エクセルの在庫管理に便利な関数14選

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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エクセルで在庫管理をする際に、関数を使えば、業務を効率化でき、入力・集計ミスの削減が期待できます。一方で、エクセルにはさまざまな関数があるので、何を用いれば良いのかわからない方もいるでしょう。

エクセルの在庫管理に便利な関数14選

【初心者向け】Excelでの表作成や関数が学べる基礎ガイド

基本的な操作方法から、表やグラフ、利用頻度の高い関数の活用方法を初心者でもわかりやすいよう解説。

  • シートの操作方法
  • 関数の使い方
  • ピボットテーブルの活用方法
  • 実践用Excelテンプレート

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    本記事では、在庫管理にエクセルの関数を活用するメリットと、在庫管理に便利な14の関数、数式(計算式)の例をご紹介しますので、ぜひお役立てください。

    在庫管理にエクセル関数を活用するメリット

    在庫管理でエクセル関数を活用する代表的なメリットは、業務効率が大幅に向上することです。

    例えば、次のような使い方ができます。

    • データを入力するだけで在庫数を自動で更新する
    • 特定の商品やカテゴリごとの在庫数を簡単に検索する
    • 残数が一定の数量を下回った場合にわかりやすく表示する
    • 売上や在庫の動向を分析しやすくなる

    任意の数式を入力しておくと、セルの数値を変更するだけで自動で計算結果が更新されます
     

    エクセルでの在庫管理に便利な関数14選

    エクセルでの在庫管理で便利に使える代表的な関数は次の14個です。

    【条件を判別できる関数】

    • IF関数|条件に応じた処理を行う
      例:=IF(E4>=10,"注文","-")

    【データを集計できる関数】

    • AVERAGE関数|平均値を求める
      例:=AVERAGE(A1:A50)
    • SUMIFS関数|条件に合致するデータを合計する
      例:=SUMIFS(E3:E17,C3:C17,"商品A")
    • PRODUCT関数|複数の値を掛け合わせる
      例:=PRODUCT(A1,C1)

    【ロット単位の計算に便利な関数】

    • CEILING関数|指定した基準値で端数を切り上げる
      例:=CEILING(D3,C3)
    • FLOOR関数|指定した基準値で端数を切り下げる
      例:=FLOOR(D4,C4)
    • MOD関数|割り算した余りを求める
      例:=MOD(D4,C4)
    • QUOTIENT関数|割り算の余りを切り捨てた数値を求める
      例:=QUOTIENT(A2,B2)

    【指定のデータを検索できる関数】

    • VLOOKUP関数|条件に一致するデータを探す
      例:=VLOOKUP(C3,H4:J7,2,FALSE)

    【データを整える関数】

    • ROUND関数|四捨五入する
      例:=ROUND(B2,1)
    • LEFT・RIGHT・MID関数|文字列から指定の文字数を抜き出す
      例:=LEFT(A1,4)
      例:=RIGHT(A1,2)
      例:=MID(A1,6,4)
    • TRIM関数|不要なスペースを削除する
      例:=TRIM(A10)

    ここからは、それぞれの関数の詳細と数式、具体例を解説します。
     

    条件を判別できる関数

    IF関数|条件に応じた処理を行う

    IF関数|条件に応じた処理を行う

    • 数式:=IF(論理式,真の場合の値,偽の場合の値)
    • 具体例:=IF(E4>=10,"注文","-")

    IF関数は、条件に応じて処理を変更できる関数です。特定の条件を満たす場合と満たさない場合で、異なる内容を表示したり特定の処理を実行したりできるため、在庫数の判別などに用いることができます。

    例えば、在庫数が発注点以下なら「注文」と表示したり、在庫過多のときは「過多」、在庫不足のときは「不足」と表示したりする使い方が可能です。
     

    データを集計できる関数

    AVERAGE関数|平均値を求める

    • 数式:=AVERAGE(範囲)
    • 具体例:=AVERAGE(A1:A50)

    AVERAGE関数は、指定した範囲内の平均値を求める関数です。

    例えば、「=AVERAGE(A1:A50)」と入力する場合、A1からA50の範囲における平均値が自動で計算されます。在庫の平均値を把握したいときに活用できます
     

    SUMIFS関数|条件に合致するデータを合計する

    SUMIFS関数|条件に合致するデータを合計する

    • 数式:=SUMIFS(合計対象範囲,条件範囲1,条件1,[条件範囲2,条件2],…)
    • 具体例:=SUMIFS(E3:E17,C3:C17,"商品A")

    SUMIFS関数は、SUM関数の発展型で、条件に合ったデータのみを合計する関数です。計算したい範囲や条件を指定して必要な計算を行えるため、特定商品の売れ行き確認に役立ちます
     

    PRODUCT関数|複数の値を掛け合わせる

    • 数式:=PRODUCT(数値1,数値2,…)
    • 具体例:=PRODUCT(A1,C1)

    PRODUCT関数は、複数の数値を掛け合わせられる関数です。複数のセルをまとめて計算できるため、単価と卸率、数量などを掛け合わせる際に活用できます

    なお、エクセルではアスタリスク(*)を用いて複数の数値を掛け合わせられますが、PRODUCT関数を使うと数式をよりシンプルにできます。3個以上の数値を掛け合わせる際におすすめです。
     

    ロット単位の計算に便利な関数

    CEILING関数|指定した基準値で端数を切り上げる

    CEILING関数|指定した基準値で端数を切り上げる

    • 数式:=CEILING(数値,基準値)
    • 具体例:=CEILING(D3,C3)

    CEILING関数は、指定した数値を基準値の倍数に最も近い値に切り上げる関数です。数式の「数値」には切り上げる対象となる数値やセル番号、「基準値」には、切り上げる基準となる値を設定します。

    例えば、1ケースあたり10個の商品が105個ある場合に必要なケースの数を算出する場合に、CEILING関数を使うと換算値として110が求められ、11個のケースが必要だとわかります。このように、一定の単位で商品を発注する場合など、端数を気にせずに必要な数量を算出したいときに役立ちます
     

    FLOOR関数|指定した基準値で端数を切り下げる

    FLOOR関数|指定した基準値で端数を切り下げる

    • 数式:=FLOOR(数値,倍数)
    • 具体例:=FLOOR(D4,C4)

    FLOOR関数は、指定した数値を特定の倍数に切り下げる関数です。数式の「数値」には切り下げたい数値やセル番号、計算式、「倍数」には切り下げの基準値を指定します。

    後述するMOD関数(除算の余りを求める関数)と組み合わせて使うと、必要数に対するケース数と単品での発注が必要な個数を求められます。例えば、1ケースあたり10個の商品を105個必要とする場合、FLOOR関数を使うと「100」が算出され、必要なケース数は10とわかります。

    FLOOR関数は、CEILING関数と異なり余剰が出ないため、在庫数を特定の値以下に抑えるなど、発注数を最小限にする場合に有用です。例えば、安全在庫数を10個に設定する場合、在庫数が9個になった時点で0個に切り下げられるため、不足か否かを判断しやすくなります。
     

    MOD関数|割り算した余りを求める

    MOD関数|割り算した余りを求める

    • 数式:=MOD(数値,除数)
    • 具体例:=MOD(D4,C4)

    MOD関数は、指定した数を別の数で割った際の余りを求める関数です。最小の発注単位や出荷単位が決まっている商品の管理に便利です。例えば、100個単位で商品を仕入れる場合に「=MOD(必要数,100)」を使うと、単品での仕入れが必要な数がわかります。

    MOD関数

    この他にも、商品ごとに異なる周期で棚卸しを行う際に在庫数を把握し、棚卸しを行うタイミングを判断するケースでも役立ちます。MOD関数による計算結果がゼロになると、棚卸しのタイミングと判断できるためです。
     

    QUOTIENT関数|割り算の余りを切り捨てた数値を求める

    QUOTIENT関数|割り算の余りを切り捨てた数値を求める

    • 数式:=QUOTIENT(分子,分母)
    • 具体例:=QUOTIENT(A2,B2)

    QUOTIENT関数は、2つの数値を割り算したときの整数部を返す関数です。商品を一定の個数でケースに詰める場合のケースの個数の算出や、1日あたりの売り上げ単価の計算に活用できます

    例えば、1ケースあたり10個の商品で商品数が105の場合、QUOTIENT関数の結果は「10」です。箱詰めできない残りの数を求める際は、前述のMOD関数を利用すると良いでしょう。
     

    指定のデータを検索できる関数

    VLOOKUP関数|条件に一致するデータを探す

    VLOOKUP関数|条件に一致するデータを探す

    • 数式:=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索方法)
    • 具体例:=VLOOKUP(C3,H4:J7,2,FALSE)

    VLOOKUP関数は、指定した条件に一致するデータを検索できる関数です。表を縦方向に検索して、指定した値と一致する行にあるデータを返します。「検索値」は検索する値(範囲の左端の列に含まれる値)、「範囲」は検索を行う範囲(左端の列を含む)、「列番号」は範囲内の左から右へ数えた列の数です。「検索方法」には、完全一致「FALSE」、または近似一致「TRUE」)を入力します。

    VLOOKUP関数は、在庫管理表や一覧表、集計表などさまざまなシーンで活用可能です。商品コードから商品名や単価を自動で呼び出す際や、商品コードから単価を取得して金額を計算する際に役立ちます
     

    データを整える関数

    ROUND関数|四捨五入する

    • 数式:=ROUND(数値,桁数)
    • 具体例:=ROUND(B2,1)

    ROUND関数は指定した数値を四捨五入できる関数です。「数値」には四捨五入を行いたい数値やセル番号、計算式、「桁数」には計算結果を表示させたい桁数を入力します。

    さらに、ROUNDUP関数では四捨五入後に切り上げ、ROUNDDOWN関数では四捨五入後に切り捨てる計算も可能です。セール価格などで小数点以下が生じる数字を整数に揃える際に役立ちます
     

    LEFT・RIGHT・MID関数|文字列から指定の文字数を抜き出す
    ROUND関数|四捨五入する

    • 数式:=LEFT(文字列,文字数)
    • 具体例:=LEFT(A1,4)
    • 数式:=RIGHT(文字列,文字数)
    • 具体例:=RIGHT(A1,2)
    • 数式:=MID(文字列,開始位置,文字数)
    • 具体例:=MID(A1,6,4)

    LEFT関数は、セルに入力された文字列の左側(先頭)から、指定した文字数を抽出する関数です。RIGHT関数は、セルに入力された文字列の右側(最後)から、指定した文字数を抽出する関数です。また、MID関数では、セルに入力された文字列のうち、任意の開始位置から指定した文字数を抽出できます。

    LEFT関数やRIGHT関数は抽出の開始位置が決まっている一方、MID関数は開始位置を自由に指定できる点で異なります。在庫管理表から特定の商品の型番や部品コードを抽出して、データを整理・分析する際に便利です。

    LEFT関数

     

    TRIM関数|不要なスペースを削除する

    • 数式:=TRIM(文字列)
    • 具体例:=TRIM(A10)

    TRIM関数は、各単語間のスペースを1つずつ残し、その他の不要なスペースをすべて削除できる関数です。例えば、商品名の前後にスペースが入っている場合にTRIM関数を使えば、不要なスペースを削除して表記を統一でき、視認性を高められます。

    また、関数を利用する際や検索、絞り込みなどの精度を高めることも可能です。例えば、IF関数やSUMIFS関数では、スペースの有無などの表記ゆれがあると正確に計算できない可能性があります。TRIM関数を使えば不要なスペースを削除してデータの形式を整えられるため、関数が正しく機能します
     

    関数を活用してエクセルの在庫管理をより便利にしよう

    エクセルで在庫管理をする際に関数を活用すると、業務を効率化でき、入力・集計ミスを減らすことも可能です。作業に応じて関数を組み合わせると複雑な計算も自動化できるため、在庫管理をより効率的に行えるでしょう。

    自力で関数を設定するのが難しい方は、あらかじめ関数が用意されたテンプレートを利用するのもおすすめです。エクセル関数を在庫管理に活用して、業務効率化を目指しましょう。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

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