アドテクノロジーの進化により、より少ないコストでより多くの消費者に自社の広告を届けることができる環境が生まれてきました。
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テレビや新聞が主要メディアだった頃は、特に膨大な広告予算を持たない中小企業にとって「自社の広告配信」は悩ましい問題でした。それが、現在のようにアドテクノロジーの登場と進化によって、中小企業であっても多くの消費者に自社広告をリーチすることができるようなったのです。
これは明らかにAIの進化による恩恵であり、AIを研究し尽くし応用展開されたアドテクノロジーがもたらした大きな変化です。
一方で、広告掲載先となるメディアや広告枠が多様化したため、用意すべき広告クリエイティブの種類が多岐にわたり、その制作工程が煩雑化してしまうという課題が発生しています。
パソコン・スマートフォン・タブレット、様々なデバイスのあらゆる広告枠に合致したクリエイティブを複数制作し、ABテストを行う・・・といった工程が、アドテクノロジーを活用することへのトレードオフとして必要となってしまいました。
そこで、広告クリエイティブの制作工程やABテストなど効果検証の工程を効率化するためにレスポンシブ広告という仕組みが生み出されました。
本稿では、レスポンシブ広告の利用に必要となる基礎知識である入稿規定など、基本事項をご紹介します。
その上で、レスポンシブ広告を利用することで期待されるメリット、生み出されるデメリット、そして活用のコツまで、幅広く解説します。
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レスポンシブ広告とは?
あらゆるデバイスやあらゆるサイズの広告枠に対してより効率的に広告が配信できるよう、広告クリエイティブのサイズやレイアウトを自動調整する仕組みが構築されました。その仕組みが「レスポンシブ広告」と呼ばれるものです。
広告主が「見出し」「広告メッセージ」「画像」といった「広告アセット」と呼ばれる広告の骨子部分を用意するだけで、様々な広告枠に合わせたサイズのバナーが自動で生成、配信されていきます。
具体的なイメージを掴むため、Yahoo! JAPANが展開するYDNのレスポンシブ広告の画像を見てみましょう。
掲載面に応じてレイアウトを最適化! 「レスポンシブ」 - Yahoo!広告 公式 ラーニングポータル
このように、広告枠に最適化された広告クリエイティブ(ここではバナー広告)が自動で生成されます。
レスポンシブ広告では、機械学習を利用して最適な広告アセットの組み合わせを自動で行うことを実現しています。
これまでは、広告主や広告代理店が莫大な工数をかけて広告クリエイティブや広告配信の最適化に向けた効果検証やブラッシュアップを行ってきましたが、レスポンシブ広告が広告クリエイティブおよび広告配信のPDCAを自動で回してくれるようになったのです。
これは、自社広告をより多くの消費者に対して効率的に配信したいというニーズを持つ広告主にとって、非常に革命的な出来事となりました。
レスポンシブ広告を採用している配信面は?
レスポンシブ広告は、GoogleだけではなくYahoo!でも採用しています。それぞれどこに、どのように配信されるのかを詳しく見ていきましょう。
Google広告
Google の「GDNレスポンシブディスプレイ広告」が掲載されるメディアは多彩です。WebサイトやYouTube、Gmailなどにも掲載されます。
YouTubeでは、動画の下や検索結果ページに広告が表示されます。
Yahoo!広告
Yahoo!の一般的な「インフィード広告」の掲載はインフィード広告枠に限定されますが、「YDNレスポンシブ広告」は、通常のバナー広告枠とインフィード広告枠の両方に配信されるというメリットがあります。
掲載先が増えるため、コンバージョン率のアップや高い宣伝効果が期待できます。
レスポンシブ広告のメリット・デメリット
レスポンシブ広告を導入すれば必ず成果が上がるというわけではありません。効率的な広告運用のためには、メリットとデメリットの正しい理解が大切です。
レスポンシブ広告を利用するメリット
レスポンシブ広告のメリットは「工数を最小限に留めながら最大限の広告表示ができる」ことに尽きます。レスポンシブ広告は、機械学習を使ってパフォーマンスの予測を立て、最適なアセットの組み合わせを自動的に決定します。成果の出やすい広告が自動生成されるので、広告主は広告最適化のために手を動かす必要がありません。
具体的には以下のような工数を削減できます。
- バナー広告制作
- 広告効果検証
上記2点の工数を気にすることなく、様々な形式の広告枠に自社の広告を配信できるようになるのです。
レスポンシブ広告を利用するデメリット
ここまで読むとメリットばかりが目立つレスポンシブ広告ですが、当然レスポンシブ広告を利用することで生まれるデメリットも存在します。
それは「より多くの広告枠に自社広告が配信されるようになるため、広告の費用対効果が低い配信先への広告配信が進んでしまうリスクが生まれる」ことです。
そのため、レスポンシブ広告を利用する上では「広告配信先の精査」が今まで以上に重要となってきます。
各配信先のCPA(1件あたりの成果獲得にかかるコスト)を細かく把握し、効果の低い配信先は除外して新たな配信先への配信を進める、といった配信先PDCAのプロセスを強化する必要が出てきます。
レスポンシブ広告の効果
では、レスポンシブ効果を利用することでどのような効果が得られるのでしょうか。
インターネット上では、以下のようなレスポンシブ広告の効果が絶大であるという結果が多数公表されています。
- イメージ広告と比較して2倍のCTRが得られた
- CVが81%増加した
しかし、しっかりと理解しなければいけないのは「広告アセットが成果につながる内容」となっており「成果につながりにくい広告配信先がしっかりと除外されていること」が、成功の条件になるということです。
この「広告アセットと広告配信先の最適化」という2点を無視してレスポンシブ広告を利用しても、広告費ばかりが増大し、それに伴う効果は得られないことでしょう。
レスポンシブ広告活用のコツ
レスポンシブ広告活用のコツは以下の2点です。
- 広告アセットの最適化
- 広告配信先の最適化
それぞれ詳しくご紹介しましょう。
広告アセット
広告文はアセット単体で完結するようにしましょう。アセットの表示は自動的に選定されるため、各アセットの表示は基本的に順不同です。
たとえば以下のような文があったとしましょう。
「大注目の生ビール!生ビールのおすすめは麦芽100%の○○生ビール」
この文を「大注目の生ビール」「生ビールのおすすめは」「麦芽100%の○○ビール」の3つに分けたとします。
この設定でアセットを作成した場合、検索キーワードが「生ビール 麦芽100%」なら以下のような結果になると予想されます。
- タイトル1:関連性がもっとも高い「麦芽100%の○○生ビール」が入る。
- タイトル2:「生ビール」と関連性の高い「生ビールのおすすめは」が入る。
- タイトル3:もっとも関連性が低い「大注目の生ビール!」が入る。
表示される組み合わせは以下です。
「麦芽100%の○○生ビール|生ビールのおすすめは|大注目の生ビール!」
文章として明らかに不自然だとわかります。アセットとして設定する場合、どの組み合わせになっても不自然にならないように、必ずアセット単位で完結させましょう。
広告配信先の最適化
レスポンシブ広告の配信先は多岐にわたるため、効率のよくない配信先も出てきます。相性の悪い配信先は広告費を無駄に消費するだけです。広告配信先ごとのデータ分析と最適化を定期的に実施しましょう。広告配信の「量」も大切ですが、効率的な広告運用のためには「質」に目を向けることも重要です。
CPAが異常に高いプレースメントは即停止すべきでしょう。リマーケティングからのCVはあるかもしれませんが、トータルでは赤字になるはずです。
広告の配信先は膨大なので、非効率的な広告配信先を削除しても、すぐ他の場所に掲載されます。非効率な掲載先の削除を繰り返していれば、自然と最適化が進むでしょう。
レスポンシブ広告の入稿規定
レスポンシブ広告のメリット・デメリットや活用のコツを知っていただいたところで、レスポンシブ広告の入稿規定をご紹介します。
ここでは、レスポンシブ広告において最大のプラットフォームであるGDNの入稿規定で最低限必要となる画像とテキストの要件を見ていきましょう。
【画像(以下2種類の画像が必要です)】
- サイズ(縦×横)=1200×628~600×314 ※データ容量1MB以内
- サイズ(縦×横)=1200×1200~300×300 ※データ容量1MB以内
【テキスト(以下4種類のテキストが必要です)】
- 全角12文字、または半角25文字以下の短い見出し
- 全角45文字、または半角90文字以内の長い見出し
- 全角40文字以内の説明文
- 会社名およびブランド名
- コンバージョンページのURL
他にも、ロゴマークやトラッキングなどを登録することもできます。
他の広告配信システムと比べた費用対効果は?
これまで説明してきた通り、レスポンシブ広告は保有する広告クリエイティブのサイズに関わらず、あらゆる広告枠に対応した広告を自動で配信できるシステムです。
つまり、すでに掲載している広告クリエイティブが成果を生んでいなければ、レスポンシブ広告も成果を生み出すことは考えづらいということです。
そのため、単純に他の広告配信システムと費用対効果を比較するのは難しいです。
ただひとつ言えるのは、成果を生んでいる広告クリエイティブをレスポンシブ広告で展開することによって、より大きな成果が見込め可能性が高いと言うことです。
レスポンシブ広告は「広告露出の機会を増やせば売上向上が見込める」という企業にとっては、非常に重宝する広告配信システムとなるでしょう。
まとめ
これまで解説を進めてきた通り、広告クリエイティブの制作や広告効果検証の工数を省き、「より多くの消費者に自社の広告をリーチすることを可能とした」のがレスポンシブ広告です。効率的な認知度アップを求めていた広告主にとっては非常に有効な武器となるでしょう。
反面、自社の広告が「刺さる広告」になっていなければ、無駄な広告費が増大することにもつながりかねません。その点がレスポンシブ広告の活用において最も注意すべきところです。
当然「量から質」へと転換していく流れが広告掲載の常套手段ですので、「とにかく最初は流入量を増やそう」としてレスポンシブ広告を利用することも決して間違いではありません。
ただし、それらの過程の中のいずれかで「自社サービスにおけるユーザーのペルソナを明確にし、そのペルソナに対して刺さるコピーやペルソナの存在するターゲット層を見出していくこと」は欠かせない工程となります。
これからレスポンシブ広告を活用しようとお考えの方は、ぜひ頭の片隅に「ペルソナの明確化」というキーワードを置いておいていただくと良いでしょう。
また、このレスポンシブ広告に関わらず、GoogleはAIを活用した広告運用業務を強く推進しています。機械学習に任せるべき部分と、自分たちの頭で考えるべき部分を、しっかりと切り分けて戦略を立てることができなければ、この先のマーケティング業務は立ちいかなくなる可能性があります。
「AIの上手な利用」という観点を持ってレスポンシブ広告の活用を進めていくことを強くおすすめいたします。