Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)は、世界中のデザイナーから愛されているデザインツールです。企業のマーケティングでも、ロゴやアイコンなどにイラストレーターを使ったグラフィックデザインが多く起用されています。

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Adobeはイラストレーターだけでなく、さまざまなクリエイティブ制作に役立つ高品質なアプリを提供しています。

料金プランや代表的なアプリの概要をまとめていますので、他のツールにも興味がある方、これから本格的にクリエイティブ制作を始めたい方はぜひ参考にしてみてください。

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イラストレーターにはさまざまな機能がありますが、最初から全ての操作方法を学ぶ必要はありません。まずは、基本的なデザインに必要な8つの操作方法を覚えましょう。

本記事では、イラストレーターの基本的な使い方を初心者の方向けにわかりやすく解説します。

Adobe Creative Cloud アプリの基礎ガイド

イラストレーターの基礎知識

イラストレーターは、次のようなデザイン制作に使用できます。

  • ロゴ
  • イラスト
  • 名刺やチラシ、ポスターなどの印刷物
  • バナーやSNS投稿などのWebコンテンツ

よく比較されるAdobe Photoshop(フォトショップ)との大きな違いは画像形式です。フォトショップがラスタ形式なのに対し、イラストレーターはベクタ形式のため、拡大縮小に強くサイズを変えても崩れないという特徴があります。そのため、サイズを変更する印刷物やロゴなどのデザインに適しています。

イラストレーターは現在、Adobe Creative Cloud(CC)のサブスクリプションサービスとなっています。プランや料金の詳細はCreative Cloud公式ページからご確認ください。

イラストレーターのバージョンは時々更新されますが、基本的な操作は同じです。macとwindowsではショートカットキーが異なりますので、その点だけ注意が必要です。
 

イラストレーターの使い方・基本操作

イラストレーターを使い始めたら、まずはこれから紹介する8つの操作方法を覚えましょう。
 

新規ファイル作成

まずは新規ファイルを作成してみましょう。

新規ファイル作成

  1. イラストレーターを立ち上げる
  2. 画面左の「新規作成」を選択
  3. 用途に応じてサイズを選択

保存をするときは「ファイル」の「保存」を選択してください。ファイルには名前をつけることができます。

基礎知識として、印刷データとWebデータの違いについても知っておきましょう。デザイン用途が印刷かWebかで、使用カラーや画像の解像度が変わります。

<使用カラーの違いについて>

  • 印刷用は、色の三原色+黒「CMYK」を使い色を表示
  • Webでは、光の三原色「RGB」を使い色を表示

印刷用とWeb用では使用するカラーが異なるため、実際のカラーも異なります。

<画像の解像度の違いについて>

Web用と印刷用で画像の必要解像度も変わります。一般的に、Webは72dpi、印刷物は350dpiの解像度が必要です。Web用の画像を印刷物で使用する場合は、約5倍の画像サイズが必要となるので注意しましょう。
 

図形

イラストレーターには、基本的な図形(四角、丸、多角形、星型)のツールが備わっています。この4つの基本的な図形を使い、複雑なデザインに応用していくのです。

図形

図形の作り方をご紹介します。

  1. 新規ページを開き、左のツールパネルから「長方形ツール」を選択
  2. アートボード上で位置を決め、ドラッグして長方形を作成
  3. 真ん中の中心点をつかむことで移動が可能

長方形ツールを長押しすると、以下のような図形が表示されます。必要なツールを選択し、作図してみましょう。

  • 長方形ツール
  • 角丸長方形ツール
  • 楕円形ツール
  • 多角形ツール
  • スターツール
     

画像

SNS投稿やバナーの作成など、画像挿入はなにかと使う機会が多いのでしっかりと覚えておきましょう。ここでは基本となる画像の入れ方についてご紹介します。

画像

  1. 「ファイル」の「配置」を選択
  2. リンクのチェックを外し画像を埋め込む

これで画像を挿入できます。

2でリンクのチェックをつけたままにすると、画像がリンクとして挿入されます。

「埋め込み」と「リンク」の違いは以下の通りです。

  • 画像の埋め込み:イラストレーターのプレビューに画像が表示される
  • リンク:イラストレーターのプレビューに画像表示されない(リンクのみ)

プレビューで画像は表示されませんが、作業中は「リンク」にしておくと動作が軽くなるのでおすすめです。また、リンクの場合には元画像を編集するとそのまま反映されるのも利点です。
 

テキスト

テキストの挿入も、イラストレーターでよく使う操作方法の一つです。ここでは、文字ツール機能や文字の入力方法、文字のアウトライン化についてご紹介します。

テキスト

<文字ツール機能>

イラストレーターの文字ツールは全部で7つです。種類とそれぞれの特徴を見ていきましょう。

  • 文字ツール:横に文字を入力
  • エリア内文字ツール:図形のエリア内に文字を入力
  • パス上文字ツール:ペンツールなどでひいたパスに伴って横に文字を入力文字(縦)ツール:縦に文字を入力
  • エリア内文字(縦)ツール:図形のエリア内に縦に文字を入力
  • パス上文字(縦)ツール:ペンツールなどでひいたパスに伴って縦に文字を入力 文字タッチツール:入力した文字を個別に選択し、拡大・縮小・回転などの編集を行う

ツールパネルの「文字ツール」を長押しすると、「エリア内文字ツール」「パス上文字ツール」など隠れている文字ツールを選択できます。

<基本的な文字の入力方法>

  • 文字ツール
  1. ツールパネルから「文字ツール」を選択
  2. アートボード上のカーソルをクリックし文字入力
  3. 入力後はツールパネルの「選択ツール」を選択し確定

※Enterキー(Returnキー)で改行できます。「文字(縦)ツール」も入力方法や使い方は同じです。

  • エリア内文字ツール
  1. 長方形などの図形を作図
  2. 「文字ツール」を長押しし「エリア内文字ツール」を選択
  3. 図形上をクリック
  4. 入力後はツールパネルの「選択ツール」を選択し確定

※Enterキー(Returnキー)で改行できます。「エリア内文字(縦)ツール」も入力方法や使い方は同じです。

  • パス上文字ツール
  1. ツールパネルから「パスツール」を選択
  2. 2点以上のパスをひく
  3. 「文字ツール」を長押しし「パス上文字ツール」を選択
  4. パス上をクリックし文字を入力

「パス上文字(縦)ツール」も入力方法や使い方は同じです。

  • 文字タッチツール
  1. 「文字ツール」などで文字を入力
  2. 「文字ツール」を長押しし「文字タッチツール」を選択
  3. 動かしたい文字をクリック
  4. ドラッグやドロップで変形させる

<文字のアウトライン化>

文字のアウトライン化とは、簡単にいうと「文字」を「図形」にすることです。フォント(文字)をオブジェクト(図形)情報に変換することで、他のパソコンや別環境で開くときの「文字化け」などを防ぐことができます。

文字のアウトライン化のやり方は次のとおりです。

  1. 全ての文字を選択
  2. 「書式」の「アウトラインを作成」を選択
     

カラー

デザインにはカラーも重要なポイントです。ここでは図形やテキストの色変更の方法についてご説明します。

<図形の基本的な色のつけ方>

<図形の基本的な色のつけ方>

  1. ツールバーの「選択ツール」を選択
  2. 色をつけたい図形をクリック
  3. プロパティパネルから「塗り」「線」をクリックし、カラーパネルから色を設定

※色を無しにする場合は、赤い斜線の四角をクリック

<カスタマイズした色のつけ方>

カラーパネルの見本から選びたい色が無い場合は、カスタマイズした色をつけることもできます。

  1. ツールバーの下の方にある「塗り」「線」をダブルクリック
  2. 「カラーピッカー」から色を選択

<テキストの色変更>

  1. ツールバーの「選択ツール」を選択
  2. 色をつけたい文字をクリック
  3. プロパティパネルから「塗り」「線」をクリックし、カラーパネルから色を設定
     

レイヤー

レイヤーとは「層」や「重なり」を意味します。イラストレーターではアートボード上に、図形が描かれた複数のレイヤー(層)を重ねて絵やイラストを制作します。

レイヤーをつけずに作業することも可能ですが、「修正に時間がかかる」「自分以外の人にデータを渡したときにわかりにくい」などのデメリットがあります。「背景」や「人物」など、まとまりごとにレイヤーを作るのがおすすめです。

レイヤー

レイヤーは「ウィンドウ」の「レイヤー」を選択し、レイヤーパネルから変更できます。
 

ペンツール

「ペンツール」をマスターすれば、独自のロゴやアイコンを作れるようになります。ここではペンツールを使う上で知っておきたい用語や、直線と曲線の描き方をご紹介します。

ペンツール

まず押さえておきたいのが「ベジェ曲線」と「アンカーポイント」です。

イラストレーターのペンツールを使って描く曲線を「ベジェ曲線」といいます。「アンカーポイント」とは、描かれる形の関節のようなものです。三角形を例にすると、3つの角の点が「アンカーポイント」となります。

直線はクリックで点と点を結んで描き、曲線はドラッグをして描きます。Adobe公式ページでは動画を使ってペンツールの使用方法を分かりやすく説明しているので参考になるでしょう。
 

クリッピングマスク

画像サイズが大きいときなど、画像をトリミングするのに使用するのが「クリッピングマスク」です。クリッピングマスク

長方形の図形でクリッピングマスクを使用する方法をご紹介します。

  1. アートボード上に画像を配置
  2. 「長方形ツール」を選択
  3. 画像の表示させたい部分に長方形を作図
  4. 画像と長方形オブジェクトを両方選択
  5. 「オブジェクト」の「クリッピングマスク>作成」を選択
  6. 画像がトリミングされる

クリッピングマスクでは、長方形だけではなく、円や多角形などその他の図形で画像を切り抜くことも可能です。
 

初心者向けイラストレーターの使い方が学べる動画

イラストレーターは、動画で使い方を学ぶのがおすすめです。イラストレーターの使い方を体系的に学べる動画サイトを厳選して2つご紹介します。
 

Adobe公式 Illustratorチュートリアル

Adobe公式 Illustratorチュートリアル

Adobe公式ページには「今日から始めるIllustrator」や「1分で分かるIllustrator」など、多彩なテーマで動画が用意されています。

初心者には特に「Illustratorことはじめ」というシリーズがおすすめです。動画で基礎を学びながら、アイコンや制作物などを一緒に作成することができるようになっています。シリーズを3つご紹介します。

1:図形の組み合わせで絵を描く

1:図形の組み合わせで絵を描く

この動画では、図形を使ってお手本通りの絵を描きます。イラストレーターの立ち上げから、図形の作り方や動かし方、保存方法まで幅広く網羅されています。約15分の動画で基本的な操作を身につけられます。

出典:IllustratorことはじめStep1:まずはここから「図形の組み合わせで絵を描く」

2:アイコンの作成

アイコンの作成

こちらは基本の図形作成を応用してアイコンを作成する動画です。「オブジェクトの合成」など図形を変形させる方法が詳しく説明されているので、動画内容を覚えることで好きな形のアイコンを作成できるようになります。

出典:

IllustratorことはじめStep2:応用「アイコンの作成」

3:印刷物の作成

3:印刷物の作成

この動画では、レストランのメニューを例に「印刷物」を作成する手順が理解できます。文字の入力をはじめ、画像挿入やレイアウトなどを学べるので、印刷物だけでなくWebコンテンツにも応用しやすいというメリットがあります。

出典:

IllustratorことはじめStep3:実践「印刷物の作成」
 

Udemy

Udemy

Udemy」はスキルアップしたい社会人向けの情報サイトです。有料にはなりますが、自分のレベルに合わせて、数時間の動画講座を受講できます。ここでは、イラストレーターの使い方を学べる初心者向け動画講座を2つご紹介します。

1:ゼロからスキルがしっかり身につく!Adobe Illustrator(イラストレーター)グラフィックデザイン実践基礎講座

Adobe Illustrator(イラストレーター)

この講座では、イラストレーターのグラフィックデザインの基礎を学べます。アイコンやロゴなどを、実際に自分でも制作しながら受講できることがポイントです。6.5時間という長編の動画ですが、学習期間に制限がないため、自分のペースで進めることができます。

出典:ゼロからスキルがしっかり身につく!Adobe Illustrator(イラストレーター)グラフィックデザイン実践基礎講座

2:Illustrator 基礎からプロレベルまで 完全ですべてをゼロから最短で学べる標準Illustratorコース

標準Illustratorコース

この講座ではAdobe Illustrator CCの基礎から応用まで学べる講座です。24時間のオンデマンドビデオで、初心者からプロレベルのスキルが身につけられます。イラストレーターのほぼすべての機能を網羅したい方におすすめです。

出典:Illustrator 基礎からプロレベルまで 完全ですべてをゼロから最短で学べる標準Illustratorコース
 

【実践編】イラストレーターで簡単に作れるバナーデザイン

SNS投稿やバナーなどのWebでよく見かける画像の中には、これまで紹介した8つの基礎知識で作成できるものも多くあります。

イラストレーターの基本的な使い方を学んだあとは、実際に画像を作成して練習してみましょう。こちらで作成していくのはインスタグラム用の広告画像です。

    1. 写真の埋め込み

      ファイルを作成し、まずは使用したい写真を埋め込んでいきます。今回はインスタグラムの広告なのでサイズ比は1:1でファイルを作成します。

      写真の埋め込み

    2. 写真をトリミング

      クリッピングマスクを使用して写真を好きなサイズにトリミングします。写真の位置をずらしたい時は、選択ツールの状態でオプション+コマンドを押すと写真の位置を変更できるようになります。

      写真をトリミング

    3. 図形の入れ込み

      装飾として長方形を入れ込んでいきます。テキストを入れたい箇所に長方形を配置するだけでおしゃれな印象になります。

      図形の入れ込み

※バナー使用写真
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  1. テキスト入力

    広告用のコピーを入力します。この時点ではまだカラーなどは変更せず、全てのテキストを配置しましょう。そうすることで一度全体のバランスを確認できます。

    テキスト入力

  2. テキストカラーとフォントの変更

    テキストを配置した後は、最後にカラーやフォントを変更します。全体のバランスを見ながらサイズなどの微調整もしておきましょう。

    テキストカラーとフォントの変更

以上で画像の作成は完了です。

画像をJPEGやPNGデータとして書き出す場合は「ファイル→書き出し→書き出し形式」を選択します。

イラストレーターの使い方を覚えるには、練習を繰り返すことが大切です。 Adobeソフトには7日間無料体験版があるので、まだインストールしていない方はまず無料版で試してみましょう。
 

イラストレーターの基本的な使い方は難しくない

イラストレーターの基本的な使い方は、一度覚えてしまえばそれほど難しいものではありません。

基本的な操作方法をマスターすれば、Webコンテンツからオリジナルの名刺、チラシ、パンフレットといった制作物を幅広くデザインできます。また、基礎をマスターしたら、それをベースにどんどん応用していくことも可能です。

ぜひ本記事や紹介したチュートリアル動画を参考にしながら実際に取り組んでみてください。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

Adobe Creative Cloud アプリの基礎ガイド

 Adobe Creative Cloud アプリの基礎ガイド

元記事発行日: 2022年3月16日、最終更新日: 2023年4月14日

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