皆さんはコンテンツマーケティングと聞いて何を思い浮かべますか?
コンテンツマーケティングの代表的な手法の一つとして、ブログを思い浮かべた方は多いのではないでしょうか。
ウェブサイトの流入強化とSEO対策においてブログは非常に有効なコンテンツですが、ブログ以外にもぜひ使って欲しい効果的なコンテンツがあります。
実際にコンテンツマーケティングでは一つのコンテンツに集中して取り組むよりも、数種類を組み合わせた方が効果的と言われています。カスタマージャーニーのフェーズに合わせ、適切な種類のコンテンツを取り入れることが大切です。
今回は、コンテンツマーケティングに有効なコンテンツの種類について、事例を交えて解説します。また、コンテンツマーケティングの効果を劇的に高めることができる活用方法も併せて紹介します。ぜひ自社のコンテンツマーケティング戦略に取り入れてみてください。
コンテンツマーケティング入門ガイド
〜効果的なコンテンツ戦略の立て方を大公開〜
- コンテンツマーケティングの基本
- マーケティング戦略の立案方法
- ブログ作成のポイント
- 成功事例と書籍のご紹介
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コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」とは?
コンテンツの種類を紹介する前に、コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」について理解しましょう。
「コンテンツ」という言葉は英語の”contents”から来ています。単語自体の意味は「中身」「内容」あるいは「目次」といったものですが、現在は更に広い意味で使用されています。
特にインターネット上で「コンテンツ」というと、インターネット上に公開されている意味のある情報や作品全般を指します。コンテンツには動画や画像、文字情報などが含まれており、ブログの記事やSNSへの投稿、YouTubeで公開されている動画など、全てをコンテンツと呼びます。
インターネット上に無数に存在しているコンテンツの中でも、今回はコンテンツマーケティングに有効とされる主たるコンテンツの種類について紹介します。
コンテンツマーケティングの基本的な内容は「コンテンツマーケティングとは? 基礎知識と活用法について解説」にコンテンツマーケティングの基本的な内容をまとめてあります。併せてご覧ください。
コンテンツの種類
インターネット上で利用できるコンテンツの種類や内容は多岐に渡ります。すべてのコンテンツにおいて、それぞれの強みや好まれる属性も異なります。そのため、コンテンツマーケティングにおいては、どのような種類のコンテンツを利用するのかも重要となってきます。本章では、コンテンツマーケティングを行う上で押さえておきたいコンテンツをピックアップしました。
ブログ記事
インターネット上で利用できるコンテンツの種類や内容は多岐に渡ります。すべてのコンテンツにおいて、それぞれの強みや好まれる属性も異なります。そのため、コンテンツマーケティングにおいては、どのような種類のコンテンツを利用するのかも重要となってきます。本章では、コンテンツマーケティングを行う上で押さえておきたいコンテンツをピックアップしました。
ブログ記事で読者を獲得し、そこからその他のコンテンツへと誘導するという流れも一般的です。
多くの場合、自社が保有する自社サイト、つまりオウンドメディアにブログを投稿します。
オウンドメディアの解説については以下の記事をご覧ください。
「オウンドメディアとは?作り方からKPI設定のコツ、成功事例まで大公開」
加えて、「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」を組み合わせたマーケティング手法であるトリプルメディアについても理解しておきましょう。
トリプルメディアの理解には次の記事が役立ちます。
「トリプルメディアとは?それぞれの定義と相乗効果を徹底解説」
ニュースレター
メールなどを利用して、読者にコンテンツを届けるプッシュ型のメディアとして、ニュースレターがあります。
ニュースレターはブログ記事に比べ、定期的に読んでもらえる特徴があります。ニュースレターを読んでもらった後、いかに多くのユーザーを自社メディアや関連サイトに誘導できるかがポイントです。
リサーチレポート
企業で独自に行っている調査などがある場合は、調査結果をリサーチレポートとして配信することも、コンテンツマーケティング手法のひとつです。ブログやニュースレターよりも専門性を高めることで、一定数のロイヤルユーザーの獲得に役立ちます。
価値ある調査結果を提供できれば、一時的な読み物ではなく長く参照されるソースとして資産価値を高めることも期待できます。
事例記事
事例記事は「ケーススタディ」あるいは「サクセスストーリー」と呼ばれることもあります。実際の事例の中から、学ぶところの大きい成功例を選び出し、ストーリーにまとめたものです。問題解決や成功に導くストーリーはニーズも大きく、一度読者に届くと長く読まれる傾向にあります。
コンテンツを読んでもらった後に、より多くのコンバージョンへ導く工夫がポイントです。
プレスリリース
本来、プレスリリースは、新聞社や雑誌社、インターネットニュース媒体に代表されるメディアへ向けた情報発信の手段として利用されています。新商品やサービスの情報や、ブランドにおけるニュース性のある話題があれば、プレスリリースとして発信するのも良いでしょう。
ニュースとしてピックアップしてもらえれば情報の露出が増え、注目を集めることができます。また、自社メディアやSNSで紹介すれば、見込み顧客に対して効果的にPRできます。
SNS投稿
公式アカウントなどからの投稿をコンテンツマーケティングとして活用できます。SNSの最大の特徴は、ユーザーとの距離が近く、双方向の情報交換が可能な点です。ユーザーに寄り添った投稿を行うことで、親近感や信頼感を持ってもらい、企業とユーザーの良好な関係の構築を進めることができます。
ポッドキャスト
ポッドキャストは、音声だけのコンテンツです。言葉の抑揚やトーンから話し手の感情が伝わるため、文章だけのコンテンツに比べるとより親しみやすいでしょう。
次で紹介する動画コンテンツに比べると視覚的な要素はありませんが、「聞き流し」や「ながら視聴」といったシーンに対応可能です。隙間時間を利用した視聴など、コンテンツ消費にまとまった時間が取れない層にもリーチできる特徴があります。
動画コンテンツ
動画コンテンツは、他のコンテンツと比較して多くの情報をユーザーに伝えることができます。YouTubeなど配信プラットフォームを利用すれば、比較的安価に動画コンテンツを活用できます。
動画コンテンツは視覚・聴覚に直接訴えかけることができ、強い訴求力を持ったコンテンツです。言い方を変えれば、動画コンテンツのクオリティがユーザーの反応に強く関連します。
動画コンテンツは今後のコンテンツマーケティングにおいて重要なコンテンツの一つです。
ぜひ関連記事をご参照ください。
観られる動画を作るには?ユーザーを惹きつける6つの心理テクニック
ウェビナー
ウェビナーとは、オンライン上で行われるセミナーを指す言葉です。リアルタイム配信の他、事前に録画された動画を公開する方法もあります。
世界中どこにいてもセミナーに参加することができる利便性がウェビナーの大きな特徴です。リアルタイム配信では、視聴者と講師がコミュニケーションをとりながら進めていける点も魅力です。一方、録画配信の場合、ユーザーの時間を問わず、いつでも都合の良い時に視聴できるメリットがあります。
なお、ブログ記事など他のコンテンツにウェビナーの内容をまとめ直す手法も有効です。
ウェビナーについての理解を深めるには下記記事が参考になります。
製品・サービスのwebページ
製品やサービスのwebページはコンバージョンに直結するコンテンツのため、コンテンツマーケティングにおいて重要なコンテンツの一つです。
webページ以外のコンテンツから誘導されたユーザーは、最終的にwebページへ行き着きます。つまり、各コンテンツで魅力を感じたユーザーの気持ちをそのままに、商品やサービスに対する好感を更に高め、サイトの訪問者に期待する行動であるCTA(Call To Action:行動喚起)へ導く工夫が重要です。
ランディングページ
ランディングページとは、広義にはユーザーがサイトを訪れた際に最初に参照するページのことを言います。最近では広告をクリックしたユーザーが最初に目にするため、特に商品訴求ページのことを指すことも多くなっています。
ランディングページは、ユーザーが関心をもって最初に目にするコンテンツです。製品・サービスのwebページと同様、CTAに導くための重要なコンテンツです。
インフォグラフィック
インフォグラフィックとは、ビジュアルイメージにより作られたコンテンツのことを指します。視覚的にダイレクトに訴えかけるインフォグラフィックは、文字情報だけのコンテンツに比べて高い訴求力を持ちます。
ブログ記事など、一定の支持を得たテキストコンテンツを、インフォグラフィックとして作成し直し公開するという手法も有効です。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、企業の概要や製品・サービス情報、あるいは調査報告書などをまとめたコンテンツです。ブログ記事に比べて文字数が多い傾向で、企業やブランドについて深く知ってもらうために有効です。
専門家や有識者に寄稿してもらうことで、コンテンツや提供企業の信頼性を高める効果を狙えます。
ホワイトペーパーについての理解を深めるには下記記事が参考になります。
ホワイトペーパー作成マスターガイド【無料PPTテンプレ付き】
e-Book
電子ブック、あるいは電子書籍と呼ばれることもあります。ビジュアルとテキストのバランスをとることにより、わかりやすく魅力的なコンテンツに仕上げる自由度があります。
ユーザーに個人情報を入力してもらい無料で電子書籍を配信するなど、ユーザーをファンにするための活用も可能です。
コンテンツマーケティングの効果を最大化させる秘訣とは?
次に、コンテンツマーケティングを実施している企業はどのようなことを重視しているのかを見てみましょう。コンテンツマーケティングの効果を最大化させる秘訣が見えてきます。
次の図は、コンテンツマーケティングを含むインバウンドマーケティングを実施している企業が、重視している項目の一覧です。
出典:HubSpot State of Inbound 2018
トップに挙がったのは「SEO対策/オーガニック検索の強化」(61%)、次いで「ブログのコンテンツ制作」(55%)、「マーケティングオートメーション」(50%)となっています。
自社サイトでブログを運営すると、サイト自体が強化されます。そのため、ブログに取り組むこと自体が、企業の最も重視しているSEO対策やオーガニック検索の強化につながるのです。多くの企業が重要視しているのもうなづけますね。
では、コンテンツの種類についてはどうでしょうか。次の図は、マーケティングに効果がある考えられているコンテンツの種類について、Ascend2社が2017年に調査した結果をまとめたデータです。
出典:Ascend2 「CONTENT MARKETING AND DISTRIBUTION Research Survey Summary Report」
マーケティングに効果的なコンテンツの種類として、「動画(49%)」、「ブログ(47%)」、「SNS(46%)」が上位に挙げられています。またリサーチレポートやウェビナーなども一定の効果があると認識されています。
では、それぞれのコンテンツにはどのような特徴があり、成功企業はどのように使い分けているのでしょうか。次章ではコンテンツの種類とその特徴について、事例を交えて紹介していきます。
ブログのメリットとマーケティング事例
本章ではブログに着目して、メリットと事例を紹介します。
ブログのメリット
ブログはコンテンツマーケティングにおいてもっとも一般的なコンテンツの一つです。ブログはSEO対策にも効果がありますが、他にも次のようなメリットがあります。
- ハウツーやレビューなど、オンライン上でシェアされやすい様々なコンテンツをカバーできる
- 業界において信ぴょう性のある情報ソースを築き上げることができる
- 権威あるソースからの情報を引用することによって、検索ランキングの改善が期待できる
- ブログとして制作したコンテンツを他のフォーマットに水平展開できる
参考記事:Optinmonster 15 Content Formats Proven to Boost Audience Engagement
ブログはメリットが非常に多く、かつコンテンツを量産しやすいため、多くの企業がコンテンツマーケティングの戦略の一つとして取り入れています。
ブログの効果については次のようなデータがあります。
- ブログを運用しているマーケターのうち、82%が高いROIを達成している (Hubspot)
- オンライン上の顧客の61%がブログに書かれた「おすすめ商品」を参考に購買決定をしている (BlogHer)
- ブログに優先的に取り組んでいるマーケターは、そうでないマーケターに比べ13倍のROIを達成していると考えられている (Hubspot)
参考記事:Power Digital Marketing Understanding the Many Different Types of Content Marketing
ただし、ブログは記事数を増やしていくことによって徐々に成果が現れるタイプのコンテンツです。最初のうちはなかなかウェブサイトが検索上位に表示されず、成果が出るまで地道にコツコツと記事を増やす作業が必要です。
ブログを活用したコンテンツマーケティング事例
テクノロジープロバイダーのMarco社は、ウェブサイトからのリードを増やすためにLeighton Interactive社と協働でブログに取り組みました。ちなみに、Leighton Interactive社はHubSpotのパートナー企業の一つです。
協働を始めた時点で、Marco社はすでに2つのブログを運用し、2週間に一度のペースで更新していました。また、EメールマーケティングやFacebook投稿にも取り組み、Google Analyticsでトラッキングも行っていました。
Leighton Interactive社は、Marco社のコンテンツマーケティングを改善するためにはまずブログの改善から着手するべきだと考えました。なぜならば、ブログを強化することはウェブサイトの強化に直結するからです。ウェブサイトはページ数が多ければ多いほど検索エンジンから評価され、より多くの人に見てもらうことができます。
ページ数が50のサイトと500のサイトの違いは明らかにブログによる効果です。日々更新を続けることはページ数の増加につながります。そのため、ブログはウェブサイトへの訪問者を増やすためのSEO対策として欠かせない要素と言えます。
Marco社はHubSpotのプラットフォームを活用して新しいブログを立ち上げました。その結果、初月は88人だったブログの読者を1年後には月間2,299人まで伸ばしました。
本事例に関する詳しい内容は下記記事でご確認いただけます。
参考記事:HubSpot How One Company’s Investment in Blogging & SEO Increased Traffic By Over 2,500% in One Year
重要度が高まる動画コンテンツ
今後のコンテンツマーケティングにおいて動画は活用を検討すべきコンテンツです。
動画コンテンツの特徴
動画はマーケティングにおいて重要度が高いコンテンツです。YouTubeなどの動画プラットフォームによって動画コンテンツは急速な広がりを見せ、ビジネスにおける動画コンテンツの役割も次のように変化しています。
2016年 - コンテンツマーケティングのフォーマットとしての知名度が上昇
2017年 - マーケティング戦略の最も重要な項目の一つとして位置づけ
2018年 - マーケティング戦略の一環からメインのビジネス戦略へ
2019年 - ビジネスアプローチの中核に成長
マーケティングにおける動画コンテンツの重要性については下記記事を参考にしてください。
参考記事:HubSpot The Ultimate Guide to Video Marketing
動画コンテンツは、特に若年層の間で人気が高まっているのが特徴です。Forbesによると、アメリカの10代のうち85%がYouTubeのユーザーということです。彼らは単にエンターテイメントとして動画を楽しんでいるのではなく、YouTubeから新しい知識やスキルを得ている傾向があります。(2018年/Pew社調べ)
また、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社であるCisco社よると、2022年までに、全世界のインターネットトラフィックの82%を動画が占めるようになる予想されています。
10代を中心とする若年層は、今後、企業の最重要顧客層に成長します。だからこそ、彼らに早い段階からブランドを認知し、ファンになってもらうために、多くの企業が動画コンテンツの制作に乗り出しているのです。
一般的に、質の高い動画コンテンツを制作するためには多額の費用がかかります。しかし、カミソリなどの日用品メーカーであるDollar Shave Clubのケースは例外です。同社はアイデアで勝負した動画コンテンツを作成し、ブランド認知向上と売上増を実現しました。
参考記事:Forbes The Key To Gen Z Is Video Content
動画を活用したコンテンツマーケティング事例
Dollar Shave Club社は、カミソリなどの日用品を定期的に郵送するサービスを展開している企業です。カミソリ市場はすでに大手メーカーが多数参入していて後発組のDollar Shave Club社には、ブランド認知度を一気に高めるための施策が必要でした。
そこで、Dollar Shave Club社の社長は自ら動画に出演し、自社製品のPRを行いました。動画は単に商品の特徴を紹介するものではなく、商品を出荷するまでの流れをユーモア溢れる内容で展開したものでした。このユーモアが受けて、この動画は大きな反響を得ました。Dollar Shave Club社は動画の公開から48時間以内に12,000件の新規オーダーを獲得しました。動画を制作するために使われた費用はたったの4500ドルだったということです。
今回の事例は、動画コンテンツに必要なものは必ずしも高いブランド力や多額の予算ではないことを証明した好例です。
参考記事:Disruptive 8 Viral Video Marketing Examples and What We Can Learn From Them
視覚的に情報を発信できるインフォグラフィック
インフォグラフィックとは、情報を図などでまとめて視覚的に分かりやすくしたコンテンツです。オンライン上で最もシェアされているコンテンツの一つで、ビジネスにインフォグラフィックを取り入れている人のうち84%が「効果的」だと感じていると言われています。
インフォグラフィックの特徴
インフォグラフィックの効果について、次のようなデータがあります。
- インフォグラフィックは、ソーシャルメディアで「いいね!」やシェアなどのアクションを受け取る確率が他のコンテンツに比べて3倍高い(NNGroup)
- 質の高いインフォグラフィックの参照率は文字ベースの記事の30倍になる(Search Engine Journal)
- Googleの「infographic」関連の月間検索ボリュームは547,000回である
参考記事:SMA Marketing Are Infographics Still Effective?
インフォグラフィックはプレゼンテーション資料などに引用されることも多くあります。つまり、インフォグラフィックの形式で業界に関するデータを公開しておくと、ブランド認知や被リンクなどの効果が期待できます。事実、インフォグラフィックを利用する企業のトラフィックの成長率は、そうでない企業と比較して12%も上回る、というデータもあります。
一方で、インフォグラフィックを制作しようと考えているユーザーは、スキルや費用など、リソースの確保に悩んでいます。
そのような方のために、パワーポイントで簡単に制作できるインフォグラフィックのテンプレートをご用意しました。下記リンクから無料でダウンロードできます。打ち合わせ用のデータ制作やマーケティングのプロモーションなど、オリジナルビジュアルコンテンツの作成にぜひお役立てください。
インフォグラフィックテンプレート〜パワーポイントで作れる簡単テンプレート〜
インフォグラフィックを活用したコンテンツマーケティング
アメコミ出版社のMarvelは、コミックに登場する人気キャラクターのバックグラウンドを紹介するマップ形式のインフォグラフィックを制作しました。マップ上に、キャラクターの出生地などといった情報をまとめたコンテンツです。人気キャラクターが作品の枠を超えて一同に終結したマップはファンの心を掴みました。
制作された「キャラクターマップ」は9,000回シェアされ、Yahoo・Mashable・MTV・Mental Floss・Nerdistなどのメディアに365回取り上げられました。
インフォグラフィックのように視覚的に分かりやすいコンテンツでは、オーディエンスが有益だと感じればどんどん拡散され、勝手に情報が広がっていく傾向があります。
商品やサービスの販売が目的であれば、ターゲットを絞り、そのオーディエンスが有益だと感じる情報をピンポイントで提供することで成功可能性を上げることができます。
参考記事:FRACTL 10 Case Studies That Show the Real Impact of Content Marketing
読者に継続的に届けるメールマガジン
メールマガジンを含むEメールマーケティングは、昔から存在するコンテンツマーケティングの手法です。最近では、Eメールに代わってソーシャルメディアが多くの人々のコミュニケーション手段となっています。そのため、「Eメールは時代遅れ?」と思うかもしれません。しかし、現在でも有効な手法として活用されています。
メールマガジンの特徴
次の図は、1ドルの投資に対するROIを、Eメール、カタログなどの媒体別にに示しています。
出典:Optinmonster 15 Content Formats Proven to Boost Audience Engagement
EメールマーケティングのROIは1ドルに対して40ドルと非常に効果が高いことが分かります。また、インターネットのユーザーの多くはEメールアドレスを所有しており、ビジネスではEメールによるコミュニケーションが欠かせません。
また、メールマガジンは読者に対して定期的に情報を届けることができるという特徴があります。この特徴をうまく活用できれば大きな効果が期待できます。
上記グラフの赤い棒グラフから、多くの企業がEメールマーケティングに取り組んでいることがわかります。しかし、闇雲に商品やサービスに関する情報ばかりを送り続けてもEメールの開封率は上がりません。
Eメールマーケティングに取り組んで成果を上げている事例として、アメリカ南部のライフスタイル雑誌「Garden & Gun」の事例があります。
Eメールを活用したコンテンツマーケティング事例
Garden & Gunは、アメリカ南部の食文化や農業などについて紹介するライフスタイル雑誌です。紙媒体の雑誌以外に、ウェブサイトも運営しています。
デジタルメディアエディターのKim Alexanderさんは次のように話しています。「私たちは紙媒体を主としたメディアですが、1年に6回しか雑誌を発行していません。そのため、Eメールを活用して読者との接点を作り出し、ウェブサイトに誘導しています。」
「Talk of the South」と名づけられたメールマガジンは着実に読者を増やしました。Eメールマーケティングツールを提供しているEmma社とパートナーシップを組んでから3年後には読者の数が40%増加しました。また、メールマガジンに読者と関連がある広告を貼ることによって収益を上げることにも成功しています。
参考記事:WordStream:Is Email Marketing Effective? Three Examples That Prove It Is
HubSpotでは、Eメールマーケティングを支援する無料ツールを提供しています。気軽に試してみてください。
HubSpotのEメールマーケティング ツール | HubSpot(ハブスポット)
読者に継続的に届けるメッセージ:ポッドキャスト
ポッドキャストでは、様々な情報をラジオのように音声で配信できます。放送時間が決まっているラジオとは異なり、ユーザーの好きなタイミングで聞いてもらえる点もポッドキャストの魅力です。
ポッドキャストの特徴
アメリカではポッドキャストのリスナーが年々増えていることをご存じでしょうか。次の図をご覧ください。
出典:Optinmonster 15 Content Formats Proven to Boost Audience Engagement
Edison Research社によると、「過去一週間でポッドキャストを聞いた」と答えた人の数は2013年には7%でしたが、2017年には15%に増加しています。アメリカの全人口の15%が、少なくとも週一回はポッドキャストを聞いているのです。
また、「動画から音声を取り出す」「ブログのコンテンツを音声化する」など、他のプラットフォームと共通のコンテンツを展開できることもポッドキャストならではです。日本でもVoicyなどの音声発信プラットフォームの普及が始まっており、音声コンテンツに注目が集まっています。
参考記事:音声/ボイス業界のカオスマップを大公開・・・「音声とメディアの未来」
ポッドキャストを活用したマーケティング事例
サンディエゴ在住のJohn Lee Dumasさんは、「なぜ毎日聞けるポッドキャストを誰も作らないのだろう?」という疑問を持ち、すぐに行動に移しました。
彼が立ち上げた「Entrepreneur on Fire」は、成功した起業家たちにインタビューを行い、その音声を無料でポッドキャスト配信するというものでした。彼はこのビジネスにおいてたった2年間で200万ドルを稼ぎました。ダウンロード数は7400万を突破し、世界145カ国に視聴者を持つまでに成長を遂げています。
Entrepreneur on Fireの成功には、次のような理由があります。
- ポッドキャスト以外のコンテンツも配信している
John Lee Dumasさんは公式ウェブサイトで、起業家に向けたアドバイスを綴ったブログを公開しました。さらに「The Fire Path」というニュースレターも週に1回配信し、読者を1万4000人まで増やすことに成功しました。
- コンテンツを毎日発信している
Entrepreneur on Fireは、価値の高いコンテンツを毎日無料で提供し続けています。地道にコンテンツを増やしていくことはコンテンツマーケティングの基本と言えます。
- ファンの悩みに耳を傾けている
John Lee Dumasさんは、自分の番組の視聴者の悩みを聞き、そのニーズを反映した様々なビジネスを展開しています。ポッドキャストを無料で公開したおかげで、有料ビジネスを始める頃にはすでに相当数のファンがいました。そのため有料ビジネスもすぐに軌道に乗り、会社はさらに成長していきました。
この事例は、「オーディエンスファースト」の考え方によって成功した好例です。コンテンツマーケティングは、企業が見せたいもの(= 商品やサービスの紹介)をオーディエンスに見せるのではなく、オーディエンスが求めているものを提供するのが基本です。
オーディエンスが興味を持つであろうコンテンツを配信して見込み顧客を惹きつけ、ファンになってもらうことが大切です。そうすることで初めて商品やサービスが売れるようになります。
参考記事:起業家へのインタビュー音声を無料配信して1億円ビジネスへと発展させた「Entrepreneur on Fire」の事例
インターネット上で実施するセミナー:ウェビナー
ウェビナーとは、オンライン上で行われるセミナーです。ウェビナーはオンラインで行われるので、世界中から参加者を集めることができます。
ウェビナーの特徴
ReadyTalkによると、ウェビナー参加者の20%~40%は質の高いリードになるということです。なぜウェビナーはオーディエンスを惹きつけるのでしょうか?
一般的なウェビナーでは、プレゼンテーションに加えてQ&Aセッションがあります。オーディエンスはそこでウェビナーの企画者の専門知識の深さに触れ、その上で企業について直接話を聞けます。その結果、その企業が提供している商品やサービスに強い関心を持つことが期待できます。
ダウンロード: 効果的なウェビナーを開催するための無料ガイド&動画
参考記事:Optinmonster 15 Content Formats Proven to Boost Audience Engagement
ウェビナーを活用したコンテンツマーケティング事例
THNKIFIC社はオンラインコースを販売するためのソフトウェアプラットフォームを提供する会社です。同社のの顧客は1時間のウェビナーを実施しましたが、その効果は驚くべきものでした。
ウェビナーの内容はSEOについての基本的な情報を解説するもので、ターゲットグループは不動産業界で働く人々でした。
ウェビナーには55名の申し込みがありました。ウェビナーの主催者は、より多くの人に参加してもらうため、コースと商品の割引サービスを含む3つの特別ボーナスをアピールしました。そして、結果的に35名が参加しました。
特別ボーナスはウェビナーを開催してから5日間有効で、ウェビナーを録画した動画も5日間限定で公開されました。
そして、ウェビナーをたった一回開催しただけで次のような成果を上げることに成功しました。
- 1,747ドルの売上
- 423.75ドルのコーチングの新規申し込み
主催者は、「1時間のウェビナーで約2,200ドルの売上はなかなかのものだ」と語っています。そして、次のウェビナーの開催を楽しみにしているそうです。
ウェビナーは、主催者がオーディエンスと直接コミュニケーションを取れる非常に優れたコンテンツです。Q&Aセッションがあることによって双方向のコミュニケーションが発生します。オーディエンスとの関係性を築くにはベストな手段と言えるでしょう。
参考記事:THNKIFIC: The Power of a Good Live Webinar (Case Study)
リードナーチャリングとしても活用できるホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、レポートや調査結果などの文書で、読み手の問題を解決したり、質問に応えたりすることを目的としています。
なお、リードナーチャリングとは、カスタマージャーニーの初期段階の顧客に自社製品・サービスなどの情報提供を行い、購買意欲を向上するプロセスです。下記記事をご覧いただくと、リードナーチャリングについての理解を深めることができます。
参考記事:リードナーチャリングとは? 効果的な手法とHubSpotの成功事例
ホワイトペーパーの特徴
ホワイトペーパーには次のような形態があります。
- ハウツーガイド
- 特定の項目についてのランキング
- 業界の裏話
- 専門家による解説
- プレゼン資料
参考記事:Vision Advertising: What is a White Paper?
動画やウェビナーのように新しいタイプのコンテンツではありませんが、リードを生み出すためのパワフルなマーケティングツールです。質の高いホワイトペーパーは、顧客を惹きつけ、リードを獲得する上で非常に有効な手段です。
オーディエンスのためにデザインされた質の高いホワイトペーパーは価値ある情報の集合体なので、大勢の人にシェアされます。
Forbesに掲載されいる最新の調査によると、実に79%ものB2Bバイヤーが同僚にホワイトペーパーを共有しているということです。コンテンツマーケティングにホワイトペーパーを取り入れることによってリードナーチャリングとしても活用できるのです。
参考記事:Forbes: The Most Effective Content Marketing Tool Your Strategy May Be Missing
しかしながら、HubSpotが2018年に行ったインバウンドマーケティングに関する調査ではと、61%のマーケターが「マーケティングにおいて最も難しいのはトラフィックとリードを生み出すことだ」と答えています。多くのマーケターがオーディエンスを惹きつける方法について悩んでいることが分かります。
参考記事:Sigle Grain: How to Boost Lead Generation and Authority with White Papers
ホワイトペーパーを活用したコンテンツマーケティング事例
IntelliResponse社は、カスタマーサービスのソリューションを提供している企業です。 マーケティングディレクターのTim Petersさんは、「私たちはBtoBの購入プロセスが変化していくのを感じていました。以前はバイヤーから電話や見積もりの相談がありましたが、今では多くのバイヤーがネット上で自ら情報収集をしています。」と話しました。
同社はコンテンツマーケティングによってブランド認知度を高め、リードを獲得しようと試みました。競合他社が次々にコンテンツマーケティングに参入していくのを目撃したためです。そして、単にコンテンツマーケティングに取り組むだけではなく、業界内の価値ある最新情報の提供者になりたいと考えました。
IntelliResponse社のコンテンツマーケティング戦略の一つとして、ホワイトペーパーの制作がありました。ブレインストーミングを行い、向こう3ヵ月間に配信するホワイトペーパーの内容について話し合いました。過去にソーシャルメディアで話題になったホワイトペーパーについても調査し、最新の業界トレンドを取り入れることに決めました。
ホワイトペーパー以外にもブログやインフォグラフィック、動画などを組み合わせコンテンツマーケティングに取り組みました。その結果、2年間でウェブサイトのトラフィックを400%伸長させることに成功しました。増えたトラフィックの35%が、インフォグラフィックとホワイトペーパーをプロモーションした有料広告から生じています。
また、次の記事ではコンテンツマーケティングの事例についてまとめが記載されていますのでご覧ください。
コンテンツマーケティング事例|業界別の国内・海外の成功例まとめ
カスタマージャーニーのフェーズに合わせたコンテンツ戦略
前章では、コンテンツの種類と特徴について事例を交えながら紹介してきました。本章では、それぞれのコンテンツを活用する最適なタイミングについて解説します。
コンテンツマーケティングでは、複数のコンテンツを活用することでより多くのリードが獲得できます。いずれのコンテンツが効果的かは、カスタマージャーニーを意識することで見えてきます。
出典:Vertical Measures: How to Map Your Content to the Customer Journey
ブランドや商品の認知段階では、次のような無料コンテンツを展開してオーディエンスの興味を惹くことが大切です。
- ホワイトペーパー
- ガイド
- eBook
- チェックリスト
- 動画
- 上記のコンテンツを組み合わせたツールセット
次に、購入を検討している段階では、具体的な商品やサービスの内容や成功事例を提供して、購入後のイメージを膨らませてもらいます。
- 無料ウェビナー
- 成功事例
- 無料サンプル
- 商品情報
- カタログ
購買決定の段階に進んだら、商品やサービスを実際に使ってもらい、良さを実感してもらいます。購入を後押しするクーポンなどのコンテンツもこのタイミングで使うと効果的です。
- 無料トライアル
- デモンストレーション
- 無料コンサルティング
- 見積もり
- クーポン
コンテンツマーケティングを効果的に運用するために、複数のコンテンツを計画的に作成して発信することが大切です。詳しくは下記記事を参考にしてください。
「コンテンツマーケティングの計画を立てるための手順ガイド」
一方的な情報提供では消費者の興味を惹くことは難しいため、顧客が欲しい情報と、企業が提示したい情報を結びつけるコンテンツ作成が大切です。コンテンツの企画・作成前に下記記事もご確認ください。
「インタラクティブコンテンツとは?海外ブランドの興味深い事例も紹介」
コンテンツの種類を把握してリード獲得数を最大化
本記事では、コンテンツの種類と特徴について事例を交えて解説しました。
コンテンツの種類によって訴求できるオーディエンスが異なります。様々な種類のコンテンツを展開すれば、接点を持つことができるユーザーを広げることにもつながります。
具体的な実施策として、コンテンツを制作したあとは、別の種類のコンテンツへ水平展開を検討してみましょう。例えば、ブログ記事を台本にしてポッドキャストを作る、ウェビナーを基に動画コンテンツを制作するなどです。コンテンツが充実し、ユーザーとの接点を増やすことができます。
また、コンテンツの垣根を超えてリンクさせることによって、エンゲージメントの向上や、ウェブサイト・SNSアカウントの強化が期待できます。例えば、インフォグラフィックをホワイトペーパーに組み込む、動画コンテンツのクレジットにその動画に関連するブログ記事のリンクを貼るなどです。
コンテンツマーケティングにおいて重要なのは、カスタマーファーストの考え方です。
ただ「見込み客の目に留まるようなコンテンツを作りたい!」と思っても、ユーザーのニーズにマッチしなければ意味がありません。HubSpotではマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開しています。ぜひコンテンツ作成を始めとするマーケティング活動にお役立てください。