コンテンツマーケティングで動画を活用すると、ユーザーの視覚と聴覚を刺激して情報を効果的に伝えられます。しかし、動画コンテンツを活用するにあたり、動画の種類や具体的な効果、制作方法がわからない方もいるでしょう。


動画マーケティングの基礎ガイド
動画を活用したマーケティング活動の全体像と成功事例を徹底解説!
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本記事では、動画を活用したコンテンツマーケティングの具体的な効果や動画の種類、制作手順・ポイントを解説します。成功事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
コンテンツマーケティングで動画を活用する効果
コンテンツマーケティングで動画を活用すると、次の5つの効果が期待できます。
- 効率的に多くの情報を伝達できる
- 印象や記憶に残りやすい
- 広く速く拡散できる
- SEOに好影響を与えやすい
それぞれの効果を具体的に解説します。
効率的に多くの情報を伝達できる
大量の情報を短時間で伝えられるのが、動画コンテンツの大きなメリットです。なぜなら、動画は文章や画像、音声に比べて多くの情報を短時間で伝えられるためです。 1分の動画は約180万語の情報量、Webページに換算すると約3,600ページ分の情報量を持つともいわれています。
また、文章や画像では伝えにくい「動き」も表現できます。動きやテロップ、ナレーションなどを組み合わせることで、複雑な情報をも理解しやすくできるため、商品やサービスの紹介手法としても使われます。
印象や記憶に残りやすい
映像と音声を用いた動画は、ユーザーの視覚と聴覚の両方を刺激できるため、文章や画像などに比べて印象や記憶に残りやすいのも効果の一つです。
商品やサービスの単純な説明だけでなく、感情やストーリーも伝えられるため、伝えたい内容をユーザーの心に響かせることができます。視覚的な体験と感情的な共感が結びつくことで、ブランドや商品・サービスに対する興味・関心が高まりやすくなるため、企業イメージを効果的に伝えることも可能です。
広く速く拡散できる
現代では、通信環境が整っており、スマ-トフォンで手軽に動画視聴が可能です。そして、YouTubeをはじめとするSNSでは動画コンテンツが急増しており、印象に残った動画は拡散されやすい傾向にあります。
わかりやすく、興味・関心を引きやすく、有用な動画コンテンツを投稿すれば、拡散を狙えるでしょう。
SEOに好影響を与えやすい
動画コンテンツを含む記事(Webページ)は、検索エンジンで上位表示されやすい傾向にあります。 ユーザーが動画を視聴することで滞在時間が伸びたり離脱率が減少したりするためです。
ユーザーニーズの高い内容や言葉では説明が難しい内容を動画にして記事に埋め込めば、満足度の向上にもつながります。SEO評価が高まり検索結果で上位表示されるとWebサイトへの流入数が増え、結果的に商品やサービスの認知度向上が期待できるでしょう。
コンテンツマーケティングで活用する動画の種類
コンテンツマーケティングで活用する動画には、主に次の種類があります。
- ブランディング
- ハウツー
- 商品・サービス紹介
- インフルエンサーとのタイアップ
- インタビュー
- セミナー・イベントのアーカイブ
それぞれの用途や活用のポイントを解説します。
ブランディング
コンテンツマーケティングにおいて動画はブランディングを通じた認知拡大に活用されています。動画は、テキストに比べて多くの情報を短時間で伝えられるためです。
近年、SNSや動画プラットフォームは、企業と消費者との最初の接点として重要な地位を占めています。「自社のブランドイメージ」の概念を動画にして配信することでブランディング効果を創出できるだけでなく、競合他社との差異化を図ることも可能です。
【ブランディングの動画例】
ハウツー
コンテンツ動画は、「○○のやり方」など、ユーザーの悩みに答えるハウツー目的にも活用できます。
自社の商品やサービスに関するハウツー動画を公開すれば、潜在顧客に商品・サービスを認知してもらうきっかけにつながります。例えば、「子どもが壁に貼ってしまったシールをキレイに剥がす方法」という動画を作成し、複数のやり方を紹介したあとに、自社商品の「シール剥がしスプレー」を紹介するケースがあげられます。
なお、ハウツー動画は、必ずしも商品やサービスの紹介につなげる必要はありません。潜在的なニーズを持つ消費者の抱えている悩みを把握し、動画で解決できるよう工夫することで、結果的に自社商品・サービスの認知につながるでしょう。
商品・サービス紹介
商品・サービスの特長や魅力の紹介にも動画を活用可能です。文章や写真では伝えにくい商品の外観を複数の角度から撮影して映像で説明したり、機能、使用方法を詳細に紹介したりできるためです。
動画を通じてユーザーの疑問を解決できれば満足度を向上させられるほか、商品・サービスのメリットや使い方、競合との差異化ポイントを含めることで、見込み客の購買意欲を高める効果も期待できます。顧客の声や専門家のコメントを挿入して信頼性を高めるのも有効です。
取扱説明書として配信すれば、既存顧客のフォローにも役立ちます。カスタマーセンターへの問い合わせを減少させて、業務効率化やコスト削減に貢献できるでしょう。
【商品・サービス紹介の動画例】
インフルエンサーとのタイアップ
消費者への影響力が高いインフルエンサーとコラボした「タイアップ動画」を活用すると、高い拡散力によりスピーディな認知の向上を狙えます。
タイアップでは、自社の商品・サービスの特性に合うインフルエンサーを選定することが重要です。可能であれば、すでに自社の商品やサービスを利用しているインフルエンサーを選定すると訴求力をより高められるでしょう。
一方で、自社にそぐわないインフルエンサーの起用は、消費者に違和感を与えたり企業イメージを低下させたりするおそれがあります。また、景品表示法への抵触を防ぐため、商品提供や報酬が発生する場合は「PR動画」として扱う必要がある点も理解しておきましょう。
【インフルエンサーとのタイアップの動画例】
アメリカではBtoBインフルエンサーが台頭しており、HubSpotのアメリカチームは親和性の高いビジネス系インフルエンサーを厳選し、毎月タイアップ動画をアップしています。インフルエンサーの動画経由でリードや無料サインアップが多く創出されており、ブランディングというよりリードジェネレーション戦略の一部としても活用されています。日本ではまだBtoB領域のビジネスインフルエンサー活用は限定的ですが、今後デジタルマーケティングの多様化が進む中で、リード創出を目的とした新たなチャネルとして注目されていく可能性もあるでしょう。
インタビュー
顧客や従業員、経営者の体験談やメッセージをヒアリングしたインタビュー動画も、コンテンツマーケティングに有効です。企業や商品・サービスに関する情報に加えて「ストーリー」「想い」を映像として伝えられるため、商品・サービスのプロモーション、PR、採用活動など、さまざまな用途で活用できます。インタビューシーンの映像を他のコンテンツに組み込んだり、音声だけを使う手法も効果的です。
経営者や従業員のインタビュー動画は、商品やサービス、企業への理解促進やブランディングに寄与します。また、実際に商品やサービスを導入している顧客の感想を紹介すれば、第三者の声として見込み客からの信頼性が高まり、販売促進につなげられます。
【インタビューの動画例】
セミナー・イベントのアーカイブ
セミナーやイベントを開催した際の録画データをアーカイブとして残しておくと、そのままコンテンツマーケティングに活用できます。参加者特典として動画を限定的に公開する他、参加者以外に公開する方法があるので、施策の目的や内容に合わせて選ぶと良いでしょう。
なお、アーカイブの配信方法には、ダウンロード形式とオンデマンド形式の2種類があります。ダウンロード形式では動画データをデバイスに保存できるため、インターネット回線のスピードに依存せず、高画質で視聴可能です。オンデマンド配信では、ユーザーが好きなタイミングで動画データにアクセスし、ブラウザ上で視聴できます。
【セミナー・イベントのアーカイブの動画例】
コンテンツマーケティングで活用する動画を制作する流れ
コンテンツマーケティングで活用する動画の制作には、企画・撮影・編集の工程があり、自社で内製化する方法と外注する方法があります。それぞれの流れを解説します。
自社で作る場合
自社で動画を制作する場合、まずは利用目的とコンセプト、ターゲットを明確にします。動画の構成を決めたら、キャストや機材、撮影場所を手配しましょう。
さらに、撮影データを編集し、必要に応じてBGMやナレーションを追加します。データを保存する際は、公開するプラットフォームの要件に合わせて適切な形式を選択してください。初めての動画制作は時間がかかることを想定し、余裕を持ってスケジュールを組むことが大切です。
外注する場合
自社での内製化が難しい場合は、制作会社に外注するのも方法です。社内で動画の利用目的やターゲットなどを決定し、制作会社を選びます。過去の制作実績や得意なジャンルを確認したうえで複数の会社から相見積もりをとり、比較検討することが大切です。
制作会社との打ち合わせで、事前に定めた動画コンセプトやターゲット、動画の長さ、使用したいBGM、素材、納期、予算などを伝えれば、制作会社はより良い提案を行えます。動画が完成すれば、修正点の有無を確認します。必要に応じて修正が入り、完成データが納品されます。
コンテンツマーケティングで活用する動画制作時のポイント
コンテンツマーケティングで活用する動画は、次の4つのポイントを意識して制作することで、成果を得やすくなります。
- 目的・ターゲットを明確にする
- 動画の掲載先を意識する
- 動画視聴後の行動も意識する
- テーマを絞りコンパクトにする
目的・ターゲットを明確にする
コンテンツマーケティングで活用する動画は、ユーザーの立場に立って制作することが重要です。施策の実施目的とターゲットを明確に定義し、有益な情報提供を行うことを意識しましょう。
ターゲットが興味関心を持って視聴できるよう、飽きない工夫をするのも大切です。視覚的にわかりやすい映像や図表、ストーリー性のある構成、BGMや効果音を取り入れるのも良いでしょう。コンテンツマーケティングにおける動画は、バズらせる目的ではなく、ユーザーの共感を呼ぶことが大切です。ターゲットの抱える悩みに対する解決法やニーズに応じたコンテンツを取り入れて、より高い価値を提供できるよう意識しましょう。
動画の掲載先を意識する
コンテンツマーケティングの動画は、掲載先となるSNSなどのプラットフォームを意識して制作することも大切です。具体的には、YouTube、Instagram、X、Facebook、LINEなどがあります。それぞれの利用者層は異なるため、自社の商品・サービスのターゲットに適したプラットフォームを選択し、効果的にアプローチできる動画を制作することが重要です。
動画視聴後の行動も意識する
コンテンツマーケティングの動画は視聴後のユーザーの行動を考えて制作することも大切です。消費者の購買行動の流れを可視化したカスタマージャーニーをもとに、認知から購買に至るシナリオを検討し、効果的な構成を練りましょう。
例えば、事例紹介の動画では、冒頭に課題を提起し、自社の商品・サービスを通じた解決策や成果を伝えることで、ユーザーの関心を引きつけられます。購買行動を促すには、動画内や説明欄にCTAを設置して商品・サービスの紹介・購入ページに遷移させるのも良いでしょう。また、動画再生の完了後に、「次に再生される動画」を設定すれば、見込み客の醸成につなげられます。
テーマを絞りコンパクトにする
コンテンツマーケティングの動画は、ターゲットに合わせてテーマを絞ることが重要です。一つの動画で伝えるテーマは一つに絞ってメッセージ性を高めると、印象に残りやすくなります。
一般的には、30秒から3分以内の長さであれば、離脱を防ぎやすいといわれています。また、ユーザーの興味・関心を引きつけられるよう、冒頭の5秒にテーマを伝えるなど工夫をするのも有効です。
【種類別】動画を使ったコンテンツマーケティングの成功事例
ここからは、動画を使ったコンテンツマーケティングの2つの成功事例をご紹介します。
商品・サービス紹介動画の事例
株式会社ワークマンは、作業関連用品やアウトドア・スポーツウェアの販売店をチェーン展開している企業です。同社では、公式アンバサダープログラムを導入するとともに、商品の詳細や使い方などの説明動画を配信することで、売上増加に成功しました。
参考:WORKMAN/ワークマンプラス公式アンバサダーご紹介
ねらい
同社では、SNSで商品の画像や動画を投稿して認知を拡大させ、公式ECサイトへ誘導して購入してもらう手法を採用しています。しかし、画像や動画コンテンツの内製化には人員や費用面での制限が課題となっていました。また、一部商品は限定された店舗やECサイトで販売していますが、ECサイトでは実物を確認できないことも課題でした。これらの課題を解決し、消費者が商品の魅力を理解できることを狙いとして動画を採用しました。
施策内容
まず、取り組んだのが、無償の公式アンバサダー制度の採用です。さまざまな分野のプロに、第三者の立場から自社商品のレビューを写真や動画などで自発的に紹介してもらい、購入画面に遷移させる仕組みを構築しました。また、ECサイトの商品ページでは、購入前に詳細を確認できるように、大きさや使い方がわかる動画や、前述のアンバサダーの動画を掲載しました。
効果
動画を活用した結果、商品の詳細な情報が消費者に伝わりやすくなり、購買意欲の醸成に成功し、SNSの画像経由のコンバージョンは約2倍に、ECサイトの商品ページは約3倍に達する成果が得られました。特に、アウトドアグッズの売上は前年度の2倍以上になり、その他のヒット商品も誕生しています。
ブランディング動画の事例
株式会社Oslinkは、動画コンテンツを活用して、建設業界でのプロモーション活動を強化しました。
ねらい
株式会社Oslinkは、建設サービスの多様性と品質をアピールし、ブランド認知と顧客信頼を向上させることを目的としています。
施策内容
動画制作においては、Oslinkのブランドカラーである水色を意識し、青空の下で撮影を行い、爽やかな印象を演出しました。また、会社の強みを強調するために、施工過程をストーリー性を持たせて撮影し、職人の作業シーンを多く取り入れました。これにより、顧客に安心感と信頼感を与えました。
効果
お客様から寄せられた問い合わせから順に、各サービスの施工、完了まで、全体的な作業の過程をイメージできるよう、映像にストーリー感を持たせたカット割りで構成されています。この結果、ユーザーはOslinkのサービスをより具体的に理解しやすくなりました。
動画のメリットを活かしたコンテンツマーケティングを展開しよう
コンテンツマーケティングに動画を活用すると、短時間で多くの情報をユーザーに届けられます。また、拡散力が高く、Webページに動画を掲載すればSEOに好影響を与えられるなど、さまざまな効果が期待できます。ブランディングやハウツー、商品・サービス紹介、インタビューなど多様な用途に活用でき、ユーザーの認知拡大や購買意欲の醸成に役立てられるのもメリットです。
動画制作時は、目的やターゲットを明確にして有益な情報を配信するだけでなく、商品購入ページへの遷移を設定するなど、視聴後のユーザーの行動を意識することが重要です。コンテンツマーケティングで動画を戦略的に活用すれば認知拡大や満足度の向上が期待できるので、積極的に展開していきましょう。
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