GA4ではUAからイベントの仕様が大幅に変更となっており、タグの引き継ぎはできず再度イベント計測の設定が必須となります。
Google アナリティクス 4(GA4)の基礎と導入ステップ
Web分析の第一人者 小川卓氏に学ぶ!
- 小川卓氏によるGoogle アナリティクス 4概論の講演
- GA4の実装方法
- GA4の探索機能
- GA4とHubSpotの連携について
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
Google が提供しているアクセス解析ツール「Google アナリティクス」は、2020年より提供されているGA4が最新版です。GA4では、Webサイト上のユーザーの行動はすべて「イベント」として記録され、イベントの内容によって分析を行えるようになっています。
本記事では、GA4のイベントの種類や設定方法、イベントが表示されないときの対処法を解説します。日本におけるアクセス解析の第一人者、小川卓氏のアドバイスもお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
GA4のイベントとは
GA4のイベントとは、Web閲覧やクリックなど、ユーザーがサイトやアプリで起こした行動のことです。離脱以外はすべてイベントとして記録されるため、GA4ではイベントの内容を見ることでユーザーがどのような行動をしているのか把握できるようになっています。
UAではいくつかの指標でこれらのデータを計測していましたが、GA4では仕様が異なり、イベントで統一して計測されるようになりました。
GA4のイベントはイベント名+パラメータで構成される
GA4のイベントは、イベント名+パラメータの2つで成り立っています。
パラメータとは、イベントごとに追加できる補足情報を指します。例えば、任意のスクロール(Custom scroll)計測では、何回スクロールされたかだけでなく、分析のためのスクロール率(scroll_percentage)など、その他の追加情報が必要になります。
このような補足情報を各イベントに紐付けて分析しやすくするのがパラメータの役割です。
GA4のイベントはそのままコンバージョン(キーイベント)として設定できる
GA4ではユーザーの行動をすべてイベントとして記録した上で、任意のイベントをコンバージョンポイントとして設定し数値を追うことができます。
GA4実装からしばらくは、マーケティング用語の「コンバージョン」がそのまま使用されていましたが、2024年3月のアナウンス以降から「キーイベント」という名称になりました。Google は、Google 広告における「コンバージョン」と区別するためだと説明しています。
例えば、「ユーザーが会員登録を行った」というイベントをキーイベントに設定することで、会員登録数をコンバージョンポイントとして施策を打ちたいときに数値の変化を追跡できるようになります。
GA4のイベントの種類は4つ
GA4でのイベントは大きく次の4種類に分けられます。
<GA4におけるイベント一覧>
1. 自動収集イベント
自動収集イベントとは、名前の通りGA4が自動的に収集するイベントで、イベントの設定は不要です。
例えば、クリックイベント(外部リンクを自動で計測するもの)やページビュー、セッションスタートなどがあります。
2. 拡張計測機能イベント
自動収集イベントのうち、拡張イベント計測機能を有効にすることで計測が開始されるものを指します。
例えば、ページのスクロール(scroll)やファイルのダウンロード(file_download)、表示回数(page_view)などがあります。
3. 推奨イベント
Google から推奨されているイベントを指します。目的に合わせて手動で設定するイベントです。
どの業界にも推奨されているイベント例に、グループ参加の人気度の測定(join_group)、コンテンツのシェア(share)、購入(purchase)、検索(search)、ユーザー登録(sign_up)があげられます。
各業種の推奨イベントは、GA4のヘルプを参考にしてください。
4. カスタムイベント
これまでに説明してきた2つのイベント以外で、データを計測したいときに設定するのがカスタムイベントです。
カスタムイベントは、独自のイベント名とパラメータ名を定義でき、GA4やGTM(Google タグマネージャー)から設定可能です。
カスタムイベントでは自由にイベントを定義できますが、正確に定義することでGA4はどのようなイベントかを判断でき、正しい計測を行えるようになります。定義を間違えると意味のない計測になってしまったり、GA4の機能がアップグレードされても恩恵を受けられなかったりする場合があります。
このようなトラブルを避けるためには、やみくもにカスタムイベントを追加するのではなく、Google が決めたイベントが自社の目的に合わないケースのみ、カスタムイベントを設定するようにしてください。
GA4のイベント計測の設定方法
先述の通り、自動収集イベントの一部には、手動でイベント計測の設定をしなければならないものがあります。
ここでは、測定機能の強化イベントを手動で設定する方法をご紹介します。
測定機能の強化イベントを手動で設定する
- [管理]→[データストリーム]と進み、設定中のデータストリームを選択
- [拡張計測機能]のトグルをオンに
推奨イベント・カスタムイベントの設定方法
推奨イベントとカスタムイベントは同じ設定方法です。
- [管理]メニューから[イベント]をクリック
- [イベントを作成]をクリック
- [作成]をクリック
- 任意のカスタムイベント名、パラメータを入力し、[作成]をクリックで完了
上記は設定例ですが、この内容については後ほど解説します。
GTM(Google タグマネージャー)でのカスタムイベントの設定方法
GTMでもカスタムイベントを設定できます。GA4のパラメータで設定した条件は、トリガーを作成することで指定できます。
GTMを利用すると、タグの種類が増えた場合などの細かい変化に対しても、必要な情報を編集するだけで設定を変更できます。
GTMで設定する際の大まかな流れは以下のとおりです。
- GTM上でGA4イベントタグを設定
- トリガーを設定
- タグを確認し公開
GTMについて、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
よくあるカスタムイベントの設定例
ここからは、カスタムイベントの設定例をご紹介します。
特定ページでのイベント設定例
コンバージョンページ(会員登録完了ページなどの特定ページ)にユーザーが到達した場合の設定例を見ていきましょう。
まずは、設定したいコンバージョンが自動収集イベントで計測できるかどうかをご確認ください。自動収集イベントには既にGA4側で用意されているものもあります。計測エラーを回避するためにも、できる限り用意されているイベントを利用しましょう。
- GA4の[設定]から[イベント]で[イベントを作成]のボタンを選択
- イベントの作成ページからカスタムイベント名を入力(わかりやすい名前を推奨)
- 一致する条件を設定 設定例
- 【カスタムイベント名】
- 一致する条件(パラメータ/演算子/値)
- 【会員登録完了ページの表示】
- ①event_name/等しい/page_view
- ②page_location/等しい/会員登録ページURL
- 正しく計測されているか[レポート]から[リアルタイム]で確認
今回は、会員登録完了ページのページビューをイベントとして設定します。これにより、会員登録したユーザー数を把握できるようになります。
こちらは、先ほどのカスタムイベントの設定手順にて入力した例です。
カスタムイベント名には、管理しやすい任意の名称を入力します。今回は「sign_up」としています。
1つ目のパラメータには、「event_name」として「page_view」を指定しました。これにより、このカスタムイベントではpage_viewイベントを計測します。ここまでだけなら、自動収集イベントと同じ数値となります。
2つ目のパラメータには「page_location」を入力し、「次を含む」の演算子で値に「//www.XX.co.jp/aa/bb/」と入力しました。このページを仮に会員登録完了のサンクスページとします。これにより、会員登録を完了したユーザーの数をトラッキングできるようになります。
自動収集イベントに使用できるパラメータ一覧
GA4では自動収集イベントに条件を指定して、新たなイベントを作成できます。自動収集イベントだけでは収集しきれない情報の取得に活用してください。
自動収集イベントを使って、新規イベントを作成するためのパラメータ一覧は下記になります。
[GA4] 自動的に収集されるイベント - アナリティクス ヘルプ
パラメータには例えば以下のようなものがあります。
page_view
page_viewイベントは、ユーザーがページを読み込むたびなどのタイミングで、自動的にトリガーされます。パラメータには以下のようなものがあります。
- page_location(ページの URL)
- page_referrer(前のページの URL)
- engagement_time_msec
form_start
form_startイベントは、ユーザーがセッション中初めてフォームにアクセスした際にトリガーされます。パラメータには以下のようなものがあります。
- form_id
- form_name
- form_destination
user_engagement
user_engagementイベントは、ウェブの場合はフォーカスのある状態が1秒以上続いたとき、アプリの場合はフォアグラウンド表示が1秒以上続いたときにトリガーされます。
パラメータには以下のようなものがあります。
- engagement_time_msec
GA4で計測したイベントの確認方法
イベントの設定後は、正しく計測できているか確認してみましょう。ここでは、イベント設定の確認方法を詳しくご紹介します。
イベントメニューで確認
[設定]→[イベント]から[既存のイベント]の項目をチェックします。ここで設定済みのイベント名を確認可能です。
イベントのレポートにデータが表示されるまで、数時間から1日かかる場合があります。反映されていない場合は、イベント設定から時間を置いたうえで再度確認しましょう。
GTMでタグの発火を確認
GTMのプレビューモードを利用して確かめる方法もあります。イベントタグが発火していれば、「配信されたタグ(Tags Fired)」の項目にGA4で設定したイベントが表示されます。
レポートで数値を確認
設定した各イベントの数値については、[レポート]の[エンゲージメント]→[イベント]から確認できます。
GA4でイベントが表示されない例と対策
GA4でイベントを設定した後にうまく表示されないときは、何かしらのトラブルが起きている可能性があります。
ここでは、イベントが表示されない時の原因と対策をご紹介します。
計測タグが間違っている
イベントが確認できない場合、まずは計測タグが間違っていないかを確認しましょう。複雑な設定であれば、記述間違いの可能性も考えられます。計測タグが正しくない場合は、データ受信ができないことに注意しましょう。
データ受信ができているかどうかは、設定メニューのトラッキングコードにある[ステータス]の項目から確認可能です。「ヒットを受信していません」と表示される場合は、タグの設定を見直してください。
IPアドレスの除外設定を行っている
データ分析のために自社IPを除外している会社は多いでしょう。しかし、IPアドレスの除外設定をしているためにイベント計測がされないケースもあります。
IPアドレスの除外設定が入っている場合は、設定を再確認してみてください。
設定から時間が経っていない
GA4では24時間以内に当日データの反映が行われるため、設定当日だとデータを確認できないことがあります。
通常、翌日中には反映されるので、時間を置いてから再度確認してください。
GA4におけるキーイベント(旧コンバージョン)設定について
任意のイベントを設定できたら、キーイベント設定も行いましょう。自社の目標に合ったキーイベントを設定することで、達成できているかどうかをレポートから簡単に確認できるようになります。
キーイベントの設定方法
Google アナリティクスで[管理]→[イベント]と進むと、計測中のすべてのイベントが表示されています。
これらのうち、キーイベントとして設定したいイベントのトグルをオンにすれば完了です。
さらに詳しいキーイベント設定方法については、以下コラムをご覧ください。
Google 広告とGA4連携による効果
GA4(Google アナリティクス)は単体でもWebサイト分析において高い効果を発揮しますが、他のさまざまなツールと連携することでさらに相乗効果が期待できます。
もしWebサイトの宣伝のためにGoogle 広告を使用している場合、GA4とGoogle 広告の連携は必須です。
Google アナリティクスでは、Webサイト内のユーザーの行動はトラッキングできますが、Webサイトに訪れる前のことは「どこから来たか」くらいしかわかりません。Google 広告から流入したことはわかっても、具体的にどのような広告から流入があったかまではわからないのです。
そこで、Google 広告と連携を行います。この連携により、ユーザーがどのようなキーワードで検索し、どの広告をクリックし、その結果Webサイトでどのような行動を取ったのか、あるいはすぐ離脱してしまったのか、といったことまで分析できるようになります。
また、GA4のキーイベントからGoogle 広告のオーディエンスを作成することも可能です。Webサイトにてある程度好意的な行動を見せたユーザーに再度広告を配信することで、次はさらに興味を持ってくれるかもしれません。
GA4とGoogle 広告の連携については、以下コラムにて解説しています。
GA4のイベント設定は計測内容が重要
GA4はUAから仕様が変更され、イベントによる計測がメインになっています。そのため、UAよりもイベント設定がしやすいと感じるかもしれません。一方で、イベント名やパラメータを柔軟に決められる分、定義や計測内容に留意が必要です。
イベントを設定する際は、社内で自社サイトに本当に必要なデータを再度、見直してください。自社で学習して実装、設定することで理解が深まります。
最初は必要最低限のイベント計測にし、少しずつGA4の使い方に慣れていくのがおすすめです。