画像生成AIとは、テキストによる「プロンプト」と呼ばれる指示を与えることで、AIが短時間で高精細な画像を生成してくれる技術のことです。最近では、「Stable Diffusion」や「Midjourney」をはじめとする、画像生成AIツールが多数登場し、ビジネスへの活用も加速しています。


生成AIをコンテンツ制作に活用するための入門ガイド
コンテンツ制作に役立つプロンプトの書き方など、制作のプロセスにAIツールを適切に取り入れる方法をご紹介します。
- 生成AIの概要と、独自のコンテンツを作成する方法
- コンテンツ制作業務全般に役立つAI活用のメリット
- AIに関する懸念点への回答
- チームにAIを導入するためのヒント
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画像生成AIツールは、SNSへの投稿写真やアバターだけでなく、社内資料やWebサイトへの掲載、アイデアの叩き台など、ビジネスシーンでも広く活用可能です。
本記事では、数ある画像生成AIツールそれぞれの特徴をご紹介するので、ツール選びの参考にしてください。
また、著作権の問題など生成AIを使用するうえで留意するべき注意点についても解説しています。
画像生成AIとは
まずは、画像生成AIの仕組みや注目されている背景について解説します。
AIが自動的に画像を生成する技術
画像生成AIとは、「プロンプト」と呼ばれるテキストで指示を与えるだけで、AIが自動的に画像を生成する技術です。テキストだけでなく、イメージ画像をアップロードしたり、テーマやコンセプトを絞り込んだりすることで、より理想的な画像が生成されやすくなります。
画像生成AIを組み込んだツールを利用すると、早ければ数十秒程度で高品質な画像を作成することが可能です。
オリジナル画像を作成するほか、頭のなかの抽象的なイメージを具体的に表現したい場合に役立ちます。
注目された背景
画像生成AIは、「Stable Diffusion」というツールがブームの火付け役となり、注目を集めるようになりました。Stable Diffusionは、無料で使用できるツールであるにも関わらず、操作性や品質の良さ、商用利用も可能であることなどが理由で、瞬く間に世界中へと広がった背景があります。
それ以前にも、テキスト生成AIツール「ChatGPT」で有名なOpenAI社が2021年1月に画像生成AI「DALL-E」をリリースしています。さらに、2022年6月には、「Midjourney」と呼ばれる画像生成AIツールも登場しました。
画像生成AIツール12選
画像生成AIツールとは、一般ユーザーが画像生成AIの技術を活用するためのツールのことです。ここでは、代表的な画像生成AIツールの特徴や料金などを解説します。
- Stable Diffusion/無料/商用利用可
- Midjourney/月額8~96ドル/商用利用可
- DALL-E 3/月額2,860円~/商用利用可
- Bing Image Creator/無料/商用利用不可
- Adobe Firefly/無料、月額680円~/商用利用可
- Canva/無料~年額11,800円他/商用利用可
- PhotoDirector 365/月額6,980円~/商用利用可
- Picsart/無料~月額800円/商用利用可
- AI Picasso/無料、年額7,600円他/商用利用可
- MyEdit/無料~月額980円/商用利用可
- NovelAI/月額10~25ドル/商用利用可
- FLUX/ - /商用利用可
1. Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)
【特徴】
- 一般公開されているソースコードを活用することで無料で利用可能
- 操作方法がシンプルで使いやすい
イギリスのStability AI社が2022年8月にリリースした画像生成AIツールです。オープンソースとして提供されており、誰でも無料で利用できます。
Stable Diffusionはその名前のツールやWebアプリケーションがあるのではなく、Stable Diffusionというオープンソースのシステムを利用して第三者が画像生成の環境を構築するという使い方になります。そのため、使い方としては大きく「自身でインストールして使用する」か「Stable Diffusionを使ったアプリを利用する」の2つに分けられます。
自身でインストールする場合、一定のPCスペックは求められるものの、オープンソースのためその後は無制限で自由に画像生成を利用できます。
アプリで利用する場合は、そのサイト・ツール独自の制限には留意する必要がありますが、PCやスマホのスペックに頼らずに簡単に画像生成を利用できます。代表的なWebアプリケーションとしては「Stable Diffusion Online」「Hugging Face」などがあり、スマホアプリとしては「AIピカソ」などが知られています。
Stable Diffusionは、テキストを入力するだけで画像が生成できる、画像生成AIの一般的なモデルを採用しています。生成された画像は照明やフレームの調整、フィルターの設定が可能で、汎用性に優れているのが特徴です。
- 利用料金:無料
- 商用利用:可能
- 公式サイト:Stable Diffusion
2. Midjourney(ミッドジャーニー)
出典:Midjourney
【特徴】
- 画像のテーマやスタイルを柔軟に変更できる
- インターフェースがシンプルでわかりやすい
従業員10名程度で運営されているMidjourney社が開発した画像生成AIツールです。同社は、ハードウェアベンチャーであるLeap Motion社の設立者、デビッド・ホルツ氏が設立しました。
チャットツールのひとつである「Discord」からBotコマンドを入力することで、短時間で画像を生成できるのが特徴です。画像の高解像度化に加え、元画像からスタイルや構図をわずかに変化させて出力できます。
Midjourneyには4つの料金プランが用意されており、同時に生成できる画像の枚数や生成速度などに違いがあります。
- 利用料金(それぞれ年契約)
Basic Plan:月額8ドル
Standard Plan:月額24ドル
Pro Plan:月額48ドル
Mega Plan:月額96ドル - 商用利用:可能
- 公式サイト:Midjourney
3. DALL-E 3(ダリ・スリー)
出典:DALL-E 3
【特徴】
- 抽象的な指示でも可能な限り忠実にイメージを再現
- ChatGPTから直接的に利用できる
OpenAI社が2021年1月にリリースした「DALL-E」の第3世代にあたるツールです。第2世代であるDALL-E 2は独立した一つのツールでしたが、DALL-E 3はChatGPTの有料プランからアクセスするサブツールとしての扱いになっています。なお、DALL-E 2の新規登録は停止されています。
DALL-E 3では、写真やイラストのほか、自身で描いた元画像をアップロードできます。元画像をもとに、構図やニュアンスの異なる幅広いバリエーションの画像を生成できるのが強みです。また、他の画像生成AIは高いクオリティの画像を作るために英語での指示が必要でしたが、DALL-E 3はChatGPTから指示できることから、自然な会話文で高クオリティの画像を生成できる点に強みがあります。
DALL-E 3はMicrosoftの検索エンジン「Bing」に搭載されている「Image Creator」から無料で使用することもできますが、ここでは生成機能に制限があり、また商用利用ができません。
ChatGPTから生成した場合は、有料プランのみですが商用利用が可能です。
- 利用料金:ChatGPT Plus(月額2,860円)
- 商用利用:可能
- 公式サイト:DALL-E 3
4. Bing Image Creator(ビングイメージクリエーター)
【特徴】
- 拡張機能なしでプロンプトを日本語対応に変更できる
- プロンプト自動生成機能によって学習コストの削減が可能
Bing Image Creatorは、Microsoft社が提供しているツールですが、画像生成にあたっては「DALL-E 3」の技術を採用しています。Microsoftのアカウントがあれば無料で利用できるのが利点です。
Bing Image Creatorでは、生成された画像のリサイズやトリミング、テキスト・フィルター追加などの細かい編集が可能です。作成した画像は、Web上やSNSで簡単に共有できます。
- 利用料金:無料
- 商用利用:不可
- 公式サイト:Bing Image Creator
5. Adobe Firefly(アドビ・ファイアフライ)
【特徴】
- ベクターや動画などの多様な出力形式に対応している
- 月25クレジット以内なら利用料金無料
Adobe Fireflyは、Adobe Stockに蓄積された膨大な画像データからモデルを学習することで、指示に合わせて忠実に画像を生成できるツールです。
Adobe Fireflyの強みは、生成AIの領域で懸念事項となる、著作権や肖像権などの問題をクリアしている点にあります。同ツールで画像を生成すると、自動的にコンテンツ生成履歴が付与されるためです。
また、Adobe製品の一部であることから、Adobe Creative Cloudとの連携に対応しています。IllustratorやPhotoshopなどと連携し、オリジナルグラフィックと生成画像を合成して活用が可能です。
- 利用料金(税込):無料プラン 無料/プレミアムプラン 月額680円
- 商用利用:可能 ※Adobe Expressへの登録が必要
- 公式サイト:Adobe Firefly
6. Canva(キャンバ)
出典:AI画像生成・写真ジェネレーターアプリ | Canva
【特徴】
- Instagramとの連携により、デザイン作成後、即座にSNSへの投稿が可能
- Webブラウザとモバイルアプリの両方に対応
Canvaは、オンライン上で手軽にグラフィック制作を行えるサービスです。画像生成AI機能が追加され、簡単な指示を与えるだけでオリジナル画像を作成できるようになりました。
Canvaの画像生成AIは、写真やイラスト、コンセプトアート、パターン、3D画像などの多様なジャンルに対応しているのが特徴です。画像を生成した後は、Canvaの従来の操作でコンテンツを編集できます。背景色の変更やテキストの追加、フリー素材の埋め込みなど、幅広い編集パターンに対応可能です。
- 利用料金(税込):
Canva Free:無料
Canva Pro:11,800円/年
Canva for Teams:9,000円/年/1人(3人から)
※画像生成AI機能は無料 - 商用利用:可能 ※生成画像の表記を添えることを推奨
- 公式サイト:Canva
7. PhotoDirector 365(フォトディレクター)
【特徴】
- 豊富なテンプレートが用意されている
- フォトアニメーションや分散エフェクトなどの高度な加工に対応
PhotoDirector 365は、CyberLink社が提供している画像編集ソフトです。2023年7月に画像生成AI機能を搭載した製品へとアップデートしました。
本来AI技術に強みを持っていたソフトだけあり、画像生成後の色調補正や高画質化といった編集機能に強みを持ちます。従来のAI機能を活用することで、写真の背景置き換えや人物補正など処理を効率的に行えるのが特徴です。
- 利用料金(税込)
【サブスクリプション版】
PhotoDirector 365:月額6,980円
Director Suite 365:月額16,480円 - 商用利用:可能 ※体験版・教育ライセンスは不可
- 公式サイト:PhotoDirector 365
8. Picsart(ピクスアート)
出典:Picsart
【特徴】
- 生成した画像をPicsartのコミュニティで共有可能
- Webブラウザとモバイルアプリでの編集に対応
Picsartは本来、画像や動画の加工、コラージュ画像の作成などができるグラフィックソフトですが、画像生成AI機能が追加されました。テキスト入力だけで、写真やイラストの自動生成が可能です。
Picsartの画像生成AI機能を活用すると、最大で8K解像度の画像生成が可能です。ほかにも、画像の一部を置き換える「AIリプレイス」や、オリジナルアバターを生成できる「AIアバター」など、多様なAI生成機能が用意されています。
- 利用料金:
Free(※AI機能は有料版のみ)
Picsart Plus:541.66円/月(年契約)
Picsart Pro:800円/月(年契約) - 商用利用:可能
- 公式サイト:Picsart
9. AI Picasso(AIピカソ)
出典:AI Picasso
- 【特徴】
- 元画像の一部分だけ塗りつぶし、その箇所をAIに描いてもらえる
- 元画像が人物スケッチの場合、その構図でオリジナル画像が完成する
AI Picassoでは、Stable Diffusionのモデルをもとに、モバイルアプリ上から手軽に画像を生成できます。テキスト入力や元画像のアップロードのほか、簡単な下絵をAIに読み込ませて画像を生成できるのが特徴です。
また、フリー素材サイト大手の「いらすとや」と連携しているため、「いらすとや」のようなイラストを生成することも可能です。
- 利用料金:無料プラン:無料/PROプラン:年払い7,400円・月払い1,980円・週払い740円
- 商用利用:可能(※いらすとや風生成画像のみ著作権はAI Picassoに帰属)
- 公式サイト:AI Picasso
10. MyEdit(マイエディット)
出典:MyEdit
【特徴】
- プロンプトのアイデア集を活用できるため、ノウハウが不要
- 画像・音声編集機能を標準搭載
MyEditは、CyberLink社が提供しているマルチメディア制作ソフトです。2023年7月にリニューアルを行い、新たに画像生成AI機能が搭載されました。
独自のアイデア集が用意されており、そのなかのテキストをプロンプト作成時の参考にできます。また、ビンテージやネオン、3Dなど複数のスタイルを選べるため、理想的な画像を容易に作成できるのも特徴です。
- 利用料金:
無料プラン(生成AI機能に制限あり)
写真編集プラン:580円/月(年契約)
写真編集Proプラン:980円/月(年契約) - 商用利用:可能
- 公式サイト:MyEdit
11. NovelAI
出典: NovelAI
【特徴】
- 2次元アニメ風イラストの生成が得意
- 文章生成AIとあわせてストーリーの作成ができるというコンセプト
NovelAIは、2次元アニメ風のイラスト生成を得意としている画像生成AIです。なお画像生成機能の他に、さまざまなスタイルの文章生成AI機能も備えています。コンセプトとしては、ストーリーを作成するためのツールという面が大きく、その手段として文章やイラストを生成します。
プロンプトで画像生成を指示する際には、豊富なオプションにより細かい調整が可能です。ランダム要素をあえてもたせることもでき、想定していなかった出来のイラストの出力も期待できるでしょう。
NovelAIは無料プランも用意されていますが、無料プランで利用できるのは文章生成のみです。画像生成に必要なツール内通過「Anlas」を入手するには、有料プランに登録する必要があります。
- 利用料金:
Tablet:月間10ドル(約1,500円)・1,000 Anlas 月に最大200枚まで
Scroll:月間15ドル (約2,250円)・1,000 Anlas 月に最大200枚まで
Opus:月間25ドル(約3,750円)・10,000 Anlas 月に最大2000枚まで - 商用利用:可能
- 公式サイト:NovelAI
12. FLUX
【特徴】
- Stable DiffusionやMidjourneyを超えるとされる性能
- PCに構築すると重いが自由度の高いカスタマイズが可能
FLUXは、ドイツのスタートアップ「Black Forest Labs」が開発した画像生成AIです。Black Forest LabsはStable AIの元メンバーが立ち上げたスタートアップで、FLUXはStable Diffusionのライバルと目されています。
FLUXは、ライバルであるStable Diffusionや生成能力の高さが評価されているMidjourneyをも凌ぐ性能があると評価されており、実写と見紛うほどのクオリティの画像生成が期待できるでしょう。
FLUXは「FLUX.1」という名称でも知られますが、これはモデル名を指します。ツールであるChatGPTに対するモデル「GPT-4o」のような関係だと捉えるといいでしょう。
ツールとしてのFLUXはGitHubと連携して使用します。現在は3つの有料プラン「pro」「dev」「schnell」が提供されており、基本的には商用利用が可能です。
- 利用料金:提供プラットフォームによる
- 商用利用:基本的に可能
- 公式サイト:Black Forest Labs
画像に限らず、生成AIの無料ツールやアプリを利用したい方は、こちらの記事をご覧ください。複数のツールやアプリをピックアップし、それぞれの特徴や強みを紹介しています。
画像生成AIで重要な「プロンプト」記述のコツ
画像生成AIでは、描画の作業はAIが行ってくれますが、そのための指示はきちんと送る必要があります。
プロンプトの工夫によって、イメージどおりの描画になるかが左右されるため、まずは以下の基本的なポイントを押さえておきましょう。
英語の記述が望ましい
ChatGPTを始めとしたテキスト生成AIは日本語でも十分な応答が期待できますが、画像生成AIだと十分に意図を汲み取ってもらえない可能性があります。
日本語でプロンプトを記述してもある程度の画像生成はできるものの、できれば英語に直して記述するのがいいでしょう。
英語が苦手な場合は、翻訳サイトを使う他、ChatGPTなどのテキスト生成AIに翻訳してもらうのもおすすめです。
プロンプトは単語で区切り、重要なものは前に
ChatGPTなどは自然な会話文で受け答えが可能ですが、画像生成AIに自身の意図を正確に伝えるためには自然な文よりは単語で区切るほうがおすすめです。画像に必要な要素を端的に伝えることで、画像生成AIはその要素を組み込んでくれます。
例えば、ここでは日本語で記述しますが、1つ目よりは2つ目のほうが望ましいでしょう。
- 雨の東京で傘を差して歩いている女性
- 女性、傘を差している、東京、雨
単語で区切ってプロンプトを書く理由には、画像生成AIの多くは前に記述した内容のほうを重視する傾向があるからという点もあります。日本語は文の構造として、伝えたい内容を後ろに持ってくることが多い言語のため、自然な文で書くよりは単語で区切るほうが意図を伝えやすくなります。
例えば、以下2つのプロンプトだと、2つ目のほうが雨や東京の都会の雰囲気がより強く出る画像が出来上がるでしょう。
- 女性、傘を差している、東京、雨
- 雨の東京、女性が傘を差している
要素を網羅する
簡単なプロンプトでも画像生成AIは画像を作ってくれますが、わからない部分はAIが補完して生成するため、意図した仕上がりにはならない可能性があります。
自身には思いつかないアイデアを得られるというメリットはあるものの、意図どおりの仕上がりを期待したい場合はプロンプトで要素を網羅します。
要素は大きく分けると、以下の3つのポイントがあります。
- 被写体;人物の特徴、服装、ポーズ、背景、小物
- 視点・構図:人物の写り方、カメラのアングル
- 画風・描写:写実的かイラスト調か、明るさ、画風、色の彩度
要素をしっかり網羅することで、AI独自の補完を少なくし、意図した画像を得られるようになります。
ネガティブプロンプトを駆使する
画像生成AIにおけるプロンプトは「画像に含めてほしい要素」となりますが、逆に「含めてほしくない要素」をネガティブプロンプトと呼びます。
上述のように、AIは生成の過程で足りない要素を補完しますが、それが邪魔なこともあります。画像生成AIによってはネガティブプロンプトが指定できるため、AIによる余計な補完を排除していきます。
- 女性、傘を差している、東京、雨
例えば、女性には傘だけを持っていてほしかったのにバッグなども持っていた場合、ネガティブプロンプトで「バッグ」を指定すると改善する可能性があります。
画像生成AIの企業活用事例
テキスト生成AIに比べるとビジネス活用が難しそうな画像生成AIですが、さまざまな企業が活用に挑んでいます。
日本コカ・コーラ:顧客とのコミュニケーションに
日本コカ・コーラでは、実際の商品に画像生成AIを使用するのではなく、顧客とのコミュニケーションに活用しました。具体的には、画像生成AIを用いた専用プラットフォームを公開し、ボトルやロゴのデザインを消費者に自由に生成してもらえるようにしたのです。
消費者が生成したデザインの一部はSNSや広告に使用するなど、インタラクティブなコミュニケーションに活用しています。
アサヒビール:体験型プロモーション
アサヒビールでも、顧客とのコミュニケーションに画像生成AIを使用しています。具体的には、ビール製品「ドライクリスタル」のプロモーションとして、ユーザーがドライクリスタルと一緒に写っている画像を生成できるプラットフォームを公開しました。
ベースとなっているのは細かい調整も可能なStable Diffusionで、ユーザーはスタイルも指定しながら製品の世界観を体験できるようになっていました。
セブンイレブン:商品開発の叩き台に
セブンイレブンでは、商品開発の初期段階に画像生成AIを使用し始めたとしています。具体的には、これまで蓄積したデータを元に新商品に関する画像を生成し、アイデア出しの参考にしています。
2024年春からの導入で、商品開発の時間が最大で90%削減できる見込みだとしています。
画像生成AIツールを利用する際の注意点
画像生成AIツールは最新技術であり、著作権などに関する法整備が追い付いていません。また、2023年時点の技術では、まだ細かいクリエイティブの描写が難しい状況です。
ここでは、画像生成AIツールを利用する際の注意点を紹介します。
著作権や肖像権の問題が発生する可能性がある
画像生成AIツールは、商用利用が認められているケースもあります。しかし、生成した画像を自由に使えるとしても、その元となった写真やイラストを巡ってトラブルが発生する可能性も考えられます。
例えば、生成された画像が元画像と酷似している場合は、クリエイター側との著作権や肖像権の問題に発展するかもしれません。また、第三者が事前に大量の画像を生成し、それに似た画像を使用した企業に賠償金を請求する「パテント・トロール」の問題もリスクとして想定されるでしょう。
権利関係のトラブルを防ぐには、プロンプトや加工の履歴をすべて記録しておくことが大切です。あらかじめ自社独自のプロンプトや元画像を用意しておくのも方法のひとつです。
なお、文化庁の発表するAIと著作権に関する資料では、AIを利用して生成された画像そのものが著作権侵害になるとは明言しておらず、あくまでも人が描いた作品と同様に判断されるとしています。そのため、「類似性」や「依拠性」が認められない画像は著作権侵害には当たりません。
また、AI学習として画像を使うことも、原則、著作権者の許諾なく行うことができるとしています。AI学習による著作物の複製等防止のため、例えば「robots.txt」の記述によりWebサイトへのアクセスを制限するといった措置を講じる動きもあり、これらは著作権法上の制限はなく、権利者やWebサイトの管理者の判断によって自由に行うことができます。
参考:A I と 著 作 権 AI と著作権に関する考え方について
現段階の技術では細かい描写には向いていない
2024年8月時点において、画像生成AIで正確な描写をするのは技術的に難しいという課題が残っています。
特にリアルな人間が写った画像を生成する際には、体の構造をうまく画像に反映できないこともあります。
これは学習データが足りないことが大きな理由で、将来的に問題が解消される可能性は高いといえます。しかし、現状では生成された画像を修正することによって、かえって時間がかかってしまうことも考えられます
まずは生成する画像の方向性を明確にし、コンセプトに合う画像を試験的に生成するのがおすすめです。画像生成AIツールを活用する際は、段階を追ってツールの活用を検討しましょう。
日本語未対応のツールが多い
画像生成AIツールは、英語圏での利用を想定したものが多い傾向にあります。
将来的にアップデートで日本語対応になることも考えられますが、そのようなツールは、まだ少ないのが現状です。
また、日本語対応のツールであっても、日本語のプロンプトで生成すると、英語で生成した場合に比べてAI認識の精度が劣ることもあります。そのため、画像生成AIツールを使うには、ある程度、英語でプロンプトを作成する技術が求められます。
翻訳ツールの活用が必要になるケースもあるため、そのための導入コストやプロンプト作成者の教育コストなどを視野に入れておきましょう。
注意点を理解しつつ自社に合った画像生成AIツールを活用しよう
代表的な画像生成AIツールである「Stable Diffusion」や「Midjourney」が誕生してからわずか1年程度で、数多くの画像生成AIツールがリリースされました。今後も、生成AI市場の成長にともなって、新しいツールがリリースされるでしょう。
どのようなツールを使うにしても、著作権や肖像権の問題には特に注意しなければなりません。また、現状行っている画像制作とコスト面や工数を比較し、画像生成AIツールを導入した際の費用対効果を検証することも大切です。
このような注意点を踏まえたうえで、自社に合う適切なツールを選定してください。
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