イラスト生成AIとは、テキストで指示をしたり、写真をアップロードしたりすることでオリジナルのイラスト画像を作成できるAI技術です。さまざまなサービスが登場しており、制作コストの削減など業務効率化に活用することもできます。
生成AIをコンテンツ制作に活用するための入門ガイド
コンテンツ制作に役立つプロンプトの書き方など、制作のプロセスにAIツールを適切に取り入れる方法をご紹介します。
- 生成AIの概要と、独自のコンテンツを作成する方法
- コンテンツ制作業務全般に役立つAI活用のメリット
- AIに関する懸念点への回答
- チームにAIを導入するためのヒント
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全てのフィールドが必須です。
本記事では、イラスト生成AIのおすすめツール12選を紹介します。機能や料金について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
イラスト生成AIの仕組みや使い方を理解し、独自性のある新しいコンテンツを作成しましょう。
イラスト生成AIとは?仕組みを解説
イラスト生成AIは、大量のイラストデータを学習し、特性やパターンをもとにオリジナルのイラスト画像を生成できる技術です。
生成したいイラストのイメージをプロンプト(指示)で伝えたり、画像を読み込ませたりすることで、新たなイラストを生成します。
生成AIこれまでのAIとの違い
イラスト生成AIの他にも、テキスト生成AIや動画生成AI、音楽生成AIなど、さまざまな生成AIが登場しています。これら生成AIとこれまでのAIとの違いは、明確なラインはありませんが、「生成されたコンテンツが出力されること」だといえます。
これまでのAIが得意だったのは、膨大なデータから人間には判別が難しいパターンを読み取ったり、分析を行ったり、特定のタスクを判断したりすることでした。これにより画像に写っているものを判断したり、売上データから課題を分析したりといったことが可能です。
生成AIではコンテンツを生成できることから、AIやIT技術についてさほど詳しくない人でもわかりやすい結果を得られるようになりました。これにより、大幅な業務効率化や新しいアイデアの創造などが可能になっています。
従来のAIとの違いについて詳しくは、以下コラムをご覧ください。
生成AIができること
コンテンツを生成できる生成AIでは、活用次第でさまざまなタスクをこなせます。
イラスト生成AIでは、プロンプトによる指示や参考画像のアップロードにより、オリジナルのイラスト生成が可能です。これはそのままクリエイティブとして使用することはもちろん、後から編集を行うことで制作コストの削減につながります。また、レイアウトのアイデアや新しいデザインの叩き台として活用することも可能です。
生成AIが広く知られるきっかけとなったChatGPTなどのテキスト生成AIでは、言葉や物事の定義について質問したり、コピーやメールマガジンなどを生成したり、企画の提案を出してもらったりといった活用が可能です。
イラスト生成AIの基本的な使い方
イラスト生成AIはサービスによって細かい使い方が変わりますが、基本的にはテキストにて指示を出して生成してもらいます。生成AIに指示するときのテキストをプロンプトと呼びます。
また、サービスによっては画像をアップロードし、テイストやスタイルを指定することも可能です。これにより、イラストのオリジナリティが増すでしょう。
プロンプトは、「窓の外には雨が降っており、その手前で黒猫が眠っている」というように文で指定することもできますが、イラスト生成AIの場合は「黒猫、眠っている、後ろの窓、外は雨」のように単語で区切るほうが期待通りの結果になりやすい特徴があります。このとき、イラスト生成AIはプロンプトの前のほうの要素をより重視するため、要素を入れ替えることで調整も可能です。
注意点
イラスト生成AIはプロンプトを送信することで美麗なイラストを簡単に得られる一方、テイストがAIっぽくなりやすい、細かいディテールの再現は難しい、現実にはありえないイラストになることがある、などの課題もあります。そのままクリエイティブに活用することは難しいといえるでしょう。
また、仮に学習元のコンテンツと似通ってしまった場合、著作権の問題も発生します。AIと著作権の問題については、のちほど詳しく解説します。
【無料】アプリ版おすすめイラスト生成AI
ここでは、無料で使えるアプリ版のおすすめイラスト生成AIを3つ紹介します。
- AI Picasso(AIピカソ)
- Meitu
- AIイラストくん
AI Picasso(AIピカソ)
出典:AI Picasso
AIピカソは、「テキストを入力」という欄にプロンプト(指示)を入力し、「生成」を押すだけで簡単にイラストを生成できるツールです。何度か使うと広告閲覧を求められますが、数十秒視聴すると再度使えるようになります。
スタイルは木炭や油絵、3Dゲームやサイバーパンクなどから選ぶことができます。またフリー画像サイト「いらすとや」風のスタイルも追加されました。
Meitu
出典:Meitu
Meituは、写真をイラスト化できる無料アプリです。
人物や風景などの写真をアップロードすると、写真をもとに3パターンのイラストが生成され、好きな画像を選んで保存できます。無料のまま使うと広告が表示されますが、VIPプランに申し込むと、広告が非表示になり、専用素材が使えるようになります。
- Android:1か月500円、12か月2,700円
- iOS:1か月800円、12か月3,800円
プロンプト(指示)でイメージ通りのイラストを生成できないとお悩みの方におすすめです。
AIイラストくん
出典:AIイラストくん | LINE Official Account
AIイラストくんは、メッセージアプリのLINEでイラスト生成ができるツールです。LINEで「友だち追加」するだけで使える簡単さが魅力です。
裏で生成AI「StableDiffusion」が動いており、LINE上のメッセージでプロンプト(指示)を送信すると、生成されたイラスト画像が返ってきます。
無料で生成できる画像は1日3枚までですが、月額1,980円で1日30枚、月額6,980円で無制限で生成できる有料プランがあります。
【無料】ブラウザ版おすすめイラスト生成AI
ここでは、無料で使えるブラウザ版のイラスト生成AIを6つ紹介します。
- Canva
- Stable Diffusion
- Bing Image Creator
- My Edit
- AIいらすとや
- Adobe Firefly
Canva
出典:Canva(キャンバ)
Canvaは、世界中で使われているブラウザ版の生成AIです。ひとつのプロンプト(指示)を送ると、複数のパターンのイラストが生成されます。
画像のスタイルは、アニメや水彩画などから好みのものを選ぶことができ、画像サイズや色の編集も可能です。より具体的なプロンプト(指示)を送信することで、オリジナルのキャラクターや風景画風のポスターを作成できます。
無料プランに加えて、月額1,180円(年払い11,800円)のProプランがあります。
Stable Diffusion
出典:Stable Diffusion - Stability AI Japan
Stable Diffusionは、イラスト生成AIの中でも特に有名な一つです。イラスト生成AIが広く知られるようになったきっかけになったサービスであり、商用利用も可能となっています。
Stable Diffusionはオープンソースソフトウェアであることも特徴の一つです。ライセンスを取得することで自由に開発が可能であり、自社ならではのアプリケーションを作ることもできます。
なお、利用できるモデルや料金については変更があり、組織内部でも大きな変更があったことから、利用する場合は常に最新の状態を確認するようにしてください。
Bing Image Creator
Bing Image Creatorは、Microsoftが提供しているイラスト生成AIです。Microsoftアカウントを持っていれば無料で利用できます。有料プランはありません。
テキストでプロンプト(指示)を送り、イラストを生成するAIで、Microsoft Edgeのサイドバーから、素早くアクセスして使えます。
My Edit
出典:MyEdit
My Editは、プロンプト(指示)の送信と、写真をアップロードしてイラスト化する方法のどちらにも対応しているイラスト生成AIです。生成されたイラストの背景の透明化や、切り抜き加工なども可能です。
無料版は1日1枚しか画像を保存できません。画像編集プラン(580円/月)か画像編集Proプラン(980円/月)に加入することで、ダウンロードが無制限になり、ウォーターマークがなくなります。
AIいらすとや
出典:AIいらすとや
商用でも利用できるフリー素材サイトとして有名な「いらすとや」の、生成AIバージョンのWebアプリケーションです。
AIいらすとやはプロンプトを入力して生成イラストを出力するまでは他のツールと同じですが、そのイラストが「いらすとや風」になる点が特徴です。アカウント登録すれば生成とダウンロードは無料であり、商用利用できる点も本家いらすとやと同様です。
Adobe Firefly
Adobe Fireflyとは、Photoshopなどで有名なAdobeが提供しているイラスト・画像生成AIです。Fireflyは特定のアプリケーションを指すのではなく、Adobeの各製品で利用できる生成AI機能全般を指します。
上記リンクからはFireflyの「テキストから生成」を利用でき、Adobeアカウントがあれば無料でも利用可能です。
他には、Adobe Expressで利用できる「テキストから生成」、Photoshopなど複数アプリで利用できる「生成塗りつぶし」や「生成AI削除」などの機能があります。
【有料】ハイクオリティなイラスト生成AI
ここでは、「有料でも良いのでクオリティが高いイラスト生成AIを使いたい」という方に向けて、おすすめのツールを3つ紹介します。
- Midjourney
- DALL・E 2
- NovelAI
Midjourney
出典:Midjourney
Midjourneyは世界的に人気のあるイラスト生成AIの一つで、現在は有料プランのみ提供されています。生成されるイラストのクオリティの高さに定評があり、プロンプト次第では商用利用にも耐えうるクオリティのイラストが得られるでしょう。
Midjourneyは、チャットアプリ「Discord」のチャットルーム上で生成を行う点に特徴があります。慣れないと戸惑うかもしれませんが、一度登録までいけばAIチャットボットと会話をするようにイラストの生成が可能です。
<Midjourneyの有料プラン>
- ベーシックプラン:月額8ドル(約1,200円)、約200枚生成可能
- スタンダードプラン:月額24ドル(約3,600円)、約900枚生成可能
- プロプラン:月額48ドル(約7,200円)、約2,000枚生成可能
- メガプラン:月額96ドル(約14,400円)、約4,000枚生成可能
DALL·E 3
出典:DALL·E 3
DALL·E 3は、ChatGPTの開発元であるOpenAIによって提供されているイラスト・画像生成AIです。
前バージョンのDALL·E 2も高精細なイラストを生成できるとして話題になりましたが、DALL·E 3はさらに進化し複雑なニュアンスも表現できるようになっています。
現在、DALL·E 2は新規ユーザーの登録を締め切っており、サービスはDALL·E 3にシフトしています。DALL·E 2は単体で使用できるアプリケーションでしたが、DALL·E 3はChatGPT上で使用する点が特徴です。
ChatGPTの有料プランのいずれかに登録すれば、ChatGPTのチャットルームでDALL·E 3によるイラスト生成を利用できます。
NovelAI
出典:NovelAI
NovelAIは、2次元アニメ風のイラストを得意としているイラスト生成AIです。
プロンプト(指示)は、作成したいテキストだけでなく、除外したい要素の入力もできます。例えば、雲がない空の風景画を生成したいときは、除外したい要素に「雲」と入力するイメージです。
NovelAIは無料プランも用意されていますが、無料プランで利用できるのはストーリー作成などのテキスト生成のみで、画像生成に必要なツール内通過「Anlas」は提供されません。そのため、イラスト生成機能を使用したい場合は以下の有料プランに登録する必要があります。
<NovelAIの有料プラン>
- Tablet:月間10ドル(約1,500円)・1,000 Anlas 月に最大200枚まで
- Scroll:月間15ドル (約2,250円)・1,000 Anlas 月に最大200枚まで
- Opus:月間25ドル(約3,750円)・10,000 Anlas 月に最大2000枚まで
イラスト生成AIの活用シーン
生成AIで作成したイラストは、次のように活用できます。
Webサイトやチラシのデザイン補助
生成AIを活用すると、Webサイトやチラシで使用するイラスト制作の補助ができます。プロのデザイナーに依頼せずに、独自性のあるイラストを生成可能です。
例えば、Webサイトのバナーやアイコン、チラシの背景やキャラクターロゴなどのイラストに生成AIを活用できます。プロンプト(指示)をかえたり、読み込ませる写真をかえたりすることで、求めているデザインに近づけることも可能です。
マンガコンテンツの制作
マンガコンテンツの制作にも、イラスト生成AIが活用されています。実際に漫画家の平野耕太さんが、補助的に生成AIを活用していました。
中国企業のイラスト生成AI「meitu」に、ラフ画や写真を挿入するとイラスト化が可能です。また、Google が開発した「Giga Manga」は、AIが線画の加筆や着色などの作業を行います。
ゲームの背景やオブジェ素材
生成AIは、ゲームの背景やオブジェ素材のイラスト生成にも活用できます。
例えば、ゲームの開発者がイラスト生成AIに、「森の中に村がある。家が10軒あり農作業している人や煙があがっている家がある」とプロンプト(指示)を送ると、「森の中にある村」の背景画像が生成されます。
デザインのスキルがなくても、より具体的なプロンプト(指示)を送ることで求めているイメージに近いイラストを生成可能です。実際にUbisoftのゲーム「アサシン クリード オデッセイ」では、背景や木や石などに生成AIが使用されています。
生成AI利用の著作権に関する文化庁の解釈
生成AIを利用する際の問題点として、著作権の扱いが指摘されています。特に、イラストに関してはクリエイティビティな側面が強いため、市場は生成AIによる著作権の扱いに慎重です。
文化庁は、生成AIによって作成されたコンテンツと著作権について、考え方を発表しています。
参照:文化庁
文化庁によると、生成AIをユーザーとして利用して作成されたコンテンツに関しては、そうでないコンテンツと同様に著作権法が適用されるとしています。つまり著作権において、生成AIで作成したから特別なルールが適用されることはないということです。
著作権侵害が認められるのは、創作的な表現が一致または類似する「類似性」、もしくはすでにある著作物を元に作ったという「依拠性」があった場合です。イラストでいえば、類似性はイラストが似ているかどうかや画風の模倣が該当し、依拠性は漫画のキャラクターなどが該当します。
イラスト生成AIを使ってイラストを作成する際に注意するべきは、自身は生成するときに模倣するつもりはなくても、結果的に模倣になってしまうケースがある点です。商用で利用する際は、著作権に触れていないかの確認をしたり、生成イラストを自身でアレンジしたりなどの工夫が必要となります。
イラスト生成AIの活用で品質向上と業務効率化の両立を
イラスト生成AIを活用すると、業務効率化やコスト削減を実現しながら、ハイクオリティなコンテンツが作成ができます。無料で利用できるツールも多いため、まずは使ってみましょう。