カスタマージャーニーとは、見込み客の思考・感情の変化や行動傾向を時間軸ごとに整理し、購買の意思決定に至るまでのストーリーを可視化する手法です。購買プロセス・タッチポイントごとのマーケティング施策を考案する際や、PDCAによるマーケティング戦略のブラッシュアップをする場合に役立ちます。
【7種のテンプレ付き】カスタマージャーニーを実務に活かすための入門ガイド
業務ですぐに使える実用的な7種類のカスタマージャーニーマップ・テンプレート付き入門ガイド
- カスタマージャーニーマップ作成の5つのメリット
- カスタマージャーニーマップ作成前の準備
- 7種類のカスタマージャーニーマップ・テンプレート
- カスタマージャーニーアナリティクス機能の活用事例
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カスタマージャーニーマップはカスタマージャーニーの考え方を図式化したもので、顧客理解や顧客体験の向上に役立ちます。しかし、初めてマップを作成する場合、どのようにまとめれば良いか悩まれる方も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、カスタマージャーニーマップ作成ツール・テンプレートの活用です。これらを活用すれば、マップ作成に掛かる時間・手間を最小限に抑え、効率的にマーケティング施策を実施できます。
本記事では、カスタマージャーニーマップの作成に役立つツール・テンプレート10選を紹介します。カスタマージャーニーマップを初めて作成する方は、ぜひ参考にしてください。
カスタマージャーニーマップ作成ツールを使うべき理由
カスタマージャーニーマップの作成ツールは、マップ作成に掛かる時間・手間を最小限に抑え、マーケティング施策の効率化に役立ちます。
ここでは、具体的にカスタマージャーニーマップ作成ツールが役立つ理由をみていきましょう。
作成したマップを社内・チームに共有できる
カスタマージャーニーマップを作成するためのツールやテンプレートを用いることで、作成したマップを社内に共有できます。部署を越えて共有することで、設定するペルソナの行動や感情の認識の相違を防ぐことにつながります。
チーム内で目線がそろっていれば、顧客のニーズにあわせて適切なタイミングで情報提供ができます。結果として、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
作業効率を高め、考えることに集中できる
カスタマージャーニーマップ作成で大切なことは、複数の関係者と議論を重ねながら、顧客の行動や思考を理解することです。
テンプレートには、マップ作成に必要な要素が枠として組み込まれているため、それらを埋めていくことで、漏れなく効率良く作業を進めることができます。
結果としてマップを短時間で仕上げることができ、チーム内での議論や顧客理解に時間を使うことができるでしょう。
機能が豊富なので、検証・改善に役立つ
カスタマージャーニーマップは、一度作成して終わりではなく、継続的な見直しや検証が必要です。マップ作成ツールは、A/Bテスト機能やアクセス解析機能など、ユーザー行動の検証に役立つ機能が豊富なので、素早い分析に役立ちます。
それらの機能を活用して、検証・改善をスピーディに繰り返すことで、打ち手の実行サイクルが早まり、よりユーザーに最適な施策提供につながります。
当社HubSpotの独自調査によると、調査対象となったマーケティング従事者の9割以上が「マーケティング施策のROI(費用対効果)を高めるために効果測定が必要」と考えているものの、そのなかで実行できている人は53.1%に過ぎないことがわかりました。
もし、リソース不足が原因で効果測定にまで手が回らないという場合は、業務効率化に役立つカスタマージャーニーマップ作成ツールを活用してみてはいかがでしょうか。
無料で使えるカスタマージャーニーマップ作成ツール5選
カスタマージャーニーマップ作成ツールには、無料で使えるものもあります。これまでカスタマージャーニーマップを作ったことがない方は、まずは無料ツールから使ってみることをおすすめします。
1.HubSpot
画像参照元:カスタマージャーニー マップテンプレート
CRM(顧客管理)ツールの世界的シェアを誇るHubSpotでは、無料でカスタマージャーニーマップのテンプレートを提供しています。
全36ページにおよぶPDFコンテンツでは、カスタマージャーニーマップの重要性から、カスタマージャーニーマップの作成手順まで詳細に解説しており、初心者のための教科書ともいえるでしょう。
テンプレートは7種類あり、各テンプレートの特徴や用途も解説されています。コンテンツ末尾には、カスタマージャーニーマップの参考書籍も紹介されているので、マップ作成に携わる方はコンテンツとあわせて一読をおすすめします。
また、当社HubSpotが近年リリースとした「アドバンスト マーケティング レポート」では、マルチタッチ収益アトリビューション機能による大局的な視点での検証、カスタマージャーニーアナリティクス機能による局所的な視点での検証という2つを組み合わせることにより、各フェーズにおけるコンバージョンへの貢献度を高精度で測ることができます。効果検証までを見据えたカスタマージャーニーの作成・運用を検討中であれば、あわせてご活用ください。
- 特徴
- 36ページに渡りカスタマージャーニーマップの基本から作り方まで詳しく解説している
- 7種類のテンプレートが記載されており、それぞれの特徴・用途まで解説あり
- PDFコンテンツなので、マップ作成前の事前学習資料として社内共有が可能
2.15VISION
画像参照元:15VISION
業務用システムのUIデザインやWebサイトの構築・運用支援を手掛ける15VISIONでは、Keynoteで作成したカスタマージャーニーマップテンプレートを無償で提供しています。
アドレス登録不要で自由にダウンロードできます。テンプレート自体はシンプルながら、ペルソナ設計やフェーズごとのユーザー行動・感情まで見える化が可能なので、初めての方には十分使えるツールといえるでしょう。
また、KeynoteはMac、iPad、iPhoneに標準装備されているため、Appleユーザーであれば場所を問わずカスタマージャーニーの作成・見直しに活用できます。WindowsユーザーでもiCloudを介して利用できるので、ぜひ試してみてください。
- 特徴
- アカウント登録、個人情報の入力不要で自由にダウンロードが可能
- AppleのプレゼンテーションツールKeynoteで作成。iPadでの手書き編集も可能
- シンプルながらペルソナ設計、タッチポイントごとのユーザー行動分析まで可能
3.INNOVA
画像参照元:INNOVA
BtoB企業のマーケティングを支援するINNOVAは、Webマーケティングで成果を出すための最新情報やノウハウを提供しています。そのなかで、カスタマージャーニーマップテンプレートと、テンプレート活用のポイントをまとめた資料を無償で提供しています。
テンプレートはBtoBサービス向けとECサイト向けの2パターンがあり、どちらもテンプレート内に情報を埋めていくだけでマップが完成します。記入サンプルもあるので、初めての方でも迷わず作成できるでしょう。
- 特徴
- PowerPoint形式なのでテンプレートの複製やテンプレート内に直接入力が可能
- 記入例があるのでカスタマージャーニーマップを初めて作成する方でも迷わず記載が可能
- BtoB向けとECサイト向けの2パターンのテンプレートがあり用途に応じて使い分けが可能
4.bizocean
画像参照元:bizocean
約3万点にもおよぶビジネス書式テンプレートを無料でダウンロードできるbizoceanでは、カスタマージャーニーマップテンプレートも無料で公開しています。
タッチポイント、各ステージのユーザー行動、使用アプリ、実現手段などを見える化し、顧客理解を深めることが可能です。テンプレートはPowerPointなので、作成したマップをそのまま企画書に付け加えることもできます。
- 特徴
- タッチポイントやユーザー行動、アクションプランを可視化できる
- PowerPointスライドなので、企画書・提案書に添付が可能
- 業態・業種を問わない汎用型なのであらゆるビジネスに利用可能
5.ferret
画像参照元:ferret
マーケターのためのWebメディアであるferretでは、BtoBマーケティングに役立つコンテンツを発信しています。カスタマージャーニーマップを解説したコンテンツ内で、テンプレートを無料でダウンロードできます。ダウンロードするためには会員になる必要がありますが、メールアドレスかSNSアカウントがあれば、わずか1分で登録できます。
同記事ではカスタマージャーニーマップの作り方やポイントをわかりやすく解説しているので、参考にしながらテンプレートを埋めていくことでカスタマージャーニーマップが完成します。
- 特徴
- PowerPoint形式の汎用性が高いテンプレートを無料でダウンロード可能
- カスタマージャーニーマップの作り方を参考にしながら書き進めることが可能
- 項目が少ないシンプルな構成なので、カスタマージャーニーマップ作成が初めての方に最適
有料のカスタマージャーニーマップ作成ツール5選
有料のカスタマージャーニーマップ作成ツールには、マーケティング活動に役立つ機能が豊富に備わっています。効率的に検証・改善をしたい方は、有料ツールをチェックしてみてください。
1.USERGRAM
画像参照元:USERGRAM
USERGRAMは、オンライン・オフラインにおけるユーザー行動の流れ(シーケンス)や順序をAIを活用して分析できるマーケティングツールです。
パソコン・スマートフォン・タブレットなど、デバイスをまたいだ行動計測が可能なので、同じユーザーの行動パターンを的確に捉えることが可能です。
Webサイトのログ情報と、店頭購入履歴やDM発送履歴などのオフライン行動データを統合することで、ユーザー行動分析の精度向上に役立ちます。
- 特徴
- オンライン・オフラインの行動データの抽出および統合が可能
- パソコン、スマートフォン、タブレットなど異なるデバイスでのアクセスも計測可能
- AIサジェストがユーザーの順序や流れの発見をサポートし成果向上に貢献する
- 費用
- 初期導入費用:無料
- 月額費用(年間一括払いのみ):25万円~/月額
2.KARTE
画像参照元:KARTE
KARTEは、Webサイトやアプリを訪問したユーザーの感情や行動を解析するCXプラットフォームです。独自のリアルタイム解析エンジンを搭載したKARTE Insightでは、ユーザーの解析結果を瞬時に計算し、絶えず変化するユーザーの状況や行動に対して最適なアクションを提案してくれます。
膨大な行動ログから、誰がどのような行動を取ったかなど、細かな分析によってユーザーの理解や課題発見に役立ちます。数値だけでは読み取れない、ユーザーの感情の変化や気持ちの高まりといった小さな変化に気づくことが可能になります。
例えば、リンク先がエラーを起こしているなどの問題点を明らかにし、阻害要因を取り除くといったサービスの改善が可能です。
- 特徴
- 訪問ユーザーの膨大な行動ログ分析によって、一人ひとりに合った施策立案が可能
- ノーコードで扱えるダッシュボードで、目的・課題ごとに機能の組み合わせが可能
- 社内外のデータを統合し、さらに外部ツールとの連携によって柔軟なデータ活用が可能
- 費用
- 要問合せ
3.AD EBiS
画像参照元:AD EBiS
AD EBiSは、バナー広告や動画広告など、さまざまな広告媒体の効果を見える化し、効果検証を効率化する効果測定プラットフォームです。
カスタマージャーニー分析機能では、商品認知から購入にいたるまでの一連の購買プロセスを「人軸」で評価できます。記事広告のA/Bテストや、動画広告視聴後のCVRへの影響など、カスタマージャーニーを用いたメディアプランニングの仮説検証が可能です。
- 特徴
- マーケティング施策ごとに評価指標を搭載。商品認知から購入にいたるまでのフローをワンストップで分析可能
- 広告媒体ごとのインプレッションやCPCを自動取得し、管理画面上で広告効果を一目で把握可能
- 柔軟な外部システム連携により、得られた分析データのシームレスな活用を実現
- 料金
- 初期費用
無料
- 料金体系
基本料金(定額)+従量課金
※基本料金は契約プランによる
- 初期費用
4.WebAntenna
画像参照元:WebAntenna
広告効果測定ツールのWebAntennaは、広告媒体別のアトリビューション(広告ごとのコンバージョンへの貢献度)を管理画面で手軽に把握できます。
WebAntennaのカスタマージャーニー分析機能では、接触した広告、接触日時、どのランディングページかといった詳細を見ることができるので、これらのデータ分析によって顧客理解を深め、ニーズに沿った改善が可能です。
- 特徴
- アトリビューション分析機能により、どの広告媒体が認知獲得に貢献しているか把握できる
- カスタマージャーニー分析機能により、ユーザーごとの商品認知からコンバージョンまでのデータ取得が可能
- 2種類のタグを埋め込むだけで、すぐに計測開始。申し込みから最短2営業日で導入が完了
- 料金
- 初期費用
無料
- 料金体系
クリック数従量制
月額2万円~最大50万円
- 初期費用
5.Lucidchart
画像参照元:Lucidchart
Lucidchartは、資料作成、情報共有、業務プロセスの見える化といった、チームの共同作業を効率化するグループウェアです。
Lucidchartのカスタマージャーニーマップツールを使えば、ペルソナ設定、ユーザー行動、ユーザー感情など、直感的な操作だけでマップ作成が可能です。
外部ツール連携では、Google ・Salesforce・AWSなどをはじめとした、さまざまなサービスと連携可能で、より効率的な活用を実現します。
- 特徴
- 豊富なテンプレートからデザインを選び、直感的な操作だけでマップ作成が可能
- 共同編集機能によりリモート環境でもリアルタイムに編集が可能
- Slack、Salesforce、Google ワークスペース、Teamsなどあらゆるアプリと連携が可能
- 料金
- フリー
無料
- Individual
月額800円~
- Team
ユーザー1人あたり月額1,000円~
※最少人数3名 - Enterprise
要見積もり
- フリー
カスタマージャーニーマップ作成時の注意点
ここでは、カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点を3つ紹介します。カスタマージャーニーマップは、顧客目線で作成することが何よりも大切です。企業の願望や思い込みではなく、顧客のデータに基づいて作成しましょう。
はじめから完璧を目指さない
カスタマージャーニーマップ作成で大切なことは、検証・改善を繰り返しながら徐々に精度を高めることです。
一度で完璧なマップを作成しようと無理に意気込みすぎず、埋められないところが多少あっても、まずは運用してみることが大切です。
最初から完璧を目指そうとすると何が正解かわからなくなったり、議論が複雑になったりすることもあります。ブラッシュアップを繰り返しながら精度を高めていきましょう。
ユーザー目線で作成する
カスタマージャーニーマップは、あくまでもユーザーの行動を可視化したものであり、内容が自社都合にならないように意識することが大切です。
「ユーザーは間違いなく、こう行動するはずだ」「こういう感情を抱くに違いない」というように、経験則や勘などの思い込みがあると、ユーザーの実態をうまく反映できなくなります。
過去の経験や事例が参考になる場合もありますが、ユーザーの思考・行動は時代や状況によって変わるものです。アンケートやヒアリング調査を行った上で、ユーザーの実態に基づいたマップを作成しましょう。
KPIを設定し検証・改善を繰り返す
カスタマージャーニーマップは一度作成して終わりではなく、定期的に検証・改善を繰り返すことが大切です。なぜなら、市場・環境の変化、あるいは競合他社の登場により、ユーザーの思考・行動は常に変化するからです。
そのため、マップ作成時に立てたマーケティング施策ごとにKPIを設定し、進捗状況を定期的に確認しながら、必要に応じて軌道修正あるいは施策を見直すことが必要です。
カスタマージャーニーマップを効果検証の道標として参考にすると、タッチポイントごとのリード創出数や離脱数の多いチャネルなどを把握できるでしょう。定期的にスタート地点へと立ち返り、マーケティング戦略やアクションプランの成果を見つめ直すことが重要です。
カスタマージャーニーマップは、ユーザーの行動・感情を深く理解するための手段なので、作成自体が目的にならないように注意しましょう。
カスタマージャーニーマップ作成ツールを活用して顧客体験価値を最大化しよう
本記事ではカスタマージャーニーマップ作成に役立つ、マップ作成ツール・テンプレートについて、活用すべき理由からおすすめのツール10選まで紹介しました。
ツール・テンプレートを活用すれば、マップ作成に掛かる労力が削減できるため、その分チーム内での議論やユーザー分析に時間を費やすことが可能です。その結果、顧客理解が深まり、一人ひとりに寄り添ったアクションを打ち出すことができます。顧客へ提供する価値が高まれば、自社のファンとして商品やサービスを継続的に利用してくれるでしょう。
ユーザーの思考・行動は日々変化するため、日々収集したデータに基づいた仮説検証を繰り返すことが大切です。担当者はデイリーでユーザーの行動の変化を確認し、チームでは毎週あるいは隔週で定例の場を設けると良いでしょう。
今回紹介したツールのなかには、当社のツールをはじめ、データ分析に役立つ機能が備わっているものもあるので、気になったものから活用してみることをおすすめします。また、ツールごとに特徴が異なるため、いくつか試した上で、自社に最適なサービスを導入しましょう。