従来のマーケティング発想では、製品やサービスの販売促進策を考える際に、見込客に対してアンケートなどを実施し、導き出されるターゲットを設定していました。

しかし現在では、顧客ニーズの多様化や購入プロセスの複雑化によって、それだけでは不十分になっています。

それを補うものとして、近年注目を浴びている手法が、「カスタマージャーニー」です。

今回は、顧客の考え方や行動を把握し、マーケティング施策を展開する際に大きな武器となる「カスタマージャーニー」を理解するために必要な基礎知識から、作成/分析方法をご紹介します。

 

カスタマージャーニーとは「顧客の購入プロセスの見える化」

カスタマージャーニーとは、顧客の行動や思考、感情の変化を時間軸に添って記載し、商品やサービス購入のプロセスと意思決定までのストーリーを「見える化」する手法です。

「見える化」することで、顧客とのタッチポイントを洗い出し、適切な場所やタイミングで、過不足なく必要な情報を伝えることができるようになります。

顧客が商品やサービス、ブランドを認知し、購買意欲を喚起され、購入や登録などに至る過程を、一種の「顧客の旅」と表現されたことから「カスタマージャーニー」と名付けられました。

それを顧客の行動やその時の心理を時系列に並べ、ビジュアライズしわかりやすく可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」といいます。CustomerJourney_02

 

これからの時代に「カスタマージャーニー」が不可欠な理由 

マーケティングの目的は、顧客のインサイトを深く理解し、様々なチャンネルを通して必要な情報を必要なタイミングで提供することにあります。 

デジタル化がまだ進んでおらず、メディアもテレビ、ラジオ、新聞など一方通行的なコミュニケーション方法しかなかった数十年前までは、企業側が顧客像やタッチポイントを想定するだけで充分でした。

しかし現在では顧客のニーズはもちろん、情報収集や購買行動が極めて多様化しており、顧客のインサイトやそれによって導かれる行動を把握することが、非常に困難な状況になっています。

特にスマートフォンが普及以来、その傾向は顕著になっています。

そこで、顧客の行動を設定し、図式化して俯瞰することができるカスタマージャーニーが重要視され、マーケティングに不可欠な存在となっています。

カスタマージャーニーによって顧客の行動と心理を明確にすることで、最適なアプローチ、プロモーションを考案できます。

カスタマージャーニーが不可欠とされる理由には、もうひとつあります。

一人ひとり、つまり「個客」に合わせた効果的なマーケティングが実行できることです。高度なデジタル化やICT技術が進んだ現代は、取得し分析できる情報の量、質とも増大しており、顧客の行動を高精度で可視化することができる時代となっています。

加えてマーケティングオートメーションツールやアドテクノロジーの進化が、チャネルを横断して一人ひとりの顧客に対して、極めて有効なマーケティング施策の展開を可能にしました。

これらの観点から、顧客が商品やサービスを購入するまでにどんなタッチポイントでどんな体験をさせるのかを事前に定義し、これによりユーザー満足度を向上させ企業の求める結果を効率よく得られるカスタマージャーニーこそが、現代のマーケティングに最も不可欠な方法論であると言えるのです。

 

最初にまず「ペルソナ」という概念を理解しよう

カスタマージャーニーについて解説する前に、まず「ペルソナ」という概念を説明します。CustomerJourney_03

「ペルソナ(Persona)」とはそもそも、ラテン語で「仮面」を意味する言葉であるとともに、「パーソン(Person=人)」「パーソナル(Personal=個人の)」や「パーソナリティ(Personality=人格)」の語源でもあります。 

そこから派生し、心理学では外界に適応するための社会的・表面的人格を意味します。 

マーケティングの世界では、ある商品やサービスを利用してくれるターゲットとして想定された象徴的な顧客像のことを言います。

「それは従来で言う"ターゲット"と同じではないのか」と思われる方がいるかもしれません。しかし「ターゲット」と「ペルソナ」は、想定される顧客像の捉え方の深度に大きな違いがあります。

たとえば旧来のマーケティングの考え方では「ターゲットは30~40代の既婚男性」と言った設定がなされます。

しかしペルソナの場合は、「35歳、IT企業勤務、チームリーダー、休日は息子の参加するサッカーチームでコーチ・・・」といった、非常に具体的な像が想定されます。 

ここまで具体的で細かなプロフィールを想定するわけですから、ペルソナの想定にブレがあると、マーケティングとして有効なものにはなりません。

ペルソナを明確にし、効果のあるものとするためにも、カスタマージャーニーが必要だと言えるでしょう。ビジネスに効くバイヤーペルソナの作り方に関してはこちらをご覧下さい。

バイヤーペルソナの作成の仕方と、見本ペルソナを含めた無料テンプレートはこちらからダウンロードできます。

 

カスタマージャーニーマップ作成で得られるメリット 

ではカスタマージャーニーをもとにマップを作成すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。4つのメリットを紹介しましょう。

 

■メリット1:顧客についての理解が深化できる

以前のWebサイトやアプリのログ、アンケート調査からの類推だけでは不十分だった顧客把握が、カスタマージャーニーマップにより、ペルソナの行動や思考、感情を時系列で可視化し、シンプルなストーリーとして表現するため、誰もが顧客の行動を深く理解できます。

 

■メリット2:顧客視点でのマーケティング発想ができる

カスタマージャーニーマップによって購買行動を可視化することにより、顧客の気持ちを無視したメーカー本位の発想や、「売らんかな」の押しつけがましい施策ではなく、より顧客の目線に立ち、顧客の心理に寄り添ったマーケティング発想、マーケティング戦略への転換が図れるようになります。

 

■メリット3:組織内で共通認識が持て、意思決定が迅速になる

マーケティング担当だけでなく、営業、サポート、開発など、関係者がカスタマージャーニーマップ作成のプロセスを共有し、ペルソナの体験を文字だけの情報でなく図式化などによって可視化することで、顧客の行動に対する共通認識が一致させられるようになります。 

またそれにより施策の立案・検討がスムーズになり、精度を高くすることができます。特に、複数部門を横断して認識を統一させられるため、顧客のメリットを起点にして、全体の最適化に向けた連携ができるようになります。

 

■メリット4:コンテンツの企画、制作段階での基準点になる

従来のコンテンツ制作では、各担当者の主観が入り、当初の目的からずれが生じる危険性があります。

このような場合も、まさに地図としてのカスタマージャーニーマップがあれば、「どんな顧客の、どんな課題を解決するのか」というコンテンツの目的やペルソナをより明確にでき、自分たちの路線に迷いがないようナビゲーションしていくことが可能になります。CustomerJourney_04

 

優れたカスタマージャーニーマップの事例

ペルソナの体験(UX=ユーザーエクスペリエンス)は、製品やサービスはもちろん業種、業態によっても異なります。従ってカスタマージャーニーマップにもさまざまな形、スタイルがあります。ここでは、優れた例として引用されることが多い、代表的なマップをいくつか解説していきましょう。

 

■事例1:海外旅行でAir bnb利用者のカスタマージャーニーマップ

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参照:カスタマージャーニーマップを正しく活用するには「おもてなし」と「カスタマーエクスペリエンス」の理解から https://webtan.impress.co.jp/e/2013/11/14/16305

これは「友人と2人で海外旅行を計画している日本人が初めてAirbnbで宿泊先を探す」というペルソナを想定し、「宿泊候補を探す→宿泊先を決める→宿泊地に行く→宿泊地を評価する」という流れの中で、各タッチポイントにおける行動やその際の思考、感情や心理といったものをひとつのマップにまとめたものです。

感情の起伏の様子を矢印で表現されているのがわかると思いますが、このようにビジュアル化することで、わかりやすく表現されたマップの典型となっています。

■事例2:旅行代理店利用者のカスタマージャーニーマップ

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参照:The Anatomy of an Experience Map
http://adaptivepath.org/ideas/the-anatomy-of-an-experience-map/ 

事例1と似ていますが、これは北米の旅行代理店が顧客に対するサービス向上のために作成したカスタマージャーニーマップです。

「欧州旅行を計画する→移動手段を調べる→電車のチケットを予約する→現地に行く→電車で移動する→旅を終える」といった行動をマップとして可視化したものです。

非常に優れたマップで、ペルソナの時間軸ごとのステージ、さらには各タッチポイントにおける行動、その際の思考や感情体験、そこから得られる洞察と改善点がきれいにまとまっています。イラストを豊富に使用しており、顧客の動きがひと目でわかるようになっています。

 

■事例3:博物館のカスタマージャーニーマップ

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参照:Exploratorium: Mapping the Experience of Experiments | Adaptive Path
https://adaptivepath.org/ideas/exploratorium-mapping-the-experience-of-experiments/

科学博物館(Exploratorium)が作成したカスタマージャーニーマップです。「博物館に行こうと思う→行く日にちを決める→博物館に行く→帰る」という流れを可視化しています。 

ペルソナは「地域の大人」「観光客」「ヒスパニックの家族」「会員家族」の4つに分け(縦軸)、それぞれのタッチポイント(イラスト)と行動や思考がマッピングされています。複数のペルソナを想定したカスタマージャーニーマップ例です。

 

事例4:就職活動のカスタマージャーニー マップ

CustomerJourney_08参照:2時間で作るカスタマージャーニーマップ――実例とともに考える新しい「おもてなし」のカタチ
https://webtan.impress.co.jp/e/2013/11/27/16409

新卒採用のWebサイトをリニューアルする際に作成されたカスタマージャーニーマップです。「新規事業を創出できる人材を獲得すること」という目標に向けて、「選考前→エントリー~面接まで→内定~決定まで」の学生の行動、その時感じたり考えたりしたこと、課題などを書き出したものです。

学生にインタビューを行い、作成も学生と一緒に作っているそうです。ペルソナ当事者も巻き込んで作成することで、より精度の高いカスタマージャーニーマップにすることが可能となります。

 

事例5:LEGOのカスタマージャーニーマップ

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参照:The UX ReviewーUser Journeys – The Beginner’s Guide
https://theuxreview.co.uk/user-journeys-beginners-guide/

これはLEGO社が、Webサイトの運営の指針とするために作成したカスタマージャーニーマップですが、先の1から4の事例とはかなり印象が異なるのではないでしょうか。

このマップは、横方向の時間軸ではなく、ホイール型になっています。ホイールは「before(サービス体験前)」「During(体験中)」「After(体験後)」の3つのフェーズによって分けられ、それぞれの感情がわかりやすい顔のイラストとして示されています。このマップによって自社Webサイトでの再訪率・回遊率を高めようとしました。

 

これら5つの事例では、マッピングによって明らかになってきたペルソナの行動パターンをもとに、各フェーズでどういった情報を顧客に向けて発信していくべきかを明確にしています。

それにより、各タッチポイントにおいて、的確で効果的なマーケティング施策を遂行することが可能となりました。

 

カスタマージャーニーマップを作成する前に

前述の5つの事例でもお分かりいただけるように、カスタマージャーニーの要点は「各タッチポイントにおける行動心理の変化」を読み解くことにあります。

そのため顧客の行動を時系列にステップ化して、タッチポイント別の行動や心理について、わかりやすいマップとしてビジュアライズするのです。 

従って重要なことは、「点」ではなく、「線」つまり行動心理の変化、流れで顧客の動きを見ることです。

顧客の行動と、その時の感情、思いなどは、「商品を買った」、「バナーをクリックした」「画面をタップした」など明快なリアクションだけの評価では、決して把握できるものではありません。

それらを踏まえ、顧客にどのようなタイミングで、どのような情報を与えるかを検討するには、顧客の「行動」、「思考」、「感情」を明確にしてプロットしたカスタマージャーニーの考え方が役に立ちます。

カスタマージャーニーマップは、顧客の購買行動の流れに沿って、顧客の「行動」、「思考」、「感情」を明確にしてプロットしたものです。

顧客の行動の全体像が俯瞰することを心掛けて作成する必要があります。つまり、どうすればペルソナの体験(ユーザーエクスペリエンス=UX)が向上するかに力点を置くようにしましょう。

カスタマージャーニーマップは「6ステップ」で作る

では、実際にどのようにしてカスタマージャーニーマップを作ればいいのでしょうか。それには以下の6つのステップが必要です。

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それではまず、最初に必要な作業として「ペルソナ」の設定の方法から解説します。的確なペルソナを設定できなければ、大前提が崩れてしまいます。

 

■ステップ1:ペルソナを設定

ペルソナ設定の作業は、「ペルソナ・デザイン」と呼ばれることが多いです。これは、カスタマージャーニーを作成する際の全てのベースになります。具体的な作業の流れを見ていきましょう。

 

1-1:顧客のセグメンテーション

ターゲットとなりそうな顧客を、いくつかのグループに分類します。

 

1-2:ペルソナを作成したい顧客群を選択

顧客群の中から、ペルソナを作成するグループを選択します。明らかに際立った顧客群がある場合、その顧客群をペルソナに。なければ、優先順位をつけることで複数パターンのペルソナを作成します。

ひとつのペルソナに対し、ひとつのカスタマージャーニーを作成します(異なったペルソナを、ひとつのマップにまとめてないようにします)。

 

1-3:基礎データの収集

市場データ、インタビュー、ユーザー行動分析、アクセス解析や購買履歴データなど、一般公開の調査結果を参照しながら、ペルソナ作成のベースとなる情報を集めます。

 

1-4:データ予測からペルソナを作成する

集めたデータを分析して、顧客の行動や性格、属性の傾向を抽出し、「ペルソナシート」を作成します。手法としては、以下のような項目について明文化することで、ペルソナシートを完成させるのもひとつです。

  • ペルソナシートの一例

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ペルソナシートは、理想的な架空の顧客ですが、その内容は「基礎データ」によって収集された、事実に基づいた具体的で現実的なものでなければ意味がありません。以下のような項目を集め、ペルソナシートを埋めていきます。

<基本情報>

  • 顔写真 •ペルソナの名前 •年齢 •勤務先 ・業種 ・売上高 ・従業員数 ・部署 ・役職
  • 居住地 •家族構成

<ストーリー>

  • その人の状況、今感じていること、どうしたいと思っているか

<仕事上の情報>

  • 職務内容 •仕事への想い •会社から与えられたミッション •製品、サービスを利用する上での役割 •予算権限

<情報源>

  • 利用頻度の高いメディア •ソーシャルメディア利用状況・・・

不明確な点や思い込みを排除し、ペルソナをできるだけ具体的に、リアルに設定していきましょう。

これらを踏まえ、企業とユーザーの認識、意識の違いを確認しながら、再度、ペルソナ行動を整理していきます。

 

■ステップ2:カスタマージャーニーマップのゴールを設定する

次に、作成するカスタマージャーニーマップのゴールを決めます。「問い合わせ」「購入」「リピート購入」・・・といった目標によって、集める情報や考える施策は大きく変わります。

■ステップ3:.カスタマージャーニーマップのフレーム設定

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情報を収集しマッピングしていくためのフレームを決定します。一般的なマトリクスとしてよく使われるのは、横軸に「認知」「興味・関心」「比較・検討」「行動」などの購買に至るプロセスを置き、縦軸に「タッチポイント」「行動」「思考」を置いたマトリクスです。

このマトリクスの中にマッピングしていきます。「タッチポイント」は、たとえばそのフェーズで顧客が行動する際に触れるメディアやサービスを。「思考」は、その行動を取っている時の思考や感情を記入していきます。

 

■ステップ4:マッピングのための情報収集

フレームワークを作成したら、顧客についての情報収集を行います。「ステップ3」のフレームに沿って、どのようなタッチポイントがあるか、顧客はどんな思考で、どのように行動するか、課題は何か、施策はどうあるべきかを検討します。情報は調査結果、問い合わせ履歴など、社内に存在するあらゆる顧客情報や、市場調査の結果などから集めます。

 

■ステップ5:マッピングする

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「ステップ3」で設定したフレームに、顧客の行動、思考・感情などをマッピングします。 

この際、組織を横断したメンバーを集め、各人にヒアリングしながら進めていくのが良いかもしれません。経営陣、マーケティングプランナー、営業担当者、サポート、開発、エンジニアリング、外部パートナーなど、多様な視点を持つメンバー集めが可能になれば、マップ作りは極めて生産的で楽しいものになるでしょう。

 

■ステップ6:カスタマージャーニーマップを顕在化させる

マッピングし終えたら、いろんな情報を整理し、行動、思考、感情の一連のストーリーとして結びつけていきます。イラストを使うなど、みんなが直感的に理解しやすいようにスケッチしていきましょう。

 

カスタマージャーニー作成時の注意点

カスタマージャーニーマップの作成を行う上で、注意しておきたいチェックポイントが、いくつかあります。誰もがついつい陥りがちになってしまいますので、ポイントを充分に把握して常にチェックしておくようにしょう。

 

チェックポイント1:担当者の独りよがりになっていないか

カスタマージャーニーマップ作成は、自分だけ、あるいは自分の組織だけで行うのではなく、さまざまな部署や役職の者を加えて、組織横断的に取り組むのが効果的だと言えます。

たった一人で取り組むなど論外ですが、部や課など、ひとつの組織だけでも意外と単眼的あるいは近視眼的な捉え方になってしまうことがあります。

組織横断的な取り組みであれば、顧客とのさまざまなタッチポイントを持つ者が集まるため、複眼的な視点が得られます。マーケティング担当だけでなく、開発、営業、カスタマーサポート、経営陣など多彩なメンバーで活発に議論を重ねながら進めるようにします。

 

チェックポイント2:企業側の願望ばかりを書いていないか

カスタマージャーニーマップが顧客の要望や心理、行動から導き出されたものではなく、企業側の独りよがりな願望を反映していないか、チェックしましょう。

「我々のサービスは、顧客のこんな心情に響いて欲しい」、「我々の商品を買うお客様は、きっとこんな行動をするはずだ」という漠然とした願望ではなく、調査やデータから導き出された情報を正しくマッピングし、充分なファクトが得られない部分は、仮説検証を必ず行うようにしましょう。

 

チェックポイント3:自分で作成のハードルを上げていないか

先ほど紹介したカスタマージャーニーマップの事例は、どれも細かく書き込まれていました。つまり、マップを作成するには顧客に対して、詳細な情報を集め分析する必要がありますし、より多くの顧客情報がなければ、精度の高いマップは完成しません。 

そう考えると、マップひとつを作成するにも大変な労力が必要となります。「こんな作業、我々にはできない」と思いがちになっても仕方はないでしょう。しかし必要以上に、自分でマップ作成のハードルを上げてしまう必要はありません。

「案ずるより産むがやすし」で、まず作ってみるのがよいでしょう。まず作成にかかることで、自分たちに欠けている情報、顧客を理解できていない部分が明らかになるはずです。

いきなり複雑で高度なカスタマージャーニーマップを作るのではなく、まず、できる範囲で作成し、全体像を見直しながらブラッシュアップしていきます。

 

チェックポイント4:作成することを終着点だと思っていないか

大変な苦労を重ねてカスタマージャーニーマップを作成して、「あぁ、できた」と作成することが目的になってはいけません。終着点はあくまでこのマップを元に、効果的なマーケティング施策を実行することにあります。

それだけではありません。変動が激しい現代では、いくら苦労して作ったカスタマージャーニーマップであろうとも、1年もすると現実と齟齬が生じてしまう可能性があります。

半期や1年単位、あるいは新製品、新サービスの投入といった段階でジャーニーマップを見直し、バージョンアップできるような体制、仕組みを構築しておく必要があります。

 

バイヤーペルソナがカスタマージャーニーを進まない場合か

時間や、接触の方法など、バイヤーペルソナが想定したカスタマージャーニ―を進まない場合も得てしてあります。それに対して我々マーケターはどうすればよいのか?変則的なバイヤーズジャーニーへの対応策については、こちらの記事をご覧ください。

 

マップ作成で参考となる記事・ツール

さて、今までカスタマージャーニーのメリットや、カスタマージャーニーマップの作成方法などについて解説してきました。

さらに深くカスタマージャーニーについて学び、ご自身の仕事に活かしていきたいとお考えの方に、参考となる記事やページを紹介します。マップのテンプレートなどを用意しているサイトなどもありますので、ぜひご利用ください。

 

1:ペルソナシート作成ツール

CustomerJourney_13参照:Xtensio User Persona Creator
https://xtensio.com/user-persona/

カスタマージャーニーマップ作成には、しっかりとしたペルソナ設定が不可欠です。そこで、ペルソナ設定に役立つシート作成ツールを紹介します。
海外のサイトですが、非常にきめ細かで質の高いペルソナシートが無料で作成できます。

 

2:Web担当者Forum(株式会社インプレス)
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参照:2時間で作るカスタマージャーニーマップ――実例とともに考える新しい「おもてなし」のカタチ
https://webtan.impress.co.jp/e/2013/11/27/16409

株式会社インプレスのオウンドメディア「Web担当者Forum」には、カスタマージャーマップの豊富な事例や、作成ステップなどを紹介しているサイトです。

前述した「事例4」の新卒採用サイトリニューアルのためのカスタマージャーニーマップも、このサイトで詳しく紹介されています。「1:顧客行動の収集」「2:考えていることや感じていることの収集」「3:課題のディスカッション」「4:顧客行動と媒体の清書」「5:課題の抽出」とステップに則った手順が、実例を交えて解説されています。

「2時間で作る」というタイトル通り、この手順に従えば、効率的にベーシックなカスタマージャーニーマップが作成できるでしょう。

 

3:エクスペリエンス・マッピングガイド

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参照:Adaptive Path's Guide To Experience Mapping (Japanese Edition)  from Kazumichi (Mario) Sakata
https://www.slideshare.net/kazumichisakata/adaptive-paths-guidetoexperiencemappingjpn

世界的に有名な「ユーザーエクスペリエンス」をテーマにした活動を行っているコンサルティングエージェンシーAdaptive Path Inc.(アダプティブ・パス社)が公開しているエクスペリエンスマップの作り方に関するスライドです。

坂田一倫氏による日本語エディションとなっていますので非常にわかりやすく、考え方や作業の進め方において参考にできる部分が多々あります。

 

4:なぜなに?ユーザーエクスペリエンス(概要編)

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参照:なぜなに?ユーザーエクスペリエンスマップ
https://www.slideshare.net/vistawalk/userexperiencemap

ミツエーリンクス社のインタラクションデザイナーよる、カスタマージャーニーマップ(ここでは『UXマップ』と表現されています)の重要性や作成に必要な要素、事例などを簡潔にまとめたスライドです。またツールの訴求内容によって、カスタマージャーニーの考え方が有効なもの、有効でないものといった分析がされており、入門から応用まで、理解の深まる内容となっています。

 

5:ExperienceFellow
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参照:ExperienceFellow
https://www.experiencefellow.com/

オンラインでカスタマージャーニーが作成できるツールです。大部分を自動で作成できるので、非常に便利です。

ユーザー体験を記録していくことで、カスタマージャーニー マップとして可視化できます。またコメント機能などを持ち、組織でのコミュニケーション活性化にも役立ちます。有料サービス(プランによって料金は異なります)ですが、14日間の無料トライアルがあります。

 

上記で紹介した記事を参考にしたり、ツールを活用したりして、まずはカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。思い切ってひとつ作成してみると、新たに気付くことも多いかもしれません。

 

カスタマージャーニー分析の重要性

先の「カスタマージャーニー作成時の注意点」における「チェックポイント4:作成することを終着点だと思っていないか」でも述べましたが、カスタマージャーニーの目的および目標は、カスタマージャーニーマップを作成することではありません。

実際にマーケティングに活用できて、初めて意味を持ちます。 

従ってカスタマージャーニーを分析し、プロモーション施策に反映する作業が必要となります。そこでカスタマージャーニーの分析に役立つ資料やツールをご紹介しながら、注意点なども説明していきたいと思います。

 

1:「実践的」カスタマージャーニー分析のすすめ

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参照:今できる最新カスタマージャーニー分析 第一部「実戦的」カスタマージャーニー分析のすすめ 内野明彦
https://www.slideshare.net/Uchino/20131126-a2i-costomerjourneyslideshare

「カスタマージャーニー分析とは何か、なぜ必要か」が、わかりやすくまとめられているスライドです。従来のアクセス解析と比較しながら、カスタマージャーニー分析の重要性を説いています。

このスライドでは、アクセス解析が訪問者の行動をサイトの構造毎に分解して施策単位での最適化を図るのに対し、カスタマージャーニー分析は段階的なユーザーとの接点・体験をどう設計し最適化するかという、時間軸・成長軸を踏まえたコミュニケーションの最適化を図るものと定義されています。

 

2:HubSpot

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参照:Hubspot
https://www.hubspot.jp/products/get-started?utm_campaign=hp01&utm_id=hp_hero

インバウンドマーケティングプラットフォームで定評あるHubSpotなら、リードの獲得、セールスの加速、コンタクトの管理、顧客満足の向上はじめ、ROI測定などカスタマージャーニー分析に役立つツールが、ワンパッケージで利用可能です。効果のあるインバウンドマーケティングキャンペーンが実施できます。

ハブスポットの無料マーケティングツールはこちらから今すぐご利用頂けます。

 

3:アドエビス

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参照:カスタマージャーニー分析 | アドエビス/広告効果測定を基軸としたマーケティングプラットフォーム
https://www.ebis.ne.jp/

アドエビスは、広告効果測定ツールがベースのマーケティングプラットフォーム。Web広告単体の効果の他に、「認知」から「購入」までのプロセスが人軸で評価できるカスタマージャーニー分析機能と搭載しているため、カスタマージャーニーの把握や分析に役立ちます。

 

4:ユーザグラム

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参照:アクセス解析では顧客は見えない?デジタル行動観察ツール「Usergram」がWebマーケティングを変える
https://liskul.com/interview-usergram-18863

ユーザビリティ・コンサルティングを提供してきた株式会社ビービットが、2017年から提供を開始したツール。「デジタル行動観察」という、一人ひとりの行動データから、顧客体験を可視化する手法を通じて、カスタマージャーニーを明らかにすることができます。

 

5:KARTE(カルテ)

CustomerJourney_22-1参照:KARTE(カルテ)
https://karte.io/

KARTEは、リアルタイムの分析・可視化を可能としたUX(=ユーザーエクスペリエンス)・CX(=カスタマーエクスペリエンス)といった分析に優れたプラットフォームです。

キリンビール「一番搾り」のブランドサイトにも導入されるという実績も持っています。キリンビールではDMPと連携して、一般消費財における生活者の行動をLTV視点で捉えたカスタマージャーニー分析に役立てられているようです。

 

SEO対策とカスタマージャーニーを組み合わせる方法 

カスタマージャーニーの作成とSEO対策を組み合わせる方法とは?カスタマージャーニーは見込み客や顧客目線に立ちながら適切なユーザーエクスペリエンスを提供するために非常に助けになります。そのためのカスタマージャーニーの実例を豊富に用いて、どのようにSEO対策と組み合わせるかその手法をご紹介します。

 

3つのテクノロジーが顧客獲得と維持に与える影響とは 

新しいテクノロジーの登場によって見込み客や顧客のカスタマージャーニーに変化をもたらすことがあります。ここ直近で起こると考えられるテクノロジー、ネイティブ広告などがどのような変化を与えるのか? くわしく解説した記事をご用意しましたので、ご参照ください。

 

まとめ:カスタマージャーニーへ一歩、踏み出そう

さあ、いかがでしたでしょうか、「カスタマージャーニー」について、可能な限り詳しく説明してきました。

カスタマージャーニーは企業側からではなく、顧客の視点でマーケティング戦略を再構築するための一つの考え方です。

今回紹介したポイントを参考に、あなたの会社・企業・組織でも、是非できることから取り入れてみましょう。そうすれば、きっと成果につながる新しい発見があるはずです。 

現代はスマートフォンなどの普及で、いつでもどこでもインターネットを利用することが可能となり、製品やサービスと顧客とのタッチポイントは、ますます多様になってきています。 

さらにFacebook やTwitter 、Instagramなど複数のSNSを使いこなす人が珍しくない昨今においては、SNS上の友人からの「レコメンド」が、製品やサービスの購入に対し大きな影響力を持っていると考えられます。

このような顧客と製品、サービスの認知・購買のプロセスが多様化している現状に、マーケティング部門からアプローチするには、顧客を時系列で把握できるカスタマージャーニーが最適です。

有効的なのマーケティング施策を展開するにあたって、まずは基礎知識を押さえて、実際にカスタマージャーニーマップ作成するところから、始めてみてください。

ハブスポットの無料マーケティングツールはこちらから今すぐご利用頂けます。

元記事発行日: 2019年4月18日、最終更新日: 2019年4月18日

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