな飲食店を探したい」と考えているような初期段階のユーザーに対しては、スタイリッシュな店内の雰囲気や、豊富なメニューを紹介するコンテンツが望ましいでしょう。
できるだけ早く予約をしたいと感じているユーザーは、スムーズな予約システムを前面に押し出したコンテンツが、コンバージョン(予約成立)を早めるきっかけになるかもしれません。
いずれにしても、ペルソナだけを使うとコンテンツと各フェーズの関連が定まらないため、コンバージョンに繋がらない可能性があります。
4. 媒体を決める
設定したペルソナや伝える情報の内容、フェーズによって、載せるべき媒体やフォーマットは異なります。同じ情報も、メールで提供するのか、動画で配信するのかなどを考慮しながら、適切な方法の検討と選択をしましょう。
コンテンツマーケティングの計画を立てる手順を詳しく知りたい方は、こちらのガイドもご覧ください。
コンテンツマーケティングを成功させるためのポイント
ここからは、コンテンツマーケティングを成功させるためのポイントを4つご紹介します。
コンテンツマーケティングにおけるターゲット像を明確にする
コンテンツマーケティングでは、広告以外だと直接的なコンバージョンよりかは、潜在顧客と中長期的なコミュニケーションをとり、成果に繋げることを目的とする施策が多い傾向にあります。だからこそ、コンテンツマーケティングでリーチしたいターゲット像はできる限り明確に設定しましょう。
例えば、スキンケア用品を販売する会社がオウンドメディアを立ち上げる場合を考えてみます。基本的には、自社商品をまだ知らない、使ったことがない方にリーチして認知を広げ、売上に繋げたいとなった場合。オウンドメディアでどのような情報を発信すればいいでしょうか。前提になるのは、「見込み客は誰なのか」「その方たちはどのような情報を求めているのか」です。
もちろん、オウンドメディアだけでなく、アーンドメディア、ペイドメディアでも同じことが言えます。どの媒体で発信するにせよ、ターゲットを深く理解した上で作成しなければ、誰にも響かないコンテンツが生まれてしまいます。
競合となるメディアやアカウントを分析する
次に、競合分析を実施しましょう。自社のコンテンツに不足している部分や改善点の発見に役立ちます。競合メディアの主なチェックポイントは以下です。
- 運営状況
記事の内容や更新頻度を確認します。
- SNSの運用状況
フォロワー数や更新頻度、投稿内容、読者の反応を見ておきます。動画や画像を使ったマルチメディア系コンテンツの運用状況も確認しておきましょう。
- メールマガジン
メールの内容だけではなく、配信頻度やアドレスの収集手段もチェックしましょう。
- 提供している資料
ダウンロードできる資料の内容や、ダウンロードに必要な個人情報の種類を調べます。
- イベント
セミナーや展示会の開催状況、参加状況をリサーチします。
広告を利用する場合は複数媒体を組み合わせてみる
複数の広告を組み合わせた相乗効果も、コンテンツマーケティングを成功に導きます。自社メディアを訪問して記事を読んだユーザーを放置すれば、再訪の可能性はほとんど期待できません。
しかし、ユーザーが他社の記事を読んでいるときに「リマーケティング広告」で自社製品をアピールすれば、すでに読んでいる記事との相乗効果によってコンバージョン率の向上が望めます。
Facebook広告について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
Facebook広告を活用するために知っておきたい、ターゲティング設定の基本知識
テキストを主軸とするコンテンツの場合は、文章構造にこだわる
テキストベースのコンテンツマーケティングを実施するなら、読みやすくわかりやすい文章に仕上がるよう意識しましょう。文章が読みにくければ途中で離脱されてしまう可能性が高く、ユーザーニーズに適したコンテンツを作成してもコンバージョンに結びつきません。
離脱率を下げるための1つの手段として、結論(主張)を頂点にして根拠を積み上げていく「PREP(プレップ)法」を取り入れることをお勧めします。論理的で説得力のある文章を書く際の補強材になるでしょう。
【「PREP法」の文章構造】
- 結論
- 根拠
- 具体例
- 再結論
コンテンツマーケティングを『効率的に』実現するために
コンテンツマーケティングがもたらす効果や具体的な実践手法のイメージを持っていただけたと思います。
コンテンツマーケティングに本気で取り組むには、時間・費用・人材のコストを忍耐強く投資し続ける必要があります。コンテンツマーケティングに失敗してしまう企業の多くが、短期的な結果ばかりに目が向いてしまい、1年足らずで投資を辞めてしまっています。
筆者がおすすめする実践方法は、いきなり費用をかけてブログ制作やホワイトペーパーなどを外注したりするのではなく、既存の資産を活用する方法です。社内に眠っている資産がないか? 知識を総動員して考えてみてください。
社内にコンサルタントがいるのであれば、その人物がブログを執筆できるかもしれません。あるいは、毎月お客さんに提出している調査レポートなどが、Web上にアップロードしただけで意外な反響を生むこともあります。
コンテンツマーケティングを手法として理解するのは重要ですが、成果を追い求めるのではなく、与える姿勢は更に重要です。潜在顧客に対して付加価値が高い情報を社内リソースの中から提供できるのかを考え、実践しましょう。
コンテンツマーケティングに関しては、以下から無料Ebookをダウンロードできます。興味がある方はぜひ参考にしてください。
元記事発行日: 2020年6月24日、最終更新日: 2021年1月12日
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